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マラリア

執筆者:

Richard D. Pearson

, MD, University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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マラリアは5種のマラリア Plasmodium原虫のいずれかによる赤血球の感染症です。マラリアによって、発熱、悪寒、発汗、脾臓の腫れ、貧血(感染した赤血球が破壊されて生じる)が起こります。

  • 通常、マラリアは感染した雌の蚊が人間を刺すことで広がります。

  • 悪寒とふるえ(悪寒戦慄)に続いて発熱がみられるほか、頭痛、全身の痛み、吐き気、疲労感といった症状が現れることもあります。

  • ある種のマラリアでは、せん妄、錯乱、けいれん発作、昏睡、重度の呼吸障害、腎不全といった重篤な症状が起こり、場合によっては死亡します。

  • 医師は血液サンプル中に原虫を見つけたり、その他の血液検査を行ったりすることで、この感染症の診断を下します。

  • 蚊が繁殖する場所をなくすこと、水たまりにいる幼虫を駆除すること、蚊に刺されないように予防すること、マラリア発生地域への旅行には予防薬を持って行くことがマラリアの予防につながります。

  • この感染症の治療と予防には各種の抗マラリア薬が使用されます(どの薬を使用するかは、感染症の原因になっているマラリア原虫の種類、感染した地域における薬剤耐性の可能性、薬の副作用と費用に応じて決まります)。

寄生虫感染症の概要も参照のこと。)

マラリアは、感染した雌の蚊が人間を刺すことで広がる原虫感染症です。

米国や多くの先進国では、治療薬や殺虫剤の普及でマラリアはまれな病気になりましたが、世界の熱帯地域では依然として多く、死に至る病気として恐れられています。2015年には、世界で約2億1400万人がマラリアにかかり、約43万8000人が死亡しました。死亡者の大半はアフリカに住む5歳未満の小児です。

米国では、毎年約1500件のマラリアが報告されています。その多くは移民や熱帯地域からの訪問者、あるいは熱帯地域から帰ってきた旅行者に発生しています。しかし、少数ではありますが、輸血による感染や、感染した移民または帰ってきた旅行者を刺した蚊に刺されて感染することもあります。

知っていますか?

  • 2015年には、世界で約2億1400万人がマラリアにかかり、約43万8000人が死亡しました。

  • 最初にマラリアに感染してから数カ月から数年間は、症状が現れないことがあります。

マラリアの感染経路

マラリアの感染サイクルは、雌の蚊がマラリア感染者の血を吸うことで始まります。蚊は寄生虫の虫卵を含む血液を取り込みます。マラリア原虫が蚊に取り込まれると、原虫は増殖して蚊の唾液腺に移動します。

その蚊が別の人を刺すと、唾液と一緒にマラリア原虫が刺された人の体内に送り込まれます。新しく感染した人の体内で原虫は肝臓へ行き、そこで再び増殖します。原虫は平均1~3週間で成熟し、肝臓を出て赤血球に侵入します。原虫は赤血球の中でさらに増殖し、やがて感染した赤血球を破裂させ、放出された原虫がさらに他の赤血球に侵入します。

非常にまれですが、原虫に感染した母体から胎児への移行、汚染された血液の輸血、感染した臓器の移植、マラリアの患者が使った注射針の使用によって感染することもあります。

マラリアの種類

5種類のマラリア原虫が人間に感染します:

  • 熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparum

  • 三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivax

  • 卵形マラリア原虫 Plasmodium ovale

  • 四日熱マラリア原虫 Plasmodium malariae

  • サルマラリア原虫 Plasmodium knowlesi(まれ)

三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxと卵形マラリア原虫 Plasmodium ovaleの場合、肝臓内で休眠状態になり、成熟した原虫を周期的に血流に放出するため、症状が繰り返し襲ってきます。一般的な抗マラリア薬で休眠状態のマラリア原虫を死滅させることはできません。

熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumと四日熱マラリア原虫 Plasmodium malariaeは肝臓に長期間とどまることはありません。しかし、成熟した四日熱マラリア原虫 Plasmodium malariaeは、数カ月から数年にわたって血液中に存在した後に症状を引き起こすことがあります。

