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感染症が起こる仕組み

執筆者:

Larry M. Bush

, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University

医学的にレビューされた 2020年 7月
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以下は、微生物が体内に侵入する経路の例です。

  • 口、眼、または鼻から

  • 性的接触を介して

  • けがによる傷やかみ傷を介して

  • 汚染された医療器具を介して

人は汚染された水を飲んだり、汚染された食物を食べたりすることで、微生物を摂取することがあります。胞子や塵、他の人のせきやくしゃみによって飛散した微生物に汚染された飛沫を吸い込むこともあります。ドアノブなどの汚染された物体を扱ったり、感染者に直接触れたりしてから、自分の眼、鼻、口に触れることもあります。

一部の微生物は、血液、精液、便などの体液を介して拡散します。そのため、感染したパートナーとの性的接触によって微生物が体内に入ることがあります。また、介護や医療サービスを提供するなどの、体液との非性的接触を介して微生物が侵入することもあります。

人や動物に咬まれたり、皮膚を傷つけたりすると、微生物が体内に侵入することがあります。感染した昆虫やマダニは、咬んだときに病気を広めることがあります。

微生物は、体内に留置された医療器具(カテーテル、 人工関節 人工関節の感染性関節炎 人工関節に細菌が感染することがあります。 細菌が手術中か手術後に人工関節に感染することがあり、結果、感染症を引き起こします。 症状は痛み、腫れ、可動域の制限などです。 診断は、症状、診察、複数の検査の結果に基づいて下されます。 特定の手術を行う前に抗菌薬を投与することで、人工関節の感染を予防できることがあります。 さらに読む 人工心臓弁 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆っている組織(心内膜)に生じる感染症で、通常は心臓弁にも感染が及びます。 感染性心内膜炎は、血流に入った細菌が損傷のある心臓弁に到達して、そこに付着することで発生します。 急性細菌性心内膜炎では通常、高熱、頻脈(心拍数の上昇)、疲労、そして広範囲にわたる急激な心臓弁の損傷が突然もたらされます。... さらに読む 感染性心内膜炎 など)に付着することもあります。医療器具が何かのはずみで汚染されていれば、その器具を体内に入れる時点で微生物が付着している可能性があります。また、体内の別の部位から血流に乗って感染性の微生物が運ばれ、体内に埋め込まれた医療器具にすみつく場合もあります。こうした人工物には感染に対する防御機能がないため、微生物が容易に増殖して病気を引き起こします。

体内に侵入した微生物が感染症を引き起こすには、まず増殖しなければなりません。微生物が増殖を始めると、以下の3つのパターンのどれかが起こります。

  • 微生物が増え続けて人体の防御機構に打ち勝ってしまう。

  • 均衡状態に達して、慢性感染の状態になる。

  • 人体の免疫機能により、またときに治療の効果も加わって、侵入した微生物が排除される。

ほとんどの微生物は、人体の細胞に付着することによって侵入を開始します。どの微生物が人体のどの細胞に付着するかは、ちょうど「鍵と鍵穴」の関係のように決まっています。微生物が細胞の表面に付着すると、そこを足場にして微生物が組織に侵入できるようになります。

微生物が侵入部位の近くにとどまるか別の部位にまで広がるかどうか、また感染の重症度がどのくらいになるかは、次のような因子によって決まります。

病気を引き起こす微生物の多くは、引き起こす病気の強さ(毒性)を高める性質や、人体の防御機構に抵抗するのに有利な性質を備えています。具体的には以下のような性質があります。

  • 毒性物質(毒素)

