ポリペプチド系は、数種類の感染症の治療に使用される 抗菌薬 抗菌薬の概要 抗菌薬は 細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は微生物を殺すか、その増殖を止めることによって、体に 自然に備わっている防御機構 が微生物を排除するのを助けます。 抗菌薬は特定の細菌感染症に対して使用します。しかし、... さらに読む のクラスです。ポリペプチド系薬剤としては以下のものがあります。
バシトラシン
コリスチン
ポリミキシンB
多くの細菌は自らを守るための外壁(細胞壁)をもっています。バシトラシンは、細菌がこの壁を作るのを妨げることによって作用します。コリスチンとポリミキシンBは、一部の細菌で細胞壁の下に存在する細胞膜を破壊することによって作用します。それにより細菌は死滅します。
バシトラシンは、主に黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusによる 表在性の皮膚感染症 皮膚細菌感染症の概要 皮膚は、細菌感染を防ぐ非常に優秀なバリアとしての役目を果たしています。皮膚には外界の様々な細菌が接触するほか、元から皮膚に生息している細菌も多くいますが、正常な状態では、これらの細菌の感染が成立することはありません。皮膚細菌感染症が起きた場合、その範囲は小さな点状のものから、体表面全体に及ぶものまで様々です。重篤さの程度も、害のないものか... さらに読む の治療に使用されます。皮膚に直接塗って使用します(外用)。
コリスチンとポリミキシンBは一般に腎障害を引き起こすため、他のすべての抗菌薬に耐性をもつ細菌による重篤な感染症で、より安全な代替薬がない場合にのみ使用されます。コリスチンまたはポリミキシンBを使用する場合は、静脈内投与します。場合によっては、コリスチンをネブライザーで吸入させることもあります。
(抗菌薬の概要 抗菌薬の概要 抗菌薬は 細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は微生物を殺すか、その増殖を止めることによって、体に 自然に備わっている防御機構 が微生物を排除するのを助けます。 抗菌薬は特定の細菌感染症に対して使用します。しかし、... さらに読む も参照のこと。)
妊娠中や授乳期間中のポリペプチド系薬剤の使用
バシトラシンは外用薬であり、血液中にはほとんど 吸収 薬の吸収 薬の吸収とは、投与後に薬が血液中に移動することです。 ( 薬の投与と薬物動態に関する序も参照のこと。) 吸収は、どれほど速くどれだけの量の薬が、対象とする標的部位に届くかを意味する生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)に影響します。吸収(そしてその結果としての生物学的利用能)に影響する要因としては、以下のものがあります。 薬を設計し製造する方法 薬の物理的および化学的な性質 さらに読む されないことから、妊娠中の胎児へのリスクや授乳期間中の新生児へのリスクはわずかであると考えられています。しかし、安全性が確立されているわけではありません。ポリミキシンBとコリスチンの外用についても同様です。
妊娠中にポリミキシンBやコリスチンを注射で投与するのは、治療による効果がリスクを上回る場合だけに限定するべきです。ポリミキシンBについては、動物を対象とした研究で胎仔に対する有害な影響は認められていませんが、妊婦を対象とする適切なデザインに基づく研究は実施されていません。コリスチンについては、動物を対象とした研究で胎仔に対する有害な影響が認められています。(妊娠中の薬の使用 妊娠中の薬の使用 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。病気や症状の治療に使用された薬剤が原因で発生... さらに読む も参照のこと。)
ポリミキシンBやコリスチンを授乳期間中に注射で投与しても安全かどうかは不明です。(授乳期間中の薬の使用 授乳期間中の薬の使用 授乳期間中に母親が薬剤を使用しなければならなくなると、授乳をやめるべきかどうか迷います。答えは以下の条件によって変わってきます。 母乳に移行する薬剤の量 薬剤が乳児に吸収されるかどうか 薬剤は乳児にどのような影響を与えるか 乳児の哺乳量はどのくらいか(乳児の月齢と母乳以外の食事や水分の摂取量により異なる) さらに読む も参照のこと。)