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皮膚の病気の治療

執筆者:

Jonette E. Keri

, MD, PhD, University of Miami, Miller School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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皮膚の病気に対する治療には、主に外用薬(皮膚に直接塗る薬剤)が使用されます。経口または注射で投与(全身投与)された薬は、全身の隅々に行きわたります。まれですが、患部に高濃度の薬物を作用させる必要がある場合には、皮膚のすぐ下に注射して投与する(皮内注射)こともあります。

一部の外用薬を用いる治療では、以下の要因が治療の成功を左右します。

  • 基剤(有効成分を皮膚に送りために薬をその中に混ぜて使用する不活性の成分)

  • 使用するドレッシングの種類

外用製剤

外用製剤は、有効成分(薬物のこと)を不活性成分(基剤と呼ばれます)と混ぜ合わせたものです。使用する基剤によって濃く油っぽいものから薄く水っぽいものまで、様々な粘度の製剤ができ、また有効成分が皮膚の表面にとどまるか、皮膚の下に浸透するかも基剤によって決まります。同じ薬物でも、使用される基剤の種類によって、以下のような異なる形状(剤形)をとります。

  • 軟膏

  • クリーム

  • ローション

  • 溶液

  • ゲル

  • オイル

  • フォーム

  • パウダー

また多くの製剤では、効き目の強さ(有効成分の濃度)を調節することが可能です。基剤の選択は、薬を塗る場所、見ばえ、塗りやすさ、塗ったままにしておく際の感触などに応じて決定されます。

軟膏(ワセリンなど)は、油っぽく、水分をごくわずかしか含みません。汚れの原因になり、ベタベタして洗い流しにくくなる可能性があります。軟膏は、皮膚に滑らかさやうるおいが必要な場合に最も適しています。また、有効成分を皮膚に浸透させる性質は、通常はクリームよりも軟膏の方が優れています。薬物の濃度が同じなら、クリームより軟膏の方が皮膚への効き目が強くなります。軟膏が開放創(びらん潰瘍など)にもたらす刺激感は、クリームより少なく、ゲル、ローション、溶液と比べるとはるかに少なくて済みます。入浴後または皮膚を水で湿らせた後に塗ると最も効果的です。

クリームは、最も広く使用されている剤形で、水に油を乳化させたものです。つまり水分を主成分として、油性成分も含まれています。(軟膏はその反対で、油が主成分で水分は少なくなっています。)クリームは塗りやすく、皮膚にすりこむと見えなくなります。刺激感はあまり生じません。

ローションはクリームに似ていますが、さらに多くの水分を含んでいます。実際には懸濁液という、水または水と油の基剤に粉末状の物質が細かく分散した状態になっています。薬物を届かせる効果は軟膏、クリーム、ゲルより低く、同じ薬物濃度では効き目が弱いと考えられています。しかし、ローションにはいくつかの利点があります。毛の多い部位の皮膚に使いやすく、接触皮膚炎みずむし(足白癬)、いんきんたむし(股部白癬[こぶはくせん])などで生じる炎症やじくじくした病変を冷やしたり、乾燥させたりするのに特に有用です。

入浴法および浸漬法は、体の広範囲に治療が必要な場合に用いられます。この方法は、痔核などの軽度の皮膚病の市販薬(一般用医薬品)において、坐浴の形でよく用いられます。入浴法は薬物の投与量をコントロールすることが難しいため、効き目の強い処方薬にはあまり用いられません。

発泡剤は、アルコールまたは皮膚に心地よい物質(皮膚軟化剤と呼ばれます)を基剤に用いたエアロゾル製剤(混合物を投与できるように噴射剤による圧力のかかった状態で保存される液体)です。急速に皮膚に吸収され、毛の多い部位によく使用されます。

