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皮膚の病気の治療

執筆者:

Jonette E. Keri

, MD, PhD, University of Miami, Miller School of Medicine

医学的にレビューされた 2019年 6月
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皮膚の病気に対する治療には、主に外用薬(皮膚に直接塗る薬剤)が使用されます。経口または注射で投与(全身投与)された薬は、全身の隅々に行きわたります。まれですが、患部に高濃度の薬物を作用させる必要がある場合には、皮膚のすぐ下に注射して投与する(皮内注射)こともあります。

一部の外用薬を用いる治療では、以下の要因が治療の成功を左右します。

  • 基剤(有効成分を皮膚に送りために薬をその中に混ぜて使用する不活性の成分)

  • 使用するドレッシングの種類

外用製剤

外用製剤は、有効成分(薬物のこと)を不活性成分(基剤と呼ばれます)と混ぜ合わせたものです。使用する基剤によって濃く油っぽいものから薄く水っぽいものまで、様々な粘度の製剤ができ、また有効成分が皮膚の表面にとどまるか、皮膚の下に浸透するかも基剤によって決まります。同じ薬物でも、使用される基剤の種類によって、以下のような異なる形状(剤形)をとります。

  • 軟膏

  • クリーム

  • ローション

  • 入浴法および浸漬法

  • 発泡剤

  • 溶液

  • パウダー

  • ゲル

また多くの製剤では、効き目の強さ(有効成分の濃度)を調節することが可能です。基剤の選択は、薬を塗る場所、見ばえ、塗りやすさ、塗ったままにしておく際の感触などに応じて決定されます。

軟膏(ワセリンなど)は、油っぽく、水分をごくわずかしか含みません。汚れの原因になり、ベタベタして洗い流しにくくなる可能性があります。軟膏は、皮膚に滑らかさやうるおいが必要な場合に最も適しています。また、有効成分を皮膚に浸透させる性質は、通常はクリームよりも軟膏の方が優れています。薬物の濃度が同じなら、クリームより軟膏の方が皮膚への効き目が強くなります。軟膏が開放創(びらん 皮膚に生じる異常と増殖病変の種類 皮膚に生じる異常と増殖病変の種類 潰瘍 皮膚に生じる異常と増殖病変の種類 皮膚に生じる異常と増殖病変の種類 など)にもたらす刺激感は、クリームより少なく、ゲル、ローション、溶液と比べるとはるかに少なくて済みます。入浴後または皮膚を水で湿らせた後に塗ると最も効果的です。

クリームは、最も広く使用されている剤形で、水に油を乳化させたものです。つまり水分を主成分として、油性成分も含まれています。(軟膏はその反対で、油が主成分で水分は少なくなっています。)クリームは塗りやすく、皮膚にすりこむと見えなくなります。刺激感はあまり生じません。

ローションはクリームに似ていますが、さらに多くの水分を含んでいます。実際には懸濁液という、水または水と油の基剤に粉末状の物質が細かく分散した状態になっています。薬物を届かせる効果は軟膏、クリーム、ゲルより低く、同じ薬物濃度では効き目が弱いと考えられています。しかし、ローションにはいくつかの利点があります。毛の多い部位の皮膚に使いやすく、 接触皮膚炎 接触皮膚炎 接触皮膚炎は、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気です。発疹は非常にかゆく、特定の部位に限定され、しばしば境界がはっきりしています。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 物質により皮膚の炎症が引き起こされる仕組みは、以下の2つのうちいずれかです。 刺激(刺激性接触皮膚炎)... さらに読む 接触皮膚炎 みずむし みずむし(足白癬) みずむし(足白癬)は、足の皮膚に生じる皮膚糸状菌(真菌)感染症です。 足白癬の症状としては、足に鱗屑(りんせつ)が蓄積し、ときに発赤とかゆみがみられます。 診断は足の診察の結果に基づいて下されます。 治療では、抗真菌薬を患部に直接塗ったり、場合によっては内服したりし、また足を乾燥した状態に保つ対策を取ります。... さらに読む みずむし(足白癬) (足白癬)、 股部白癬 股部白癬(いんきんたむし) 股部白癬(いんきんたむし)は、鼠径部(太ももの付け根)の皮膚糸状菌(真菌)感染症です。 股部白癬の症状としては、かゆみを伴う発疹がみられ、痛みを伴うこともあります。 診断は鼠径部の診察の結果に基づいて下されます。 治療としては、抗真菌薬を患部に直接塗ったり、ときに内服したりします。... さらに読む 股部白癬(いんきんたむし) (いんきんたむし)などで生じる炎症やじくじくした病変を冷やしたり、乾燥させたりするのに特に有用です。

