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感染症の診断

執筆者:

Kevin C. Hazen

, PhD, Duke University Health System

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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感染症は、細菌 細菌の概要 細菌は、顕微鏡でようやく見える程度の単細胞生物です。この地球上で最も初期の段階から存在する生命体の1つです。数千種類の細菌が存在し、世界中のあらゆる環境に生息しています。土壌、海水、地中深くはもちろん、放射性廃棄物の中で生きている細菌すら報告されています。多くの細菌が、宿主に害を与えずに、人間や動物の皮膚、気道、口の中、消化管、尿路や生殖... さらに読む ウイルス ウイルス感染症の概要 ウイルス感染症は、ウイルスを飲み込んだり、吸い込んだり、虫に刺されたり、性的接触を通じて感染することがあります。 ウイルス感染症で最もよくみられるのは、鼻、のど、上気道に生じるものです。 診断は、症状、血液検査と培養検査、感染組織の検査に基づいて下されます。 抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を妨いだり、ウイルス感染症に対する免疫反応を強化す... さらに読む 真菌 真菌感染症の概要 真菌の胞子は空気中や土壌中に存在することが多いため、真菌感染症は通常は肺や皮膚から始まります。 免疫機能が低下していない限り(通常は薬や病気によって生じる)、重篤な真菌感染症はまれです。 この感染症は通常はゆっくり進行します。 抗真菌薬は、感染部位に直接塗ることもあり、重篤な場合は、内服や注射で投与する場合もあります。... さらに読む 寄生虫 寄生虫感染症の概要 寄生虫感染症は開発が進んだ地域よりも開発途上の地域や農村部で多くみられます。 開発が進んだ地域では、寄生虫感染症は移民や帰国した旅行者、免疫機能が低下している人に起こります。 通常、寄生虫は口か皮膚から人体に侵入します。 医師は感染を診断するときに、血液、便、尿、たんや、その他の感染組織のサンプルを採取し、検査室へ送って調べてもらいます。... さらに読む などの微生物 感染症を起こす微生物の種類 微生物とは、細菌やウイルスなど、ごく小さな生物のことです。微生物はどこにでも存在しています。その数は驚くほど多いものの、人間の体内に侵入して増殖し、病気を引き起こすのは、数千種類ある微生物のうちの比較的少数に限られています。 微生物の多くは皮膚の表面や口、上気道、腸、性器(特に腟[ちつ])内に、病気を起こすこともなく定着しています(... さらに読む によって引き起こされます。

医師は、患者の症状や身体診察の結果、危険因子に基づいて感染症を疑います。まず、患者がかかっている病気が感染症であり、他の種類の病気ではないことを確認します。例えば、せきが出て、呼吸が苦しいと訴える人は、肺炎(肺の感染症)の可能性があります。また、喘息や心不全(これらの病気は感染が原因ではありません)である可能性もあります。このような人には、胸部X線検査を行うことで、肺炎なのか、それ以外の病気なのかを判別する手がかりが得られます。

患者の病気が感染症であると確定したら、次に感染症の原因になっている微生物を特定する必要があります。多種多様な微生物が同じ感染症を引き起こすことがあります。例えば、肺炎はウイルスや細菌が原因の場合もあれば、まれに真菌が原因の場合もあります。治療法は微生物毎に異なります。

様々な臨床検査で微生物を特定できます。臨床検査では、血液、尿、たんなどの体液や組織のサンプルを採取し、次のような分析を行います。

1つの検査ですべての微生物を特定できるわけではなく、ある微生物の特定に適した検査が、他の微生物の特定には適さないことも多々あります。医師は、病気を引き起こしていそうな微生物を考慮して、実施する検査を選ぶ必要があります。

ときには、数種類の検査を特定の順番で、前の検査結果を踏まえながら実施していきます。こうして個々の検査で可能性を絞り込んでいきます。適切な検査が行われなければ、感染症の原因を特定できないこともあります。

検査用サンプル

まず、感染の原因と思われる微生物が存在する可能性が高い部位からサンプルを採取します。サンプルには次のようなものがあります。

  • 血液

  • たん

  • 尿

  • 便

  • 組織

  • 脳脊髄液

  • 鼻、のど、陰部から得られた粘液

たんや便、または鼻やのどをぬぐって採取した粘液などのサンプルを検査に出しますが、これらのサンプルには、病気を引き起こさない細菌も多く含まれています。医師はこうした細菌と病気を引き起こしている可能性のある細菌を区別する必要があります。

また、尿や血液、髄液(脳と脊髄の周囲を流れている液体)など、正常なら微生物が存在しない(無菌)はずのサンプルも採取します。このようなサンプルでは、汚染を防ぐためにその部位を消毒してからサンプルを採取している限り、細菌が見つかることは異常です。

