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条虫感染症

執筆者:

Richard D. Pearson

, MD, University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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腸の条虫感染症は、汚染された豚肉、牛肉、淡水魚を生のまま、または加熱調理が不十分な状態で食べることで主に起こるほか、小形条虫の場合は、汚染された食べものや水を飲食することで起こります。

数種の条虫が人間に感染症を引き起こす可能性があります。具体的には以下のものがあります。

  • 無鉤条虫(ウシ条虫)

  • 有鉤条虫(ブタ条虫)

  • アジア条虫(アジアで豚肉を食べることで感染します)

  • 広節裂頭条虫(魚条虫)

  • 小形条虫(ナナ条虫)

条虫は主に3つの部分から成ります。

  • 頭部:腸に付着する部分です。

  • 頸部:再生できます。

  • 残りの部分:多くの分節(片節と呼ばれます)から成り、虫卵を含むことがあります。

治療によって頭部と頸部が除去されなければ、全体が再成される可能性があります。

無鉤条虫

有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫のライフサイクル

有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫は、人間の腸に寄生する大きくて扁平な虫で、約4.5~9メートルもの長さに成長します。(条虫の成虫は人間の腸に生息することから、人間が終宿主であると考えられます。)虫卵をもつ体節部分は「片節」と呼ばれ、便と一緒に排出されます。

この便が未処理のまま環境中に放出されると、虫卵が中間宿主であるブタやウシに取り込まれます。広節裂頭条虫の場合は淡水で生息する小さな甲殻類に取り込まれ、それを魚が食べて中間宿主となります。虫卵は中間宿主の中でふ化して幼虫になります。幼虫は腸壁に侵入して血流に入り、骨格筋やその他の組織に到達し、そこでシストになります。

肉や特定の淡水魚に含まれるシストを、生や加熱調理が不十分な状態で人間が食べると、寄生虫が感染します。シストは体内でふ化して成虫になり、腸壁にしっかりつかまります。成虫は成長して長くなり、産卵します。

有鉤条虫のライフサイクル

  • 1.人間が条虫の幼虫(嚢尾虫)のシストを含んだ豚肉を生や加熱調理が不十分な状態で食べて感染します。

  • 2.嚢尾虫は腸内で条虫の成虫になり、腸壁に付着します。

  • 3.成虫が虫卵を含んだ体節(片節)を作ります。片節は虫卵を放出するか、条虫の残りの部分から分離し、肛門へと移動します。

  • 4.虫卵や片節が便とともに体外に排出されます。

  • 5.ブタまたは(頻度は低いものの)人間がその虫卵や片節を(例えば、人間の便で汚染されたものを食べて)体内に取り込むことで感染します。

  • 6.体内に入った虫卵は、腸内でふ化して球体(六鉤幼虫)を放出し、この幼虫が腸壁を通過します。

  • 7.その後、六鉤幼虫は血流に乗って筋肉や脳、肝臓などの臓器に移動し、そこでシストを形成します。

知っていますか?

  • 条虫は約4.5~9メートルもの長さになります。

小形条虫のライフサイクル

小形条虫は小さく、長くても40ミリメートルほどにしかなりません。小形条虫の人間への感染は、有鉤条虫や無鉤条虫の場合のようなシストではなく、条虫の虫卵を飲み込むことで発生します。人糞によって汚染された食べものや水に虫卵が含まれていて、それを摂食した場合や、感染者との接触後に虫卵が口へ入った場合に感染します。ときおり、穀類に混じったノミや甲虫などの感染した昆虫を誤って食べてしまうことがあります。

虫卵は腸で成虫になり、そのまますみつきます。成虫が産卵し、虫卵は便とともに体外に排出されます。その虫卵を他の人や同じ人が体内に取り込むと、新たな世代の成虫による感染が起こります。

虫卵は腸でふ化して成虫になり、体から離れることなく感染を引き起こすことがあります。この種の感染は自家感染(自分自身への感染)と呼ばれます。多数の小形条虫が蓄積すると症状を引き起こす可能性があります。

嚢虫症

有鉤条虫は、虫卵を取り込んだ人間が中間宿主となります(無鉤条虫や広節裂頭条虫の場合、人間は中間宿主になりません)。以下のいずれかの場合に人間が中間宿主になることがあります。

  • 人間の便で汚染された食べものや水と一緒に有鉤条虫の虫卵を飲み込んだ。

  • 感染者や汚染された衣服または家具に触れた後、口に虫卵が入った。

  • 腸内に成虫が寄生している人が、汚染された食べものや水を摂取するなどして自身の便に含まれていた卵を飲み込んでしまい再感染したか、または体内で条虫の虫卵を含む節(片節)が腸から胃に移動し、卵を放出したことで再感染した(自家感染)。

動物の中間宿主の場合と同じく、虫卵は腸に到達して、幼虫を含んだ球体(六鉤幼虫)になります。この球体は、腸壁を通過して脳、筋肉、他の内臓、皮下組織に到達し、シスト(嚢虫)になります。人間でこの病態が生じた場合は「嚢虫症」と呼ばれます。

