(歯の病気の概要も参照のこと。)
歯髄炎の最も一般的な原因はう蝕で、次が外傷です。軽度の炎症は、治まれば歯に永続的な損傷が残ることはありません。重度の炎症では歯髄が壊死することがあります。
歯髄炎から感染症に至ることがあり、その場合、根尖周囲膿瘍(内部に膿がたまった空洞)が根管にできることがあります。歯の感染症が治療されない場合、あごや体のほかの部位(脳や副鼻腔など)に感染症が広がることがあります。
歯髄炎の症状
歯髄炎の診断
歯髄が温存できるほど健康かどうかを判断するために、歯科医師は特定の検査を行うことがあります。例えば、歯に熱い刺激や冷たい刺激、または甘いものの刺激を加えることがあります。刺激を取り除いてから1~2秒以内に痛みが消えれば、歯髄は温存可能な状態です(可逆性歯髄炎と呼ばれます)。刺激を取り除いた後も痛み続ける場合や、自然に痛み出す場合は、歯髄は温存できない状態である可能性があります(不可逆性歯髄炎と呼ばれます)。
さらに電気歯髄診断器が使用されることもあります。電気歯髄診断機では歯髄の生死は判定できますが、歯髄の状態が良好かどうかまでは分かりません。歯に流された少量の電流を感じる場合は、歯髄は生きています。しかし歯を軽くたたかれたときに痛みがあるときは、多くの場合、炎症が周辺組織にまで広がっています。炎症の広がっている範囲を判断するため、ときにX線検査が行われます。X線検査は、ほかの病気の可能性を否定するためにも役立ちます。
歯髄炎の治療
原因が治療されると、炎症は鎮まります。
可逆性歯髄炎の場合、う蝕を除去して歯を修復すれば、痛みと炎症は治まります。歯髄炎が早期に発見されれば、ときに痛みを取り除く鎮静薬を含んだ一時的な充填材を詰めることがあります。この充填材は、6~8週間詰めたままにしておくことがあり、その後永久的な充填材と交換します。ほとんどの場合は、すぐに永久的な充填材を詰めます。
不可逆性歯髄炎の場合、歯髄の損傷が広範囲で、回復することができません。痛みを止めるには、根管治療によって歯髄を除去するか、歯そのものを抜歯するしかありません。感染症のほかの徴候(発熱など)がみられる場合、内服用の抗菌薬が処方されます。症状が消えなかったり悪化したりする場合には、根管治療が繰り返し行われることがあります。