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ジフテリア

執筆者:

Larry M. Bush

, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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ジフテリアは、ジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriaeという棒状のグラム陽性細菌による上気道の感染症で、死に至ることもある病気です。一部の種類のジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriaeは、強力な毒素を出して心臓、腎臓、神経系に損傷を与えます。

  • 細菌感染によって発症し、現在、先進国ではまれにしかみられません。

  • 典型的な症状としては、のどの痛み、全身のだるさ、リンパ節の腫れを伴うことのある発熱、のどにできる灰色で粘り気のある偽膜などがあります。

  • 診断は、のどの痛みと偽膜形成などの症状に基づいて下されます。

  • この感染症の予防にはワクチン接種が役立ちます。

  • 発症した小児は入院させ、抗菌薬を投与して感染症を根治させます。

細菌の概要も参照のこと。)

ジフテリアは、かつては小児の死亡原因の上位にありましたが、今日の先進国では、主としてワクチン接種の普及により、めったにみられなくなりました。例えば米国ではジフテリアの発症は毎年5例未満ですが、ジフテリア菌は今も世界に存在しており、ワクチン接種を十分に行わなければ大発生するおそれがあります。ジフテリアはアフリカ、南米(特にベネズエラ)、南アジア、東南アジア、中東の多くの国やハイチ、ドミニカ共和国で多く発生しています。

知っていますか?

  • 先進国では、定期予防接種のおかげでジフテリアの発生が非常に少なくなっています。

ジフテリアを起こす細菌は、通常はせきをした際に空気中に飛び散る飛沫によって広がり、通常は口やのどの粘膜表面またはその近くで増殖し、炎症を起こします。ジフテリアのこの病型は、呼吸器ジフテリアと呼ばれます。

一部の種類のジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriaeは、強力な毒素を出して心臓、腎臓、神経系に損傷を与えます。

皮膚症状だけが現れる軽症型のジフテリアは主として成人に発症し、ホームレスなどの不十分な衛生状態で暮らす人々によくみられます。感染した皮膚潰瘍との接触を介して広がります。

症状

ジフテリアは細菌に接触してから数日(平均5日)で始まり、のどの痛み、ものを飲み込むときの痛み、声がれ、全身のだるさ(けん怠感)、発熱(約38~38.9℃)などの症状が数日のうちに現れます。心拍数の上昇、吐き気、嘔吐、悪寒、頭痛もみられることがあり、首のリンパ節が腫れる場合もあります(ブルネック[牛頸]と呼ばれます)。また、炎症のためにのどが腫れて気道が狭くなり、呼吸が極めて困難になる症例もみられます。

扁桃付近または咽喉の他の部分に偽膜が形成されます。この膜は、細菌が作り出す物質でできた丈夫な灰色のシートのようなもので、死んだ白血球、細菌、その他の物質で構成されています。偽膜によって気道が狭くなります。また、口腔の天井部である口蓋(こうがい)が麻痺して、息を吸う際に、あえぐような大きな音がすることがあります。また、偽膜は気管または気道内まで進展したり、突然剥がれて気道を完全に塞いだりすることがあります。その結果、呼吸ができなくなることもあります。

特定の種類のジフテリア菌が作る毒素が、ときに特定の神経、特に顔、のど、腕や脚の筋肉に向かう神経に害を与えるため、ものを飲み込みにくくなる(嚥下困難)、眼や腕、脚を動かしにくくなるなどの症状が起こります。横隔膜(呼吸に使われる最も重要な筋肉)が麻痺し、ときには呼吸不全に至ることがあります。これらの症状が治まるには数週間かかります。また、細菌の毒素によって心筋炎(心臓の筋肉の炎症)が起きることもあり、ときに不整脈や心不全を起こし、死に至る場合もあります。

重度の感染症は腎臓を損傷したり、高血圧を引き起こしたりすることもあります。

ジフテリアが皮膚のみを侵している場合、様々な見た目のただれが生じます。これらは腕と脚にみられ、湿疹、乾癬(かんせん)、膿痂疹(のうかしん)などの皮膚疾患と類似しています。少数の人では、ただれた部分が治癒しません。ただれた部分は痛みがあったり、赤かったり、じくじくしていたりします。

ジフテリアの画像

全体として約3%のジフテリア患者が死亡します。次の場合には、死亡のリスクが増大します。

  • 医師の診察を受けるのが遅れた場合

  • 心臓または腎臓がジフテリアに侵された場合

  • 15歳未満の小児または40歳以上の人がジフテリアにかかった場合

診断

  • 感染部位から採取したサンプルの培養検査

  • 心臓がジフテリアに侵されていることが疑われる場合は、心電図検査

具合の悪い小児に偽膜の形成とのどの痛みがみられる場合、特に口蓋が麻痺しているか、その小児がワクチン接種を受けていない場合は、ジフテリアが疑われます。小児ののどからサンプルを採取して、検査室で細菌を増殖させる検査(培養検査)を行い、診断を確定します。

心臓が侵されている疑いがある場合は、心電図検査を行います。

呼吸器ジフテリアの流行中に皮膚のただれがみられる場合は、皮膚ジフテリアを疑います。診断を確定するために、ただれている部分からサンプルを採取し、検査室で細菌を増殖させる培養検査を行います。

予防

小児にはジフテリアの予防接種が通常行われます( 乳児と小児のための定期予防接種)。ジフテリアワクチンは通常、破傷風に対するワクチンと百日ぜきに対するワクチンと混合します。初回の予防接種スケジュールが完了した後は、10年毎にジフテリアに対する追加接種(破傷風との混合)を行います。

ワクチンの接種を完了していない人や前回の接種から5年以上が経過した人がジフテリアにさらされる場合は、追加接種を行います。

ジフテリア菌にさらされた後の対応

ジフテリア感染者と濃厚な接触があった人には、感染状態を調べる検査と抗菌薬の7日間の投与を行います。また、血液と感染組織のサンプルを検査室に送って、細菌を増殖させる検査(培養検査)を行います。サンプル中にジフテリア菌が特定されたら、対象者はさらに7日間(計14日間)抗菌薬を服用しなければなりません。

治療

  • ジフテリア抗毒素

  • 抗菌薬

小児に呼吸器ジフテリアの症状がある場合、通常は集中治療室に入院させ、ジフテリア毒素を中和するための抗体(抗毒素)を注射します。また、ジフテリア菌を殺すためにペニシリンやエリスロマイシンなどの抗菌薬も投与します。抗菌薬の投与は14日間続けますが、抗菌薬の投与終了後に細菌培養検査を2回行って細菌が死滅したことを確認できるまでは、隔離を続けなければなりません。これは他の人がジフテリア菌を含んだ分泌物に接触しないようにするための措置です。

皮膚ジフテリアの場合は、石けんと水でただれた部分を十分に洗浄し、抗菌薬を10日間投与します。

重度の感染症から回復するには時間がかかります。そのため、元の生活に戻るのを急がないようにするべきです。心臓がジフテリアに侵された場合は、通常の運動でも害になることがあります。

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