(皮膚がんの概要 皮膚がんの概要 皮膚がんは最も多くみられるがんです。屋外で働く人、屋外でスポーツをする人、および日光浴の愛好者で特に多くみられます。皮膚の色の薄い人(色白の人)は、作られるメラニンの量が少ないため、ほとんどのタイプの皮膚がんが特に発生しやすい傾向があります。皮膚の一番外側の層(表皮)で保護機能を果たしているメラニンという色素には、紫外線から皮膚を保護する... さらに読む も参照のこと。)
パジェット病という用語は、関係のない代謝性の骨疾患を指す場合にも使われます(骨パジェット病 骨パジェット病 骨パジェット病は骨格の慢性疾患で、骨の代謝回転が異常になる結果、その領域の骨が肥厚し柔らかくなります。 骨の分解と形成が増加し、骨が正常な場合と比べて厚くなりますが、もろくもなります。 症状がないこともあれば、骨の痛み、骨の変形、関節炎、神経の圧迫による痛みなどの症状がみられることもあります。... さらに読む )。これらはまったく別の病気であり、それぞれを混同しないように注意する必要があります。
このパジェット病は、主に乳頭に発生しますが、それは乳管のがんが乳頭の皮膚まで広がって生じたものです。男性にも女性にもみられます。皮膚の下にあるがんについては、本人も医師も、触知できる場合とできない場合があります。
乳頭パジェット病が乳房以外の部位に発生する場合もあります(乳房外パジェット病と呼ばれます)。ときに、鼠径部、陰部、または肛門周辺において、その部位にある汗腺から生じたがんとして、あるいは膀胱、肛門、直腸など周囲の臓器から生じたがんとして発生することがあります。
症状
乳頭パジェット病の患部では、皮膚が赤くなってじくじくし、かさぶたができ、 皮膚炎 皮膚炎の概要 皮膚炎(ときに湿疹とも呼ばれます)は、皮膚の上層の炎症であり、かゆみ、水疱、発赤、腫れを生じ、多くの場合、じくじくしてかさぶたになり、鱗屑(うろこ状のくず)が生じます。 原因として分かっているものには、皮膚の乾燥、特定の物質への接触、特定の薬、静脈瘤、絶え間なくかくことなどがあります。 典型的な症状には、かゆみを伴う赤い発疹、水疱、ただれ、じくじく、かさぶた、鱗屑などがあります。... さらに読む に似ていますが、境界がはっきりしています。この部分にはよくかゆみと痛みが伴います。
診断
生検
パジェット病の外観はよくある皮膚炎と大変よく似ているため、診断を下すには 生検 生検 皮膚の病気には、医師が皮膚を観察しただけで特定できるものが数多くあります。全身の皮膚の診察には、頭皮、爪、粘膜の診察も含まれます。ときに、皮膚の一部を詳細に観察するために、手持ち式の拡大鏡やダーモスコープ(拡大レンズと内蔵式のライトを備えた器具)を使用することもあります。 診断につながる特徴としては、皮膚に現れている異常部分の大きさ、形、色、部位に加え、その他の症状や徴候の有無があります。皮膚の異常の広がりを調べるため、しばしば衣服をす... さらに読む が必要です。この検査では、皮膚の組織を少しだけ採取して、顕微鏡で調べます。
他のがんと同様、乳頭パジェット病の診断が確定すれば、医師は診察と検査を行って、がんが転移しているかどうかを調べます。
治療
基礎にある乳がんに対する治療法としては、乳頭および乳輪の切除などがあります。
乳房外パジェット病については、手術またはレーザー療法
乳頭パジェット病は通常、他のタイプの 乳がん 治療 乳がんは、乳房の細胞が異常をきたし制御不能に分裂することで発生します。通常は、乳汁を作る乳腺(小葉)または乳腺から乳頭(乳首)へ乳汁を運ぶ乳管にがんが発生します。 乳がんは、女性がかかるがんの中で発症数が最も多く、がんによる死亡の中では第2位を占めています。 通常、最初に現れる症状は痛みのないしこりで、自分で気づくことがほとんどです。 乳がんスクリーニングの推奨は様々で、定期的なマンモグラフィー、医師による乳房の診察、乳房自己検診などが... さらに読む と同様に治療され、乳頭と乳輪を外科的に切除します。
乳房以外の部分にできたパジェット病については、手術による腫瘍全体の切除、皮膚に塗る薬、 放射線療法 がんに対する放射線療法 放射線は、コバルトなどの放射性物質や、粒子加速器(リニアック)などの特殊な装置から発生する強いエネルギーの一種です。 放射線は、急速に分裂している細胞や DNAの修復に困難がある細胞を優先的に破壊します。がん細胞は正常な細胞より頻繁に分裂し、多くの場合、放射線によって受けた損傷を修復することができません。そのため、がん細胞はほとんどの正常な細胞よりも放射線で破壊されやすい細胞です。ただし、放射線による破壊されやすさはがん細胞によって異な... さらに読む 、またはレーザー療法で治療します。
さらなる情報
米国がん協会(American Cancer Society)
乳頭パジェット病(Paget Disease of the Breast)
スーザン・G・コーメン(Susan G. Komen)