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顎関節症

執筆者:

Noshir R. Mehta

, DMD, MDS, MS, Department of Public Health and Community Service

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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顎関節は、頭蓋骨の側頭骨と下あごの骨(下顎骨)とをつないでいる関節です。顎関節は顔の両側に1つずつ、計2つあり、耳のすぐ前に位置しています。靱帯(じんたい)、腱、筋肉がこの関節を支え、あごを動かしています。

  • 顎関節症は、あごの筋肉や関節、またはそれらをつなげている線維性組織の問題が原因で起こります。

  • 症状には、頭痛、咀嚼(そしゃく)筋の圧痛、あごの関節のクリック音などがあります。

  • 通常は身体診察で診断されますが、ときには画像検査が必要になります。

  • 処置と治療は通常、スプリント(マウスピース)療法と鎮痛薬で行われます。

顎関節は、体にある関節の中でも最も複雑な関節の1つで、蝶番のように開閉できるだけでなく、前後左右にずらすこともできます。食べものを噛んでいる間(咀嚼中)、顎関節には上下の歯の位置と健康状態に応じて大きな圧力がかかることがあり、口を閉じるときには歯が顎関節のドアストッパーのような役割をします。顎関節には関節円板と呼ばれる高密度の繊維性組織があります。この円板によって頭蓋骨と下顎骨が互いにこすれ合わないようになっています。

顎関節症は、20歳代前半と40~50歳の女性に多い病気です。まれに生まれつき顎関節に異常がある乳児もいます。顎関節症には、関節、筋肉、またはそれらをつなげている帯状の線維性組織(筋膜)の問題などがあります。

原因

顎関節症はほとんどの場合、顎関節部にある筋肉の緊張と解剖学的な形の問題が組み合わさることによって起こります。ときには心理的な要素も存在することがあります。歯の噛みしめと歯ぎしり(ブラキシズム)、全身にわたる病気(骨減少症や遺伝性の骨の病気など)、感染症、けが、歯の喪失による歯並びと噛み合わせの問題、および常にガムを噛むことでさえ、症状を引き起こすことがあります。具体的な原因には、以下のものがあります。

  • 筋肉の痛みと緊張

  • 顎関節内障

  • 顎関節炎

  • 顎関節強直症

  • 顎関節の過可動性

筋肉の痛みと緊張

あごの周囲の筋肉の痛みと緊張(筋筋膜痛症候群)は、顎関節部の病気として最もよくみられるものです。痛みは、主に筋肉の使い過ぎによって起こり、筋肉の使い過ぎはしばしば、上下の歯並びと噛み合わせの問題、歯が抜けたこと、頭や首のけが、精神的ストレス、睡眠障害、そして時には歯痛によって生じます。痛みは、あごを大きく開こうとし過ぎたときにも起こります。また筋肉の痛みと緊張は、精神的ストレスや睡眠に関連するストレスがもたらす就寝中の歯の噛みしめや歯ぎしりによっても起こります。歯の噛みしめや歯ぎしりは、目覚めているときよりも就寝中の方がはるかに大きな力がかかります。筋肉の痛みと緊張は女性に多くみられ、一般的には20代前半と閉経期間近かその最中の女性に起こります。

顎関節

顎関節

顎関節内障

顎関節内障で最も多いタイプは、顎関節内にある円板が正常な位置よりも前にずれるものです。あごの筋肉がけいれんしていると、円板がずれることがあります。筋肉のけいれんは、先天的にあごの異常があるか、顎関節炎がある場合に起こることがあります。

顎関節内障は復位する場合としない場合があります。復位とは関節の一部が元の正常な位置に戻ることを意味します。復位する円板のずれは、復位しないものよりも一般的で、成人の約3分の1に発生します。復位する顎関節内障では、口を閉じているときにだけ円板が正常な位置よりも前にずれます。口が開きあごが前にずれると、円板がずれて正常な位置に戻ります。口が閉じると、円板は再び前方へずれます。復位しない顎関節内障では、円板がずれて正常な位置に戻ることはなく、口を開くことができる大きさが制限されます。顎関節内障は、顎関節の周囲の炎症(関節包炎)を引き起こすことがあります。

