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歯痛

執筆者:

Bernard J. Hennessy

, DDS, Texas A&M University, College of Dentistry

医学的にレビューされた 2020年 6月
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本ページのリソース

歯痛(歯やその周囲の痛み)は一般的な問題で、特に口の衛生状態が悪い人でよくみられます。痛みは、持続的な場合、刺激の後に感じる場合(高温、低温、甘い食べものや飲みもの、噛むこと、歯磨き)、またはその両方の場合があります。

原因

歯痛の最も一般的な原因は以下のものです。

  • う蝕

  • 歯髄炎

  • 根尖周囲膿瘍

  • 外傷

  • 歯ぐきの組織から出てくる親知らず(歯冠周囲炎を引き起こす)

歯痛は通常、う蝕とその結果(歯髄炎や膿瘍など)によって生じます。口の衛生状態を良好に保てば、歯垢の除去に役立ち、大部分のう蝕は予防できます。歯垢内の細菌は歯のエナメル質と象牙質を傷つける酸をつくるため、歯垢を除去することが役に立ちます。

う蝕 う蝕 う蝕とは、歯が浸食された部分のことであり、歯の外側の硬いエナメル質が徐々に溶かされて歯の内部へと侵されていく結果起こります。 ( 歯の病気の概要も参照のこと。) 細菌や食べもののかすが歯の表面に蓄積し、細菌がう蝕の原因になる酸を作ります。 う蝕が歯の内部に達すると歯に痛みを感じます。 う蝕は、歯科医師による定期的な歯の診察とX線検査によって発見できます。 さらに読む う蝕 が広がり、歯の外側の表面(エナメル質)を通過してエナメル質の下にある硬い組織(象牙質)に入ると痛みが生じます。(図「 歯の内部の構造 歯の内部の構造 歯の内部の構造 」を参照のこと。)痛みは通常、高温、低温、甘い食べものや飲みもの、または歯磨きによる刺激が生じた後にだけ起こります。歯髄は歯の構造の中核で、刺激を取り除いた直後に痛みがおさまる場合には、歯髄が侵されていて治らないという可能性は低くなります。

歯の内部の構造

歯は

歯髄炎 歯髄炎 歯髄炎とは、神経と血管が通っている歯の中心部の歯髄に起こる炎症で、痛みを伴います。 ( 歯の病気の概要も参照のこと。) 歯髄炎の最も一般的な原因はう蝕で、次が外傷です。軽度の炎症は、治まれば歯髄に永続的な損傷が残ることはありません。重度の炎症では歯髄が壊死することがあります。 歯髄炎から感染症に至ることがあり、その場合、 根尖周囲膿瘍(内部に膿がたまった空洞)が根管にできることがあります。歯の感染症が治療されない場合、あごや体のほかの部... さらに読む (歯髄の炎症)は、一般的には進行したう蝕によって生じますが、過去の歯科処置で広範囲にわたるものや欠陥があったもの、または外傷が原因の場合もあります。歯髄炎には、可逆性のものと不可逆性のものがあります。高温または低温のものをあてると、痛みが1分以上持続することがあります。刺激がなくても痛みがある場合もあります。歯髄の炎症によって、しばしば歯髄が壊死します。歯髄が壊死すると、短期間痛みがおさまります(数時間から数週間)。その後、歯根の周囲にある組織の炎症(根尖性歯周炎)か膿瘍(膿がたまったもの)が生じると痛みが再発します。

