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日光と皮膚障害の概要

執筆者:

Elizabeth H. Page

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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本ページのリソース

日光には、体内でのビタミンDの生産を促し、一部の慢性の皮膚病(乾癬など)の抑制に役立ち、健康感をもたらすという効用があります。皮膚は日光から体を守るバリアの役割も果たしていますが、日光にさらされることで皮膚自体にも損傷が起きます。具体的な損傷としては、痛みを伴う日焼けだけでなく、しわなど老化に伴う皮膚の変化、皮膚の前がん病変皮膚がん、さらにはアレルギー反応や一部の皮膚疾患の悪化などもあります( 光線過敏反応)。

紫外線

日光に含まれる紫外線(UV)は人の肉眼には見えませんが、皮膚に与える影響が最も強い波長の光です。紫外線は、その波長によって以下の3種類に分類されています。

  • 紫外線A波(UVA)

  • 紫外線B波(UVB)

  • 紫外線C波(UVC)

紫外線(全種類)はDNA(デオキシリボ核酸[体の遺伝物質])の損傷を引き起こしますが、それにより最終的にがんの発生をもたらすことがあります。紫外線には、皮膚の早期老化やしわが生じるなどの悪影響もあります。日焼けも紫外線(主にB波)によって生じます。紫外線の強さに安全なレベルというものはありません。

地表に届く紫外線の量は近年増加しており、特に北半球の高緯度地域で顕著となっています。こうした増加の原因は、大気の高層に存在して紫外線を遮断しているオゾン層の破壊です。オゾンは自然界に存在する化学物質で、紫外線の大半を遮断して地表に届かないようにしています。オゾンとフロンガス(クロロフルオロカーボン:冷蔵庫やスプレー缶用の噴射剤に使用される化学物質)が化学反応を起こすことで、保護作用のあるオゾン層に含まれるオゾンの量が減少してきています。

地表に届く紫外線の量は、その他の要因によっても変化します。紫外線が強いのは、1日の中では午前10時から午後3時まで、季節では夏、地域では海抜の高い場所と緯度の低い場所(赤道付近など)です。紫外線はガラス、厚い雲、煙、スモッグには大部分が遮られますが、薄い雲、霧、30センチ程度の透明な水は通過し、人に重度の熱傷を引き起こす可能性があります。

自然の保護機構

皮膚は紫外線にさらされると、損傷から自己を守るために変化を起こします。表皮(皮膚の最外層)は厚くなって紫外線を遮ります。色素を作る皮膚細胞であるメラノサイトは、メラニンを多く作るようになり、その結果、皮膚の色が黒っぽくなります。メラニンは紫外線のエネルギーを吸収し、紫外線が皮膚の細胞を傷つけたり、深い部分の組織にまで届くのを防ぐ役目を果たすことから、日焼けはその後の紫外線曝露に対して若干の防御効果をもたらしますが、健康上のメリットはこれだけです。皮膚の色を黒くするために意図的に日焼けをする行為は、健康に有害です( 焼けた小麦色の肌は健康的か?)。

日光に対する感受性は、その人の皮膚にあるメラニンの量によって異なります。皮膚の色が濃い人ほどメラニンの量が多いため、日光による害に対する自然な抵抗力が高くなっています。そうはいっても、日光による障害や紫外線曝露に対する長期的な影響を受けないというわけではありません。

皮膚のメラニン量は、遺伝的な要因と、最近どのくらい日光を浴びたかによって異なります。紫外線を浴びた際に、メラニンがたくさん作られる人と、少ししか作られない人がいます。金髪や赤毛の人は、十分な量のメラニンを作り出すことができないため、紫外線の短期的・長期的な影響に対して特に脆弱です。皮膚に存在するメラニンの分布が不均一になり、そばかすが生じることもあります。白斑という病気の人では、皮膚に色素のない斑状の領域がみられます。白皮症の人では、メラニンがほとんどないかまったくありません。

