Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

読み込んでいます

多毛

(男性型多毛症、多毛症)

執筆者:

Wendy S. Levinbook

, MD, Hartford Dermatology Associates

最終査読/改訂年月 2018年 4月
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
本ページのリソース

男性では、体毛の量は人によって大きく異なりますが(毛髪の成長の概要も参照)、医療機関を受診するほど体毛の多さに悩んでいる人はごくわずかです。女性では、過剰とされる体毛の量は民族的背景や文化によって様々です。通常、過剰な体毛は美容的、精神的に問題となるだけです。しかし、その原因がときに重篤な内分泌疾患である場合があり、特に男性的な特徴が現れた女性ではこのような場合が多くみられます。

多毛は以下のように分類することができます。

  • 男性型多毛症

  • 多毛症

男性型多毛症とは、女性において、男性で一般的に毛髪が生える部位に太い毛や色の濃い毛が過剰に生える病気です。そのような部位としては、顔面(上唇、あご、もみあげ)、体幹(乳首の周囲、胸部、下腹部、背中)、腕や脚(肩やももの内側)などがあります。

男性型多毛症は通常、男性ホルモン( テストステロンなどのアンドロゲン)の血中濃度が上昇することや、正常な濃度の男性ホルモンに対する体の感度が高まることによって発生します。 テストステロンは陰毛とわき毛の成長を促します。ジヒドロテストステロンは、須毛部(ひげの部分)の毛髪の成長と頭髪の脱毛を促します。

男性化とは、アンドロゲンの血中濃度が上昇したことで、さらなる男性的特徴がみられるようになった状態です。例えば以下のようなものです。

  • 声が低くなる。

  • 筋肉が大きくなる。

  • 頭部の毛髪が抜ける。

  • 陰核(陰茎に対応する小さな女性の器官)が肥大する。

  • 月経が不順になったり、完全に止まったりする。

  • にきびも生じることがある。

多毛症とは、男女を問わず、体のあらゆる部分で体毛の量が増える病気です。過剰な体毛は全身に生じることもあれば、特定の部位だけに生じることもあります。毛髪は細くて薄い色をした綿毛のような場合もあれば、太く、長く、濃い色をしている場合もあります。生まれつきみられる場合もあれば、生まれた後に発生する場合もあります。

原因

毛髪の成長は男性ホルモンと女性ホルモンのバランスに左右されます。男性ホルモンは、太くて色の濃い体毛の成長を促します。女性ホルモン( エストロゲンなど)は、体毛の成長を遅くしたり、体毛を細く薄い色にしたりします。正常な女性でも、少量の男性ホルモンが分泌されており、また正常な男性でも少量の女性ホルモンが分泌されています。

男性型多毛症

ホルモンバランスに変化が生じて男性ホルモンが多くなる病気があると、男性型多毛症が生じることがあります。そうしたバランスの変化は、男性ホルモンが過剰に分泌されることで起きる場合もありますが、家系内の女性に受け継がれる男性型多毛症(家族性男性型多毛症)では、正常な血中濃度の男性ホルモンに対する毛包の感度が高くなっているだけと考えられています。

男性型多毛症の最も一般的な原因は以下のものです。

比較的頻度の低い男性型多毛症の原因は多数あります( 男性型多毛症の主な原因と特徴)。

  • 男性ホルモンの過剰分泌を引き起こす下垂体、卵巣、または副腎の病気

  • 男性ホルモンを分泌する腫瘍(卵巣、副腎、肺、消化管などに生じる特定の腫瘍)

  • タンパク同化ステロイド、ダナゾール、経口避妊薬など、プロゲステロンを高用量で含有する特定の薬剤の使用

  • 家系内で受け継がれる性質(特に地中海系、中東系、南アジア系の人々で多い)

多毛症

多毛症の原因として最も多いのは以下のものです。

  • がんの特定の合併症(腫瘍随伴症候群

  • 特定の薬剤の使用、特にミノキシジル、フェニトイン、シクロスポリン、プロスタグランジンの点眼薬(ビマトプロストまたはラタノプロスト)

  • 重篤な全身性の病気、例えばエイズ、脳疾患、脳の外傷、低栄養神経性やせ症や神経性過食症などの摂食障害を含む)、皮膚筋炎ポルフィリン症

  • 皮膚の反復的な損傷や摩擦または炎症(例えば、骨折した腕や脚からギプスを外した後に気づかれる体毛の成長の増加)