顎関節炎

顎関節の関節炎は、変形性関節症、関節リウマチ、感染性関節炎、けが(特に関節内の出血を引き起こすもの)によって起こることがあります。そのようなけがは、下あごの側面をぶつけた小児に非常に多くみられます。

変形性関節症は、関節の軟骨が変性する関節炎の一種で、50歳以上の人で最も多くみられます。顎関節の変形性関節症では、関節内にある線維性の円板が再構築(リモデリング)され、変形(変性変化)します。変形性関節症は、関節の円板の位置がずれていたり、円板に穴が開いていたりする場合に起こります。

関節リウマチは、体が自分の細胞を攻撃して炎症を起こす自己免疫疾患で、顎関節炎の患者のうち約17%で顎関節に関節リウマチが発生しています。通常、顎関節は関節リウマチが最も起こりにくい部位です。

感染性関節炎は、感染が頭や首の隣接領域からあごへ広がったり、体のほかの部分から血流によってあごへ運ばれてきて発生します。

外傷性関節炎は、けが(難しい抜歯の際にあごを大きく開いたときなど)によって生じるまれな関節炎です。

顎関節強直症

顎関節強直症とは、顎関節内部の骨の癒着や周囲の靱帯の石灰化(体の組織内にカルシウムが沈着すること)によって、あごの関節が動かなくなった状態のことです。顎関節強直症は、ほとんどの場合けがまたは感染が原因で発生しますが、出生時からみられたり、関節リウマチの結果として起こったりすることもあります。

顎関節の過可動性

顎関節を連結している靱帯が伸びると、顎関節の過可動性(あごがゆるい状態)が生じます。過可動性が生じると、関節の形状、靱帯のゆるみ(弛緩)、筋肉の緊張によって、通常は顎関節が脱臼します。口を無理に大きく開けようとしたり、あごをぶつけたりしたことが原因で発生することがあります。

症状

顎関節症の症状には、頭痛、咀嚼筋の圧痛、顎関節のクリック音、開口障害などがあります。痛みは、関節の内部ではなく、関節の近くで起こっていように感じられることもあります。頭痛が繰り返し起こり通常の薬物療法が効かない場合は、顎関節症が原因である場合があります。その他の症状としては、首と肩の痛みとこわばり、めまい、耳の痛み、耳詰まり、睡眠障害などがあります。

顎関節症があると、しばしば口を大きく開くことができません。例えば、顎関節症がない人のほとんどは、上下の前歯の間に人差し指・中指・薬指の指先を縦に3本そろえて無理なく口に入れることができます。顎関節症(過可動域の場合は例外)がある人は、通常もっと小さくしか開きません。

筋肉の痛みと緊張

目覚めた直後や日中にストレスの多い時間を過ごした後などに、筋肉の痛みがある場合は、顔の側面に痛みとこわばりを感じます。就寝中の歯の噛みしめや歯ぎしり閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害によって、頭痛を伴って目が覚めることがあり、この頭痛は日中徐々に消えていきます。しかし、目覚めている間に歯の噛みしめや歯ぎしりを続けると、日中に頭痛などの症状がみられます。あごを開くときに、あごが左右のどちらかへ少しずれたり、完全には開かなかったりすることがあります。一般的には咀嚼筋に痛みがあり、触れると圧痛を感じます。

顎関節内障

関節円板の前方へのずれが復位する(元の位置に戻る)顎関節内障では通常、口を大きく開けたりあごを左右に動かしたときに、関節の位置でカチッまたはパチッというような音(クリック音)がします。ときに、本人以外の人にそうした音が聞こえることがあります。多くの人ではこうした音の症状しか出ません。しかし、なかには痛みを感じる人もいて、特に硬い食べものを噛むと痛みが出ます。歯が抜けている人と歯ぎしりをする人のうち、ごく一部では、こうした音から進行して開口障害が起こります。

関節円板の前方へのずれが復位しない(元の位置に戻らない)顎関節内障では、音はしませんが、口を大きく開けるのが難しくなります。通常は、痛みのほか、顎関節がずれている感覚が生じます。このタイプの顎関節内障は、典型的には、常に関節のクリック音(関節円板の前方へのずれが復位する)がある人に突然始まります。ときに、あごを十分に開くことができないことに起床時に本人が気づくことがあります。6~12カ月で痛みが軽減することがありますが、口を開くことができる大きさが制限された状態は通常持続します。