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フィッツパトリックのスキンタイプの分類

スキンタイプ

典型的な特徴

日焼けのしやすさ

タイプI

青白い皮膚;赤毛またはブロンドの毛髪;青色/緑色の眼;そばかす

常に赤くなり、黒くなることはない

タイプII

色の薄い皮膚;赤毛またはブロンドの毛髪;青色、薄茶色、または緑色の眼

赤くなりやすく、黒くなりにくい

タイプIII

暗めの白色;眼と毛髪の色は問わない

ときに軽く赤くなり、徐々に黒くなる

タイプIV

明るい褐色の皮膚

少しだけ赤くなり、黒くなりやすい

タイプV

褐色の皮膚

まれにしか赤くならず、とても黒くなりやすい

タイプVI

濃い褐色または黒色の皮膚

赤くなることはなく、常に極めて簡単にとても黒くなる

日光と皮膚障害

日光にさらされると皮膚の老化が早まります。長期的に日光にさらされることで生じる皮膚の障害は光老化として知られています。紫外線にさらされた皮膚には、細かいしわや粗いしわ、不規則な色素沈着、黒子と呼ばれる大きなそばかすに似た斑点、黄ばみ、皮革様のゴワゴワした質感などが生じます。紫外線に最も弱いのは、皮膚の色が薄い人たちですが、大量に浴びれば誰であれ皮膚に変化が生じます。

日光を浴びることが多ければ多いほど、前がん病変皮膚がん有棘細胞がん基底細胞がん、悪性黒色腫など)が発生するリスクが高まります。皮膚がんは、小児期や青年期に日光を大量に浴びた人や、仕事やレジャー活動で持続的に日光を浴びる人々(運動選手、農業従事者、牧場労働者、船員、日光浴の愛好者など)で特に多くみられます。さらに、日焼けマシーンの中で紫外線を浴びることでも、皮膚がんや皮膚障害のリスクが高まります。

治療

日光の悪影響を抑えるためには、それ以上日光を浴びないようにし、日焼けマシーンの利用は控えるとともに、保護効果の高い衣類を着用し、日焼け止めを塗ることが特に重要です( 日焼け : 予防)。いったん生じてしまった皮膚の損傷を元に戻すことは困難です。保湿クリームを使用すれば一時的にしわが目立たなくなり、化粧をすれば皮膚の色(そばかす、夏日斑、黒子など)の難点や細かいしわを隠すのに役立ちます。ケミカルピーリング、アルファヒドロキシ酸、トレチノインクリーム、レーザーによるリサーフェシングなどの治療法により、細くて薄いしわ、不規則な色素沈着などの見た目を改善できることがあります。しかし、深いしわなどの目立った皮膚の損傷を回復させるためには、かなりの治療が必要です。

日光角化症:前がん性の腫瘍

日光角化症は、皮膚が長い年月にわたって日光にさらされたことが原因で起こる前がん性の腫瘍です。この腫瘍は通常ピンク色か赤色で、うろこ状のかさつき(鱗屑)を伴う不規則な形の領域として生じます。明るい灰色や褐色になり、触れると硬くデコボコが感じられたり、ザラザラした感じになることもあります。

日光角化症は通常、液体窒素で凍らせたり(凍結療法)、削り取ったり(掻爬)、電流で焼いたりして(電気焼灼術)切除することができます。しかし、病変の数があまりに多い場合は、フルオロウラシル(皮膚に塗って使用できる化学療法薬)を含有する液剤またはクリーム剤を使用することもあります。フルオロウラシルは皮膚に発赤や鱗屑(うろこ状のくず)を引き起こしたり、角化症の部分やその周囲の日光で損傷した部分の皮膚に灼熱感を生じさせたりするため、この治療を行うと、しばしば皮膚の状態が一時的に悪化したように見えます。

イミキモドという薬は、免疫系が皮膚の前がん病変や早期の皮膚がんを認識して破壊する反応を促進する効果があることから、日光角化症の治療に有用です。イミキモドは、およそ12~16週間にわたり皮膚に塗って使用します。インゲノール・メブテート(ingenol mebutate)は、日光角化症の治療薬として2~3日間にわたり皮膚に塗って使用する新しいゲル剤です。インゲノール・メブテートの主な長所は、治療期間が短いことです。イミキモドとインゲノール・メブテートはどちらも、フルオロウラシルで生じるものと同様の発赤、鱗屑(うろこ状のくず)、灼熱感を引き起こします。

別の治療法として光線力学療法があり、これは皮膚に特殊な化学物質を塗ってから腫瘍に人工の光を照射するというものです。この治療法では見た目が日焼けしたような状態になります。光線力学療法の主な利点は、一般的に皮膚の発赤、鱗屑、炎症が起きる期間が短いという点です。

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