まれに、遺伝子変異によって多毛症が生じることもあります。そのような例では、出生時からみられるのが通常です。

評価

医師は過剰な体毛が病気によるものなのか、美容上の悩みに過ぎないのかを判断する必要があります。

警戒すべき徴候

過剰な体毛がみられる女性では、以下の症状に注意が必要です。

  • 声が低くなる、筋肉の量が増える、頭髪の脱毛(禿頭[とくとう])、月経の減少または消失、にきびなどの男性的な特徴の出現(男性化)

  • 過剰な体毛の突然の出現と急激な成長(数週間から数カ月での成長)

  • 腹部や骨盤部での成長

過剰な体毛の突然の出現は、がんを示唆している場合もあります。

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる場合は、速やかに医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がみられずに徐々に過剰な体毛が生じた場合は、受診する必要はありますが、それほどすぐに受診の予定を立てる必要はありません。

一般的に、警戒すべき徴候がみられない女性では、過剰な体毛が常にみられる場合や、ほかの点では健康に感じている場合、月経が規則的にみられ、ほかに男性的な特徴がみられない場合、家族内にほかにも過剰な体毛がみられる人がいる場合は、受診する必要はありません。このような女性では、遺伝のために過剰な体毛が生じているためです。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、原因と必要になる検査を推測することができます( 男性型多毛症の主な原因と特徴)。

体毛が過剰に生え始めた時期、その部位、月経があるかどうか、ある場合は規則的かどうかを尋ねます。また、妊娠に関する問題があったかどうかと、家族に過剰な体毛がみられる人がいるかどうかも尋ねます。

服用しているあらゆる薬剤、特にタンパク同化ステロイドなど体毛の成長を引き起こすことが判明している薬剤の使用について尋ねます。

身体診察の際には、体毛の成長パターンに注意し、他の男性的な特徴や原因を示唆する他の特徴がないか探します。例えば、内診時にしこりが感じられる場合は、卵巣の腫瘍が疑われます。

icon

男性型多毛症の主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

副腎の病気

副腎過形成(副腎が大きくなって異常に大量の男性ホルモンが分泌されるようになる病態)により生じる男性的な特徴の出現(男性化)

声が低くなる、頭髪の脱毛(禿頭)、陰核の肥大、筋肉量の増加、月経の不順や消失、にきびなどの男性的な特徴の存在

出生時に副腎過形成がみられる場合は、外性器が男性か女性かはっきりしない(性別不明性器)

ホルモン濃度を測定する血液検査およびときに尿検査

デキサメタゾン抑制試験(デキサメタゾンを内服して数時間後に血液検査でホルモン濃度を測定する)

副腎腫瘍(通常はがん)

副腎腫瘍が過剰なアンドロゲン( テストステロンなど)を分泌している場合や、クッシング症候群(過剰なコルチゾールを分泌する副腎腫瘍[以下参照])がある場合は、男性的な特徴の出現

MRIまたはCT検査

ホルモン濃度を測定する血液検査および尿検査

体幹全体の過剰な脂肪、肩の間の脂肪沈着(野牛肩[buffalo hump])、細い腕と脚、腹部の紫色の筋、あざができやすい、顔が大きく丸くなる(満月様顔貌)、高血圧糖尿病

尿検査および通常は血液検査によるコルチゾール濃度の測定(クッシング症候群では高くなることがある)

通常はデキサメタゾン抑制試験

何の病気もみられない

家族性男性型多毛症

家族の男性型多毛症

他の症状がない(月経周期が正常で他の男性的な特徴がみられない)

医師の診察

ホルモン濃度を測定する血液検査(正常値を示す)

卵巣の病気

思春期以降に始まる男性型多毛症

男性的な特徴の出現、肥満、不妊症、月経不順、にきび、頭髪の脱毛、インスリンへの感受性の低下、わきの下、うなじ、皮膚同士がこすれ合う部分の色が濃くなり厚みが増す(黒色表皮腫)

医師の診察

テストステロン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンなどのホルモン濃度を測定する血液検査

通常、超音波検査

腫瘍

ときに以下の症状(しばしば突然始まる)。

  • 骨盤痛

  • 腹部の腫れまたは膨満

  • 体重減少

  • 他の男性的な特徴の出現

超音波検査

ときにCTまたはMRI検査

下垂体の病気

プロラクチンを分泌する下垂体腺腫(良性腫瘍)

授乳中ではない女性での母乳の分泌(乳汁漏出症)

無月経

ときに視力障害

プロラクチン濃度を測定する血液検査

脳のMRI検査

脳のMRIまたはCT検査

クッシング病を引き起こす下垂体の病気(下垂体腫瘍など)

