(口内炎(口腔のただれや炎症)も参照のこと。)
再発性アフタ性口内炎は非常によくみられます。原因は不明ですが遺伝する傾向がみられます。再発性アフタ性口内炎は通常小児期に発症し、患者の80%は30歳未満です。
再発性アフタ性口内炎の患者では、何度もアフタ性口内炎ができます。1年に1、2個のアフタ性口内炎が数回できる程度の人もいれば、ほぼ常に口内炎がみられる人もいます。年齢を重ねるにつれ、通常は発作の回数が減り、軽症化していきます。
様々な要因が、症状を起こしやすくしたり、発症のきっかけになると考えられていますが、アレルギー反応は関与していないようです。要因としては、口のけが、ストレス(例えば、期末試験中の大学生にアフタ性口内炎ができる)、特定の食べもの(特に、チョコレート、コーヒー、ピーナッツ、卵、シリアル、アーモンド、イチゴ、チーズ、トマト)などが挙げられます。エイズ患者では、数週間持続する大きなアフタ性口内炎がよくみられます。
理由は不明ですが、妊婦、経口避妊薬を服用している人、タバコ製品を使用している人ではアフタ性口内炎ができる可能性が低下します。
症状
症状は通常、痛みまたは灼熱感で始まり、続いて1~2日後にアフタ性口内炎ができます。水疱ができることはありません。痛みは強く(非常に小さなものから予想されるよりもはるかに強い)、4~7日間持続します。アフタ性口内炎はほぼ必ず軟らかでゆるい組織にでき、例えば、唇や頬の内側、舌、口の底の部分、軟口蓋、のどなどにできます。口内炎の見た目は、浅く、円形または楕円形で、中心部は黄色がかった灰色で、縁は赤色です。口内炎のサイズも通常は小さく、直径約0.3~1センチメートルで、しばしば2個か3個集まって現れます。通常は10日以内に自然に消え、傷あとが残ることはありません。より大きな口内炎(直径約1センチメートルを超える)は比較的まれです。大きな潰瘍は形がいびつで、治癒するまでに何週間もかかり、傷あとが残ることがよくあります。
重症の場合は、発熱、頸部リンパ節の腫れ、全身の疲労感もみられることがあります。
診断
処置/治療
治療は、他の口内炎に対して用いられる一般的なものと同じ方法で痛みを和らげることによります({blank} 口内炎(口腔のただれや炎症) : 処置/治療)。加えて、医師がクロルヘキシジンの洗口液を勧めることがよくあります。アフタ性口内炎の数が多い場合は、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドを洗口液として塗布することも勧められることがあります。アフタ性口内炎の数が少ない場合は、フルオシノニドやクロベタゾールなど他のコルチコステロイドを、軟膏として塗布するか、または保護効果のあるカルボキシメチルセルロースのペーストと混ぜて塗布することが勧められます。アフタ性口内炎が繰り返し起こる人は、口内炎ができそうだと感じたらすぐに洗口液を使用し始めてかまいません。このようなコルチコステロイドを用いる人では、カンジダ・アルビカンス Candida albicans({blank} カンジダ症 : 症状)による口内炎が生じることがあります。
コルチコステロイドを直接塗っても効果がない場合は、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)の錠剤を服用することがあります。ただし、コルチコステロイドを処方する前に、医師は口内に単純ヘルペスウイルスの感染(コルチコステロイドの服用で悪化します)が併存していないことを確認しなければなりません。コルチコステロイドの洗口液や錠剤は、ゲル剤で使用するより体内に多く吸収されるため、副作用が懸念事項となることがあります({blank} コルチコステロイドの使用法と副作用)。