症状と合併症

感染した蚊に刺されると、通常は数週間から数カ月以内にマラリアの症状が現れますが、何年も経過してから始まることもあります。

すべての種類のマラリアでその初期症状は類似しています。具体的には以下のものがあります。

感染した赤血球が破裂して原虫が放出されるときに、突然ふるえがきて悪寒がし(悪寒戦慄)、その後に41℃に達する高熱が出ます。疲労感と漠然とした不快感(けん怠感)、頭痛、全身の痛み、吐き気が一般的に起こります。たいていは数時間後に熱が下がり、その後に激しい発汗とひどい疲労感が起こります。最初のうちは不定期に発熱が起こりますが、そのうちに周期的になります。一定の間隔で発熱と解熱を繰り返します。三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxと卵形マラリア原虫 Plasmodium ovaleでは48時間毎に、四日熱マラリア原虫 Plasmodium malariaeでは72時間毎に発熱する傾向があります。熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumが引き起こす発熱は周期的でないことが多いのですが、48時間毎に発熱することもあります。

感染症の進行とともに、脾臓が腫大し、貧血がひどくなります。黄疸(おうだん)が起こることもあります。

熱帯熱マラリア

熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumによる感染症は、マラリアの中で最も危険な病型で、治療しなければ死に至ることもあります。熱帯熱マラリアでは、感染した赤血球が細い血管の壁に付着して血管を詰まらせ、その結果、脳(脳マラリア)、肺、腎臓、消化管など多くの臓器が障害を受けます。

熱帯熱マラリアでは、肺に水がたまり、重度の呼吸障害が起こります。障害が多くの臓器に及ぶと、血圧の低下が起こり、ときにショックに陥ります。他の熱帯熱マラリアの症状には、下痢、黄疸、腎不全などがあります。血糖値(グルコース値)が低下することがあります(低血糖と呼ばれます)。血液中に大量の寄生虫が存在している場合には、血糖値が生命を脅かすほどに低下することがあり、特にキニーネが処方されている場合は注意が必要です。

脳マラリアは非常に危険な合併症で、高熱、頭痛、眠気、せん妄、錯乱、けいれん発作、昏睡を引き起こします。これは乳児や幼児、妊婦、マラリアに感染したことのない人、感染リスクの高い地域を旅行する人で起こりやすくなります。

黒水熱は、熱帯熱マラリアのまれな合併症です。大量の赤血球が破裂することによって血液中に血色素(ヘモグロビン)が放出され、ヘモグロビンは尿に排泄されるため、尿の色が黒くなります。腎機能が著しく障害され、透析が必要になることもあります。黒水熱は治療にキニーネを使用している場合に発症しやすい合併症です。

妊婦がマラリアにかかると、新生児の出生体重が軽くなるか、新生児も感染することがあります。また、流産や死産も起こりやすくなります。

診断

  • 血液サンプルによる迅速診断法

  • 血液サンプルの顕微鏡検査

マラリア発生地域を旅行中または旅行後に発熱と特徴的な症状がみられた場合、医師はマラリアを疑います。米国では、マラリアにかかった米国人旅行者のうち周期的な発熱がみられるのは半数以下ですが、周期的な発熱があればマラリアが疑われます。

以下によってマラリア原虫 Plasmodiumが検出されるとマラリアの診断が下されます。

  • マラリア原虫によって放出されたタンパクを血液中に検出する迅速診断法(この検査では、血液サンプルと特定の化学物質が試験紙に垂らされ、マラリアに感染している場合は約20分後に特定のバンドが試験紙に現れます)

  • 血液サンプルの顕微鏡下での観察

可能であれば両方の検査を行う必要があります。顕微鏡検査中にマラリア原虫が認められないものの、依然としてマラリアが疑われる場合、医師はその後も4~6時間毎に血液サンプルを採取して寄生虫の有無を確認します。

マラリア原虫 Plasmodiumの種類によって、治療法、合併症、予後(経過の見通し)が異なるため、検査ではマラリア原虫の種類も調べます。血液サンプルを用いる迅速診断法は、熱帯熱マラリア原虫によるマラリアであれば、顕微鏡検査と同程度の検出力をもちますが、他の種類のマラリア原虫の検出にはそれほど信頼性がありません。そのため、可能であれば、血液サンプルを用いる迅速診断法と顕微鏡下での観察を両方行う必要があります。

熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumによる感染症が疑われたら、直ちに評価と治療を開始する必要があります。

予防

蚊が繁殖しそうな場所をなくし、水たまりに発生するボウフラを駆除するなど、蚊の駆除対策が非常に重要です。

また、マラリアの発生地域に住んでいる人やそうした地域への旅行者には、蚊に接触する機会を減らすために次のような注意が与えられます。

  • 屋内外での殺虫剤(ペルメトリンまたはピレスラム)スプレーの使用

  • 扉や窓への網戸の設置

  • ペルメトリンまたはピレスラムをしみこませた蚊帳の使用

  • 露出した皮膚へのDEET(ジエチルトルアミド)を含む防蚊剤の塗布

  • 蚊に刺されないようにするための長ズボンと長袖シャツの着用(特に日没後)