上述のクッシング症候群を参照

コルチゾール濃度(クッシング病で高くなることがある)を測定する血液検査およびときに尿検査

デキサメタゾン抑制試験

脳のMRI検査

薬剤

アンドロゲン薬:

  • テストステロン製剤やダナゾールなどの運動能力を高めるために服用するものを含むタンパク同化ステロイド

  • 高用量のプロゲステロンを含有する経口避妊薬

男性的な特徴の出現

タンパク同化ステロイドの使用(使用していても認めない場合もある)

医師の診察

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。

検査

原因が薬剤の使用であることを確認できない場合は、様々なホルモンの血中濃度を測定する血液検査を行って、原因を特定します。

クッシング症候群が疑われる場合や副腎腫瘍が見つかった場合は、尿検査も行います。

がんの可能性を否定するために、特に骨盤部にしこりが見つかった場合や男性ホルモンの血中濃度が高い場合には、骨盤部の超音波検査もしくはCT(コンピュータ断層撮影)検査、またはその両方が通常行われます。

治療

  • 多毛の原因になる薬剤の中止または変更を含む、基礎にある状態の治療

  • 美容的な改善のための脱色または脱毛

  • ホルモン療法

基礎にある状態を治療または是正します。例えば、男性型多毛症を引き起こす薬剤を中止したり、変更したりします。

女性が美容上の理由から過剰な体毛を減らすか脱毛することを望むのでなければ、治療の必要はありません。過剰な体毛の成長が男性ホルモン濃度の上昇と無関係である場合は、脱毛のための物理的方法が用いられます。男性ホルモンの血中濃度の上昇が原因である場合は、物理的方法に加えて、ホルモン療法も必要になります。

物理的方法

いくつかの方法が選択できます。

除毛では、毛髪の皮膚表面より上の部分を除去します。その方法としては、剃毛や、硫酸バリウムまたはチオグリコール酸カルシウムを含有する市販薬のクリームなどがあります。

脱毛処理では、毛髪全体を毛根ごと除去します。毛髪を一時的に除去する方法としては、ピンセット、毛抜き、脱毛用ワックス、家庭用脱毛機器などがあります。効果が持続し、ときに永久的な効果が得られるものもありますが、それらも多くの場合、繰り返し行う必要があります。そのような方法としては、電気分解、熱分解、レーザー治療などがあります。

ホルモン療法

男性ホルモン濃度の上昇を引き起こす病気は、そのほとんどが根治させることができないため、通常、男性型多毛症の治療に使用するホルモン剤は長期的に服用する必要があります。それらのホルモン剤としては、経口避妊薬や男性ホルモンの作用を阻害する薬剤(フィナステリド、スピロノラクトンなど)があります。妊婦または妊娠の可能性がある女性では、男性ホルモンを阻害する薬剤を使用することで男子の胎児に女性的な特徴が生じることがあるため、そのような薬剤は使用しないようにします。

卵巣から極めて大量の男性ホルモンが分泌されている場合は、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(リュープロレリンなど)を使用することができますが、この種の薬剤を使用する場合は、婦人科医や内分泌医による綿密な監督が必要になります。副腎腫瘍が分泌する男性ホルモンの濃度を低下させる目的で、コルチコステロイドを使用することができます。

その他の方法

脱色は脱毛処理に代わる方法です。この方法は安価で、女性に生じた過剰な毛髪の量がわずかな場合には、非常に有効です。脱色剤は毛髪の色を薄くし、目立たなくします。数種類の毛髪脱色剤が利用できます。ほとんどの製品には過酸化水素が入っています。

エフロルニチン(eflornithine)クリームを1日2回塗ると、毛髪の成長が遅くなり、長期的に使用することで脱毛治療を行う間隔を延ばせる場合があります。

要点

  • 過剰な体毛は家系内で受け継がれることがあり、過剰とみなされる体毛の量は民族的背景や文化によって様々です。

  • 女性だけに生じる男性型多毛症は、過剰な体毛が男性によくみられるパターンで成長する病気である一方、男女ともにみられる多毛症では、体のあらゆる部分で過剰な体毛が成長します。

  • 米国では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が男性型多毛症の最も一般的な原因となっています。

  • 女性の患者で男性的な特徴(声が低くなる、筋肉の量が増える、頭髪の脱毛が生じる、月経不順または無月経になるなど)も認められる場合は、医師による迅速な評価を必要とする病気の可能性があります。

  • 過剰な体毛が突然生じ、急速に成長する場合は、がんが原因である可能性もあります。

  • 治療としては脱毛やホルモン療法を行います。

ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP