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耳鳴り

(耳鳴[じめい])

執筆者:

Debara L. Tucci

, MD, MS, MBA , Duke University Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 6月
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耳鳴り(耳鳴[じめい])とは、周囲の音ではなく、耳の中で発生している雑音です。耳鳴りは症状であり、特定の病気ではありません。非常によくみられ、程度の差はありますが、10~15%の人が経験します。

耳鳴りの人に聞こえる雑音には、ジー、キーン、ザー、ヒュー、シューなどがあり、難聴を伴うことがよくあります。その都度異なることがある複雑な音が聞こえる人もいます。これらの音は静かな場所で、特に何かに集中しているわけではないときに聞こえやすくなります。そのため、眠ろうとしているときに最も障害になる傾向があります。しかし、耳鳴りをどう感じるかには大きな個人差があります。その症状にひどく悩まされる人もいれば、十分耐えられると感じる人もいます。

自覚的耳鳴が、圧倒的によくみられるタイプです。これは、音の処理を担う脳の部位(聴覚皮質)の異常な活動によって引き起こされます。この異常な活動がどのように起こるのかは、完全には解明されていません。

他覚的耳鳴は、はるかにまれです。これは、耳の近くの構造から出る実際の雑音のことです。ときに、注意して聴けば、本人以外にも他覚的耳鳴の音を聴き取ることができます。

原因

自覚的耳鳴

耳に関連する病気の75%以上が症状として耳鳴りを含み、難聴がある人には原因に関係なくよく耳鳴りが発生します。最も一般的な原因としては以下のものがあります。

耳鳴りのその他の原因としては、中耳の感染外耳道をふさぐ病気(例えば外耳の感染[外耳炎]、過剰な耳あか、異物)、アレルギーなど閉塞の原因による耳管(耳と鼻の奥をつなぐ管)の問題、耳硬化症(中耳内で骨が過剰に増殖する病気)、顎関節疾患などがあります。まれですが深刻な原因としては聴神経腫瘍があり、これは内耳から出る神経の一部にできるがんではない(良性)腫瘍です。

他覚的耳鳴

他覚的耳鳴は、通常は耳の近くの血管から出る雑音です。その場合、脈拍毎に音が出ます(拍動性)。原因としては以下のものがあります。

  • 頸動脈または内頸静脈を通る血流の乱れ

  • 血管が豊富な特定の中耳の腫瘍

  • 脳を覆う膜の血管の奇形

最も多い雑音は、首の太い血管の速い血流または血流の乱れの音です。この異常な血流は、赤血球数の減少(貧血)や動脈の詰まり(動脈硬化)によって起こることがあり、高血圧のコントロールがうまくいっていない人ではよりひどくなることがあります。グロムス腫瘍という中耳内の小さな腫瘍の一部には、多くの血管が通っています。これは小さな腫瘍ですが、音を受容する耳の構造から非常に近い場所にあり、この腫瘍を通る血流が聞こえることがあります(片方の耳のみ)。ときに、動脈と静脈の接続異常(動静脈奇形)を含む血管の奇形が、脳を覆う膜(硬膜)に生じることがあります。こうした奇形が耳の近くにあると、そこを通る血流の音が患者に聞こえることがあります。

あまり多くはありませんが、硬口蓋の筋肉や中耳にある小さな筋肉がけいれんすることで、カチカチといった音(クリック音)が出ることがあります。この音は脈拍とは一致しません。こうした筋肉のけいれんは、しばしば原因が不明ですが、腫瘍、頭部損傷、または神経鞘(しんけいしょう、神経軸策[軸索]を包む薄膜)を侵す病気(例えば多発性硬化症)に起因することがあります。

評価

耳鳴りは必ずしも医師による評価が必要なものではありません。以下では、医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 片耳だけに生じる耳鳴り

  • 難聴以外の神経症状(特にバランス維持や歩行の困難が多いが、回転性めまい、ものが見えにくい、発話しにくい、飲み込みにくい、話しにくいなどもある)

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がなく耳鳴りが最近現れた場合は主治医に電話するべきで、また脈拍毎に耳鳴りがする場合も同様です。耳鳴りがあって警戒すべき徴候がない人は、ほとんどの場合長期間にわたって耳鳴りが持続しています。その場合は主治医と相談して、お互いに都合のよいときに受診するということでかまいません。

医師が行うこと

耳鳴りがみられる場合、医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、耳鳴りの原因と必要になる検査を推測することができます( 耳鳴りの主な原因と特徴)。

病歴聴取の際に、医師は以下のことについて質問します。

  • 耳鳴りの性質、片耳だけか両耳か、持続的か脈拍に伴うかなど

  • 神経症状があるかどうか

  • 大きな騒音にさらされたり、耳に影響を及ぼす可能性のある薬を使用したかどうか

身体診察では、医師は耳(聴覚を含む)と神経系の診察に重点を置きます。さらに、患者の耳やその周辺、首に聴診器をあてて、他覚的耳鳴の音がしないか聴き取ります。所見から原因が示唆されることがよくあります。

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耳鳴りの主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

自覚的耳鳴(典型的には常に続く音で、ある程度の難聴を伴う)

音響外傷(騒音を原因とする難聴)

職業上、または娯楽で騒音にさらされたことがある

難聴

医師の診察

加齢(老人性難聴

進行性の難聴、しばしば家族歴あり

医師の診察

圧外傷(突然の気圧変化による耳の損傷)