溶液は薬物が溶けこんだ液体です。基剤としては、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水がよく使用されます。溶液は塗りやすく、特に乾癬脂漏性皮膚炎などの頭皮の病気に適しています。溶液は皮膚をうるおすよりも、むしろ乾燥させる作用がありますが、この乾燥作用は湿ってじくじくする(滲出性の)皮膚の病気に有用です。使用される基剤によっては、溶液が皮膚に刺激感を与えることがあり、特にアルコールやプロピレングリコールを含む溶液を開放創に塗ると、強い刺激感が生じます。よく使用される溶液としてブロー液とドメボロ液の2種類がありますが、これらは多くの場合、浸漬法で使用されます。

パウダーは、乾いた粉末状の物質で、皮膚同士がこすれ合う部位、例えば足の指、お尻、わきの下、太ももの付け根(鼠径部)、乳房の下などを保護する場合に使用します。パウダーは、水分でふやけて傷ついた(浸軟した)皮膚に使用されます。抗真菌薬などの薬物を有効成分として混ぜることもあります。

ゲルは、水やアルコールを基剤とする製剤で、粘り気がありますが、油や脂肪分は含まれていません。ゲルは油や脂肪分を含む製剤ほど皮膚に吸収されません。このため、にきび酒さ、頭皮の乾癬など、薬物をゆっくり吸収させる必要のある病気にしばしば最も効果的となります。ゲルは開放創や患部の皮膚に対して強い刺激感をもたらす傾向があります。

知っていますか?

  • 薬物の効き目を高める必要がある場合には、医師はクリームよりも軟膏を処方します。

外用薬の種類

外用薬は、その用途により、洗浄剤、保護剤、保湿剤(皮膚軟化剤)、乾燥剤、かゆみ止め、抗炎症薬、抗感染薬、角質溶解剤(皮膚の最上層を軟らかくして緩め、剥がれ落ちる[剥脱]のを促進する薬剤)に分類されます。薬の種類によっては、これらの用途を複数兼ねているものもあります。

洗浄剤

洗浄剤の主なものは、石けん、清浄剤、溶媒(他の物質を溶かす性質のある液状の物質)です。最も一般的な洗浄剤は石けんですが、清浄剤もよく使用されます。石けんはある種の脂肪またはアルカリ液を含む洗浄、乳化剤であるのに対し、清浄剤は石油製品から作られます。皮膚を乾燥させるタイプの石けんもありますが、クリームをベースとする皮膚を乾燥させにくい石けんもあります。

ベビー用シャンプーは、優れた洗浄力がありながら皮膚に対する刺激感が少ないものが多いため、創傷や切り傷、すり傷、眼の周りの部位を洗うのに適しています。乾癬(かんせん)や湿疹などの病気、また死んだ角質がたまってうろこ状に剥がれやすい状態(鱗屑、落屑)になる他の病気でも、皮膚表面の死んだ角質細胞を洗い流すためにベビー用シャンプーを使う場合があります。ただし、じくじくしている病変は、水または刺激の少ない石けんのみで洗浄する必要があり、このような場合に清浄剤や刺激のある石けんを使うと、患部を刺激することがあります。

洗浄剤には様々な化学物質が添加されています。例えば、抗菌作用のある成分を含む抗菌石けんといった製品もありますが、一般的に、抗菌石けんを使っても衛生状態が改善したり病気を予防できたりするわけではなく、常用していると、皮膚表面に住んでいる細菌の正常なバランスを乱してしまうことがあります。フケとり用のシャンプーやローションには、ジンクジピリチオン、硫化セレン、タール抽出物が含まれており、皮膚の表面が剥がれるのを抑えたり、湿疹や頭皮の乾癬を抑える働きをもたせています。

洗浄用の主な溶媒は水です。ほかにワセリンも溶媒として用いられますが、ワセリンは、タールのように水と石けんでは溶かせない物質を皮膚から洗い落とすことができます。少量のアルコールを使用すると、注射や採血の前に皮膚を安全に洗浄することができます。アルコールゲルは、手洗いができない場合に、日常的に手の衛生を保つ上で有用です。ほかにも溶媒にはアセトン(マニキュアの除光液)、ガソリン、塗料用シンナーなどがありますが、これらが皮膚の洗浄に使用されることはほとんどありません。これらの溶媒は、皮膚に本来存在する油分を溶かすため、かなりの乾燥と刺激感を引き起こします。また皮膚から吸収されて中毒を起こすこともあります。