  • 蚊がいる場所で長時間過ごす場合や蚊の数が多そうな場合には、衣服へのペルメトリンの噴霧

ペルメトリンを含む製品を衣類や身の回りのものに噴霧すると役立ちます。ペルメトリンの効果は数回洗浄しても保たれます。あらかじめペルメトリン処理の施された衣服もあり、効果がより長く持続します。

DEETを含む防虫剤を使用する人は、以下のことに注意してください。

  • ラベルの記載に従い、防虫剤は皮膚の露出部にのみ使用し、耳の周りには控えめに使用する(眼や口に塗布またはスプレーしない)

  • 使用後は手を洗う

  • 小児に防虫剤を扱わせない(成人が防虫剤を手にとって、小児の皮膚に塗ります)

  • 皮膚の露出部に必要十分な量を使用する

  • 屋内に戻ったら、防虫剤を洗い流す

  • 製品のラベルに記載がない限り、衣類は再着用する前に洗う

マラリア予防薬

マラリアがみられる地域を旅行する場合には、予防のために薬を服用します。予防薬は旅行前から服用を開始し、滞在中も服用し、その地域を離れてからも、薬の種類によって期間は異なりますが服用を続けます。予防薬はマラリア感染のリスクを低減させますが、完全になくすことはできません。マラリアの予防(と治療)には様々な薬が使用されています。

その一方で、薬剤耐性も問題となっており、特に重症になることの多い熱帯熱マラリア原虫によるマラリアでは深刻な問題となっています。薬剤耐性株の分布は地域によって異なります。そのため、予防薬の選択は地域によって異なります。特定の地域への旅行に関する情報は、米国では米国疾病予防管理センター(CDC:マラリアと旅行者[Malaria and Travelers])から提供されています。

マラリアの予防によく使用される薬は以下のものです。

  • ドキシサイクリン

  • アトバコンとプログアニルの組合せ(1つの錠剤)

これらの2つの治療法の効果は同様ですが、副作用が異なります。アトバコンとプログアニルの組合せは一般にドキシサイクリンよりもよく耐えられます。

ドキシサイクリンは旅行に出発する1~2日前から毎日服用します。マラリアが発生していることが知られている地域に滞在する間は服用を継続し、さらにその地域を離れてからも4週間は飲み続けます。この薬の服用は一般的に十分耐えられるものですが、副作用があります。妊婦や授乳中の女性と8歳未満の小児には投与されません。三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxや卵形マラリア原虫 Plasmodium ovaleによる症状の再発は予防できません。

アトバコン-プログアニルは、1錠の中に両方が入った錠剤を使用し、旅行に出発する1~2日前から毎日服用します。マラリアが発生していることが知られている地域に滞在する間は服用を継続し、さらにその地域を離れてからも7日間は飲み続けます。この薬は十分に耐えられる薬ですが、副作用が出ることがあります。妊婦や授乳中の女性または5キログラム未満の小児には使用されません。三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxや卵形マラリア原虫 Plasmodium ovaleによる症状の再発は予防できません。

クロロキンは旅行に出発する1~2週間前から週1回服用します。滞在中も週1回の服用を継続し、さらにその地域を離れてからも4週間は飲み続けます。クロロキンは、マラリア原虫 Plasmodiumが薬剤耐性を獲得していない数少ない地域でマラリア予防に使用される薬です。クロロキンは予防薬で唯一、妊婦が安全に使用できる薬です。そのため妊婦には、マラリア原虫がクロロキンに対する耐性を獲得している地域に旅行しないよう勧められます。

自己免疫疾患の治療にも使用されるヒドロキシクロロキンも、クロロキンと同様、マラリア原虫に有効です。

メフロキンは、旅行の2週間以上前から週1回服用します。滞在中も服用を継続し、さらにその地域を離れてからも4週間は飲み続けます。メフロキンは多くの地域で効果的な予防法ですが、重度の精神的な副作用が起こることがあるため、まれにしか使用されません。この薬は、東南アジアの一部の地域では(ときに他の地域でも)、熱帯熱マラリア原虫に対する予防効果がなかったり、効果が低かったりします。

