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難聴の管理

執筆者:

Lawrence R. Lustig

, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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難聴の原因の多くは治癒しません。その場合、治療としては可能な限り聴力を補助します。中等度から高度の難聴の場合には、大半の人が補聴器を使用します。高度から重度の難聴の場合は人工内耳が非常に役立ちます。

補聴器

補聴器による音の増幅は、伝音難聴と感音難聴のどちらにも有用です。ただし残念ながら、補聴器は正常な聴力を回復するわけではありません。それでも補聴器があればコミュニケーション能力が大きく改善し、音が聞こえる喜びを得ることができます。

費用や快適性の問題、一部では社会的イメージがよくないことを理由として、補聴器をかけたくないという人もよくみられます。医師はこのような問題について話し合い、患者に言語聴覚士と会って使用可能な様々な補聴器のデザインをみてみるように勧めるべきです。一部の高齢者や関節炎または神経学的な問題がある人にとっては、最小サイズの補聴器は扱いにくいため、若干大きめの補聴器を検討するべきです。

補聴器:音を増幅する装置

耳かけ型の補聴器は最も高い増幅能力がありますが、見た目はよくありません。耳穴型は高度の難聴に最適です。調節は簡単にできますが、電話で使うには支障があります。カナル型(ITC)は軽度から中等度の難聴に用いられます。このタイプは装着していても比較的目立ちませんが、電話での会話にはやはり問題があります。完全外耳道挿入型(CIC)は、軽度から中等度の難聴に用いられます。音質が良く、ほとんど目につかず、電話での使用にも問題はありません。外すときには装置に付いた細いひもを引っぱります。しかし最も高価であり、一部の人にとって調節が難しいことがあるタイプです。

補聴器:音を増幅する装置

すべての補聴器は音を拾うマイクロホン、その音を大きくする電池式の増幅器、そして音を伝える装置を備えています。ほとんどの補聴器が、外耳道に挿入した小さなスピーカーで音を伝える仕組みになっています。このほか、スピーカーを介さずに中耳の骨(耳小骨)や頭蓋に直接音を伝えるものもありますが、手術で装置を埋め込む必要があります。

部品の大きさや装着部位は補聴器によって様々です。原則として、音質がよい補聴器ほど目立ちやすいですが、調節しやすく、聞き取りやすいとされています。大きいものは、多くの場合、小型の補聴器には搭載できない補聴機能を盛り込むことができます。

補聴器の電子的な特性はそれぞれ異なり、これは使う人の難聴のタイプに合わせて選ばれます。例えば、主に高周波の音が聞こえない難聴の場合は、単純に音を増幅しても、聞こえてくる不明瞭な発話がそのまま大きく聞こえるだけで恩恵がありません。このような場合、高い周波数を選択的に増幅する補聴器を使用すれば、会話を認識する能力が大きく改善します。高周波の音が耳の中まで届きやすいように、穴のあいたイヤーモールド(オーダーメイドの耳栓)が付属している補聴器もあります。補聴器の多くは複数の周波数チャンネルに対応したデジタル音声処理機能を備え、患者の難聴に合わせてさらに正確に増幅できるようになっています。大きな音に耐えられない人は、最大音量を耐えられる音量に保つ特殊な電子回路をもった補聴器が必要になることもあります。

補聴器を使用している人では、電話の使用が難しくなる場合があります。一般的な補聴器の場合、耳を受話器にあてるとキーンという音が生じます。補聴器の中には、電話用のコイルを備えたものもあります。スイッチを切り替えるとマイクロホンがオフになり、受話器に磁石が内蔵された補聴器対応電話から、このコイルへと電磁的に信号が伝えられます。補聴器側に適切な機能があれば、電話機側の準備は電話会社が受話器に簡単な変更を加えるだけです。複雑な機能が付いた補聴器は価格も非常に高い傾向がありますが、聴力低下を補うために不可欠な場合もしばしばです。