保護剤

皮膚の保護に役立つ製剤には様々な種類があります。オイルや軟膏は、皮膚に油分でできた保護膜を作り、すり傷や炎症のある皮膚を保護し、うるおいを保つように働きます。パウダーは皮膚同士または皮膚と衣服がこすれ合うのを防ぎます。ハイドロコロイドドレッシング材は、床ずれ(褥瘡[じょくそう])をはじめとする、皮膚がなくなった部位を保護します。日焼け止めは、皮膚に有害な紫外線を反射、吸収、遮断します。

保湿剤

保湿剤(皮膚軟化剤)は、皮膚に水分と油分を補充し、それらを維持するのに役立ちます。保湿剤は、入浴やシャワーの直後などの皮膚がすでにうるおっているときに使うと最も効果的です。保湿剤に一般的に含まれる成分は、グリセリン、鉱物油、ワセリンなどで、保湿剤の種類としてはローション、クリーム、軟膏、バスオイルなどがあります。より効果の高い保湿剤では、尿素、乳酸、グリコール酸などの成分が含まれているものもあります。コールドクリームは、脂肪(蜜ろうなど)と水から成る市販薬(一般用医薬品)の乳剤です。

乾燥剤

皮膚同士がこすれ合う部位の水分が多すぎると、炎症や皮膚の軟化(浸軟)が生じ、特に温かく湿った状態になりがちな体のひだの部分でひどくなります。足の指の間、お尻の間、わきの下、太ももの付け根(鼠径部)、乳房の下、腹部の皮膚のひだの間によくみられます。これらの部位は、温かく湿度が高いために感染症(特に真菌または細菌にもの)も発生しやすくなります。

コーンスターチとタルカムパウダー(粉末状のタルク[滑石])は、最もよく使用されている乾燥剤です。これらのパウダーは皮膚表面の水分を吸収します。様々なタルク製剤がありますが、そのほとんどは香りと容器以外に違いがありません。タルカムパウダーはコーンスターチより効果的ですが、吸い込んだときに肉芽腫(慢性炎症の一種)を引き起こす可能性があることから、もはやベビーパウダーには使用されなくなっています。がんのリスクが懸念されることから、女性の陰部へのタルカムパウダーの使用は推奨されていません。コーンスターチは優れた乾燥剤ですが、ときに真菌感染症の原因になることがあります。鼠径部(そけいぶ)や腋窩(えきか)など、湿りやすい部位を乾燥させるには、ときに高給水性パウダー(吸水性が極めて高い粉末)が必要になります。

アルミニウム塩を含む溶液も、市販薬の制汗剤でよくみられる乾燥剤です。大量発汗に対する治療には、高用量のアルミニウム塩が処方薬として使用できます。

収れん剤は、皮膚を収縮させる液体の乾燥剤です。最もよく使用される収れん剤の溶液には、酢酸アルミニウムが含まれています(ブロー液やドメボロ液)。ドレッシング材とともに使用したり、浸漬法で使用することが多く、感染性の湿疹、じくじくした皮膚病変、褥瘡の治療に使用します。マンサク(ハマメリス)もよく使用される市販薬の収れん剤です。

かゆみ止め

皮膚の病気には、かゆみを伴うものが多くあります。かゆみと軽度の痛みは、カンフル(樟脳)、メントール、プラモキシン、酸化亜鉛、リドカインとプリロカイン(prilocaine)の配合剤などの市販薬で抑えられる場合があります。カラミンは鎮痛作用がありますが、かゆみには効かないことがあります。