プリマキンも予防に使用できる薬で、マラリアが主に三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxによって発生している地域に旅行する人を中心に使用されています。プリマキンの使用を開始する前に、比較的多くの人にみられる酵素欠損症である、グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症( 貧血の主な原因の詳細)の有無を調べる血液検査を行います。プリマキンは赤血球の破壊を起こすことがあるため、G6PD欠損症がある人はプリマキンを使用してはいけません。プリマキンは、旅行の1~2日前から1日1回服用します。滞在中も毎日服用を継続し、さらにその地域を離れてからも7日間は飲み続けます。プリマキンは、他の抗マラリア薬(ドキシサイクリンやアトバコン-プログアニルなど)を服用していて、三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxまたは卵形マラリア原虫 Plasmodium ovaleに大量にさらされた旅行者に対し、マラリアの再発予防のためにも用いられます。

マラリアを予防するためのワクチンが開発されていますが、有効なワクチンがいつ利用できるようになるかは不明です。

治療

  • マラリアの治療薬

マラリアの治療を開始した後、ほとんどの人では24~48時間以内に症状が回復しますが、熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumが原因の場合は発熱が5日間続くことがあります。

急性マラリアの治療では、次の項目を考慮して薬を選択します。

  • 患者の症状

  • 感染したマラリア原虫の種類

  • 寄生虫が薬剤耐性を獲得している可能性

寄生虫が耐性を獲得しているかどうかは、次の要因に左右されます。

  • マラリア原虫 Plasmodiumの種類

  • 感染した地域

治療計画は、診断検査の結果と曝露部位に基づいて立てられます。しかし、検査ではすべての症例が検出されるわけではなく、またマラリアは治療しないでいると、生命を脅かす可能性があるため、医師がマラリアを強く疑う場合には、検査結果により診断が確定されなくても、マラリアの治療を行います。

かつてクロロキンはマラリアの治療に広く使用されていましたが、現在では熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumの間に耐性が広がり、一部の地域では三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxにも耐性がみられるようになりました。マラリア原虫 Plasmodiumの種類やクロロキンへの耐性の有無が不明な場合は、患者がクロロキン耐性マラリアにかかっているものとして治療を行います。

熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparum によるマラリア

治療に用いられる一般的な内服薬には、以下のものがあります。

  • アルテメテル-ルメファントリン

  • 合併症のないマラリアには、アトバコン-プログアニル

アルテミシニンから作られた薬(アルテメテルやアーテスネート[artesunate]など)は現在、熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumまたは他のマラリア原虫 Plasmodiumによるマラリアの治療に世界中で使用されています。アルテミシニンは、クソニンジンという植物を原料とする中国の漢方薬チンハオス(青蒿素[quinghaosu])から作られました。アルテミシニン系薬剤は、内服薬、注射、坐薬として使用されます。いずれもマラリアの予防に役立つほど長く体内に残留しません。しかし、これらの薬は他の抗マラリア薬よりすばやく作用し、一般的に十分耐えられる薬なので、治療には有用です。これらの薬は他の薬と組み合わせることで、薬剤耐性の予防に役立ちます。そうした薬の組合せの1つは、アルテメテルとルメファントリンです(1錠の中に配合)。この組合せは世界中で使用されており、米国でも利用できます。

合併症がなければ、熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumによるマラリアはアトバコンとプログアニルの組合せで治療することがあります。

以前はキニーネに抗菌薬のドキシサイクリンかクリンダマイシンのいずれかを組み合わせる療法が普及していましたが、アルテメテル-ルメファントリンやアトバコン-プログアニルの方が副作用は少ないです。これらの薬の組合せは、キニーネを投与する治療法に代わって広く使用されるようになりました。

メフロキンは予防の場合よりも高用量で投与することで治療にも使用できますが、重度の精神的な副作用が生じる場合があることから、他の選択肢が利用できない場合にのみ使用されます。さらに、東南アジアやその他の地域で耐性がよく確認されています。

マラリアの流行地域では、地元の薬局で販売されている抗マラリア薬は偽造品であることがあります。そのため、医師は、遠く離れた高リスク地域に行く旅行者に対し、適切な抗マラリア薬を1コース分まとめて携行するよう勧めることがあります。旅行先の医師によってマラリアの診断が下されると、旅行者が携行した薬が使用されます。この戦略により、旅行者は有効な薬を使用できる上に、滞在国における限られた薬剤供給の枯渇を回避することができます。

患者が熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumによる重度のマラリアを患っているか、内服薬を飲むことができない場合は、キニジンとともにドキシサイクリン、テトラサイクリン、または(妊婦の場合)クリンダマイシンが静脈内投与(静注)されることがあります。キニジンの静注によって血圧低下と心拍の異常が起きることがあるため、キニジンによる治療を受ける人は集中治療室でモニタリングを受ける必要があります。アーテスネート(artesunate、CDCから入手可能)の静注は、キニジンよりすばやく作用し、患者はより良く耐えられます。患者の状態が改善したら、内服薬に切り替えます。アーテスネート(artesunate)による治療後、貧血が発生することがあります。

