( 毛髪の成長の概要 毛髪の成長の概要 毛髪(頭髪と体毛)は毛包から生えてきます。毛包は、表皮のすぐ下、皮下脂肪の上にある真皮層の中にあります。毛包はほぼすべての部位の皮膚にみられますが、唇、手のひら、足の裏には存在しません。新しい毛髪は、毛包の底部にある毛母(毛母基)という場所で作られます。毛母の中の生きた細胞が増殖して、上に押し上げられていきます。それらの細胞はすぐに乾燥し... さらに読む と 脱毛[脱毛症] 脱毛症(脱毛) 脱毛は、脱毛症とも呼ばれ、体のあらゆる部位に生じます。頭皮に起きる脱毛は禿頭(とくとう)と呼ばれます。脱毛は美容上の理由でしばしば大きな問題となりますが、全身の病気(全身性疾患)の徴候である可能性もあります。 毛髪の成長には周期があります(も参照)。各周期は次の段階から構成されます。 長い成長段階(成長期):持続期間は2~6年間 短い移行段階(退行期):持続期間は3週間 短い休止段階(休止期):持続期間は2~3カ月間 さらに読む も参照のこと。)
円形脱毛症はよくみられます。性別や年齢を問わず起こりますが、小児や若い成人に特に多くみられます。
原因は自己免疫反応、つまり免疫による防御機構が誤って毛包を攻撃するためと考えられています。円形脱毛症は他の病気が原因で起こるものではありませんが、患者の中には関連する甲状腺疾患や 白斑 白斑 白斑は、メラノサイトが喪失することで皮膚に白い斑状の領域が現れる病気です。 皮膚の白い斑は体の様々な部分に生じます。 診断は通常、皮膚の外観に基づいて下されます。 コルチコステロイドクリームなどの薬剤の外用や、皮膚の光に対する感受性を高める薬剤を併用した光線療法が皮膚の色素の再生に役立つことがありますが、必要であれば皮膚移植も行われます。 (皮膚の色素の概要も参照のこと。) さらに読む (皮膚の色素異常症)を併発している人もいます。
不規則な丸い斑状の脱毛が突然起こります。脱毛部分の縁周辺の毛は短く、折れた状態が特徴的で、びっくりマークに似ています。円形脱毛症は、頭髪またはひげに生じるのが通常です。頭皮全体の毛髪が抜ける場合もあれば(全頭脱毛症)、頭皮の横側と後ろ側の生え際から脱毛する場合(蛇行性脱毛症)、頭皮の中央部に脱毛が起きて周辺部の毛髪は残る場合(蛇行性脱毛症の逆のパターン)もあります。まれですが、全身の体毛が抜け落ちることもあります(汎発性脱毛症と呼ばれる状態)。爪がでこぼこになったり、粗くなったりすることもあります。通常は数カ月でまた毛が生えてきます。広範囲に脱毛が生じている人では、毛が再生する可能性が低くなります。
医師は頭皮、体表、爪を調べます。他の病気の可能性を否定するために検査を行うこともあります。
治療
コルチコステロイド
化学物質の外用
円形脱毛症はコルチコステロイドにより治療することができます。脱毛部が小さい場合は、典型的にはその部分の皮膚の下にコルチコステロイドを注射するほか、ミノキシジルを脱毛部分に直接塗ることもあります。脱毛部が大きい場合は、コルチコステロイドを直接頭皮に塗りますが、まれに経口で使用することもあります。
このほかに円形脱毛症の治療として、化学物質(アンスラリン[anthralin]やジフェニルシクロプロペノン、スクアリン酸ジブチルエステルなど)を頭皮に塗って、その部分に刺激反応や軽いアレルギー反応を誘発する方法があり、ときに毛髪の成長を促進できます。
より重症の場合は、全身療法も用いられます。
比較的軽症の円形脱毛症であれば、ときに治療を行わなくても自然に治ることがあるため、自然に治るのに任せるという選択がなされる場合もあります。