入浴法および浸漬法は、体の広範囲に治療が必要な場合に用いられます。この方法は、 痔核 痔核 痔核は直腸の下部や肛門の粘膜にある血管が膨らみ、ねじれたものです。 血圧の上昇により血管の腫れが生じます。 肛門の内側または外側にしこりが生じ、痛んだり、出血したりします。 診断は、肛門鏡、S状結腸内視鏡、あるいは大腸内視鏡により肛門と直腸を検査して行います。 痔核のほとんどの症状は治療をしなくても消えますが、繊維摂取、便軟化剤、坐浴によ... さらに読む 痔核 などの軽度の皮膚病の市販薬(一般用医薬品)において、坐浴の形でよく用いられます。入浴法は薬物の投与量をコントロールすることが難しいため、効き目の強い処方薬にはあまり用いられません。

発泡剤は、アルコールまたは皮膚に心地よい物質(皮膚軟化剤と呼ばれます)を基剤に用いたエアロゾル製剤(混合物を投与できるように噴射剤による圧力のかかった状態で保存される液体)です。急速に皮膚に吸収され、毛の多い部位によく使用されます。

溶液は薬物が溶けこんだ液体です。基剤としては、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水がよく使用されます。溶液は塗りやすく、特に 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭皮や顔面、髪の生え際、耳の周囲、ときにその他の部位に慢性の炎症が起き、脂ぎった黄色い鱗屑(うろこ状のくず)やフケが生じる病気です。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 原因は不明ですが、皮膚に常在している微生物であるマラセジア Malassezia属の真菌の数が何らかの役割を果たしていま... さらに読む 脂漏性皮膚炎 などの頭皮の病気に適しています。溶液は皮膚をうるおすよりも、むしろ乾燥させる作用がありますが、この乾燥作用は湿ってじくじくする(滲出性の)皮膚の病気に有用です。使用される基剤によっては、溶液が皮膚に刺激感を与えることがあり、特にアルコールやプロピレングリコールを含む溶液を開放創に塗ると、強い刺激感が生じます。よく使用される溶液としてブロー液とドメボロ®液の2種類がありますが、これらは多くの場合、浸漬法で使用されます。

パウダーは、乾いた粉末状の物質で、皮膚同士がこすれ合う部位、例えば足の指、お尻、わきの下、太ももの付け根(鼠径部)、乳房の下などを保護する場合に使用します。パウダーは、水分でふやけて傷ついた(浸軟した)皮膚に使用されます。抗真菌薬などの薬物を有効成分として混ぜることもあります。

ゲルは、水やアルコールを基剤とする製剤で、粘り気がありますが、油や脂肪分は含まれていません。ゲルは油や脂肪分を含む製剤ほど皮膚に吸収されません。このため、 にきび にきび(ざ瘡) にきび(ざ瘡)は、顔面や上半身の体幹部に吹き出物などの異常が生じる、ありふれた皮膚の病気です。 にきびは、死んだ皮膚細胞の堆積物や細菌、乾燥した皮脂などが皮膚の毛包をふさぐことによって生じます。 多くの場合、顔面、胸、肩、背中の皮膚に、黒色面皰(めんぽう)、白色面皰、吹き出物、嚢腫(のうしゅ)などの隆起が現れ、ときに膿瘍も生じます。... さらに読む にきび(ざ瘡) 酒さ 酒さ 酒さは、持続性の皮膚の病気で、通常は顔面の中央部に発赤と小さな吹き出物が現れ、皮膚の下の血管がはっきりと見えるようになります。 原因は不明です。 典型的な症状として、頬と鼻に生じる発赤、細い血管が見える、ときに小さな吹き出物などがあります。 診断は、発疹の典型的な外観と最初に症状が現れたときの年齢に基づいて下されます。... さらに読む 酒さ 、頭皮の 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 など、薬物をゆっくり吸収させる必要のある病気にしばしば最も効果的となります。ゲルは開放創や患部の皮膚に対して強い刺激感をもたらす傾向があります。

知っていますか?

  • 外用薬の効き目を高める必要がある場合には、医師はクリームよりも軟膏を処方します。

外用薬の種類

外用薬は、いくつかの重複するカテゴリーに分けられます。

  • 洗浄剤

  • 保護剤

  • 保湿剤(皮膚軟化剤)

  • 乾燥剤

  • かゆみ止め

  • 抗炎症薬

  • 抗感染症薬

  • 角質溶解薬

洗浄剤

洗浄剤の主なものは、石けん、清浄剤、溶媒(他の物質を溶かす性質のある液状の物質)です。最も一般的な洗浄剤は石けんですが、清浄剤もよく使用されます。石けんはある種の脂肪またはアルカリ液を含む洗浄、乳化剤であるのに対し、清浄剤は石油製品から作られます。皮膚を乾燥させるタイプの石けんもありますが、クリームをベースとする皮膚を乾燥させにくい石けんもあります。

ベビー用シャンプーは、優れた洗浄力がありながら皮膚に対する刺激感が少ないものが多いため、創傷や切り傷、すり傷、眼の周りの部位を洗うのに適しています。 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 (かんせん)や 湿疹 アトピー性皮膚炎(湿疹) アトピー性皮膚炎(一般には湿疹と呼ばれます)とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。花粉症や喘息のある人、また家族にそのような病気の人がいる人にみられることの多い病気です。 アトピー性皮膚炎は非常によくみられるもので、特に先進国やアレルギーを起こしやすい人に多くみられます。... さらに読む アトピー性皮膚炎(湿疹) などの病気、また死んだ角質がたまってうろこ状に剥がれやすい状態(鱗屑、落屑)になる他の病気でも、皮膚表面の死んだ角質細胞を洗い流すためにベビー用シャンプーを使う場合があります。ただし、じくじくしている病変は、水または刺激の少ない石けんのみで洗浄する必要があり、このような場合に清浄剤や刺激のある石けんを使うと、患部を刺激することがあります。

洗浄剤には様々な化学物質が添加されています。例えば、抗菌作用のある成分を含む抗菌石けんといった製品もありますが、一般的に、抗菌石けんを使っても衛生状態が改善したり病気を予防できたりするわけではなく、常用していると、皮膚表面に住んでいる細菌の正常なバランスを乱してしまうことがあります。フケとり用のシャンプーやローションには、ジンクピリチオン、硫化セレン、タール抽出物が含まれており、皮膚の表面が剥がれるのを抑えたり、湿疹や頭皮の乾癬を抑える働きをもたせています。

洗浄用の主な溶媒は水です。ほかにワセリンも溶媒として用いられますが、ワセリンは、タールのように水と石けんでは溶かせない物質を皮膚から洗い落とすことができます。少量のアルコールを使用すると、注射や採血の前に皮膚を安全に洗浄することができます。アルコールゲルは、手洗いができない場合に、日常的に手の衛生を保つ上で有用です。ほかにも溶媒にはアセトン(マニキュアの除光液)、ガソリン、塗料用シンナーなどがありますが、これらが皮膚の洗浄に使用されることはほとんどありません。これらの溶媒は、皮膚に本来存在する油分を溶かすため、かなりの乾燥と刺激感を引き起こします。また皮膚から吸収されて中毒を起こすこともあります。

保護剤

皮膚の保護に役立つ製剤には様々な種類があります。オイルや軟膏は、皮膚に油分でできた保護膜を作り、すり傷や炎症のある皮膚を保護し、うるおいを保つように働きます。パウダーは皮膚同士または皮膚と衣服がこすれ合うのを防ぎます。ハイドロコロイドドレッシング材は、 床ずれ 床ずれ 床ずれ(褥瘡[じょくそう]とも呼ばれます)とは、長時間の圧迫によって皮膚に十分な血液が流れなくなることで、その部分に損傷が生じた状態です。 床ずれは、圧迫に加えて、皮膚を引っ張る力、摩擦、湿気などの要因が組み合わさって発生する場合が多く、特に骨のある部分の皮膚でその傾向が強くみられます。... さらに読む 床ずれ (褥瘡[じょくそう])をはじめとする、皮膚がなくなった部位を保護します。日焼け止めは、皮膚に有害な紫外線を反射、吸収、遮断します。

保湿剤(皮膚軟化剤)

保湿剤は、皮膚に水分と油分を補充し、それらを維持するのに役立ちます。保湿剤は、入浴やシャワーの直後などの皮膚がすでにうるおっているときに使うと最も効果的です。保湿剤に一般的に含まれる成分は、グリセリン、鉱物油、ワセリンなどで、保湿剤の種類としてはローション、クリーム、軟膏、バスオイルなどがあります。より効果の高い保湿剤では、尿素、乳酸、グリコール酸などの成分が含まれているものもあります。コールドクリームは、脂肪(蜜ろうなど)と水から成る市販薬(一般用医薬品)の乳剤です。

乾燥剤

皮膚同士がこすれ合う部位の水分が多すぎると、炎症や皮膚の軟化(浸軟)が生じ、特に温かく湿った状態になりがちな体のひだの部分でひどくなります。足の指の間、お尻の間、わきの下、太ももの付け根(鼠径部)、乳房の下、腹部の皮膚のひだの間によくみられます。これらの部位は、温かく湿度が高いために感染症(特に真菌または細菌にもの)も発生しやすくなります。

コーンスターチとタルカムパウダー(粉末状のタルク[滑石])は、最もよく使用されている乾燥剤です。これらのパウダーは皮膚表面の水分を吸収します。様々なタルク製剤がありますが、そのほとんどは香りと容器以外に違いがありません。タルカムパウダーはコーンスターチより効果的ですが、吸い込んだときに肉芽腫(慢性炎症の一種)を引き起こす可能性があることから、もはやベビーパウダーには使用されなくなっています。がんのリスクが懸念されることから、女性の陰部へのタルカムパウダーの使用は推奨されていません。コーンスターチは優れた乾燥剤ですが、ときに真菌感染症の原因になることがあります。鼠径部(そけいぶ)や腋窩(えきか)など、湿りやすい部位を乾燥させるには、ときに高給水性パウダー(吸水性が極めて高い粉末)が必要になります。

アルミニウム塩を含む溶液も、市販薬の制汗剤でよくみられる乾燥剤です。大量発汗に対する治療には、高用量のアルミニウム塩が処方薬として使用できます。

かゆみ止め

皮膚の病気には、かゆみを伴うものが多くあります。かゆみと軽度の痛みは、カンフル(樟脳)、メントール、プラモキシン(pramoxine)、酸化亜鉛、リドカインとプリロカイン(prilocaine)の配合剤などの市販薬で抑えられる場合があります。カラミンは鎮痛作用がありますが、かゆみには効かないことがあります。

外用製剤の中には、アレルギー反応によるかゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬(特定のアレルギー反応を抑える薬)が含まれていることがあります。ドキセピンは、多くの病気に使用される有効な外用抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン(多くの市販薬の外用製剤に含まれています)は、皮膚に塗るとアレルギー反応を引き起こすことがあるため、通常は推奨されません。経口薬として服用すれば、、このような皮膚反応を引き起こさないとみられるため、かゆみを抑える目的で抗ヒスタミン薬を使用する場合は、外用薬より内服薬が好まれます。かゆみを和らげるために使用されていた麻酔薬であるアミノ安息香酸エチルも、アレルギー反応を誘発することがあるため、現在では推奨されていません。

抗炎症薬

皮膚の炎症に伴う腫れ、かゆみ、発赤などを和らげる外用薬として主に使用されるのは、コルチコステロイドという種類の薬です。コルチコステロイドは、 ツタウルシ 中程度の毒性がある植物 中程度の毒性がある植物 、金属、衣服、 薬物 薬疹 薬疹とは、皮膚の反応として現れる薬の副作用のことです。 薬疹は通常、薬に対するアレルギー反応によって引き起こされます。 典型的な症状としては、発赤、膨らみ、水疱、じんま疹、かゆみのほか、ときに皮膚の脱落や痛みなどがあります。 どの薬が発疹を引き起こしているかを特定するために、使用している薬を1つずつ中止しなければならないこともあります。... さらに読む 薬疹 湿疹 アトピー性皮膚炎(湿疹) アトピー性皮膚炎(一般には湿疹と呼ばれます)とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。花粉症や喘息のある人、また家族にそのような病気の人がいる人にみられることの多い病気です。 アトピー性皮膚炎は非常によくみられるもので、特に先進国やアレルギーを起こしやすい人に多くみられます。... さらに読む アトピー性皮膚炎(湿疹) 、その他様々な原因で起こるアレルギー反応や炎症反応でできる発疹に最も有効な薬です。ただし、細菌や真菌の感染に対する抵抗力を弱め、傷の治りを遅らせてしまうため、通常は皮膚の感染している部分や傷の部分には使用できません。にきびのような病気には、外用コルチコステロイドはあまり効かないことが多く、かえってにきび様の発疹が新たに出現することもあります。真菌感染が原因で起こる発赤やかゆみを抑えると同時に真菌を根絶するために、ときに抗真菌薬とコルチコステロイドを混ぜて使用することがあります。

外用コルチコステロイドは、ローション、クリーム、軟膏、溶液、発泡剤、油、ゲル、テープ製剤として販売されています。クリームを皮膚の上に見えなくなるまで優しく塗りこむのが最も効果的です。一般に、軟膏が最も高い効力があります。製剤としての全体的な効果は、含まれるコルチコステロイドの種類と濃度によって決まります。米国で処方なしで購入できるものとしては、濃度が1%以下のヒドロコルチゾンがあります(ただし、濃度が0.5%以下のものは効き目がほとんど期待できません)。より強いコルチコステロイド製剤を入手するには処方が必要です。医師は通常、効き目の強いコルチコステロイドを最初に処方し、病気がよくなるに従って弱いコルチコステロイドに変更します。一般に、外用コルチコステロイドは1日に2~3回薄く塗りますが、効き目の強い製剤では1日1回のみの場合もあります。

コルチコステロイドは、顔面、わきの下、性器などの皮膚の薄い部位や、わきの下や太ももの付け根(鼠径部)などの閉鎖的な部位に使用する場合は注意が必要です。通常、このような敏感な部位には効き目の弱い コルチコステロイド コルチコステロイドの使用法と副作用 コルチコステロイドの使用法と副作用 を使用し、使用期間を数日から1週間までに制限します。どの部位であれ、長期間(1カ月以上)使用すると、皮膚が破れたり、引き伸ばしたようなスジが現れたり、にきびのような発疹が生じたり、ときにはコルチコステロイド自体に対するアレルギー性の皮膚反応(接触皮膚炎 接触皮膚炎 接触皮膚炎は、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気です。発疹は非常にかゆく、特定の部位に限定され、しばしば境界がはっきりしています。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 物質により皮膚の炎症が引き起こされる仕組みは、以下の2つのうちいずれかです。 刺激(刺激性接触皮膚炎)... さらに読む 接触皮膚炎 )が生じることがあります。中程度から強い効き目のある製剤を顔面に使用すると、 口囲皮膚炎 口囲皮膚炎 口囲皮膚炎は、口の周囲やあごにできる、デコボコした赤い発疹で、にきびや酒さに似ています。 口囲皮膚炎の正確な原因は不明ですが、コルチコステロイドを外用すること、フッ素を含む飲料水や歯磨き粉を使用すること、またはその両方が原因の候補として考えられています。 この写真には、口囲皮膚炎が原因で鼻翼と口の周囲に生じた赤い隆起した発疹が写っています... さらに読む 口囲皮膚炎 (口やあごの周囲にデコボコした赤い発疹が生じる)や、ときに眼窩周囲皮膚炎(眼の周囲の発疹)が副作用としてよくみられますが、これらは効き目の弱い製剤ではあまりみられません。効き目の強い製剤は、小児に使用した場合や、広範囲の皮膚に使用したり長期的に使用したりした場合(特に 閉鎖性ドレッシング材[空気や水を通さないもの] 閉鎖性ドレッシング材 皮膚の病気に対する治療には、主に外用薬(皮膚に直接塗る薬剤)が使用されます。経口または注射で投与(全身投与)された薬は、全身の隅々に行きわたります。まれですが、患部に高濃度の薬物を作用させる必要がある場合には、皮膚のすぐ下に注射して投与する(皮内注射)こともあります。 一部の外用薬を用いる治療では、以下の要因が治療の成功を左右します。... さらに読む の下で使用した場合)、副腎の機能を阻害することがあります。

治療で改善しない斑点や小さな領域に、より強い外用コルチコステロイドを使用する必要がある場合は、皮膚のすぐ下に注射したり、コルチコステロイドのフルドロキシコルチドを染みこませたテープを貼ることもあります。

これ以外に、外用コルチコステロイドを塗った上から、家庭で使用するラップフィルムのような薄いフィルムをかぶせる方法(閉鎖性ドレッシング)もあります。フィルムには薬の皮膚からの吸収と有効性を高める効果があり、貼り付けたフィルムは、通常、一晩そのままにしておきます。このようなドレッシング法は通常、重度の 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 湿疹 アトピー性皮膚炎(湿疹) アトピー性皮膚炎(一般には湿疹と呼ばれます)とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。花粉症や喘息のある人、また家族にそのような病気の人がいる人にみられることの多い病気です。 アトピー性皮膚炎は非常によくみられるもので、特に先進国やアレルギーを起こしやすい人に多くみられます。... さらに読む アトピー性皮膚炎(湿疹) などの病気のために取っておきます。閉鎖性ドレッシングの下にコルチコステロイドを使用することに伴うリスクとして、 あせも あせも あせもは、汗が皮膚に閉じ込められることで起こる、かゆみを伴う発疹です。 ( 汗の病気に関する序も参照のこと。) あせもは、汗を皮膚の表面まで送る細い導管が詰まることで起こります。導管が詰まることでたまった汗は炎症を引き起こし、皮膚は刺激を受けてヒリヒリし、かゆくなり、隆起した小さな発疹や非常に小さな水疱ができます。隆起に痛みが生じることも... さらに読む あせも (汗疹)、皮膚の萎縮(薄くなること)、引き伸ばされたスジの出現(皮膚線条)、皮膚表面の血管の拡張(毛細血管拡張)、にきびに似た発疹、細菌や真菌による感染症などがあります。