三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivax および卵形マラリア原虫 Plasmodium ovale によるマラリア

三日熱マラリア原虫 Plasmodium vivaxがクロロキンへの耐性を獲得していることが知られている地域を除いて、現在でもクロロキンが選択すべき治療薬です。そのような地域では通常、アルテメテル-ルメファントリンまたはアトバコン-プログアニルが投与されます。

プリマキンは、治療終盤においてマラリアの再発を予防するために投与されます。プリマキンは肝臓に潜んでいる寄生虫を死滅させます。プリマキンを投与する前に、血液検査でG6PD欠損症の有無を確認します。この欠損症がある人では、プリマキンによって赤血球が破壊されるおそれがあります。

他の種の原虫によるマラリア

四日熱マラリア原虫 Plasmodium malariae、サルマラリア原虫 Plasmodium knowlesiには、クロロキンが有効です。クロロキンに耐性をもつ熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumによるマラリアの治療に使用される薬やその組合せは、これらの種類の原虫によるマラリアの治療にも効果的です。

必要な医療が利用できない場合の治療

マラリアの流行地域で発熱がみられた旅行者は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。医師は、遠く離れた高リスク地域に行く旅行者に対し、適切な治療薬を1コース分まとめて携行するよう勧めることがあります。旅行先の医師によってマラリアの診断が下されると、旅行者が携行した薬が使用されます。この方法には、現地の限られた薬剤資源を使い果たしてしまわないようにするという目的もあります。

医療機関が近くにない場合は、診察を受けられるようになるまでの間、マラリアの可能性を考えてアルテメテル-ルメファントリンまたはアトバコン-プログアニルを服用しておくという方法も勧められます。この方法は、あらかじめ旅行を開始する前に医師に相談しておく必要があります。

マラリア治療薬の副作用

アルテミシニン系薬剤(アルテメテルやアーテスネート[artesunate]など)は、ときに頭痛、食欲不振、めまい、脱力などの副作用を引き起こすことがあります。アルテメテル-ルメファントリンの組合せを使用する場合は、ルメファントリンが他の薬と相互作用を起こし、不整脈を引き起こすことがあります。そのため、患者は主治医に使用中の薬をすべて伝えて、薬物間相互作用が起こらないようにすることが重要です。妊婦が対象の場合、アルテミシニン系薬剤は、ほかの選択肢がなく、予想される効果が胎児へのリスクを上回ると考えられる場合に限り使用されます。

アトバコン-プログアニルは、通常は忍容性が良好な配合剤ですが、ときに発疹や腸の症状を引き起こします。妊婦または授乳中の女性が対象の場合、ほかに選択肢がなく、予想される効果が胎児へのリスクを上回ると考えられる場合に限り使用されます。

クロロキンは比較的安全な薬で、小児や妊婦への使用も認められています。この薬には苦味があり、かゆみのほか、腹痛、食欲不振、吐き気、下痢といった腸の症状がみられることがあります。この薬を過剰摂取すると死に至る場合があるため、小児の手の届かないところに保管する必要があります。

ドキシサイクリンは、わずかな割合ですが、腸の症状、女性の腟の真菌感染症、日光に対する過敏による日焼けに似た反応を引き起こすことがあります。薬はコップ1杯の水で服用し、薬が確実に胃に到達するように、数時間は横にならないようにします。薬が胃に到達しなかった場合は、食道に炎症が起きて重度の胸の痛みが発生します。ドキシサイクリンは幼児や胎児に対して恒久的な歯の着色を引き起こすため、8歳未満の小児や妊婦には使用すべきではありません。

メフロキンは鮮明な夢をもたらし、不眠症の原因になります。重度の精神的な副作用を引き起こす場合もあります。けいれん性疾患を患っている人ではけいれん発作が起きることがあり、心疾患に対する特定の薬を服用している人では心臓への影響が生じることがあります。このために、メフロキンはけいれん性疾患、精神的な問題、心疾患に対する特定の薬を使用している患者には使用すべきではありません。この薬を服用する人には、副作用に関する説明書が渡されます。

キニーネには、頭痛、吐き気、嘔吐、視覚障害、耳鳴りなど、キニーネ中毒と呼ばれる特有の副作用があります。熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparumに感染した人の場合は、キニーネで血糖値が低下することもあります。

抗マラリア薬は胎児に悪影響を与えることもあるため、妊婦の治療に際しては専門家と相談すべきです。

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