(かゆみ かゆみ かゆみは非常に不快になることがあります。かゆみは、皮膚科の受診理由として最も一般的なものの1つです。 かゆみがあると、人はかきたくなります。かけば一時的にかゆみは治まりますが、皮膚が傷つくことがあり、ときには、さらなるかゆみが起こったり(かゆみとかくの悪循環)、感染(二次感染と呼ばれます)が起こったりすることもあります。やがて、その部分の... さらに読む と 皮膚の乾燥[乾皮症] 皮膚の乾燥(乾皮症) 乾皮症は通常の皮膚の乾燥です。 ( かゆみも参照のこと。) 正常な皮膚が柔らかくしなやかなのは、水分を含んでいるためです。水分が失われないように、皮膚の一番外側の層には脂が含まれていて、これにより皮膚の深い層の水分の蒸発が抑えられ、水分が保持されます。この脂が失われてしまうと皮膚は乾燥します。皮膚の乾燥は、遺伝性の病気や他の病気を原因とするものではない限りは、乾皮症と呼ばれます。... さらに読む も参照のこと。)
魚鱗癬は重度の皮膚の乾燥の一種で、皮膚に鱗屑が大量に生じます。鱗屑とは、死んだ皮膚細胞が蓄積し、薄く剥がれ、乾燥し、ざらざらになった斑状の領域です。
魚鱗癬は、ただの皮膚の乾燥である 乾皮症 皮膚の乾燥(乾皮症) 乾皮症は通常の皮膚の乾燥です。 ( かゆみも参照のこと。) 正常な皮膚が柔らかくしなやかなのは、水分を含んでいるためです。水分が失われないように、皮膚の一番外側の層には脂が含まれていて、これにより皮膚の深い層の水分の蒸発が抑えられ、水分が保持されます。この脂が失われてしまうと皮膚は乾燥します。皮膚の乾燥は、遺伝性の病気や他の病気を原因とするものではない限りは、乾皮症と呼ばれます。... さらに読む とは異なり、遺伝性の病気として、または他のいくつかの病気や薬によって、皮膚の乾燥が生じる病気です(前者は遺伝性魚鱗癬、後者は後天性魚鱗癬と呼ばれます)。
遺伝性魚鱗癬
遺伝性魚鱗癬(最も多いタイプ)は遺伝子の変異により生じるもので、変異は通常は親から子へと伝わりますが、自然発生的に生じることもあります。遺伝性魚鱗癬は出生時にみられることもあれば、乳児期や小児期に発生することもあります。遺伝性魚鱗癬には様々な種類があります。皮膚にのみ生じるものもあれば、他の臓器に生じる遺伝性疾患の一部に過ぎない場合もあります。
その種類により、鱗屑は細かいこともあれば、大きく厚く、いぼ状であることもあります。鱗屑が手のひらや足の裏にのみ生じることもあれば、体のほとんどの部分を覆うこともあります。水疱を引き起こすものもあり、その場合、細菌に感染しやすくなります。
後天性魚鱗癬
後天性魚鱗癬は、 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの生産が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 甲状腺は、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホル... さらに読む (甲状腺の活動が不十分になった状態)、 リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、 リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、主要な白血球であるBリンパ球およびTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です... さらに読む 、 エイズ 後天性免疫不全症候群(エイズ) ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む など、いくつかの体内の病気が原因で生じることがあります。一部の薬が後天性魚鱗癬を引き起こすこともあります(ニコチン酸、トリパラノール、ブチロフェノンなど)。後天性魚鱗癬は一般的に成人期に発生します。
魚鱗癬の診断
特徴的な鱗屑の発生
遺伝性魚鱗癬については、検査および遺伝専門医への相談
後天性魚鱗癬については、ときに皮膚生検
遺伝性魚鱗癬は、乳児が皮膚に特徴的な鱗屑をもって生まれたり、小児にそのような鱗屑が生じた場合に診断されます。医師は検査を行い、遺伝性魚鱗癬の原因を判断するために遺伝に関する専門医(遺伝専門医)に相談します。
後天性魚鱗癬は、薬を服用したり、体内の病気を発症したりした後に特徴的な鱗屑が生じた場合に診断されます。 皮膚生検 生検 皮膚の病気には、医師が皮膚を観察しただけで特定できるものが数多くあります。全身の皮膚の診察には、頭皮、爪、粘膜の診察も含まれます。ときに、皮膚の一部を詳細に観察するために、手持ち式の拡大鏡やダーモスコープ(拡大レンズと内蔵式のライトを備えた器具)を使用することもあります。 診断につながる特徴としては、皮膚に現れている異常部分の大きさ、形、色、部位に加え、その他の症状や徴候の有無があります。皮膚の異常の広がりを調べるため、しばしば衣服をす... さらに読む を行うこともあり、これにより体内の原因が判明することがあります。
魚鱗癬の治療
保湿剤
後天性魚鱗癬については、原因の治療
遺伝性魚鱗癬については、ビタミンAに関連する処方薬
感染症が生じた場合は、抗菌薬
後天性魚鱗癬については、原因になっている基礎疾患を治療するか、魚鱗癬の原因になっている薬の使用を中止します。他の治療法としては、保湿剤により皮膚の水分を保持することや、皮膚の乾燥を避けることがあります。
ワセリン、鉱物油、サリチル酸、乳酸、乳酸アンモニウム、セラミド、または尿素を含む保湿剤を、入浴後すぐの皮膚がまだ湿っている間に塗ります。余分な保湿剤は、タオルでポンポンとたたくようにして取り除きます。
成人では、プロピレングリコール水溶液を入浴後に患部に塗ると鱗屑を取り除くのに役立ちます。その後、患部をラップやビニール袋で一晩中覆っておきます。この溶液は小児にも1日2回塗ることができますが、ラップは使用しません。
遺伝性魚鱗癬については、レチノイドであるトレチノイン、経口イソトレチノイン、経口アシトレチン(acitretin)など、ビタミンAに関連する物質を含有するクリーム剤または錠剤が、皮膚から大量の鱗屑を落とすのに有用です。
細菌感染症のリスクがある場合は抗菌薬の内服薬を投与することがあります。