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レンサ球菌感染症

(連鎖球菌感染症)

執筆者:

Larry M. Bush

, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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レンサ球菌感染症は、レンサ球菌属 Streptococcusの細菌によって引き起こされる感染症です。これらのグラム陽性の球状細菌(球菌)は、レンサ球菌性咽頭炎、肺炎のほか、創傷、皮膚、心臓弁、血流の感染症など、多くの病態を引き起こします。

  • 種類の異なる菌株が異なった経路で拡大し、例えば、せきやくしゃみ、感染が生じた傷や褥瘡(床ずれ)、経腟分娩(母親から新生児へ)を介して感染します。

  • 咽頭、中耳、副鼻腔、肺、皮膚、皮下組織、心臓弁、血流など、体の様々な部位に感染が生じます。

  • 症状は感染した部位によって異なり、例えば、組織が赤く腫れて痛む、かさぶたを伴う傷、のどの痛み(レンサ球菌咽頭炎)、発疹などがみられます。

  • 診断は症状に基づいて下せる場合もありますが、感染組織のサンプル中で細菌を特定することで確定でき、ときに補助的に画像検査を行います。

  • 抗菌薬の経口投与を行います。重篤な感染症に対しては静脈内投与も行います。

細菌の概要も参照のこと。)

レンサ球菌の多くは、体内や体表に害を生じることなく住み着いています。ある種の菌は、感染を起こすことはあっても、健康な人では症状を引き起こさない場合があります。このような状態の人はキャリア(保菌者)と呼ばれます。

レンサ球菌の種類

レンサ球菌は培養したときの形態と化学的な組成の違いにより、いくつかのグループに分けられます。各グループは特定の種類の感染症を引き起こす傾向があります。人に病気を引き起こす可能性が最も高いグループとしては以下のものがあります。

  • A群レンサ球菌

  • B群レンサ球菌

  • 緑色レンサ球菌

ある1つの菌種(肺炎レンサ球菌 Streptococcus pneumoniae[肺炎球菌])は通常、これらとは別に扱われます(肺炎球菌感染症を参照)。

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レンサ球菌とそれらが引き起こす主な病気

種類

感染部位や状況

病気

A群レンサ球菌

化膿レンサ球菌 Streptococcus pyogenes

耳、鼻、のど

中耳の感染(中耳炎

のどの痛み(レンサ球菌咽頭炎と呼ばれる咽頭炎

皮膚

蜂窩織炎(皮膚直下組織の感染症)

丹毒(蜂窩織炎の表在的な症状)

膿痂疹(皮膚感染症)

創傷感染症

その他

心臓弁の感染症(心内膜炎

胸膜炎

猩紅熱(しょうこうねつ)(現在はまれ)

レンサ球菌感染症の後に起こる病気

糸球体腎炎(腎臓炎症)

B群レンサ球菌

ストレプトコッカス・アガラクティエ Streptococcus agalactiae

成人、特に糖尿病がある場合

膿瘍

蜂窩織炎

創傷感染症

糖尿病に起因する足の感染症(ときに骨も)

新生児の場合

血液の感染

肺炎

出産後の女性

血液の感染

子宮の感染(子宮内膜炎)

緑色レンサ球菌

種々の菌株

う蝕(虫歯)

先天性心疾患やリウマチ熱などの病気によってすでに障害を受けていた心臓弁への感染症(心内膜炎)

レンサ球菌感染症の拡大

A群レンサ球菌は、以下の方法で広がります。

  • 感染者がせきやくしゃみをしたときに鼻や咽頭から飛んだ分泌液の飛沫を吸入する

  • 感染した皮膚の傷やただれに触れる

ほとんどの場合、細菌は通常の接触では拡大しませんが、学生寮、学校、軍の兵舎といった人が密集した環境で広がることがあります。抗菌薬の投与から24時間以上経過した後であれば、他者に感染させることはありません。

B群レンサ球菌は経腟分娩時に腟の分泌液を介して新生児に感染します。

緑色レンサ球菌は健康な人の口の中に存在していますが、血流へ侵入して心臓弁に感染することがあります(心内膜炎)。これは特に、歯肉炎がある場合に起こりやすい感染です。

症状

症状は、以下のように感染した部位により様々です。

  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん):感染が生じた皮膚が赤くなり、皮下の組織が腫れ、痛みを伴います。

  • 膿痂疹(のうかしん):通常、かさぶたと黄色い痂皮(かひ)を伴うただれができます。

  • 壊死性筋膜炎筋肉を覆う結合組織(筋膜)が感染します。急な悪寒、発熱、重度の痛みと圧痛が感染部位にみられます。感染症が重症化するまでは皮膚は正常に見えることがあります。

  • レンサ球菌咽頭炎この感染症は通常5~15歳の小児に起こります。3歳未満でのレンサ球菌咽頭炎の発症はまれです。症状は突然始まることが多く、のどが痛くなります。小児にはまた、悪寒、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、全身のだるさ(けん怠感)がみられることもあります。のどは真っ赤になり、扁桃は腫れ、膿の斑点がみられる場合があります。通常は首のリンパ節に腫れと圧痛がみられます。しかし、3歳以下の小児では、これらの症状が起こらず、鼻水しかみられないことがあります。のどの痛みを訴える患者に、せきや目の充血、声がれ、下痢、鼻づまりがみられる場合は、レンサ球菌ではなくウイルスの感染が原因と考えられます。

  • 猩紅熱:(しょうこうねつ)発疹がまず顔に現れ、それが体幹や腕や脚に広がります。発疹に触れると、目の粗い紙やすりのように感じられます。発疹は、脚と体幹の間の屈曲部など、皮膚がこすれ合う部分で悪化します。発疹が治まると、皮膚が剥がれてきます。黄色味がかった白い膜で覆われた赤い隆起が舌に発生します。やがてこの膜は剥がれ、舌が真っ赤になります(イチゴ舌)。

猩紅熱は今日ではまれですが、依然として集団発生が起こっています。学校や保育所など、人の間で濃厚な接触がある環境で広がりやすい傾向があります。猩紅熱は主に小児に発生し、通常はレンサ球菌咽頭炎の後に起こりますが、レンサ球菌による皮膚感染症の後に起こることもあります。

レンサ球菌感染症の合併症

レンサ球菌感染症を治療しないでいると、合併症が発生する可能性があります。一部の合併症は、感染が周辺の組織に広がることで起こります。例えば、耳の感染が副鼻腔に広がって副鼻腔炎を起こしたり、乳様突起(耳の後ろで隆起している骨)に広がって乳様突起炎を起こしたりします。

遠く離れた臓器に影響を及ぼす合併症もあります。例えば、腎臓に炎症(糸球体腎炎)が生じたり、リウマチ熱が発生したりします。

毒素性ショック症候群 は、発熱、発疹、危険な低血圧、複数の臓器不全など、進行が速い重度の症状を引き起こします。これは、A群レンサ球菌または黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusが作る毒素によって引き起こされます。

診断

  • レンサ球菌咽頭炎には、迅速な検査とのどから採取したサンプルの培養検査

  • 蜂窩織炎と膿痂疹には、多くの場合、医師による評価

  • 壊死性筋膜炎には、画像検査(CT検査など)、培養検査、しばしば検査目的の手術(試験切開)

レンサ球菌感染症の診断法は、病気の種類によって異なります。

レンサ球菌咽頭炎

以下の症状がみられる場合、医師はレンサ球菌咽頭炎を疑います。

  • 発熱

  • 首のリンパ節の腫れと圧痛

  • 扁桃内部や表面の膿

  • せきがみられないこと

レンサ球菌咽頭炎を診断する主な理由は、抗菌薬の使用による合併症が(リウマチ熱など)発生する可能性を下げるためです。A群レンサ球菌咽頭炎の症状は、ウイルスによる咽頭の感染症に類似している場合が多い(加えて、ウイルス感染症は抗菌薬で治療すべきでない)ため、診断を確定して感染症の治療法を決定するには、のどから採取したサンプルの培養検査(咽頭培養)やその他の検査が必要です。

