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回虫症

執筆者:

Richard D. Pearson

, MD, University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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回虫症は、腸に寄生する回虫(線虫の一種)や、場合によってはブタ回虫(ブタに回虫症を引き起こす寄生虫)が原因となる感染症です。

  • 回虫の虫卵(多くは食べものに付着したもの)を飲み込んで感染します。

  • 初めて感染した際には、症状がみられないこともありますが、発熱、せき、喘鳴(ぜんめい)、腹部けいれん、吐き気、嘔吐などが起こることがあります。

  • 重い慢性の感染がある小児では、成長が妨げられたり、回虫が腸や胆管をふさぐせいで重度の痛みや嘔吐が起こったりすることがあります。

  • この感染症の診断は通常、便のサンプル中に虫卵や回虫が含まれていることを特定することで下されます。

  • アルベンダゾールなどの抗寄生虫薬で治療が行われます。

寄生虫感染症の概要も参照のこと。)

回虫症は、人間の線虫感染症の中で最も多くみられるもので、世界で約8億人に発生しています。回虫が腸や胆管(肝臓と胆嚢から小腸までのびている管)をふさぐことによって、毎年約2千人の感染者(ほとんどが小児)が死亡している可能性があります。

この感染症は、衛生状態の悪い熱帯または亜熱帯地域でよくみられます。米国では、たいてい難民、移民、および回虫症の流行地域に旅行したことがある人にみられます。

知っていますか?

  • 回虫症の感染者は、全世界でおよそ8億人にのぼります。

回虫症の感染経路

感染は回虫の受精卵を飲み込むことで起こります。受精卵のみが感染症を引き起こします。人は、虫卵を含む糞便で汚染された土壌と接触した食べものを摂取することで、虫卵を飲み込んでしまうことがあります。回虫の虫卵は丈夫で、土の中で何年も生存することができます。

いったん口から入ると、回虫の虫卵は、腸でふ化して幼虫になります。幼虫は小腸の壁を通り抜けてリンパ管や血流に入り、肺へ到達します。肺に到達した幼虫は肺胞に入り、そこから気道を上昇し、再び飲み込まれて、小腸で成虫になり、そこにとどまります。これにかかる時間はほぼ2~3カ月です。成虫は長さ約15~50センチメートル、直径約2.5~5ミリメートルに達し、1~2年間生存します。成虫から産み出された虫卵は便とともに体外に排出され、土壌中に拡散し、摂食されると感染のサイクルが再び始まります。

また、豚の糞で汚染された食べものから受精卵を摂取したり、生または火が完全に通っていない豚肉から幼虫を摂取したりすると、ブタ回虫に感染する可能性があります。ブタ回虫は通常、ブタに回虫症を引き起こします。

症状

過去に回虫に寄生されたことがない人では、幼虫が肺に移ると、発熱、せき、喘鳴が起こり、ときに血が混じったたんが出ること(血痰)もあります。

通常、腸内に少数の回虫がいる程度では消化器症状はみられません。回虫の数が増えると腹部けいれんが起き、場合によっては腸閉塞が生じますが、これは衛生状態の悪い地域に住む小児によくみられます。腸閉塞によって、吐き気、嘔吐、腹部の腫れ(腹部膨隆)、腹痛が起こることがあります。

ときに成虫が口や鼻に移動して吐き出されたり、便の中に出てきたりといった、心理的に不快な状況もありえます。成虫が盲腸、胆管、膵管(すいかん)に詰まることもあり、その場合重度の腹痛が起きます。

小児では低栄養に陥ることがあります。多数の回虫に寄生されている小児は、成長が妨げられたり、体重が正常に増加しなくなることがあります。

診断

  • 便サンプルの検査

回虫症の診断は、便から虫卵や成虫を検出するか、まれなケースでは、便中の成虫、または口や鼻から出てくる成虫を確認することで下されます。

他の理由でCT検査や超音波検査が行われた際に成虫が発見されることもあります。これもまれなケースですが、肺の中を幼虫が移動した痕跡を胸部X線画像で確認できる場合もあります。

予防

回虫症を予防するための最適な戦略には、次のものがあります。

  • 食べものを扱う前に石けんと水で入念に手を洗う

  • 生の野菜と果物は食べる前にすべて洗浄し、皮をむき、加熱調理する(特に人糞を肥料として用いる地域でとれた野菜や果物には注意)

  • 野外で排便しない

効果的な下水処理システムの普及がこの感染症の拡大を防ぐ助けになります。

治療

  • 線虫感染症の治療薬(駆虫薬)

回虫症の治療では、アルベンダゾール、メベンダゾール、イベルメクチンの内服薬が処方されます。しかし、これらの薬は胎児に害を及ぼす恐れがあるため、医師は感染した妊婦を治療する場合のリスクと治療を行わない場合のリスクを比べて判断しなければなりません。

ロア糸状虫症の人にイベルメクチンを使用すると重篤な脳炎(脳の炎症)が起きる可能性があるため、患者がアフリカのロア糸状虫のいる地域にいたことがある場合、医師はイベルメクチンを使用する前にロア糸状虫症がないかどうかを確認します。

回虫が腸をふさいでいる場合は、上記のいずれかの薬で治療するか、手術によって、または口から腸に内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を挿入して回虫を除去します。

回虫が肺に及んでいる場合は、症状の緩和が治療の中心になります。具体的には気管支拡張薬や吸入コルチコステロイドなどが用いられます。アルベンダゾールやその他の駆虫薬は、通常は肺感染症の治療に使用されません。

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