皮膚の白い斑は体の様々な部分に生じます。
診断は通常、皮膚の外観に基づいて下されます。
コルチコステロイドクリームなどの薬剤の外用や、皮膚の光に対する感受性を高める薬剤を併用した光線療法が皮膚の色素の再生に役立つことがありますが、必要であれば皮膚移植も行われます。
(皮膚の色素の概要 皮膚の色素の概要 メラニンは、人の皮膚、毛髪、眼に様々な色合いをもたらしている色素です。どのような色になるか(色素の沈着)は、その人の皮膚に含まれるメラニンの量によって決まります。メラニンがなければ、皮膚は青白くなり、同時に皮膚から透けて見える血流のためにピンク色がかって見えます。皮膚の色が薄い人ではメラニンの生産量が非常に少なく、皮膚の色がやや濃い人では... さらに読む も参照のこと。)
白斑を発症する人の割合は最大2%です。
白斑の原因は分かっていませんが、 皮膚の色素沈着 皮膚の色素の概要 メラニンは、人の皮膚、毛髪、眼に様々な色合いをもたらしている色素です。どのような色になるか(色素の沈着)は、その人の皮膚に含まれるメラニンの量によって決まります。メラニンがなければ、皮膚は青白くなり、同時に皮膚から透けて見える血流のためにピンク色がかって見えます。皮膚の色が薄い人ではメラニンの生産量が非常に少なく、皮膚の色がやや濃い人では... さらに読む の病気であり、皮膚の メラニン 皮膚の色素の概要 メラニンは、人の皮膚、毛髪、眼に様々な色合いをもたらしている色素です。どのような色になるか(色素の沈着)は、その人の皮膚に含まれるメラニンの量によって決まります。メラニンがなければ、皮膚は青白くなり、同時に皮膚から透けて見える血流のためにピンク色がかって見えます。皮膚の色が薄い人ではメラニンの生産量が非常に少なく、皮膚の色がやや濃い人では... さらに読む
色素を作っている細胞(メラノサイト)に対する免疫系による攻撃が関わっていると考えられます。白斑は家系内で多発する傾向がありますが、自然に生じることもあります。他のある種の病気と一緒に生じることもあります。白斑には 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む (体が自分の組織を攻撃する)が関わっており、甲状腺疾患が最もよくみられます。最も関連性が強いのは甲状腺の活動過剰(甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む
、特にバセドウ病が原因の場合)と甲状腺の活動不足(甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの産生が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 甲状腺は、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホル... さらに読む
、特に 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は、甲状腺に慢性的な自己免疫性の炎症が生じる病気です。 橋本甲状腺炎は、体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。 ほとんどの人が最終的に甲状腺機能低下症になります。 甲状腺機能低下症では通常、疲労を感じ、寒さに耐えられなくなります。 さらに読む が原因の場合)です。 糖尿病 糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に産生しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む 、 アジソン病 アジソン病 アジソン病は副腎機能の低下によって、副腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 アジソン病の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。 ナトリウムとカリウムの血中濃度と、コルチゾール値および副腎皮質刺激ホルモンの値の測定によって診断されます。... さらに読む
、 悪性貧血 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症は、サプリメントを摂取しない完全な菜食主義者に発生したり、吸収障害の結果として発生することがあります。 貧血が起こり、蒼白、筋力低下、疲労が生じ、重度の場合には息切れやめまいも起こります。 重度のビタミンB12欠乏症によって神経の損傷が起きることがあり、手足のチクチク感や感覚消失、筋力低下、反射消失、歩行困難、錯乱、認知症が起こります。 ビタミンB12欠乏症の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む の患者でも白斑が発症しやすい傾向がみられます。しかし、これらの病気と白斑の関係は不明です。
白斑が皮膚に対する物理的損傷の後に、例えば化学熱傷や 日焼け 日焼け 日焼けは、強い紫外線を短時間で浴びた(急性曝露)結果として起こります。 紫外線を浴びすぎると、日焼けが生じます。 日焼け(サンバーン)が起こると、皮膚は赤くなって痛み、ときに水疱が現れたり、発熱や悪寒が生じたりすることもあります。 日光を浴びすぎないようにし、日焼け止めを塗ることで、日焼けを予防することができます。 冷水湿布、保湿剤、および非ステロイド系抗炎症薬により、日焼けが治るまで痛みを和らげることができます。 さらに読む に対する反応として生じることもあります。精神的ストレスが引き金となって白斑が生じたことに気づく場合もあります。