顎関節炎

変形性関節症は、主に顎関節の円板がずれていたり円板に穴が開いていたりする場合に起こるため、患者は口を開閉する際の顎関節がきしむような感覚、こわばり、または軽度の痛みを感じます。重症の場合、顎骨の上部が平らにつぶれてしまい、大きく口が開かなくなります。さらにあごが障害のある側へずれることがあり、本人には戻せなくなることがあります。

関節リウマチは、痛み、腫れ、動きの制限を引き起こします。関節リウマチでは、通常は左右両方の顎関節がほぼ同程度に侵されますが、これは他のタイプの顎関節症ではまれな現象です。関節リウマチが重症の場合、特に小児で、顎骨の上部が変性して短くなり、顔面が変形します。この損傷のために突然、上下の歯並びの大部分または全部が乱れることがあります。まれではありますが、損傷がひどいと、最終的に顎骨が頭蓋骨に癒着することがあります(顎関節強直症)。

感染性関節炎では、顎関節上の部分とその周囲に炎症が起き、あごの動きが制限され、動かすと痛みがあります。

外傷性関節炎は、痛み、圧痛、動きの制限を引き起こします。

顎関節強直症

一般的には、顎関節周囲の靱帯が石灰化する顎関節外強直症では痛みは起こりませんが、口が約2.5センチメートル未満しか開かなくなります。一方、関節内部の骨が癒着する関節内強直症では、痛みが起きてあごの動きがさらにひどく制限されます。

顎関節の過可動性

過可動性がある場合、あごが関節窩から完全に外れて前方へ移動する脱臼が起こることがあり、それによって痛みが起きて口が閉まらなくなります。脱臼は突然に、繰り返し起こることがあります。

診断

  • 歯科医師または医師による評価

  • ときに画像検査

  • 感染性関節炎の場合、体液の吸引

  • ときに睡眠ポリグラフ検査

ほとんどの場合、顎関節症は病歴と身体診察の結果のみに基づいて診断が下されます。診察の一部として、あごを開いたり閉じたりしてもらいながら、患者の顔の横をやさしく押したり、患者の耳に小指を入れて前方に押したりして、あごのひっかかりやカチッまたはパチッというような音や感触がないか確認します。医師はさらに、咀嚼筋をそっと押して痛みや圧痛がないかどうかを調べ、患者がものを噛むときにあごがスライドするかどうかについても注目します。患者は不快感のない範囲でできるだけ口を大きく開けるように指示されます。平均的な身長の人では口を約4センチメートル以上開くことができます。

顎関節内障が疑われる場合は、さらに検査が行われることがあります。MRI(磁気共鳴画像)検査が標準検査で、この検査で顎関節内障が起こっているかどうかや、処置や治療で効果が得られない理由が評価されます。

口を開けるときしむような音(捻髪音[ねんぱつおん])が聞こえる場合は、医師は変形性関節症を疑います。X線検査とCT(コンピュータ断層撮影)検査で診断を確定できます。

顎関節上の部分やその周囲に炎症が起きていたり、顎関節の動きに制限があり動かすと痛みがある場合は、感染性関節炎が疑われます。体のほかの部分に感染が起きていれば、それも診断の手がかりになります。感染性関節炎の診断を確定するために、穿刺針を顎関節に差しこんで中の液を吸引し、細菌の有無を確認するための分析が行われます。

原因が過可動性の場合、一般的には指3本分の幅より広く口を開くことができます。あごが慢性的に脱臼していることがあります。原因が顎関節強直症の場合、あごの可動域が著しく減少している傾向があります。

筋肉の痛みと緊張の症状が持続する場合、医師は睡眠障害の有無を確認する検査を手配することがあります。この検査は睡眠ポリグラフ検査といいます。

処置/治療

  • スプリント療法と鎮痛薬

  • ときに理学療法

  • ときに手術

  • ときにその他の薬(筋弛緩薬、睡眠補助薬、ボツリヌス毒素など)

処置や治療は、原因に応じて大きく異なります。スプリント(マウスピース)療法と、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などの鎮痛薬の2つが一般的な方法です。

筋肉の痛みと緊張

あごの筋肉の痛みと緊張に対しては、通常はスプリントが主な処置です。歯の噛みしめや歯ぎしりがあると気づいている人には、その癖を直すためにスプリントが役立ちます。歯科医師が、合成樹脂製の薄いスプリントを上顎の歯か下顎の歯にぴったり合うように作製し、噛み合わせが均等になるように調整します。スプリントは通常夜間に装着し(ナイトガード)、それによって歯ぎしりが減り、あごの筋肉を休めて回復させます。日中の痛みに対しても、スプリントを装着することであごの筋肉がゆるんだ状態が保たれ、噛み合わせが安定し、不快感を減らすことができます。スプリントはさらに、歯ぎしりによる過剰な負荷によって歯が損傷することも防げます。日中使用するスプリントは、症状が治まるまで装着します(通常は8週間以内)。症状の重症度に応じて、それ以上長く使用する必要が生じることがあります。

理学療法も処方されることがあります。理学療法では、超音波治療、筋電図によるバイオフィードバック法(筋肉を弛緩させる訓練)、スプレー・アンド・ストレッチ運動(冷却剤のスプレーや氷で痛みがある部分の皮膚をしびれさせてから、あごをストレッチして開かせる)が行われることがあります。経皮的電気神経刺激(TENS、 あごの筋肉に対する理学療法)も役に立つことがあります。ときに筋電図バイオフィードバック法( あごの筋肉に対する理学療法)と併せて行うストレス管理と、カウンセリングが、一部の患者の助けになります。

薬物療法も役立つことがあります。例えば、シクロベンザプリン(cyclobenzaprine)などの筋弛緩薬が筋肉の緊張と痛みを鎮めるために処方されることがあり、特にスプリントができるまでの間に使用されます。ベンゾジアゼピン系の薬(抗不安薬ですが筋肉も弛緩させます)を症状緩和のために就寝時に一時的に使用する場合もあります。ただし、そのような薬に顎関節症を治癒させる効果はなく、高齢者への使用は一般に推奨されず、短期間に限って処方されます(通常は1カ月以内)。アスピリンやその他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などの鎮痛薬でも、痛みが和らぎます。オピオイド鎮痛薬は、治療がある程度の期間必要となることがあり、依存性が生じることがあるため、処方されません。睡眠補助薬(鎮静薬)は、痛みのためによく眠れない場合に短期間使用されることがあります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の可能性がある人の場合、ベンゾジアゼピン系の薬や鎮静薬(市販の睡眠補助薬を含む)、筋弛緩薬は睡眠障害を悪化させることがあるため、これらの薬を使用する前には主治医に相談する必要があります。最近では、筋肉へのボツリヌス毒素の注射や、筋肉のトリガーゾーンへの麻酔薬注射により筋肉のけいれんが軽減できるようになっています。

慢性的な痛みがある場合、うつ病に至ることもあります。そのような場合は、抗うつ薬が有用です。

どの処置や治療法でも、ほとんどの人の症状が約3カ月以内にかなり改善します。症状がひどくなければ、多くの人は処置や治療を受けなくても2~3年以内に回復します。

あごの筋肉に対する理学療法

  • 超音波法は、痛みのある深部まで熱を伝える方法です。超音波によって温められると血管が拡がって、筋肉にたまった老廃物の乳酸(痛みの原因物質)が血液によってより速く運び出されます。

  • 筋電図バイオフィードバック法では、自分の筋肉の活動を筋電計でモニタリングします。筋電計を見ながら、全身の力や特定の筋肉の力だけを抜きます。こうすることで、特定の筋肉をコントロールしたり緩めたりする方法を習得します。

  • スプレー・アンド・ストレッチ運動では、痛みのある部分の皮膚に冷却剤をスプレーしたり氷をあてたりして、あごの筋肉をストレッチして開くことができるようにします。

  • 経皮的電気神経刺激(TENS)では、痛みを伝えない神経線維を刺激する器具を使います。その結果生じる電気信号が、患者が感じている痛みの信号をブロックすると考えられています。

顎関節内障

顎関節内障の人では、顎関節のずれが元に戻る、戻らないにかかわらず、あごに痛みがあるか、あごがよく動かない場合にだけ処置が必要です。痛みに対してはNSAIDが投与されます。症状が現れてからすぐに診察を受ければ、歯科医師または医師が外れた関節円板を手で正常な位置に戻せることがあります。発症後6カ月以内であれば、下あごを前方の位置で保ち、関節円板の位置を固定し、顎関節を支えている靱帯が締まるようにするための前方整位型スプリントが使用されることがあります。関節円板がそのままずれないことを期待しながら、2~4カ月間かけてあごが正常な位置に戻るようにスプリントを調節します。しかし、すべての専門家がこのスプリントの使用を推奨しているわけではありません。

顎関節内障がある人は、顎関節のずれが元に戻る、戻らないにかかわらず、例えばあくびをしたり、分厚いサンドイッチをほおばるなど、口を大きく開けないようにする必要があります。これは顎関節が正常な場合と比べて、そのような動きに弱いためです。この障害がある人は、食べものを小さく切ったり、簡単に噛めるものを食べるように指導されます。

ときに、ずれた関節円板が顎関節の前でつかえてしまい、あごが十分に開かなくなることがあります。その場合は、関節円板をつかえた場所から手で動かし、顎関節が十分に動けるようにする必要があります。あごの動きを徐々に改善するために、あごのストレッチを行う受動運動装置が使用されています。この装置を用いたストレッチは、1日に数回行われます。この装置のうち、ねじ式のタイプは前歯の間に入れて使用し、ちょうど車のジャッキのようにねじを回して徐々に間を広げていきます。こうした装置が使用できない場合は、医師は前歯の間に何枚か重ねた舌圧子(へら)を挟み、さらにそれらの間に舌圧子を追加していくことがあります。

顎関節内障を手術以外の方法で治療できない場合は、顎顔面口腔外科医が手術を行い、関節円板を整形して元の場所へ戻して縫合しなければならないことがあります。しかしながら、関節鏡視下手術などが導入されて以来、従来型の手術が必要になることはまれです。どの手術の場合でも、スプリント療法が併せて行われます。

顎関節炎

変形性関節症が顎関節に起きている場合は、あごをなるべく休ませ、筋肉の緊張を抑えるためにスプリントなどの装置を使用し、痛みに対して鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDなど)を服用する必要があります。通常、処置や治療をしてもしなくても6カ月後には痛みが消えます。処置や治療をしない場合でさえほとんどの症状は治まりますが、これはおそらく、関節円板の後ろにある帯状の組織が瘢痕化(はんこんか)して、関節円板と同じように機能するためです。あごは以前ほど開かなくなることがありますが、通常は普通の動作を行うには十分に動きます。

関節リウマチが顎関節に生じている場合は、どの関節の関節リウマチにも使用される薬で治療が行われます。ひどい痛みに対してはNSAIDが投与されることがあります。顎関節の運動性を維持し関節の癒着を予防することが特に重要です。通常は、理学療法士の指示の下であごの運動を行うのが、目標達成のための最良の方法です。症状を軽減するため、特に筋肉の緊張を和らげるために、夜間にスプリントを装着します。スプリントはあごの動きを制限しないものを用います。関節癒着のためにあごが動かなくなった場合は手術が必要になることがあり、まれにあごの運動性を回復するために人工関節が必要になることもあります。

感染性関節炎は、抗菌薬、適切な水分補給、痛みのコントロール、動かさないようにすることによって治療が行われます。通常最初に使用される抗菌薬はペニシリンで、検査の結果から細菌の種類と最適な抗菌薬が判明するまで用いられます。関節に膿がたまっている場合は、穿刺針で除去することがあります。感染が抑えられれば、瘢痕化の予防と動きの制限の予防を助けるために開口訓練を行います。

外傷性関節炎は、NSAID、温熱、柔らかい食事、あごを動かさないようにすることによって治療が行われます。

顎関節強直症

石灰化がある場合は開口訓練がときに役立ちますが、石灰化や骨の癒着がある人には通常、あごの運動性を回復するための手術が必要です。

顎関節の過可動性

顎関節の過可動性によって起こる顎関節脱臼の予防と治療は、他の原因による顎関節脱臼の場合と同様に行われます。脱臼が起こった場合には、あごを元の位置にはめ直すために人の手を借りなければならないことがあります。しかし、何度も脱臼する人の多くは、意識的に筋肉を緩め、下顎が元の位置にカチッとはまるまで軽く動かしていき、自分で顎関節を元の位置に戻す方法を覚えます。脱臼の再発予防のために顎関節の靱帯を締める手術が必要になることもあります。

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