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メニエール病

(内リンパ水腫)

執筆者:

Lawrence R. Lustig

, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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メニエール病は、日常生活に支障をきたすほどの回転性めまい(自分や周囲が動いたり回転したりしているような感覚)の発作が繰り返し起こり、変動のある低周波の難聴、耳鳴り(耳鳴)を特徴とする病気です。

  • 症状としては、日常生活に支障をきたすような重度の回転性めまいが何かに誘発されるわけでもなく突然生じ、吐き気や嘔吐があり、通常は耳が圧迫される感覚と難聴を伴います。

  • 医師は通常は聴覚検査と、ときにMRI(磁気共鳴画像)検査を行います。

  • 減塩食と利尿薬によって発作の強さと頻度を減らせる場合もあります。

  • 回転性めまいの症状の緩和にはメクリジンやロラゼパムなどの薬が役立つことがありますが、発作を防ぐことはありません。

内耳の概要も参照のこと。)

メニエール病は、内耳に正常に存在している液体の量が過剰になることで起こると考えられています。耳の中の液体は、内リンパ嚢という、袋のような構造の中に入っています。この液体は分泌と再吸収が絶えず行われていて、一定量に保たれています。内耳の液体の分泌量が増えるか再吸収量が減るかで、量が過剰になります。なぜ分泌量や再吸収量が変化するのかは分かっていません。この病気は一般的には20~50歳の人に発生します。

症状

症状としては、日常生活に支障をきたすような重度の回転性めまいが何かに誘発されるわけでもなく突然(急性)生じ、吐き気や嘔吐を伴います。回転性めまいとは、自分自身か周囲のもの、またはその両方が動いたり回転したりしているように感じられる感覚のことです。大半の患者はこの不快な感覚を「めまい」と表現しますが、ふらつきなど他の感覚に対しても患者が「めまい」という言葉を使うことがよくあります。

このような症状の持続時間は通常は1~6時間ですが、まれに最長で24時間も続くことがあります。発作の前と最中に、発症した側の耳に閉塞感や圧迫感がよく生じます。発症した側の耳の聴力は変動がみられる傾向がありますが、何年もかけて徐々に悪化していきます。耳鳴りとは、「耳がキーンとする」などと表現される症状のことですが、常に聞こえる場合も断続的に生じる場合もあり、回転性めまい発作の最中や前後に悪化することがあります。難聴と耳鳴りのどちらも通常は片耳だけに起こり、難聴は低周波の音が最も影響を受けるのが一般的です。

あるタイプのメニエール病では、回転性めまい発作が初めて起こる前に、数カ月または数年先行して難聴と耳鳴りが起こります。回転性めまい発作が起こり始めると、聴力が改善する場合があります。

診断

  • 聴覚検査

  • ガドリニウム造影剤を用いたMRI(磁気共鳴画像)検査

回転性めまいと、片耳の耳鳴りと難聴という典型的な症状がみられれば、メニエール病が疑われます。良性発作性頭位めまい症の場合と異なり、回転性めまいが姿勢の変化に誘発されることはありません。

医師は通常、聴覚検査と、ときに他の原因がないか調べるためにガドリニウム造影剤を用いたMRI検査を行います。

予後(経過の見通し)

難聴を阻止すると証明された方法はありません。大半の患者では、発症した側の耳に10~15分以内に中等度から高度の難聴が発生します。

治療

  • 塩分、アルコール、カフェインの制限と、利尿薬(排尿を促す薬)の服用による、発作の予防

  • 回転性めまいの突然の発作の緩和のためにメクリジンやロラゼパムなどの薬

  • 嘔吐の軽減のためにプロクロルペラジンなどの薬

  • ときに、液体の圧力を軽減するか内耳の構造を破壊するための、薬または手術

減塩食を守る、アルコールとカフェインの回避、利尿薬(ヒドロクロロチアジドやアセタゾラミドなど、尿の排泄量を増やす薬)の服用によって、大半の患者で回転性めまい発作の頻度を減らせます。しかし、治療しても徐々に進む難聴が止まらないことがあります。

発作が起こったときには、メクリジンやロラゼパムなどの薬を服用すると、一時的に回転性めまいが軽減する場合もあります。吐き気や嘔吐は、プロクロルペラジンを含む錠剤か坐薬で軽減できる場合があります。これらの薬は発作の予防の役には立たないため、その服用は定期的にではなく、急性の回転性めまい発作の最中だけにするべきです。症状を軽減するために、医師によってはプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などの経口コルチコステロイドを出したり、ときにデキサメタゾン(コルチコステロイドの一種)を鼓膜の奥に注射することがあります。

メニエール病に対する侵襲的(体に負担をかける)治療法

薬物治療を行っても回転性めまいの発作が頻繁に起こり、日常生活に支障をきたす場合には、いくつかの治療法があります。治療は、内耳の液体の圧力を下げるか、内耳の平衡感覚機能をつかさどる構造を破壊することが目的となります。そのうち体への負担が最も少ないのは、内リンパ嚢開放術というものです。この手術では、内リンパ嚢の上にある骨を露出させ、柔軟なビニール素材の薄いシートを内耳に入れます。この手術は、患者の平衡感覚に影響を及ぼすことがなく、聴力を損なうこともめったにありません。

内リンパ嚢開放術がうまくいかない場合は、ゲンタマイシンの溶液を鼓膜から中耳に注射して、症状を引き起こしている内耳の構造を破壊しなければならないことがあります。ゲンタマイシンは聴力を低下させる前に平衡機能を選択的に破壊しますが、やはり難聴が生じるリスクはあります。ゲンタマイシンを1回だけ注射し、再度注入が必要になった場合は4週間の間隔を空けてから行えば、難聴のリスクは低くなります。

これらの治療を行っても頻繁に激しい発作が起こる場合は、さらに侵襲的な手術が必要になることがあります。前庭神経を切断すると(前庭神経切断術)、内耳の平衡機能が永久的に破壊されますが、聴力は通常残り、約95%の患者で回転性めまいの軽減に成功します。この手術は通常、内リンパ嚢開放術を行っても症状が軽減しない患者や、回転性めまい発作をもう二度と経験したくないという患者に対して行われます。最後に、回転性めまいが日常生活に支障をきたすほど激しく、発症している側の耳で聴力が低下している場合には、迷路摘出術という手術で半規管を取り除く方法があります。

回転性めまいに対する外科的治療法のいずれも、メニエール病にしばしば伴う難聴の治療には効果がありません。

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