染色と顕微鏡による観察

医師が顕微鏡で観察するだけで、微生物を特定できることもあります。

ほとんどのサンプルには染色を施します。染色では特殊な色素を使用して微生物に色をつけ、背景から際立たせるようにします。一部の微生物は大きさや形状、染色したときの色が特徴的で、医師はそれらを手がかりに微生物を識別できます。

ただし、多くの微生物は互いによく似ていて、顕微鏡でも区別できません。さらに、十分な数が存在し、顕微鏡で確認できる程度に大きくなければ認識できません。例えば、ウイルスは小さすぎて顕微鏡では見分けがつきません。

細菌の場合、医師はよく最初にグラム染色(紫色の染色)を行います。細菌は以下のように分類されます。

  • グラム陽性(紫色のグラム染色に染まって青く見える)

  • グラム陰性(染色されず赤く見える)

医師は、細菌がグラム陽性か陰性かに基づいて、治療法を決定することができます。

存在していそうな微生物の種類によって、グラム染色に加え、別の染色法が用いられることもあります。

微生物の培養検査

多くの場合、サンプルに含まれている微生物の量が少なすぎて、顕微鏡で観察できず、他の検査でも特定できない場合があります。そこで通常は培養検査を行います。これは検査室で微生物を増殖させることで、その種類を特定する検査法です。

滅菌したシャーレ(平らな皿)や試験管に微生物の増殖を促す特定の栄養素を入れて、そこにサンプルを加えます。感染を引き起こしていることが疑われる微生物の種類によって、異なる栄養素を用います。しばしば、疑われる病気を引き起こすことのない微生物を増殖させないように、このシャーレや試験管に特定の物質を追加します。

尿路感染症や咽喉炎を引き起こす細菌など、多くの微生物は培養により簡単に増殖します。しかし、梅毒の原因菌など、一部の細菌はまったく培養できません。また、結核菌のように、培養はできるものの、増殖に数週間を要する細菌もあります。ウイルスは培養できるものもありますが、多くのウイルスはできません。

微生物を培養した後、微生物を特定し、抗菌薬への感受性を調べる試験を行います。

微生物の抗菌薬に対する感受性試験

医師は多様な微生物にどの抗菌薬が有効かを広く把握していますが、微生物はかつて有効だった抗菌薬に対する耐性 抗菌薬に対する耐性 抗菌薬は細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は微生物を殺すか、その増殖を止めることによって、人体のもつ自然の防御機構が微生物を排除するのを助けます。 抗菌薬は特定の細菌感染症に対して使用します。しかし、細菌を特定する検査の結果を待たずして抗菌薬が使用されることもあります。... さらに読む を日々獲得しています。そのため、感受性試験を行うことで、その人に感染している微生物に対して各種の抗菌薬がどのくらい有効かを調べます。この試験は、医師が個々人の感染に対する治療薬を選択するのに役立ちます( 抗菌薬の選び方 抗菌薬の選び方 抗菌薬は細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は微生物を殺すか、その増殖を止めることによって、人体のもつ自然の防御機構が微生物を排除するのを助けます。 抗菌薬は特定の細菌感染症に対して使用します。しかし、細菌を特定する検査の結果を待たずして抗菌薬が使用されることもあります。... さらに読む )。

感受性試験では、培養がよく行われます。増殖させた微生物の培養液に何種類かの抗菌薬を添加して、どの薬剤ならその微生物を排除できるかを調べます。さらに、微生物が抗菌薬にどれほど敏感に反応するか、つまり薬剤で微生物を死滅させるのに少量で済むか、大量に必要かを明らかにします(感受性検査)。通常、検査室で微生物を死滅させるのに多くの量を使用する必要がある薬剤は、治療には使用されません。

感受性試験は(体内ではなく)検査室で行われるため、薬が投与されたときに体内で起こることと常に一致するわけではありません。薬剤の使用者に関係する要因が薬剤の効き目に影響を及ぼすことがあります( 薬に対する反応の概要 薬に対する反応の概要 薬に対する反応は人によって異なります。人がどのようにある薬に反応するかは多くの要因に左右されます。例えば以下のような要因があります。 遺伝的素因 年齢 体の大きさ 他の薬や栄養補助食品(薬用ハーブなど) さらに読む )。具体的には以下のものがあります。

  • 免疫系がどの程度機能しているか

  • 年齢

  • ほかの病気にかかっているかどうか

  • 薬がどのように体に吸収され処理されているか

微生物に対する抗体または微生物の抗原を調べる検査

梅毒の原因菌など、いくつかの微生物は培養することができません。そうした菌による感染を診断する際に、医師は免疫学的検査と呼ばれる様々な検査を行います。このような検査では以下のうちの1つが検出できます。