  • 酵素

  • 人体の防御機構を妨げる手段

毒素や酵素の産生

体内に侵入する微生物の中には、毒素を作るものがあります。例えば、傷口に感染した 破傷風菌 Clostridium tetaniという細菌は、 破傷風 破傷風 破傷風は、嫌気性細菌の破傷風菌 Clostridium tetaniが作り出す毒素によって引き起こされる病気です。この毒素によって筋肉が不随意に収縮し、硬くなって動かせなくなります。 破傷風は通常、傷口や皮膚を突き破るようなけがなどが汚染されることで発生します。 診断は症状に基づいて下されます。 ワクチン接種と適切な創傷ケアにより破傷風を予防できます。 治療では、破傷風免疫グロブリンを投与して毒素を中和し、治まるまで症状を... さらに読む の原因となる毒素を作ります。また微生物が体外で作る毒素により起きる病気もあります。例えば、食べものの中でブドウ球菌という細菌が毒素を作り出すと、その後ブドウ球菌が死滅しても、その食べものを口にした人は 食中毒 ブドウ球菌食中毒 ブドウ球菌食中毒は、ある種のブドウ球菌が産生する毒素に汚染された食べものを摂取することで起こり、下痢と嘔吐が起こります。 この食中毒は、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusが産生する毒素によって引き起こされます。 この毒素は汚染された食べものでみられます。 典型的な症状としては、汚染された食べものを食べてから約2~8時間後に、強い吐き気と嘔吐がみられます。... さらに読む ブドウ球菌食中毒 になることがあります。多くの毒素には、特定の細胞(標的細胞)の表面上にある分子とだけ結合する部分があります。 破傷風 破傷風 破傷風は、嫌気性細菌の破傷風菌 Clostridium tetaniが作り出す毒素によって引き起こされる病気です。この毒素によって筋肉が不随意に収縮し、硬くなって動かせなくなります。 破傷風は通常、傷口や皮膚を突き破るようなけがなどが汚染されることで発生します。 診断は症状に基づいて下されます。 ワクチン接種と適切な創傷ケアにより破傷風を予防できます。 治療では、破傷風免疫グロブリンを投与して毒素を中和し、治まるまで症状を... さらに読む 毒素性ショック症候群 毒素性ショック症候群 毒素性ショック症候群とは、発熱、発疹、危険な低血圧、複数の臓器不全など、進行が速い重度の症状の一群を指します。これは、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusやA群レンサ球菌といった グラム陽性球菌(図「 主な細菌の形」を参照)が作る毒素によって引き起こされます。 高吸水性のタンポンの使用や黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusまたはA群レンサ球菌の感染症は、毒素性ショッ... さらに読む ボツリヌス症 ボツリヌス症 ボツリヌス症は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)という嫌気性細菌が作り出す毒素による中毒で、まれな病気ですが発生すると生命を脅かします。 ボツリヌス毒素は通常、食べものと一緒に体内に侵入し、筋力の低下や麻痺を引き起こします。 最初に、口腔乾燥、嚥下困難や発話困難、複視、眼の焦点が合わないなどの症状が現れます。あるいは、下痢、嘔吐、腹部けいれんといった消化管症状が最初に生じることもあります。... さらに読む 炭疽 炭疽 炭疽(たんそ)は、炭疽菌 Bacillus anthracisという棒状の グラム陽性細菌(図「 主な細菌の形」を参照)による感染症で、死に至る場合があります。炭疽は皮膚や肺のほか、まれに消化管に感染します。 人間が感染する通常の原因は皮膚接触ですが、炭疽菌の芽胞を吸い込んだり、汚染された肉を食べたりしても感染します。 炭疽菌の芽胞は生物兵器に使用される可能性があります。... さらに読む 炭疽 (たんそ)、 コレラ コレラ コレラは、コレラ菌 Vibrio choleraeという グラム陰性細菌によって引き起こされる重篤な腸の感染症で、重度の下痢がみられ、治療を行わないと死に至る可能性があります。 汚染された食べもの(海産物が多い)や水によって感染が起こります。 衛生状態が不十分な地域以外でコレラが起こることはまれです。 水様性下痢と嘔吐が生じますが、発熱は起こらないのが通常です。... さらに読む などの病気では、毒素が中心的な役割を果たします。

細菌の中には人体の組織を破壊する酵素を作り出せるものがあり、その作用により組織内での感染の拡大を速めています。また、細胞に侵入してその中を移動できるようにする酵素を作り出す細菌もあります。

人体の防御機構を妨げる仕組み

免疫系の機能不全

免疫系が十分に機能していないと(易感染性と呼ばれます)、より感染しやすくなります。以下の理由で免疫系が正常に機能しないことがあります。

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