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歯周炎

執筆者:

James T. Ubertalli

, DMD, Hingham, MA

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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概要
本ページのリソース

歯周炎は、単純な歯肉炎と比較して歯周組織(歯の周囲にある組織)のより重篤な感染症 にかかりやすい人に起こります。糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む (特に1型糖尿病)、ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分に複製されることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。 出生前の段階では、ダウン症候群は超音波検査や母親の血液検査の結果から疑われ、絨毛採取や羊水穿刺という検査で確定されます。... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) クローン病 クローン病 クローン病は、炎症性腸疾患の一種で、一般的には小腸の下部、大腸、またはその両方に慢性炎症が生じますが、炎症は消化管のどの部分にも現れる可能性があります。 正確な原因は分かっていませんが、免疫システムが正常に機能していないことでクローン病が起こる可能性があります。 典型的な症状としては、慢性の下痢(血性となることもある)、けいれん性の腹痛、発熱、食欲不振、体重減少などがあります。... さらに読む クローン病 、白血球減少症、エイズ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 など、多くの病気によって歯周炎が起こりやすくなります。エイズ患者では歯周炎は急速に進行します。喫煙、ビタミンC欠乏症 ビタミンC欠乏症 ビタミンC(アスコルビン酸)は、骨や皮膚、結合組織(腱、靱帯、血管など、異なる組織や臓器をつなぐ組織)の形成、成長、修復に必要不可欠です。また、血管の正常な機能にも必要不可欠です。ビタミンCは歯と歯ぐきの健康維持に役立ちます。赤血球の形成に必要な鉄の吸収を助けます。またビタミンCは熱傷や傷の治癒を助けます。 (ビタミンの概要も参照のこと。) 柑橘類、トマト、ジャガイモ、ブロッコリー、イチゴ、ピーマンなどには、ビタミンCが豊富に含まれてい... さらに読む (壊血病)や 精神的苦痛も歯周炎の危険因子です。

歯周炎は成人が歯を失う大きな原因の1つで、高齢者ではその最大の原因になっています。感染によって歯を支えている骨が破壊されます。浸食によって周囲の組織との付着が弱まり、歯がぐらつきます。最終的にその歯は自然に抜けるか、または抜歯が必要になります。

原因

大半の歯周炎は、歯ぐきが炎症を起こしたり(歯肉炎 歯肉炎 歯肉炎は歯ぐき(歯肉)に起こる炎症です。 (歯周病に関する序も参照のこと。) 歯肉炎はほとんどの場合、歯磨きやデンタルフロスの使用が不十分なために起こりますが、病気や特定の薬の使用によって起こることもあります。 歯ぐきが赤く腫れて出血しやすくなります。 診断は一般的に、医師による歯肉の診察結果に基づいて下されます。 さらに読む 歯肉炎 )、長い時間をかけて歯と歯ぐきの間に歯垢(主に細菌でできたフィルム状の物質)や歯石(歯垢が硬くなったもの)がたまったりした結果、発生します。歯と歯ぐきの間に歯周ポケットができ、歯根とそれを支える骨の間に広がっていきます。歯周ポケットによって酸素の少ない環境に歯垢がたまり、免疫系が特定の状態にある人では、この環境が浸食力の強い細菌の増殖を促します。歯垢と細菌によって、歯を固定する組織や骨に損傷を与える慢性の炎症が起こります。歯周病が持続すると、最終的には、骨が大量に失われるために歯のぐらつきに痛みが伴うようになり、歯ぐきが退縮 歯ぐきの退縮 歯ぐきの退縮とは、歯肉縁の組織が失われ、歯根が露出することをいいます。 (歯周病に関する序と歯周炎も参照のこと。) 退縮は通常、薄く傷つきやすい歯ぐき組織に起こるか、または乱暴な歯磨きや粒子の粗い歯磨き剤(ホワイトニングや歯石予防のための歯磨き剤)に対する反応として起こります。損傷や、しばしば自然な加齢の過程としても起こります。ほとんどの人に、部分的にわずかな歯ぐきの退縮が起こります。... さらに読む 歯ぐきの退縮 します。歯の喪失は一般的には40代に始まります。

知っていますか?