市販薬の中には、抗炎症作用をもつとされるハーブ製品がいくつかありますが(カモミールとカレンデュラが最も多く使用されています)、その有効性は十分には確立されていえません。ハーブ製品や「天然」製品は、標準化されていないものが多く、皮膚にアレルギー反応や炎症反応をよく起こします。

タール製剤

これは非ステロイド系抗炎症薬であり、石炭製造の副産物です。タール製剤は、皮膚の細胞の分裂速度を低下させ、皮膚の過剰な生産(鱗屑)を引き起こす 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 などの病気の治療に有用です。副作用として、刺激感、 毛包炎 毛包炎 毛包炎と皮膚膿瘍は、細菌感染によって皮膚の内部に膿のたまった空洞ができたものです。浅いものもあれば、深いものがあり、毛包だけに生じることもあれば、皮膚のさらに深い部分まで及ぶこともあります。 ( 皮膚細菌感染症の概要も参照のこと。) 毛包炎は毛包に生じる小さな皮膚膿瘍の一種です。膿瘍は、皮膚の表層とより深い部分のいずれにも生じ、必ずしも毛... さらに読む 毛包炎 、衣服や家具の汚れ、光に対する過敏性(光感作 光線過敏反応 光線過敏症は日光アレルギーとも呼ばれ、日光によって引き起こされる免疫系の反応です。 日光が免疫系の反応の引き金になる場合があります。 日光にさらされた部分の皮膚にかゆみを伴う発疹や、発赤、炎症が生じます。 診断は通常、医師による評価に基づいて下されます。 このような反応は、典型的には治療なしで消失します。 さらに読む )などがあります。感染が起きた皮膚には使用してはいけません。

抗感染症薬

ウイルス、細菌、真菌、寄生虫は、いずれも皮膚に感染症を引き起こします。このような感染症を予防する上で他よりはるかに優れている手段は、石けんと水で皮膚をていねいに洗うことです。感染症を患者に広めることがないように、看護師や医師は手の消毒により強力な消毒薬をよく使用します。手術の前には、皮膚に抗菌製剤を使用(術前準備)し、皮膚の細菌数を減らして術後の感染症を予防します。

皮膚に感染症が生じた場合は、診断された感染症または疑われる感染症の重症度と種類に応じ、薬剤の外用または全身投与によって治療します。外用の抗感染症薬には抗菌薬、抗真菌薬、殺虫薬があります。

外用抗菌薬の用途は多くありません。クリンダマイシンとエリスロマイシンは、 にきび にきび(ざ瘡) にきび(ざ瘡)は、顔面や上半身の体幹部に吹き出物などの異常が生じる、ありふれた皮膚の病気です。 にきびは、死んだ皮膚細胞の堆積物や細菌、乾燥した皮脂などが皮膚の毛包をふさぐことによって生じます。 多くの場合、顔面、胸、肩、背中の皮膚に、黒色面皰(めんぽう)、白色面皰、吹き出物、嚢腫(のうしゅ)などの隆起が現れ、ときに膿瘍も生じます。... さらに読む にきび(ざ瘡) に対する補助的な治療薬として最もよく使用されます。酒さに対しては、外用のメトロニダゾールや、ときにスルファセタミド(sulfacetamide)、クリンダマイシン、エリスロマイシンの外用剤が使用されます。ムピロシンや新たな外用抗菌薬[レタパムリン(retapamulin)、オゼノキサシン]を 膿痂疹 膿痂疹と膿瘡 膿痂疹(のうかしん)とは、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus、化膿レンサ球菌 Streptococcus pyogenes、またはこの両方によって引き起こされる皮膚感染症で、黄色いかさぶた(痂皮[かひ])を伴ったびらんができるほか、ときに黄色い液体が詰まった小水疱ができることもあります。... さらに読む 膿痂疹と膿瘡 (皮膚のブドウ球菌感染症)の治療に使用することもあります。

バシトラシンやポリミキシンのような市販の(処方せんが不要な)抗菌薬は、 皮膚生検 生検 皮膚の病気には、医師が皮膚を観察しただけで特定できるものが数多くあります。全身の皮膚の診察には、頭皮、爪、粘膜の診察も含まれます。ときに、皮膚の一部を詳細に観察するために、手持ち式の拡大鏡やダーモスコープ(拡大レンズと内蔵式のライトを備えた器具)を使用することもあります。 診断につながる特徴としては、皮膚に現れている異常部分の大きさ、形、... さらに読む 生検 の術後管理や、ひっかき傷、軽度の熱傷(やけど)、すり傷の感染予防に使用する薬として、ワセリン(Vaseline®)に取って代わられています。これらの抗菌薬や特にフラジオマイシンは、アレルギー反応(接触皮膚炎 接触皮膚炎 接触皮膚炎は、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気です。発疹は非常にかゆく、特定の部位に限定され、しばしば境界がはっきりしています。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 物質により皮膚の炎症が引き起こされる仕組みは、以下の2つのうちいずれかです。 刺激(刺激性接触皮膚炎)... さらに読む 接触皮膚炎 )を引き起こす可能性があります。ワセリンは、これらの抗菌薬と同じくらい効果的で、そのようなアレルギー反応を引き起こしません。