幼児では、乳歯の萌出によって歯が歯ぐきを突き破って生えてくるため、しばしば不快感が生じます。

合併症

歯痛を引き起こす病気の重篤な合併症として主なものは、歯に隣接する部分から近くの組織に感染が広がることです。上あごの歯からの感染は、副鼻腔に広がったり(副鼻腔炎 副鼻腔炎 副鼻腔炎は副鼻腔の炎症で、多くはウイルスや細菌の感染またはアレルギーが原因です。 最もよくみられる症状は痛み、圧痛、鼻づまり、頭痛などです。 診断は症状に基づいて下されますが、ときにCT検査などの画像検査が必要になることもあります。 原因となっている細菌感染症は抗菌薬で根治させることができます。 副鼻腔炎は最も多い病気の1つです。副鼻腔炎は、上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつ... さらに読む )、海綿静脈洞と呼ばれる脳の底部の太い静脈に広がったりすることがあります(海綿静脈洞血栓症 海綿静脈洞血栓症 海綿静脈洞血栓症は、血液のかたまり(血栓)で海綿静脈洞(頭蓋骨底部にある太い静脈)が閉塞されてしまう非常にまれな病気です。 海綿静脈洞血栓症は通常、顔と眼窩(鼻の皮膚を含む)、眼窩、または副鼻腔の感染症から細菌が広がることにより起こります。 症状には、頭痛、顔面の痛み、視覚障害、突然現れる眼球の突出、高熱などがあります。 診断は、症状とMRI(磁気共鳴画像)検査またはCT(コンピュータ断層撮影)検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む )。下あごの歯の感染は、舌の下に広がることがあります。舌の下、口の底部の感染は、 口底蜂窩織炎 顎下隙の感染症 顎下隙(がっかげき)の感染症は、口底の細菌感染症です。 感染した下の歯から、舌の下や周囲の組織へと細菌が広がることがあります。歯の衛生状態が悪い人や、歯を抜かれた人、あごを骨折した人ではリスクが高まります。この感染症は腫れを引き起こし、それによって気道がふさがることがあり、その結果呼吸困難を起こしてときに死亡することもあります。 顎下隙の感染症では、舌の下やあごの下に痛みと圧痛があり、口を開けたりものを飲み込んだりすると痛みが悪化します... さらに読む と呼ばれ、気道をふさぐほどの腫れが生じることがあります。海綿静脈洞血栓症と口底蜂窩織炎は生命を脅かすもので、直ちに治療が必要です。

評価

歯痛のある人は、歯科医師の診察を受ける必要があります。以下では、どのようなときに歯科医師の診察を受けるべきか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

歯痛がみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。そのような徴候がみられる場合、歯の感染が広がっていることを警戒する必要があり、具体的には以下のものがあります。

  • 頭痛や錯乱

  • 発熱

  • 口底の腫れまたは圧痛

  • 視力障害または複視

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人と眼の周りに腫れがある人は、直ちに医療機関を受診する必要があります。警戒すべき徴候がなくても、あごの腫れ、非常に強い痛み、または口底からの膿の排出がある人は、できるだけ早く歯科医師の診察を受ける必要があります。それ以外で歯痛がある人は、頃合いを見て歯科医師の診察を受ける必要がありますが、数日程度の遅れは問題になりません。

歯科医師が行うこと

歯科医師はまず、症状と病歴について質問します。次に、顔面、口、歯の診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、歯痛の原因と必要になる検査を推測することができます。

検査

検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まりますが、警戒すべき徴候の有無が特に重要になります。ただし、通常は歯科用X線写真が撮影されます。 海綿静脈洞血栓症 海綿静脈洞血栓症 海綿静脈洞血栓症は、血液のかたまり(血栓)で海綿静脈洞(頭蓋骨底部にある太い静脈)が閉塞されてしまう非常にまれな病気です。 海綿静脈洞血栓症は通常、顔と眼窩(鼻の皮膚を含む)、眼窩、または副鼻腔の感染症から細菌が広がることにより起こります。 症状には、頭痛、顔面の痛み、視覚障害、突然現れる眼球の突出、高熱などがあります。 診断は、症状とMRI(磁気共鳴画像)検査またはCT(コンピュータ断層撮影)検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む または 口底蜂窩織炎 顎下隙の感染症 顎下隙(がっかげき)の感染症は、口底の細菌感染症です。 感染した下の歯から、舌の下や周囲の組織へと細菌が広がることがあります。歯の衛生状態が悪い人や、歯を抜かれた人、あごを骨折した人ではリスクが高まります。この感染症は腫れを引き起こし、それによって気道がふさがることがあり、その結果呼吸困難を起こしてときに死亡することもあります。 顎下隙の感染症では、舌の下やあごの下に痛みと圧痛があり、口を開けたりものを飲み込んだりすると痛みが悪化します... さらに読む が疑われる場合、画像検査(一般的にはCTまたはMRI検査)が行われます。

処置/治療

  • 痛み止め

  • 抗菌薬

  • 具体的な原因に対する治療

非処方薬の痛み止め(鎮痛薬)としてはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどがあり、歯科医師の診察を待つ間に服用することができます。

