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ヒストプラズマ症

執筆者:

Sanjay G. Revankar

, MD, Wayne State University School of Medicine

医学的にレビューされた 2019年 9月
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本ページのリソース

ヒストプラズマ症は、ヒストプラズマ・カプスラツム Histoplasma capsulatumという真菌によって引き起こされる感染症です。主に肺に生じますが、全身に広がることもあります。

  • ヒストプラズマ症は、この真菌の胞子を吸い込むことで起こります。

  • 多くの人では症状が出ませんが、体調が悪くなったり、発熱やせき、ときには呼吸困難が生じる人もいます。

  • また感染症が広がって肝臓、脾臓(ひぞう)、リンパ節が腫れたり、ほかの臓器に損傷が生じることもあります。

  • 診断は、組織と体液のサンプルを培養して観察する検査の結果に基づいて下されます。

  • 抗真菌薬による治療が必要かどうかは感染症の重症度によります。

ヒストプラズマ症は、米国東部および中西部(特にオハイオ川とミシシッピ川の流域)で特に多くみられる感染症です。南部の州で発生することもあります。ヒストプラズマ症は中南米、アフリカ、アジア、オーストラリアの一部でも発生しています。コウモリが生息する洞窟に関連した集団発生が、フロリダ州、テキサス州、プエルトリコで発生しています。

ヒストプラズマ Histoplasmaは、鳥やコウモリの糞に汚染されている土壌やほこりの中で最もよく生育します。養鶏業者、建設作業員、洞窟探検の愛好家やその他の土を扱う作業に従事する人は、特にヒストプラズマ Histoplasmaの胞子を吸い込みやすいといえます。空気中に胞子が飛散するような作業(鳥やコウモリが生息している地域の建設現場での樹木の伐採や建物の撤去など)や、洞窟を探索する場合に、感染のリスクが最も高くなります。

ヒストプラズマ Histoplasmaに感染しても、ほとんどの人では症状が出ません。多数の胞子を吸い込んだ場合は、重症化することがあります。

病型

ヒストプラズマ症には主に3つの病型があります。

  • 急性肺ヒストプラズマ症:この感染症の初期にみられる病型です。肺に発生し、通常はそこにとどまります。

  • 進行性播種性ヒストプラズマ症:免疫系の機能が弱っていたり免疫系が未成熟な場合に、肺の感染が血流を介して、脳、脊髄、肝臓、脾臓、リンパ節、副腎、消化器系、骨髄など、体のほかの部位に広がり(播種され)ます。この型は、健康な成人にはめったに起こりません。通常は、栄養不良の状態にある乳児または幼児か、エイズやコルチコステロイドなどの免疫機能を抑制する薬のために免疫機能が低下している人に起こります(真菌感染症の危険因子 真菌感染症の危険因子 真菌感染症の危険因子 )。

  • 慢性空洞性ヒストプラズマ症:数週間かけて、肺に1つまたは複数の空間(空洞)ができます。この感染症は肺からほかの部位には広がりません。

症状

症状はヒストプラズマ症の病型によって異なります。

急性肺ヒストプラズマ症

胞子を吸い込んでから通常3~21日で症状が現れます。体調が悪くなったり、熱やせきが出たり、インフルエンザにかかったように感じることがあります。通常、治療しなくても2週間もすれば症状は消え、6週間以上続くことはまれです。

多くの胞子を吸い込んだ人は、肺炎になることがあります。その場合は、激しい息切れが起こり、病状が数カ月間続くことがあります。

急性肺ヒストプラズマ症で死に至ることはほとんどありませんが、エイズ患者などの免疫機能が低下している人では重篤なことがあります。

進行性播種性ヒストプラズマ症

最初は漠然とした症状が出ます。疲労感、脱力、全身のだるさ(けん怠感)が現れることがあります。症状の悪化は非常にゆっくりなことも、急激なこともあります。

肺炎を発症することがありますが、エイズ患者以外ではめったに重症化しません。まれに 髄膜炎 亜急性および慢性髄膜炎 亜急性慢性髄膜炎は、髄膜(脳と脊髄を覆う組織層)とくも膜下腔(髄膜と髄膜の間の空間)に数日から数週間で炎症が起きる病気です。慢性髄膜炎は、緩やかに進行する髄膜炎が4週間以上にわたり続く場合です。 炎症を引き起こす多くの感染症や病気が、慢性髄膜炎の原因になる可能性があります。 免疫機能が低下していると、慢性髄膜炎のリスクが高まります。 症状は通常、急性細菌性髄膜炎のもの(頭痛、発熱、項部硬直)に似ていますが、それ以外に錯乱、難聴、複視がみ... さらに読む (脳と脊髄を覆う組織の炎症)が起こり、頭痛や項部硬直が生じます。肝臓、脾臓、リンパ節が腫れることがあります。それほど多くはありませんが、口の中や腸に潰瘍(かいよう)ができることもあります。まれなケースでは、副腎が損傷を受けて アジソン病 アジソン病 アジソン病は副腎機能の低下によって、副腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 アジソン病の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。 ナトリウムとカリウムの血中濃度と、コルチゾール値および副腎皮質刺激ホルモンの値の測定によって診断されます。... さらに読む アジソン病 を発症することがあります。