  • 歯周炎は、高齢者が歯を失う最大の原因です。

歯周炎:歯垢の蓄積から歯の喪失へ

健康な歯ぐきと骨は、歯をしっかりと固定しています。

歯周炎:歯垢の蓄積から歯の喪失へ
歯周炎:歯垢の蓄積から歯の喪失へ

歯周ポケットが深くなり、歯垢が硬くなって歯石になります。表面に、より多くの歯垢がたまります。

歯周炎:歯垢の蓄積から歯の喪失へ

細菌感染が歯根にまで及び、最終的に歯を支えている骨を破壊してしまいます。支えを失った歯はぐらつき、抜け落ちます。

歯周炎:歯垢の蓄積から歯の喪失へ

歯周炎が発生する速さには大きな個人差があり、歯石の量が同程度でも異なります。こうした差は、歯垢に存在する細菌の種類と数が人によって様々であることと、歯周炎の原因として歯垢の細菌に対する免疫系の反応が人それぞれ異なるということがあるために生じます。歯周炎では、爆発的な破壊活動が数カ月間続いた後にそれ以上の損傷が止まったように見える期間がみられることがあります。

症状

歯周炎の初期症状は、歯ぐきの圧痛、腫れ、出血、発赤、および口臭 口臭 口臭とは、息から頻繁にまたは持続的に発せられる不快な臭いです。 特定の病気によって、息から検出できる物質がつくられますが、その臭いは一般的には弱く、口臭とはみなされません。例えば以下のようなものがあります。 肝不全があると、息からネズミのような臭いや、ときにかすかに腐った卵のような(硫黄の)臭いがします。... さらに読む です。骨が失われるにつれて、歯がぐらつき、歯の位置が移動し、噛むときに痛みを伴うようになります。しばしば、前歯が外側へ傾きます。歯周炎では通常、歯周ポケットに膿がたまる(膿瘍)などの感染が生じるか、噛むと歯が動くほどぐらつくか、またはHIVが原因の歯周炎がある場合でなければ、痛みは現れません。

診断

  • 歯科医師による評価

  • ときにX線検査

歯周炎の診断を下すために、歯科医師は歯を観察し、探針と呼ばれる細い器具で歯ぐきにできた歯周ポケットの深さを測定します。骨が失われている程度を調べるためにX線検査を行います。

処置/治療

  • 危険因子の治療

  • 専門的な口腔清掃

  • ときに手術や抜歯

  • ときに抗菌薬

危険因子のある人(口内の衛生状態が悪い人、糖尿病のある人や喫煙者など)は、これらの危険因子に対する治療を受ける必要があります。危険因子の治療により歯周炎の治療の成功率が上昇します。

歯周炎は、通常は良好な口の衛生状態を保つこと(毎日の歯磨きとデンタルフロス使用)で治る歯肉炎と違い、専門家によるケアを繰り返すことが必要です。口の衛生状態が良好な場合、歯肉縁の2~3ミリメートル奥までしか清掃できません。しかし、歯科医師はスケーリング(歯石除去)とルートプレーニング(歯根面の滑沢化)と呼ばれる、歯垢、歯石や歯根面の病変を完全に取り除く方法で、歯周ポケットを最大で深さ6~7ミリメートルまで清掃できます。

歯周ポケットの深さが5ミリメートル以上になると、しばしば手術が必要になります。歯科医師は手術(歯肉剥離掻爬術)を行い、歯肉縁より下の歯ぐきの組織を切開し、歯に処置を行うことがあります。剥がした歯ぐきの下で歯の徹底的な清掃と欠けた骨の修正(ときに骨移植による)を行った後、剥がした歯ぐきを縫合して元に戻します。さらに感染が生じて歯から離れてしまっている歯ぐきを切除することもあり(歯肉切除術)、これによって残った歯ぐきと歯が再びぴったりと付着し、その後家庭で歯垢除去ができるようになります。抜歯する場合もあります。手術後に口の中がひりひり痛むときは、歯磨きやデンタルフロスを使う代わりに1日2回、1分間ずつクロルヘキシジンの洗口液を用いることがあります。

歯科医師が抗菌薬(アモキシシリンやメトロニダゾールなど)を処方することがあり、特に膿がたまっている(膿瘍)場合によく処方されます。さらに、抗菌薬を含む物質(繊維またはゲル)を歯周ポケットの奥に挿入して、高濃度の薬が患部に行き渡るようにすることもあります。歯周膿瘍は急激に骨を破壊しますが、速やかに手術と抗菌薬による治療を行えば、損傷した骨の多くを再生させられることがあります。

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