外用製剤の中には、アレルギー反応によるかゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬(特定のアレルギー反応を抑える薬)が含まれていることがあります。ドキセピンは、多くの病気に使用される有効な外用抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン(多くの市販薬の外用製剤に含まれています)は、皮膚に塗るとアレルギー反応を引き起こすことがあるため、通常は推奨されません。経口薬として服用すれば、このような皮膚反応を引き起こさないとみられるため、かゆみを抑える目的で抗ヒスタミン薬を使用する場合は、外用薬より内服薬が好まれます。かゆみを和らげるために使用されていた麻酔薬であるアミノ安息香酸エチルも、アレルギー反応を誘発することがあるため、現在では推奨されていません。

抗炎症薬

皮膚の炎症に伴う腫れ、かゆみ、発赤などを和らげる外用薬として主に使用されるのは、コルチコステロイドという種類の薬です。コルチコステロイドは、ツタウルシ、金属、衣服、薬物、湿疹、その他様々な原因で起こるアレルギー反応や炎症反応でできる発疹に最も有効な薬です。ただし、細菌や真菌の感染に対する抵抗力を弱め、傷の治りを遅らせてしまうため、通常は皮膚の感染している部分や傷の部分には使用できません。にきびのような病気には、外用コルチコステロイドはあまり効かないことが多く、かえってにきび様の発疹が新たに出現することもあります。真菌感染が原因で起こる発赤やかゆみを抑えると同時に真菌を根絶するために、ときに抗真菌薬とコルチコステロイドを混ぜて使用することがあります。

外用コルチコステロイドは、ローション、クリーム、軟膏、溶液、発泡剤、油、ゲルとして販売されています。クリームを皮膚の上に見えなくなるまで優しく塗りこむのが最も効果的です。一般に、効力は軟膏が最も高いです。製剤としての全体的な効果の高さは、含まれるコルチコステロイドの種類と濃度によって決まります。米国で処方なしで購入できるものとしては、濃度が1%以下のヒドロコルチゾンがあります(ただし、濃度が0.5%以下のものは効き目がほとんど期待できません)。より強いコルチコステロイド製剤を入手するには処方が必要です。医師は通常、効き目の強いコルチコステロイドを最初に処方し、病気が良くなるに従って弱いコルチコステロイドに変更します。一般に、外用コルチコステロイドは1日に2~3回薄く塗りますが、効き目の強い製剤では1日1回のみの場合もあります。

コルチコステロイドは、顔面などの皮膚の薄い部位や、わきの下や太ももの付け根(鼠径部)などの閉鎖的な部位に使用する場合は注意が必要です。通常、このような敏感な部位には効き目の弱いコルチコステロイドを使用し、使用期間を数日から1週間までに制限します。どの部位であれ、長期間(1カ月以上)使用すると、皮膚が破れたり、引き伸ばしたようなスジが現れたり、にきびのような発疹が生じたり、ときにはコルチコステロイド自体に対するアレルギー性の皮膚反応(接触皮膚炎)が生じることがあります。中程度から強い効き目のある製剤を顔面に使用すると、口囲皮膚炎(口やあごの周囲にでこぼこした赤い発疹が生じる)や、ときに眼窩周囲皮膚炎(眼の周囲)が副作用としてよくみられますが、これらは効き目の弱い製剤ではあまりみられません。効き目の強い製剤は、小児に使用した場合や、広範囲の皮膚に使用したり長期的に使用したりした場合(特に閉鎖性ドレッシング材[空気や水を通さないもの]の下で使用した場合)、副腎の機能を阻害することがあります。

治療で改善しない斑点や小さな領域に、より強い外用コルチコステロイドを使用する必要がある場合は、皮膚のすぐ下に注射したり、コルチコステロイドのフルドロキシコルチドを染みこませたテープを貼ることもあります。