白斑は、かなりの心理的苦痛の原因になることがあり、特に皮膚の色が濃い人ではその傾向があります。
症状
境界がはっきりした白斑が1~2個生じる人もいれば、体の広範囲にわたって生じる人もいます。まれに、皮膚の表面の大半に生じることもあります。皮膚の色が濃い人ほど変化が際立って見えます。白斑が現れやすい部位は顔面、手足の指、手首、肘、膝、手、むこうずね、足首、わきの下、肛門と陰部、へそ、乳首です。患部の皮膚は非常に日焼けしやすくなります。白斑が生じた部分では毛包からメラノサイトが失われているため、そこに生える毛髪も白くなります。
診断
医師による評価
白斑は典型的な外観により診断できます。皮膚の色が薄くなった原因がほかならぬ白斑であることを確認するため、 ウッド灯 ウッド灯(ブラックライト) 皮膚の病気には、医師が皮膚を観察しただけで特定できるものが数多くあります。全身の皮膚の診察には、頭皮、爪、粘膜の診察も含まれます。ときに、皮膚の一部を詳細に観察するために、手持ち式の拡大鏡やダーモスコープ(拡大レンズと内蔵式のライトを備えた器具)を使用することもあります。 診断につながる特徴としては、皮膚に現れている異常部分の大きさ、形、色、部位に加え、その他の症状や徴候の有無があります。皮膚の異常の広がりを調べるため、しばしば衣服をす... さらに読む を用いた検査がよく行われます。皮膚生検などの他の検査が必要になることはめったにありません。
治療
日光に対する防御
コルチコステロイドとカルシポトリオール(calcipotriene)のほか、ときにその他の物質を含有するクリーム剤による外用療法(皮膚に塗る治療法)
光線療法とソラレン
手術
症状が出ていない皮膚の脱色
皮膚の色が自然に元に戻る場合もありますが、白斑を完治させる治療法は発見されていません。それでも治療が役に立つことがあります。白斑が出現した部分の皮膚は、すべて重度の日焼けが生じるリスクがあり、 衣服 衣類 日焼けは、強い紫外線を短時間で浴びた(急性曝露)結果として起こります。 紫外線を浴びすぎると、日焼けが生じます。 日焼け(サンバーン)が起こると、皮膚は赤くなって痛み、ときに水疱が現れたり、発熱や悪寒が生じたりすることもあります。 日光を浴びすぎないようにし、日焼け止めを塗ることで、日焼けを予防することができます。 冷水湿布、保湿剤、および非ステロイド系抗炎症薬により、日焼けが治るまで痛みを和らげることができます。 さらに読む や 日焼け止め 日焼け止め 日焼けは、強い紫外線を短時間で浴びた(急性曝露)結果として起こります。 紫外線を浴びすぎると、日焼けが生じます。 日焼け(サンバーン)が起こると、皮膚は赤くなって痛み、ときに水疱が現れたり、発熱や悪寒が生じたりすることもあります。 日光を浴びすぎないようにし、日焼け止めを塗ることで、日焼けを予防することができます。 冷水湿布、保湿剤、および非ステロイド系抗炎症薬により、日焼けが治るまで痛みを和らげることができます。 さらに読む
で日光から保護する必要があります。
外用療法
白斑が小さければ、強いコルチコステロイドクリームを使用することで皮膚の色が濃くなる場合があります(色素再生)。強いコルチコステロイドクリームで副作用が出ることのある顔面や鼠径部には、タクロリムスやピメクロリムスなどの薬剤を塗ることもあります。ビタミンDの一種であるカルシポトリオール(calcipotriene)をベタメタゾン(コルチコステロイドクリーム)と混ぜたものも有効で、いずれかを単独で使用するより効果が高くなります。白斑の部分の色を濃くするために、ブロンザーや皮膚用染料、化粧品などを使用する人もいます。
光線療法とソラレン
白斑ができた部分にもメラノサイトがわずかに残っている例が多いため、医療機関で光線療法(紫外線を照射する治療法)を行うと、半数以上の患者ではメラノサイトが刺激されて、再び色素を作るようになります(光線療法 光線療法 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む を参照)。特に、ソラレン(皮膚を光に敏感にさせる薬剤)と紫外線A波を併用する光線療法(PUVA療法)か、ソラレンは使用せずに狭い波長範囲の紫外線B波(ナローバンドUVB)を用いる光線療法を行うことができます。しかし、光線療法は効果が出るまでに数カ月から数年かかり、ずっと継続しなければならない場合もあります。皮膚がんの発生につながる可能性もあります。コルチコステロイドクリームに反応しない小さな白斑のある患者に対し、レーザーが使われることもあります。
ヤヌスキナーゼ阻害薬(またはJAK阻害薬)という新しい種類の薬剤が、白斑に対する治療選択肢の候補として登場しています。しかし、この種の薬剤は、使用を中止すると色素脱失が再発する可能性があります。
手術
光線療法で効果が得られない部分については、様々な方法による皮膚移植、さらには本人の正常な皮膚からメラノサイトを移植する方法によって治療することもあります。特に色素の生産を再び刺激することが難しい部位(乳首、唇、指先など)には、刺青も有用です。
脱色
かなり広範囲に白斑が生じている場合には、皮膚の色を均一にするために、白斑が出ていない部分の皮膚に対する脱色を希望する人もいます。皮膚の脱色は、強いハイドロキノンのクリームを数週間から1年以上にわたって、脱色したい部分の皮膚に繰り返し塗ることによって行います。このクリームによって強い刺激が生じることがあります。脱色の効果(永久的な色素の喪失など)は元には戻りません。