いくつかの診断用検査(迅速検査と呼ばれます)は数分で完了します。そのような検査のために、のどから綿棒でサンプルを採取します。この結果で感染が確認され(陽性結果)、レンサ球菌咽頭炎の診断を確定できる場合は、時間のかかる咽頭培養検査は行われません。ただし、感染があっても迅速検査で検出できないこともあります(偽陰性結果と呼ばれます)。小児と青年で陰性の結果が出た場合には、培養検査が必要です。のどから綿棒で採取したサンプルを検査室で培養します。A群レンサ球菌がいれば、一晩で増殖します。成人ではレンサ球菌感染症とリウマチ熱の発生リスクが非常に低いために、検査結果が陰性であれば培養検査による確認は行われません。

A群レンサ球菌が特定されたら、その菌に効果を示す抗菌薬を調べる検査(感受性試験)を行うことがあります。

症状がみられるか、レンサ球菌感染症による合併症を起こしたことがある人は、レンサ球菌感染症の発症者との濃厚な接触がなかったかを確認するべきです。

知っていますか?

  • のどの痛みがレンサ球菌感染症によるものか、ウイルスによるものかは、医師でも見ただけでは判断できません。

蜂窩織炎と膿痂疹

蜂窩織炎や膿痂疹については、多くの場合は症状に基づいて診断しますが、膿痂疹から採取したサンプルを培養すると、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusなど他の原因菌を特定する助けになる場合がよくあります。

壊死性筋膜炎

壊死性筋膜炎の診断では、培養検査とともに、X線検査、CT検査、またはMRI検査がよく行われます。診断を確定するために、しばしば検査目的の手術(試験切開)が必要になります。

治療

  • 抗菌薬(通常はペニシリン)

  • 壊死性筋膜炎には、壊死した組織を切除する手術

レンサ球菌咽頭炎

レンサ球菌咽頭炎は治療しなくても、通常は1~2週間以内に回復します。

抗菌薬は幼児の症状が続く期間を短縮しますが、青年や成人の症状には中程度の効果しかありません。しかし抗菌薬を使用すると、中耳、副鼻腔、乳様突起の感染症や他の人への感染拡大を予防できます。抗菌薬による治療はリウマチ熱を予防する効果もありますが、腎臓の炎症(糸球体腎炎)は予防できません。通常、抗菌薬はすぐに使用しなくてもかまいません。培養検査が出るまで1日か2日、抗菌薬の開始を遅らせても、リウマチ熱のリスクは上昇しません。例外は、家族がリウマチ熱にかかっているか、家族にリウマチ熱の病歴がある場合です。その場合は、その家族にみられるすべてのレンサ球菌感染症に対して、できるだけ速やかに治療を行う必要があります。

通常はペニシリンまたはアモキシシリンを10日間、経口投与します。代わりに長時間作用型のペニシリン(ベンジルペニシリンベンザチン)の単回注射を行う治療法もあります。ペニシリンを使用できない患者には、エリスロマイシンかクラリスロマイシン、またはクリンダマイシンを経口で10日間、もしくはアジスロマイシンを5日間使用します。

これまでのところ、レンサ球菌咽頭炎を起こす菌はペニシリンに対する耐性をもっていません。米国では、こうした細菌の5~10%がエリスロマイシンやそれに関連する薬(アジスロマイシンとクラリスロマイシン)に対する耐性をもっていますが、10%以上の菌が耐性を示す国もあります。

発熱、頭痛、のどの痛みには、痛みと発熱を軽減するアセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などの解熱鎮痛薬を使います。しかし、ライ症候群のリスクを高めるため、小児にはアスピリンを投与すべきではありません。

安静や隔離の必要はありません。

その他のレンサ球菌感染症

抗菌薬による治療を迅速に行えば、レンサ球菌感染症が急速に広がって血液や内臓にまで拡大するのを阻止することができます。そのため、蜂窩織炎は、その原因菌を特定する培養を行わずに治療が開始されることがよくあります。そのような場合、医師はレンサ球菌とブドウ球菌の両方に有効な抗菌薬(ジクロキサシリンやセファレキシンなど)を使用します。

重篤なレンサ球菌感染症(壊死性筋膜炎、心内膜炎や重度の蜂窩織炎など)には、ペニシリンを単独または他の抗菌薬と併用で静脈内に投与します。

壊死性筋膜炎の患者は集中治療室(ICU)で治療されます。壊死性筋膜炎の場合は、感染して壊死した組織を手術で切除する必要があります。

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