良性および悪性の腫瘍が爪に影響を及ぼして、爪の質感や色の変化(異栄養症 爪の変形、異栄養症、変色 変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。 変形:爪の形状の変化 異栄養症:爪の質感か色またはその両方の変化 医師は変形よりも異栄養症という用語をよく使う傾向があります。( 爪の病気の概要も参照のこと。) 爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります(... さらに読む )を引き起こすことがあります。
良性腫瘍としては、粘液様嚢胞(液体で満たされた袋状の良性病変)、 化膿性肉芽腫 化膿性肉芽腫 化膿性肉芽腫(かのうせいにくげしゅ)は、最も微細な血管である毛細血管が異常増殖することで発生する隆起した腫瘍で、周囲の組織に腫れが生じます。患部は肉質で湿っているか、かさぶた状になっており、わずかに盛り上がり、赤色または赤褐色に変色しています。 ( 皮膚の良性腫瘍の概要と 脈管の増殖と奇形の概要も参照のこと。) この隆起は、通常は皮膚にけがをした後に急速に現れます(けがに気づかないこともあります)。理由は不明ですが、妊娠中にもこの肉芽腫... さらに読む 、グロムス腫瘍などがあります。
悪性腫瘍としては、 ボーエン病 ボーエン病 ボーエン病は、早期の 有棘細胞がんであり、腫瘍が皮膚の外層(表皮)にとどまっていて、皮膚のより深い層には広がっていない場合です。 ( 皮膚がんの概要も参照のこと。) 多くの場合、日光のあたる部分の皮膚にできますが、どこにでも発生する可能性があります。 多くのがんが発生する場合もあれば、少数しか発生しない場合もあります。患部の皮膚は赤褐色で、表面に鱗屑(うろこ状のくず)とかさぶたができ、平坦で、... さらに読む (早期の皮膚がん)、 有棘細胞がん 有棘細胞がん 有棘細胞がんとは、皮膚の扁平上皮細胞に由来するがんのことです。 皮膚にかさつく厚い増殖性病変が出現し、それが治りません。 このがんの診断を下すには、生検を行います。 転移していない場合は、手術、皮膚への化学療法薬の塗布、ときには放射線療法を行うことで通常は治癒します。 他の部位に転移している場合は、死に至ることもあります。 さらに読む
、 悪性黒色腫 黒色腫 黒色腫(メラノーマとも呼ばれます)は、色素を作り出す皮膚細胞(メラノサイト)から発生する皮膚がんです。 黒色腫は、正常な皮膚から発生する場合もあれば、すでにあった ほくろから発生する場合があります。 皮膚に様々な色の斑点を伴う平坦または隆起した褐色の不規則な皮疹、あるいは黒または灰色の硬い隆起が現れます。 黒色腫の診断を下すには、生検を行います。 黒色腫を切除します。 さらに読む
などがあります。がんが疑われる場合は、生検を行い、腫瘍をできるだけ早期に完全に切除することが推奨されます。
爪に現れた黒っぽい線は、爪の悪性黒色腫の最初の徴候である可能性があります。爪が作られている組織(爪母といいます)の色素細胞が悪性化して、黒色腫に変化することがあります。注意すべき徴候としてハッチンソン徴候があります。ハッチンソン徴候とは、黒色、褐色、または灰色に変色した領域が爪上皮や爪郭(爪と皮膚が隣り合う爪甲の両脇にある堅い皮膚のひだ)など爪周囲の部位まで伸びている状態です。この徴候は、爪床(爪甲の下にあって爪を指に接着している軟部組織)に黒色腫があることを意味している場合があります。この徴候がみられる場合は、爪床の異常を調べるために生検を行います。ハッチンソン徴候を伴わずに黒色腫が発生する場合もあります。