ばら色粃糠疹

執筆者:Shinjita Das, MD, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2021年 8月 | 修正済み 2022年 9月
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やさしくわかる病気事典

ばら色粃糠疹(ひこうしん)は、皮膚にばら色ないし淡い黄褐色の小さな斑が鱗屑(りんせつ)を伴って多数生じる病気です。

  • ばら色粃糠疹は、ウイルス感染が原因である可能性があります。

  • 最もよくみられる症状は、かゆみのほか、最初に現れる淡い黄褐色ないしばら色をした1つの大きな円形の斑状の発疹と、それに続いて体幹(胴体)に現れる複数の斑状の発疹です。

  • 診断は症状に基づいて下されます。

  • 通常は治療なしで治りますが、かゆみが軽度の場合は、人工の光や日光にあたることで緩和することもあります。

ばら色粃糠疹の原因は十分に解明されていませんが、ヒトヘルペスウイルス6型、7型、8型の感染が関与している可能性があります。しかし感染性があるとは考えられていません。ばら色粃糠疹は10~35歳の人に最もよく生じ、ばら色粃糠疹は男性より女性に多くみられます。

妊娠中(特に妊娠の最初の15週間)にばら色粃糠疹を発症した女性では、早産死産が生じることがあります。

ばら色粃糠疹の症状

ばら色粃糠疹では、ばら色ないし淡い黄褐色をした直径約2~10センチメートル程度の斑ができ、その斑はヘラルドパッチと呼ばれています。皮膚の色が濃い人では、ばら色や淡い黄褐色があまり目立ちません。この円形または楕円形の部位は通常は体幹(胴体)に生じます。皮疹は先に何の症状も示さず突然現れることもありますが、現れる数日前から、漠然としたけん怠感、食欲不振、発熱、頭痛、ときに関節痛などがみられることもあります。

ばら色粃糠疹(ヘラルドパッチ)
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ばら色粃糠疹ではほとんどの場合、最初にヘラルドパッチと呼ばれる1つの大きな斑が生じ(矢印)、1~2週間以内にこれよりも小さな淡い黄褐色ないしばら色の斑が体幹、腕、脚に生じます。
Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

7~14日で、体の他の部位に多くの同様の、しかし小さめの斑が現れます。これらの続発的に現れる皮疹は体幹にできることが多く、特に脊椎に沿って、また脊椎から放射状にできます。小児では、皮疹は一般に鼠径部やわきの下から始まり、外側に広がっていきます。小児と妊婦では、鱗屑がほとんどまたはまったくみられないこともあります。ばら色粃糠疹では、ほとんどの人が若干のかゆみを感じる程度ですが、かゆみがひどくなる人もいます。

ばら色粃糠疹の診断

  • 医師による評価

ばら色粃糠疹の診断は通常、発疹(特にヘラルドパッチ)の外観に基づいて下されます。

ばら色粃糠疹の予後(経過の見通し)

通常、発疹は特に治療をしなくても5週間以内に消えますが、2カ月以上続く場合もあります。

ばら色粃糠疹の治療

  • かゆみに対して人工の光や日光の照射または外用コルチコステロイド

人工の光や日光を浴びると、発疹が早く消え、かゆみが抑えられる可能性があります。

必要に応じて、かゆみに対する他の標準的な治療法が用いられます(かゆみの治療を参照)。かゆみを緩和するために、皮膚に直接塗る(外用する)タイプのコルチコステロイドを短期間使用することもあります。

コルチコステロイドの内服薬はかゆみが非常に強い場合以外は不要です。

妊婦のばら色粃糠疹に対しては、抗ウイルス薬であるアシクロビルを処方する必要があります。しかし、抗ウイルス薬で治療を行っても、早産や死産のリスクを減らせない場合があります。

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