抗菌薬ではない外用消毒薬には、ヨード液(ポビドンヨード、クリオキノールなど)、ゲンチアナバイオレット、銀製剤(硝酸銀やスルファジアジン銀など)、ジンクピリチオンなどがあります。

ヨードは手術前の皮膚消毒に使用されます。ゲンチアナバイオレットは、消毒薬や抗菌薬が必要な状況で非常に安価に済ませる必要がある場合に使用されます。銀製剤(スルファジアジン銀など)は、熱傷や潰瘍の治療に有効で、強力な抗菌作用があります。銀を染みこませた創傷用のドレッシング材も多数あります。抗真菌薬であるジンクピリチオンは、 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭皮や顔面、髪の生え際、耳の周囲、ときにその他の部位に慢性の炎症が起き、脂ぎった黄色い鱗屑(うろこ状のくず)やフケが生じる病気です。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 原因は不明ですが、皮膚に常在している微生物であるマラセジア Malassezia属の真菌の数が何らかの役割を果たしていま... さらに読む 脂漏性皮膚炎 によって生じるフケを治療するシャンプーによく含まれている成分です。

治癒しつつある創傷は通常、銀以外の外用消毒薬で治療すべきではありませんが、その理由は、ほかの消毒薬を使うと刺激感が生じ、脆弱な再生組織(肉芽組織)に害を及ぼす傾向があるためです。

角質溶解剤

角質溶解剤は皮膚細胞を軟らかくゆるくして、皮膚の最も外側の層の落屑や剥離(剥脱)を促進するものです。例としてはサリチル酸や尿素などがあります。

サリチル酸は様々な濃度で 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭皮や顔面、髪の生え際、耳の周囲、ときにその他の部位に慢性の炎症が起き、脂ぎった黄色い鱗屑(うろこ状のくず)やフケが生じる病気です。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 原因は不明ですが、皮膚に常在している微生物であるマラセジア Malassezia属の真菌の数が何らかの役割を果たしていま... さらに読む 脂漏性皮膚炎 にきび にきび(ざ瘡) にきび(ざ瘡)は、顔面や上半身の体幹部に吹き出物などの異常が生じる、ありふれた皮膚の病気です。 にきびは、死んだ皮膚細胞の堆積物や細菌、乾燥した皮脂などが皮膚の毛包をふさぐことによって生じます。 多くの場合、顔面、胸、肩、背中の皮膚に、黒色面皰(めんぽう)、白色面皰、吹き出物、嚢腫(のうしゅ)などの隆起が現れ、ときに膿瘍も生じます。... さらに読む にきび(ざ瘡) いぼ 疣贅(いぼ) 疣贅(ゆうぜい)は、ヒトパピローマウイルスの感染によって引き起こされる皮膚の小さな増殖性病変で、一般にいぼと呼ばれるものです。 疣贅(いぼ)は、ヒトパピローマウイルスによって引き起こされます。 隆起した病変または平坦な病変として、あらゆる部位の皮膚に出現します。 ほとんどのいぼは痛みを伴いません。... さらに読む 疣贅(いぼ) の治療に使用されます。しかし、副作用がよくみられ、熱感や刺激感のほか、また皮膚の広い面積に塗る場合は、サリチル酸が吸収されることで起こる体の他の部位の反応(全身反応)などが生じます。サリチル酸は、非常に低濃度で使用する場合や短期間だけ使用する場合を除いて、全身反応が特に生じやすい小児や乳児に使用されることはまれになっています。