これ以外に、外用コルチコステロイドを塗った上から、家庭で使用するラップフィルムのような薄いフィルムをかぶせる方法(閉鎖性ドレッシング)もあります。フィルムには薬の皮膚からの吸収と有効性を高める効果があり、貼り付けたフィルムは、通常、一晩そのままにしておきます。このようなドレッシング法は通常、重度の乾癬湿疹などの病気のために取っておきます。閉鎖性ドレッシングの下にコルチコステロイドを使用することに伴うリスクとして、あせも(汗疹)、皮膚の萎縮(薄くなること)、引き伸ばされたスジの出現(皮膚線条)、皮膚表面の血管の拡張(毛細血管拡張)、にきびに似た発疹、細菌や真菌による感染症などがあります。

市販薬の中には、抗炎症作用をもつとされるハーブ製品がいくつかありますが(カモミールとカレンデュラが最も多く使用されています)、その有効性は十分には確立されていえません。ハーブ製品や「天然」製品は、標準化されていないものが多く、皮膚にアレルギー反応や炎症反応をよく起こします。

タール製剤

これは非ステロイド系抗炎症薬であり、石炭製造の副産物です。タール製剤は、皮膚の細胞の分裂速度を低下させ、皮膚の過剰な生産(鱗屑)を引き起こす乾癬などの病気の治療に有用です。副作用として、刺激感、毛包炎、衣服や家具の汚れ、光に対する過敏性(光感作)などがあります。感染が起きた皮膚には使用してはいけません。

抗感染症薬

ウイルス、細菌、真菌、寄生虫は、いずれも皮膚に感染症を引き起こします。このような感染症を予防する上で他よりはるかに優れている手段は、石けんと水で皮膚をていねいに洗うことです。感染症を患者に広めることがないように、看護師や医師は手の消毒により強力な消毒薬をよく使用します。手術の前には、皮膚に抗菌製剤を使用(術前準備)し、皮膚の細菌数を減らして術後の感染症を予防します。皮膚に感染症が生じた場合は、診断された感染症または疑われる感染症の重症度と種類に応じ、薬剤の外用または全身投与によって治療します。外用の抗感染症薬には抗菌薬、抗真菌薬、殺虫薬があります。

外用抗菌薬の用途は多くありません。クリンダマイシンとエリスロマイシンは、にきびに対する補助的な治療薬として最もよく使用されます。酒さに対しては、外用のメトロニダゾールや、ときにスルファセタミド(sulfacetamide)、クリンダマイシン、エリスロマイシンの外用剤が使用されます。ムピロシンを膿痂疹(皮膚のブドウ球菌感染症)の治療に使用することもあります。

バシトラシンやポリミキシンのような市販の(処方せんが不要な)抗菌薬は、皮膚生検の術後管理や、ひっかき傷、軽度の熱傷(やけど)、すり傷の感染予防に使用する薬として、ワセリン(Vaseline®)に取って代わられています。これらの抗菌薬や特にネオマイシンは、アレルギー反応(接触皮膚炎)を引き起こす可能性があります。ワセリンは、これらの抗菌薬と同じくらい効果的で、そのようなアレルギー反応を引き起こしません。

外用抗真菌薬は、皮膚の様々な真菌感染症(たむしみずむしなど)の治療に非常に有効です。しかし、この種の外用薬も爪の真菌感染症の治療にはあまり効き目がありません。一般的に、爪の感染症は経口抗真菌薬(通常はテルビナフィン)で治療しますが、経口薬を服用した場合でも非常によく再発します。

ペルメトリンやマラチオンなどの殺虫薬は、シラミ症疥癬の治療に使用されます。

抗菌薬ではない外用消毒薬には、ヨード液(ポビドンヨード、クリオキノールなど)、ゲンチアナバイオレット、銀製剤(硝酸銀やスルファジアジン銀など)、ジンクピリチオンなどがあります。ヨードは手術前の皮膚消毒に使用されます。ゲンチアナバイオレットは、消毒薬や抗菌薬が必要な状況で非常に安価に済ませる必要がある場合に使用されます。銀製剤(スルファジアジン銀など)は、熱傷や潰瘍の治療に有効で、強力な抗菌作用があります。銀を染みこませた創傷用のドレッシング材も多数あります。抗真菌薬であるジンクピリチオンは、乾癬脂漏性皮膚炎によって生じるフケを治療するシャンプーによく含まれている成分です。治癒しつつある創傷は通常、銀以外の外用消毒薬で治療すべきではありませんが、その理由は、ほかの消毒薬を使うと刺激感が生じ、脆弱な再生組織(肉芽組織)に害を及ぼす傾向があるためです。