症状

腸に条虫がいても通常は特に症状はありませんが、上腹部の不快感や下痢などが起こることもあります。ときに、条虫が肛門に出入りするのを感じたり、便の中にテープ状の条虫の断片が発見できることもあります。小形条虫は他の条虫よりも頻繁に吐き気、嘔吐、下痢、腹部不快感、食欲不振、体重減少などの腹部症状を引き起こすようです。

広節裂頭条虫は、赤血球の生産に必要なビタミンB12を吸収し、貧血を引き起こすことがあります。

嚢虫症の症状は、脳や他の臓器(脊髄、肝臓、肺、眼など)にできたシストによって引き起こされます。これらのシストは、最初の感染から数年が経過すると変性し始めて炎症を引き起こし、生命を脅かしうる重度の症状をもたらすことがあります。脳と髄膜(脳を覆う組織)にできたシスト 神経嚢虫症 世界の一部の地域では、蠕虫(ぜんちゅう)などの寄生虫による脳感染症がよくみられます。それらの感染症は、発展途上国や農村地域でよくみられ、米国ではあまりみられません。 (脳の感染症の概要も参照のこと。) 嚢虫症は、有鉤条虫の幼虫が感染することで発生します。脳感染症を引き起こすすべての蠕虫のうち、有鉤条虫は、西半球における脳感染症の原因として圧倒的に最多のものです。 人間が条虫の卵に汚染された食べものを摂取すると、胃液の刺激によって条虫の卵... さらに読む は、頭痛、けいれん発作、錯乱や他の神経症状を引き起こすことがあります。まれに、シストが眼に発生し失明に至ったり、脊髄に発生して筋力低下や麻痺が引き起こされたりします。

診断

  • 腸の条虫感染症には、便サンプルの検査

  • 嚢虫症には、CTまたはMRI検査、ときに血液検査

腸の条虫感染症は、便の中に条虫の虫卵や片節を見つけることで診断します。

予防

条虫に対する防御の第一線は、以下の対策をとることです。

  • 肉類や淡水魚は63℃以上の温度で3分以上加熱調理する。

ひき肉の場合、71℃以上の調理温度が推奨されます。

淡水魚は生で(寿司として)食べず、63℃以上で加熱調理するか、普通の家庭用冷凍庫の温度より低温で適切に冷凍してから食べます。こうした対策により、広節裂頭条虫は死滅します。

淡水魚の冷凍には以下の方法が推奨されます。

  • -20℃以下で7日間

  • -35℃以下で固くなるまで保存し、その後-35℃以下でさらに15時間

  • -35℃で固くなるまで保存し、その後-20℃以下でさらに24時間

燻製や乾燥ではシストは死にません。

次の予防法も有効です。

  • 熟練した検査者が肉や魚を入念に検査する

感染した肉のシストは肉眼で見つけることができます。

人間の排泄物を十分に処理することで、条虫のライフサイクルを断ち切り、無鉤条虫と有鉤条虫による感染症(嚢虫症を含みます)を予防できます。

小形条虫感染症は、以下のものを避けることで予防できます。

  • 便で汚染されている可能性の高い食べものや水

  • 感染した昆虫により汚染された穀物

例えば、食べものが人間の便で汚染されている可能性の高い国では、必ず生野菜や果物を安全な水で洗うか、皮をむくか、加熱調理してから食べるようにしてください。

トイレ使用後、おむつ交換後、食べものに触れる前には石けんと温水で手を洗うことも役立ちます。

治療

  • 腸管感染症には、プラジカンテルまたはニタゾキサニド(抗寄生虫薬)

  • 嚢虫症の症状には、コルチコステロイドおよび抗寄生虫薬の投与と、場合により手術

腸の条虫の治療には、プラジカンテルを経口で単回投与します。小形条虫感染症には、代わりにニタゾキサニドを使用することがあります。

嚢虫症の治療

嚢虫症の治療は、症状や脳内でのシストの位置など、様々な要因によって異なります。

嚢虫症は、通常、脳が侵されていない限りは治療の対象になりません。脳内のシストによる症状がある人には、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドが投与されます。コルチコステロイドは、炎症を軽減します。けいれん発作のある人には、抗てんかん薬が投与されます。抗寄生虫薬(アルベンダゾールやプラジカンテルなど)は、脳内の生きたシストを殺傷するために使用できますが、その投与は症状を十分にコントロールできてから行われます。シストが死滅する際に引き起こす炎症を最小限に抑えるために、抗寄生虫薬とともにコルチコステロイドも投与されます。

抗寄生虫薬は、付近の組織を傷つける重度の炎症を引き起こすことがあるため、眼や脊髄のシストの治療には使用されません。

手術が必要になる場合もあります。例えば、シストが髄液(脳と脊髄の周囲を流れている体液)の流れを妨げている場合や、シストが脊髄や眼に問題を起こしている場合などは、手術が行われます。

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