治療しなければ、この型の患者の90%以上が死に至ります。エイズ患者は、治療を受けても急速に死に至ることがあります。

慢性空洞性ヒストプラズマ症

これは肺の感染症で、数週間かけて徐々に進行し、せきが出て、呼吸がだんだん苦しくなっていきます。症状は体重減少、寝汗、軽度の発熱、全身のだるさ(けん怠感)などです。

ほとんどの場合、治療しなくても2~6カ月で回復します。ただし、呼吸困難が悪化の一途をたどることがあり、またときには大量の喀血が生じる場合があります。肺組織が破壊され、瘢痕(はんこん)組織が形成されます。こうした肺の損傷や細菌による肺感染症が起こると、やがて死に至ることがあります。

診断

  • 組織または体液サンプルの培養と観察

  • ときに血液検査と尿検査

  • 胸部X線検査

ヒストプラズマ症の診断を下すには、たん、尿、血液、口の中の潰瘍(発生している場合)のサンプルを採取します。観察用の管状の機器(気管支鏡 気管支鏡検査 気管支鏡検査とは、気管支鏡(観察用の管状の機器)を用いて発声器(喉頭)や気道を直接観察することです。 気管支鏡の先端にはカメラが付いていて、これによって太い気道(気管支)から肺の内部を観察できます。医師は、気管支鏡に小さな器具を通し、肺や気道組織のサンプルを採取して、肺疾患の診断や一部の肺疾患の治療に役立てることもできます。気管支鏡には、柔軟なもの(軟性気管支鏡)と硬いもの(硬性気管支鏡)があります。気管支鏡によるほとんどの処置(特に診... さらに読む 気管支鏡検査 )を使用して肺からサンプルを採取したり、生検を行って肝臓、骨髄、リンパ節からサンプルを採取することもあります。これらのサンプルを検査室で培養して観察する検査を行います。尿と血液を検査して、この真菌が放出するタンパク質(抗原 免疫系の概要 )を調べることもあります。真菌の遺伝物質(DNA)を特定する検査を行うこともあります。

さらに、胸部X線検査で肺感染症の証拠がないか調べます。

まれな種類の感染症の場合は、診断(と治療)に感染症の専門家の支援が必要になることがあります。

予後(経過の見通し)

急性原発性ヒストプラズマ症は、ほとんどの場合、治療をしなくても治ります。慢性空洞性ヒストプラズマ症は死に至る可能性があります。進行性播種性ヒストプラズマ症は治療しなければ死亡率が90%を超えます。

治療

  • 抗真菌薬

急性肺ヒストプラズマ症で、それ以外は健康な人では、薬物治療が必要になることはまれです。しかし、1カ月が経過してもよくならなければ、しばしば内服のイトラコナゾールが処方されます。重度の肺炎を発症した患者には、アムホテリシンBの静脈内投与を行った後、イトラコナゾールを投与します。

進行性播種性ヒストプラズマ症には治療が必要です。重症の場合は、アムホテリシンBの静脈内投与に続いて、イトラコナゾールを経口で投与します。軽症の場合は、イトラコナゾールのみを使用します。

慢性空洞性ヒストプラズマ症では、イトラコナゾール、重篤な場合はアムホテリシンBにより真菌の根絶が可能です。ただし、感染で生じた破壊を治療によって元に戻せるわけではありません。このため、ほとんどの人に 慢性閉塞性肺疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患は、気道が狭くなる状態(閉塞)が持続する病気で、肺気腫や慢性閉塞性気管支炎、またはその両方に伴って発生します。 この病気の原因として最も重要なのは、紙巻タバコの喫煙です。 この病気になると、せきが出て、やがて息切れが現れます。 診断は、胸部X線検査と肺機能検査によって下されます。... さらに読む 慢性閉塞性肺疾患(COPD) で生じるような呼吸の問題が残ります。したがって、できるだけ早く治療を開始して、肺の損傷を最小限にとどめる必要があります。

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