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スティーブンス-ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)

執筆者:

Mercedes E. Gonzalez

, MD, University of Miami Miller School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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スティーブンス-ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症は、生命を脅かす同じ皮膚疾患がそれぞれ異なる形態で生じたもので、どちらも発疹、皮膚の剥離、粘膜のびらんを引き起こします。

  • スティーブンス-ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症は、一般的に薬または感染が原因となって発生します。

  • 両方の病気に典型的な症状としては、皮膚の剥離、発熱、全身の痛み、平坦な赤い発疹、粘膜の水疱とびらんがあります。

  • 一般的には熱傷専門治療室に入院した上で、水分補給のほか、ときに薬を投与するとともに、原因として疑われる薬(被疑薬)をすべて中止します。

これらの病気では皮膚の剥離が非常に大きな特徴です。皮膚の剥離は皮膚の最上層(表皮)で生じ、ときに広い範囲で大きく剥がれることもあります( 皮膚の構造と機能)。

  • スティーブンス-ジョンソン症候群では、狭い範囲でのみ皮膚の剥離がみられます(体表面積の10%未満)。

  • 中毒性表皮壊死融解症では、広い範囲で皮膚の剥離がみられます(体表面積の30%を超える)。

  • 皮膚の病変部の広さが体表面積の15~30%である場合は、スティーブンス-ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症のオーバーラップと呼ばれる状態です。

どちらの場合も、粘膜の水疱は典型的には口の中、眼、腟に生じます。

どちらの病気も生命を脅かすことがあります。

スティーブンス-ジョンソン症候群の症例の約半数と中毒性表皮壊死融解症のほぼすべての症例は、薬に対する反応によって生じるもので、該当する薬で最も一般的なものは、サルファ剤などの抗菌薬、フェニトインやカルバマゼピンなどの抗てんかん薬、ピロキシカムやアロプリノールなど他の特定の薬です。一部の症例では、細菌感染、ワクチン接種、または移植片対宿主病が原因になります。ときに原因を特定できない場合もあります。スティーブンス-ジョンソン症候群の小児では、感染が最も一般的な原因です。

これらの病気はあらゆる年齢層でみられます。これらの病気は、骨髄移植を受けた患者、全身性エリテマトーデスの患者、その他の慢性関節疾患および慢性結合組織疾患の患者、またはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者(特にニューモシスチス・イロベチイ Pneumocystis jiroveciiによる肺炎もみられる場合)でよく発生します。これらの病気のいずれかを発症する傾向が家系内で受け継がれる場合もあります。

症状

スティーブンス-ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症は通常、薬の使用開始から1~3週間後に始まり(薬が原因の場合)、発熱、頭痛、せき、角結膜炎(眼の結膜と角膜の炎症)、および全身の痛みが生じます。続いて皮膚の変化が現れ始め、平坦な赤い発疹が顔面、首、体幹に生じ、その後はしばしば他の部位に不規則なパターンで広がっていきます。発疹のある部位は大きくなって広がり、しばしばその中心部に水疱が現れます。水疱ができた部分の皮膚は非常にもろく、こすると(しばしば軽く触れたり引っ張ったりしただけも)簡単に破れ、水疱は1~3日かけて剥がれ落ちます。

スティーブンス-ジョンソン症候群では、症状が現れるのは体表面積の10%未満です。中毒性表皮壊死融解症では、広い範囲の皮膚が剥がれ落ちますが、この症状は体表面積の30%を超える範囲でみられます。患部は痛みを伴い、患者は非常に具合が悪くなり、悪寒と発熱がみられます。体毛と爪が脱落する患者もいます。手のひらと足の裏が侵されることもあります。

どちらの病気でも、口の中、のど、肛門、性器、および眼の粘膜に痛みを伴う病変が生じます。口の中の損傷により物を食べることが困難になり、口を閉じると痛むことがあるため、よだれを垂らすようになる場合もあります。眼は強く痛んで腫れ、痂皮(かひ)ができて眼がふさがることもあります。角膜に瘢痕(はんこん)ができることもあります。尿道(尿が体外に出るところの経路)にも症状が現れ、排尿が困難になり、痛みを伴うことがあります。ときに消化管や呼吸器の粘膜に症状が生じ、下痢、せき、肺炎、呼吸困難がみられることもあります。

中毒性表皮壊死融解症での皮膚の剥離は、重度の熱傷と似ており、同様に生命を脅かすものとなります。患者は非常に具合が悪くなり、食べたり、眼を開けたりすることができなくなる場合もあります。広い範囲で皮膚が剥がれて損傷を受け、むき出しになったところから多量の体液やミネラル類がしみ出します。この病気を発症した人では、臓器不全に陥る可能性が非常に高くなります。損傷してむき出しになった組織の部位では、感染のリスクも高まります。この病気の人の死因としては、そのような感染症が最も多くなっています。

診断

  • 医師による評価

  • ときに皮膚生検

通常、スティーブンス-ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症の診断は、患部の皮膚および粘膜の外観、症状(かゆみではなく痛み)、皮膚症状の広がる速さ、ならびに皮膚病変の広さに基づいて下されます。

皮膚のサンプルを採取して顕微鏡で調べることもあります(この検査は皮膚生検と呼ばれます)。

予後(経過の見通し)

中毒性表皮壊死融解症では、死亡率が成人で25%にも上り、非常に重度の水疱がみられる高齢者では、さらに高くなる可能性があります。小児での死亡率は10%未満と推定されています。

スティーブンス-ジョンソン症候群の死亡率は約5%です。

治療

  • 熱傷治療専門施設または集中治療室での治療

  • 場合により、シクロスポリン、血漿交換、または免疫グロブリン製剤

スティーブンス-ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症の患者は入院させます。これらの病気の原因として疑われるすべての薬の使用を直ちに中止します。可能であれば、熱傷治療専門施設または集中治療室で治療を行い、感染を予防するために入念なケアを行います(重度の熱傷を参照)。死を免れれば、皮膚は自然に元の状態に戻り、熱傷の場合と異なり、皮膚移植の必要はありません。損傷した皮膚から失われる体液とミネラル類は静脈から補給します。

理論的には一部の薬剤が有用になると考えられるものの、明確に生存率を改善することが示されている薬剤がないことから、これらの病気の治療に薬剤を使用することには賛否があります。シクロスポリンは、活発な水疱形成と皮膚の剥離が生じる期間を短縮して、生存率を高める可能性があります。最初の数日のうちに大量のコルチコステロイドを投与するのが有益と考える医師もいますが、重度の感染症の可能性を高めかねないので、そのような治療は行うべきではないとする医師もいます。感染症が発生した場合は、直ちに抗菌薬を投与します。

血漿交換を行うこともあります。この処置では、患者の血液を体外に取り出してから、血漿を血球と血小板から分離します。この処置により、病気の原因と考えられる薬や抗体(免疫系のタンパク質)などの特定の物質を血液から取り除きます。

中毒性表皮壊死融解症の治療にはヒト免疫グロブリン製剤の静脈内投与を行うこともあります。この物質が抗体を阻害することで、さらなる損傷を予防できる可能性があるためです。

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