局所神経ブロックが行われることがあります。歯科医で治療や処置を受けるまでの間、痛みを緩和するために局所麻酔薬を注射します。

抗菌薬としてはペニシリンやクリンダマイシンなどがあり、膿瘍、歯冠周囲炎、蜂窩織炎などの病気に対して投与されます。

具体的な病気を治療します。膿瘍は、一般的にはメスで切開して排膿します。ゴム製のドレーンを縫合して固定することもあります。

歯冠周囲炎に対しては、1日に3~4回、消毒薬のクロルヘキシジンまたは塩水(普段飲むコーヒーやお茶よりもぬるい温水1杯に塩小さじ1杯を混ぜる)で口をゆすぐことで治療を行います。塩水を冷めるまで口の中で患部のある方に含んだ後、吐き出してすぐに次の一口を含みます。

歯の萌出に伴う痛みが幼児にみられる場合は、アセトアミノフェンやイブプロフェンで治療が行われることがあります(用量は小児の体重に応じる)。他の選択肢として、硬いクラッカーを噛む(ビスコッティなど)、何か冷たいものを噛む(ゲルが入った歯固めリングなど)などがあります。歯の萌出用の市販品でアミノ安息香酸エチルが含まれているものは、乳児や小児に深刻なリスクが生じるため、用いるべきではありません。

海綿静脈洞血栓症 海綿静脈洞血栓症 海綿静脈洞血栓症は、血液のかたまり(血栓)で海綿静脈洞(頭蓋骨底部にある太い静脈)が閉塞されてしまう非常にまれな病気です。 海綿静脈洞血栓症は通常、顔と眼窩(鼻の皮膚を含む)、眼窩、または副鼻腔の感染症から細菌が広がることにより起こります。 症状には、頭痛、顔面の痛み、視覚障害、突然現れる眼球の突出、高熱などがあります。 診断は、症状とMRI(磁気共鳴画像)検査またはCT(コンピュータ断層撮影)検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む または 口底蜂窩織炎 顎下隙の感染症 顎下隙(がっかげき)の感染症は、口底の細菌感染症です。 感染した下の歯から、舌の下や周囲の組織へと細菌が広がることがあります。歯の衛生状態が悪い人や、歯を抜かれた人、あごを骨折した人ではリスクが高まります。この感染症は腫れを引き起こし、それによって気道がふさがることがあり、その結果呼吸困難を起こしてときに死亡することもあります。 顎下隙の感染症では、舌の下やあごの下に痛みと圧痛があり、口を開けたりものを飲み込んだりすると痛みが悪化します... さらに読む のまれな患者では、直ちに入院し、罹患した歯を抜き、抗菌薬を静脈内投与する必要があります。

高齢者での重要事項

高齢者は歯根表面のう蝕にかかりやすくなり、その理由は通常は歯ぐきの退縮や薬による 口腔乾燥 口腔乾燥 口腔乾燥は、唾液の分泌が減少または停止することで発生します。この状態は、不快感を引き起こし、発話や飲み込みを妨げ、入れ歯の装着を難しくし、 口臭を引き起こし、また口内の酸性度を低下させ細菌の増殖が多くなることで口の衛生状態を悪化させます(これが う蝕発生の一因となります)。長期にわたる口腔乾燥の結果、重度のう蝕や口の カンジダ症が生じることがあります。口腔乾燥は高齢者によくみられる症状です。... さらに読む です。 歯周炎 歯周炎 歯周炎は、重症の 歯肉炎で、歯ぐきの炎症が歯を支える構造にまで広がる病気です。 歯垢と 歯石が歯と歯ぐきの間にたまり、さらに歯の下にある骨へと広がります。 歯ぐきが腫れて出血し、口臭が生じ、歯がぐらつくようになります。 X線検査を行い、歯ぐきにできた歯周ポケットの深さを測定し、歯周炎の重症度を調べます。 専門的な口腔清掃を繰り返し行うことと、ときに歯科手術と抗菌薬が必要です。 さらに読む 歯周炎 は成人期の若いうちに始まることがよくあります。治療しないでいると、高齢者では歯痛や歯の喪失がよくみられます。

要点

  • 大半の歯痛には、う蝕やその結果生じる合併症(歯髄炎や膿瘍など)が関与しています。

  • 症状の治療と歯科医師への紹介だけで通常は十分です。

  • 膿瘍や歯髄が壊死した歯がある(そして発熱は発赤、腫れなどの感染の徴候がある)場合、または病態が比較的重度な場合は、抗菌薬が投与されます。

  • 口底または海綿静脈洞に広がる歯の感染は、非常にまれですが重篤な合併症であり、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

  • 歯の感染に起因して副鼻腔炎が起こることはまれですが、副鼻腔の感染症によって、歯から発生しているかのように感じられる痛みが生じることがあります。

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