口囲皮膚炎の正確な原因は不明ですが、コルチコステロイドを外用すること、フッ素を含む飲料水や歯磨き粉を使用すること、またはその両方が原因の候補として考えられています。
この病気は主に小児と妊娠可能年齢の女性に生じます。典型的には、まず鼻の両側から下に伸びる皮膚のしわ(鼻唇溝)から発疹が出現し、口の周囲(口囲)に広がります。眼の周囲や前頭部まで発疹が広がることもあります。
診断
皮膚の診察
口囲皮膚炎は、黒色面皰や白色面皰がみられないことで、 にきび 症状 にきび(ざ瘡)は、顔面や上半身の体幹部に吹き出物などの異常が生じる、ありふれた皮膚の病気です。 にきびは、死んだ皮膚細胞の堆積物や細菌、乾燥した皮脂などが皮膚の毛包をふさぐことによって生じます。 多くの場合、顔面、胸、肩、背中の皮膚に、黒色面皰(めんぽう)、白色面皰、吹き出物、嚢腫(のうしゅ)などの隆起が現れ、ときに膿瘍も生じます。... さらに読む と区別されます。口囲皮膚炎は 酒さ 症状 酒さは、持続性の皮膚の病気で、通常は顔面の中央部に発赤と小さな吹き出物が現れ、皮膚の下の血管がはっきりと見えるようになります。 原因は不明です。 典型的な症状として、頬と鼻に生じる発赤、細い血管が見える、ときに小さな吹き出物などがあります。 診断は、発疹の典型的な外観と最初に症状が現れたときの年齢に基づいて下されます。 特定の食品、アルコール、熱い飲みもの、日光、極端な気温、風、化粧品を避けることで、酒さの悪化を予防できる場合があります... さらに読む
との区別が難しいことがあります。しかし、酒さでは口や眼の周囲に発疹が現れることはありません。口囲皮膚炎ではなく、酒さと診断するには、酒さの他の症状もみられる必要があります。
診断過程では、 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭皮や顔面、髪の生え際、耳の周囲、ときにその他の部位に慢性の炎症が起き、脂ぎった黄色い鱗屑(うろこ状のくず)やフケが生じる病気です。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 原因は不明ですが、皮膚に常在している微生物であるマラセジア Malassezia属の真菌の数が何らかの役割を果たしています。脂漏性皮膚炎が最もよく生じるのは、乳児(通常は生後3カ月)、10代の人、30~70歳の人です。こ... さらに読む や 接触皮膚炎 接触皮膚炎 接触皮膚炎は、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気です。発疹は非常にかゆく、特定の部位に限定され、しばしば境界がはっきりしています。 ( 皮膚炎の概要も参照のこと。) 物質により皮膚の炎症が引き起こされる仕組みは、以下の2つのうちいずれかです。 刺激(刺激性接触皮膚炎) アレルギー反応(アレルギー性接触皮膚炎) さらに読む
など他の種類の皮膚炎の可能性も否定します。
治療
フッ素入りの歯磨き粉やコルチコステロイドの外用薬の使用を避ける
抗菌薬
口囲皮膚炎の人は、フッ素入りの歯磨き粉やコルチコステロイドの外用薬を使用しないようにします。一部の油性の化粧品(特に保湿剤)を使用すると、病状が悪化する傾向がみられるため、それらも使用しないようにします。
医師は抗菌薬のクリームまたはゲルやテトラサイクリン系などの経口抗菌薬を投与します。発疹が消えれば、抗菌薬の使用をやめることができます。これらの抗菌薬で発疹が消失せず、特に重度の場合は、にきび用の薬剤であるイソトレチノイン(isotretinoin)が有用となることがあります。
2歳以上であればピメクロリムス(免疫系を抑制する薬)のクリームを使用することができます。