尿素は、保湿性を高め、かゆみを和らげ、落屑を減らすのに使用できます。足の裏の皮膚が過度に厚くなった病変(足底角皮症やたこ)、 毛孔性角化症 毛孔性角化症 毛孔性角化症は、皮膚の上層から剥がれ落ちた死んだ細胞によって毛包の開口部(毛穴)がふさがれる、よくみられる病気です。 毛孔性角化症のはっきりした原因は不明ですが、しばしば遺伝が関与しています。また、 アトピー性皮膚炎の人では、毛孔性角化症が生じやすくなります。しかし、毛孔性角化症は過敏症や免疫系の病気ではないと考えられています。... さらに読む 毛孔性角化症 (アレルギーがある人の太ももや腕の後ろに生じる乾燥した隆起)、重度の皮膚の乾燥(魚鱗癬 魚鱗癬 魚鱗癬(ぎょりんせん)は、皮膚に鱗屑(うろこ状のくず)やフケのような剥がれが生じる病気で、軽度ながら不快な乾燥が生じるものから、重度で外観を損なう皮膚病まで広い幅があります。 ( かゆみと 皮膚の乾燥[乾皮症]も参照のこと。) 魚鱗癬は重度の皮膚の乾燥の一種で、皮膚に鱗屑が大量に生じます。鱗屑とは、死んだ皮膚細胞が蓄積し、薄く剥がれ、乾燥... さらに読む 魚鱗癬 )の治療によく使用されます。副作用は刺激感と熱感です。尿素は皮膚の広い領域に塗ってはいけません。

ドレッシング

創傷を覆う包帯や絆創膏などのドレッシングは、開いた傷口を保護し、治癒を促進し、薬の吸収性を高め、患者の衣服を保護します。ドレッシングには2種類あります。

  • 非閉塞性(傷までの通気性がある)

  • 閉鎖性(傷を覆って密閉し、通気性がない)

非閉鎖性ドレッシング材

最もよく用いられる非閉鎖性ドレッシングは、ガーゼによるドレッシングです。これらは傷口を覆いつつ、最大限の通気性をもたらし、傷を乾燥させます。

Wet-to-dryドレッシング法は、溶液(通常は生理食塩水)で湿らせた非閉鎖性ドレッシング材を使用する方法で、肥厚、痂皮化または壊死した組織をきれいに除去する処置(デブリドマン)の後に用いられます。このドレッシング材は湿った状態で創面に置き、溶液が乾燥した後に除去します。乾燥した組織がドレッシング材に付着します。

閉鎖性ドレッシング材

閉鎖性ドレッシング材は、外用薬の吸収性、有効性(および副作用)を高めます。閉鎖性ドレッシング材としては、ポリエチレン(家庭用のラップフィルム)のように透明で不透過性のフィルムや、柔軟で透明な半透過性のドレッシング材が最もよく使用されます。亜鉛華ゼラチン(ウンナブーツ)は、下腿(脚の膝より下の部分)の皮膚の炎症や潰瘍(うっ滞性皮膚炎 うっ滞性皮膚炎 うっ滞性皮膚炎は、脚の膝より下の部分に血液と体液がたまることで炎症が起きる病気です。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) うっ滞性皮膚炎は、脚の静脈が損傷して血液が正常に流れなくなった状態である 慢性静脈不全症が脚の膝より下の部分にみられる人に発生します。慢性静脈不全症の患者では、むくみ(浮腫)、まれに... さらに読む うっ滞性皮膚炎 でみられます)に有効な閉鎖性ドレッシング材です。ハイドロコロイドドレッシング材は、皮膚からの滲出液を吸収してゲル化するもので、 皮膚の潰瘍 皮膚に生じる異常と増殖病変の種類 皮膚に生じる異常と増殖病変の種類 の治癒を促進するために使用します。

閉鎖性ドレッシング材は、特に重度の 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘... さらに読む 乾癬 アトピー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎(湿疹) アトピー性皮膚炎(一般には湿疹と呼ばれます)とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。花粉症や喘息のある人、また家族にそのような病気の人がいる人にみられることの多い病気です。 アトピー性皮膚炎は非常によくみられるもので、特に先進国やアレルギーを起こしやすい人に多くみられます。... さらに読む アトピー性皮膚炎(湿疹) 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ 炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 診断を下すため、血液検査のほか、ときにその他の検査を行います。 全身性エリテマトーデスの全患者でヒドロキシクロロキンが必要であり、損傷を引き起こ... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) の皮膚病変、手の慢性皮膚炎の治療用に塗られたコルチコステロイド上にあてがわれることがあります。

そのほかも、熱傷の保護と治癒の促進にも閉鎖性ドレッシング材が使用されます。最近になって、他のタイプの開放創でも、閉鎖性ドレッシング材の下で湿った状態に保った方が、より早く、より完全に治癒するということが分かっています。そのようなドレッシングを行うことで、水分が適度に保たれ、新しい皮膚が再生する条件が整いやすくなるためです。この種のドレッシング法としては、洗練された市販品を使用する場合もあれば、普通のワセリンや抗菌薬軟膏を塗った上から包帯をする場合もあります。

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