人工内耳

補聴器を使っても音が聞き取れないか言葉が把握できない高度から重度の難聴(聾)の人の大部分では、人工内耳が有益です。人工内耳は、蝸牛(内耳の構造で、この中に聴神経があります)に埋め込んだ多チャンネルの電極を介して聴神経に電気信号を直接伝えます。補聴器を使用しても文中の半分以上の単語を理解できない場合に、人工内耳が必要になります。人工内耳では、体外部のマイクロホンとプロセッサが音声信号をとらえて電気信号に変換します。この信号は、体外コイルから、電極に接続した体内コイルへと電磁気の働きによって皮膚越しに伝えられます。すると、この電極が聴神経を刺激します。

人工内耳は正常な蝸牛ほどうまく音を伝えることはできませんが、聴力が損なわれている人にとってかなりの恩恵をもたらします。唇の動きを読んで発話内容を知るのにも役立ちます。人工内耳を付けた人の大半は唇の動きを読まなくても言葉を判別することができ、電話を使うことも可能です。

人工内耳は耳がまったく聞こえない人にも役立ち、玄関の呼び鈴、電話、警報器の音など周囲の音や警告音を区別できるようになります。また自分の声を調節し、周囲の人に分かりやすいように話すためにも役立ちます。人工内耳は難聴になってまだ日が浅い人や、以前に補聴器をうまく使えていた人でより効果的です。

脳幹インプラント

例えば頭蓋底(側頭骨)の両側で起こった骨折や神経線維腫症などで聴神経が破壊されている人や、生まれつき聴神経がない小児では、補聴器や人工内耳の恩恵を受けられません。しかし、脳の聴覚をつかさどる部分(脳幹)に電極を埋め込むことで、聴覚をある程度回復することができます。その電極は、人工内耳に使用される装置と同様の音声検出装置と音声処理装置に接続されています。

その他の難聴対策

以下に示すものなど、著しい難聴のある人が利用できる補助的な装置が何種類かあります。

  • 玄関の呼び鈴が鳴っているときや、赤ちゃんが泣いているときに知らせてくれる光警報装置

  • 映画館や教会など競合する雑音が多い場所での聞き取りに役立つ特殊な音響システム

  • 表示・非表示を切り替えられる字幕放送が行われていて、音声の内容が文字で表示される多くのテレビ番組

  • 会話の書き起こしを提供する電話用の器具

読唇法は聴力が低い人にとって重要な技能です。音声が聞こえはしても聞き分けが難しい場合(一般的には加齢に伴う難聴)には特に重要です。話し手の唇の位置を観察することによって、どの子音が発音されているかを認識します。高周波の音が聞こえない難聴の場合は子音が理解できないため、読唇法は話の理解力を大幅に改善します。

聴覚リハビリテーションのプログラムを通じて、読唇法など難聴に対処する方法について、聴覚の専門家が指導を行っている場合もあります。読唇法の訓練のほか、コミュニケーションが困難になる状況を前もって予想し、その状況を変えたり避けたりすることで、聞き取りに関わる周囲の環境を自らコントロールする方法を習得します。例えば、電話で会話する場合は、まず最初に聴力に障害があることを相手に伝えておくとよいでしょう。直接誰かと会話をするときは、自分の方に顔を向けて話してもらうように頼みます。難聴がある人は、レストランでの食事の際、以下のことを行うとよいかもしれません。

  • 混雑していない、より静かな時間帯に行く。

  • 外の音をある程度遮断する個室を希望する。

  • メニューにない日替わり料理などは、口で説明してもらう代わりに紙に書いてもらう。

重度の難聴がある人の多くは、コミュニケーションの方法として手話を利用しています。その中でも、米国ではASL(アメリカン・サイン・ランゲージ)が最も広く用いられています。視覚的な身ぶりを用いた他の種類の言語には、SE(サインド・イングリッシュ)やSEE(サイニング・イグザクト・イングリッシュ)、キュードスピーチなどがあります(訳注:日本でも日本手話[JSL]、日本語対応手話、キュードスピーチなど各種の手話が使われています)。

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