角質溶解剤

角質溶解剤は皮膚細胞を軟らかくし、落屑や皮膚の剥離を促進するものです。例としてはサリチル酸や尿素などがあります。

サリチル酸は様々な濃度で乾癬脂漏性皮膚炎にきびいぼの治療に使用されます。しかし、副作用がよくみられ、熱感や刺激感のほか、また皮膚の広い面積に塗る場合は、サリチル酸が吸収されることで起こる体の他の部位の反応(全身反応)などが生じます。サリチル酸は、非常に低濃度で使用する場合や短期間だけ使用する場合を除いて、全身反応が特に生じやすい小児や乳児に使用されることはまれになっています。

尿素は、保湿性を高め、かゆみを和らげ、落屑を減らすのに使用できます。足の裏の皮膚が過度に厚くなった病変(足底角皮症やたこ)、毛孔性角化症(アレルギーがある人の太ももや腕の後ろに生じる乾燥した隆起)、重度の皮膚の乾燥(魚鱗癬)の治療によく使用されます。副作用は刺激感と熱感です。尿素は皮膚の広い領域に塗ってはいけません。

ドレッシング

創傷を覆う包帯や絆創膏などのドレッシングは、開いた傷口を保護し、治癒を促進し、薬の吸収性を高め、患者の衣服を保護します。ドレッシングには非閉鎖性(傷までの通気性がある)と閉鎖性(傷を覆って密閉し、通気性がない)があります。

非閉鎖性ドレッシング材

最もよく用いられる非閉鎖性ドレッシングは、ガーゼによるドレッシングです。これらは傷口を覆いつつ、最大限の通気性をもたらし、傷を乾燥させます。

Wet-to-dryドレッシング法は、溶液(通常は生理食塩水)で湿らせた非閉鎖性ドレッシング材を使用する方法で、肥厚、痂皮化または壊死した組織をきれいに除去する処置(デブリドマン)の後に用いられます。このドレッシング材は湿った状態で創面に置き、溶液が蒸発した後に除去します(wet-to-dryドレッシング)。乾燥した組織がドレッシング材に付着します。

閉鎖性ドレッシング材

閉鎖性ドレッシング材は、外用薬の吸収性、効き目の強さ、有効性(および副作用)を高めます。閉鎖性ドレッシング材としては、ポリエチレン(家庭用のラップフィルム)のように透明で不透過性のフィルムや、柔軟で透明な半透過性のドレッシング材が最もよく使用されます。ハイドロコロイドドレッシング材は、皮膚の潰瘍の治癒を促進するために使用します。亜鉛華ゼラチン(ウンナブーツ)は、下腿(脚の膝より下の部分)の皮膚の炎症や潰瘍(うっ滞性皮膚炎でみられます)に有効な閉鎖性ドレッシング材です。閉鎖性ドレッシング材は、特に重度の乾癬アトピー性皮膚炎全身性エリテマトーデスの皮膚病変、手の慢性皮膚炎の治療用に塗られたコルチコステロイド上にあてがわれることがあります。

そのほかも、熱傷の保護と治癒の促進にも閉鎖性ドレッシング材が使用されます。最近になって、他のタイプの開放創でも、閉鎖性ドレッシング材の下で湿った状態に保った方が、より早く、より完全に治癒するということが明らかにされています。そのようなドレッシングを行うことで、水分が適度に保たれ、新しい皮膚が再生する条件が整いやすくなるためです。この種のドレッシング法としては、洗練された市販品を使用する場合もあれば、普通のワセリンや抗菌薬軟膏を塗った上から包帯をする場合もあります。

ケロイドには特殊なシリコンドレッシング剤がときに使用されます。

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