耳の損傷の明らかな病歴

医師の診察

脳腫瘍(聴神経腫瘍髄膜腫など)または多発性硬化症脳卒中などの病気

片耳だけに、耳鳴りとしばしば難聴

ときにその他の神経学的異常

ガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

聴力検査

薬(特にアスピリン、アミノグリコシド系抗菌薬、特定の利尿薬、一部の化学療法薬[シスプラチンなど])

薬を使い始めた直後に両耳で始まった耳鳴り

アスピリン以外では難聴も可能性あり

アミノグリコシド系抗菌薬の場合、浮動性めまいと平衡障害の可能性あり

医師の診察

耳管機能障害

しばしば聴力低下と頻繁なかぜの長期間の病歴があり、飛行機旅行などでの気圧変化の際に耳抜きが困難

片耳の場合も両耳の場合もある(一方の耳が他方より問題があることが多い)

聴力検査

ティンパノメトリー検査

感染症(中耳炎内耳炎髄膜炎梅毒など)

こうした感染症の病歴

医師の診察

繰り返す難聴、耳鳴り、または、片耳の詰まった感と激しい回転性めまい

聴力検査

前庭機能検査

聴神経腫瘍の可能性を否定するために、ガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

外耳道の閉塞(耳あか、異物、外耳炎による)

片耳だけに発生する

外耳炎の場合の耳だれなど、耳の診察中に異常が見える

医師の診察

他覚的耳鳴(典型的には脈拍に伴うか、断続的)

硬膜の動脈と静脈の奇形(動静脈奇形)

片耳だけに、持続的な、脈拍に伴う耳鳴り

通常は他の症状なし

診察の際に、低く響くような雑音または脈拍に伴う雑音が頭蓋骨から聞こえることがある

MRアンギオグラフィー検査または血管造影検査

口蓋または中耳の筋肉のけいれん

不規則なクリック音(カチカチといった音)や機械音のような雑音

他の神経症状の可能性あり(筋肉のけいれんの原因が多発性硬化症など神経の病気の場合)

症状が起こると口蓋や鼓膜が動くことがある

MRI検査

ティンパノメトリー検査

頸動脈や内頸静脈の血流の乱れ

診察の際に、低く響くような雑音または脈拍に伴う雑音が首から聞こえることがある

医師が内頸静脈を押さえたり、患者が頭を横に向けると、雑音が止むことがある

医師の診察

血管に富む中耳腫瘍(グロムス腫瘍など)

片耳だけに、持続的な、脈拍に伴う耳鳴り

診察の際に、侵された耳から脈拍に伴う雑音が聞こえることがある

医師が外耳道を照らしてのぞき込んだ際に、鼓膜の奥に腫瘍が見えることがある

CT検査

MRI検査

血管造影検査(通常は手術前に行う)

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

ほとんどの場合、徹底的な聴覚検査(聴力検査)を受けるべきです。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。

検査

耳鳴りがある人には以下の検査を行うことがあります。

大半の患者は、医師または聴覚の専門家(言語聴覚士)による正式な聴覚検査を受けるべきです。耳鳴りが片耳だけにあり、難聴がある患者は、ガドリニウム造影剤を用いたMRI検査を受けるべきです。耳鳴りが片耳だけにあり、正常に聞こえる患者は、耳鳴りが6カ月以上持続する場合にはMRI検査を受けるべきです。脈拍に伴う耳鳴りがある患者には、しばしばMRアンギオグラフィー検査(MRA)が、ときに血管造影検査が必要です。

治療

耳鳴りの原因となっている病気を特定できない場合や、治療がうまくいかないことがよくあります。しかし、約半分の人では補聴器などで難聴を是正することで耳鳴りが和らぎます。

ストレスやその他の精神状態(抑うつなど)の治療が役に立つことがあります。多くの人は、その耳鳴りの原因が重篤な病気ではないと知ることで安心します。カフェインなどの刺激物質は耳鳴りを悪化させることがあるため、そうしたものを避けるように努めるべきです。

耳鳴りを我慢できる程度は人によって異なりますが、耳鳴りへの耐性を高めるのに役立つ方法がいくつかあります。多くの人は、背景音を流すことで耳鳴りがかき消され、就寝しやすくなると感じます。背景音として音楽を流す人もいます。一定音量で雑音を発生させる、補聴器のように装着する装置(耳鳴りマスカー)を使う方法もあります。重度の難聴の人では、蝸牛(聴覚器官)に人工内耳を埋め込むと耳鳴りが軽減されることがありますが、これは両耳に高度から重度の難聴がある場合にだけ行われます。これらの標準的な手法で効果がない場合は、耳鳴りの治療を専門とする診療所で治療を受ける方がよいでしょう。

要点

  • ほとんどの耳鳴りの原因は、例えば大きな騒音への曝露や加齢、メニエール病、特定の薬の使用など、危険ではないものです。

  • 多くの場合、原因は不明です。

  • 注意が必要な所見としては、神経症状を伴う耳鳴りや、片耳だけの耳鳴り(特に、難聴や浮動性めまい、平衡障害を伴う場合)があります。

  • 耳鳴りを止めることができることはほとんどありませんが、いくつかの手法がその症状を効果的に抑えるのに役立ちます。

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