抗体検査

通常、抗体検査は感染者の血液のサンプルを用いて行います。髄液や他の体液のサンプルを調べる場合もあります。

抗体は、その抗体が作られるきっかけとなった特定の異物(抗原 人間の体には、異物や危険な侵入物から体を守るために、免疫系が備わっています。侵入物には以下のものがあります。 微生物(細菌、ウイルス、真菌など) 寄生虫(蠕[ぜん]虫など) がん細胞 移植された臓器や組織 さらに読む )を認識し標的とします。したがって、個々の抗体は特定の種類(属)の微生物に固有のものです。人が特定の微生物に対する抗体をもっているということは、その人が以前にその微生物にさらされたことがあり、免疫反応が起きるようになったことを意味します。しかし、多くの抗体は感染が治まった後も長く血液中に残るため、ある微生物に対する抗体がみつかったからといって、その時点でも感染しているとは限りません。その抗体は過去の感染の際に作られて残っているだけかもしれないのです。

知っていますか?

  • ある微生物に対する抗体が血液中でみつかっても、その人がまだ感染していることを必ずしも意味するとは限りません。その抗体は過去の感染の際に作られて残っているだけかもしれないからです。

医師はどの感染症の疑いが強いかを考えた上で、数種類の抗体を検査します。抗体の有無だけを確認することもありますが、通常は存在する抗体の量も調べます。量を特定するには、サンプルを半分に薄めて検査し、抗体に対する陽性反応が出たらまた半分に薄めて検査するという操作を、陽性でなくなるまで繰り返します。陰性になるまでに薄めた回数が多いほど、サンプル内の抗体の量も多いということです。

免疫系が検出に十分な量の抗体を作り出すには数日から数週間かかるため、感染症の診断は遅くなることがあります。患者が発症した直後に行われる抗体検査は、多くが陰性です。そのため、医師は早い段階で採取したサンプルに加えて、数週間後にもう一度サンプルをとり、抗体の値が上昇していないか確認します。発症直後の検査では抗体の値が低く、数週間後の検査で上昇していた場合は、その時点で(以前のものではない)感染が生じていることが示唆されます。

抗原検査

抗原は体の免疫反応を引き起こす物質です。微生物は、その表面と中に抗原をもっています。抗原検査によって微生物の存在を直接確認することで、感染した人の体が微生物に反応して抗体を作り出すのを待つことなく、感染症を迅速に診断することができます。また、このような検査は、免疫系によって抗体が十分に作られない人(最近骨髄移植を受けた人やエイズ患者など)でも行うことができます。

抗体検査を行うためには、感染が疑われる人からサンプルを採取し、感染している可能性のある微生物に対する検査用の抗体と混ぜ合わせます。サンプル内に、その微生物の抗原があれば、検査用の抗体に結合します。抗原と抗体の結合を検出するには、別の方法が用いられます。どのような方法を用いるにせよ、抗原が存在するということは、微生物が存在すること、そしておそらくそれが感染の原因であることを意味します。

微生物の遺伝物質を検出する検査

微生物の遺伝物質を検出するためには以下の検査を行います。

  • 核酸検査

微生物の培養が困難で、他の方法による特定も難しい場合は、微生物の遺伝物質を特定する検査(遺伝子検査)を行うことができます。この遺伝物質は、デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)という2種類の核酸で構成されています。

ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査は、この種の検査の一例です。PCR検査では、微生物の遺伝子のコピーを大量に作り、その微生物をはるかに特定しやすくします。

個々の遺伝子検査は、それぞれ特定の微生物だけを対象とします。つまり、C型肝炎ウイルスの遺伝子検査は、このウイルスだけを対象とするもので、それ以外のウイルスは検出されません。そのため、こうした検査は、特定の病気が疑われる場合にのみ行われます。

ほとんどの核酸検査は、体内に微生物が存在するかどうかを特定する検査(定性検査)として設計されています。ただし、特定の感染症(HIVやC型肝炎など)では、原因微生物の遺伝物質がどれぐらい存在するかを測定することができ(定量検査)、これによってその感染症がどれぐらい重症かを判断することができます。定量検査は治療の効果をモニタリングする目的でも用いられます。

核酸検査は、微生物に薬剤に対する耐性をもたせる遺伝子や遺伝子変異がないかを調べる目的で行うこともあります。しかし、耐性をもたらす突然変異には未知のものもあるため、この種の検査の精度は完全ではありません。そのため、耐性に関する遺伝子の有無をもれなく確認することはできません。加えて、この種の検査は費用が高く、あまり普及しておらず、ごく一部の微生物にしか利用できません。

微生物を特定するために用いられる他の検査

微生物固有の他の特徴を調べるためには以下の検査を行います。

  • 核酸検出法によらない同定検査

例えば、以下のようなものを特定するためにこの検査が行われます。

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