-
バベシア症はライム病と同じ種類のシカダニ(マダニ科)によって感染します。
-
バベシア症は発熱、頭痛、体の各部の痛み、疲労感を引き起こすことがあります。
-
バベシア症を診断するために、医師は顕微鏡で血液のサンプルを調べ、原虫の有無を確認するか、血液検査を行います。
-
マダニに刺されないようにすることは、バベシア症の予防に役立ちます。
-
この病気以外は健康な人では、治療が必要になることはほとんどありませんが、症状がみられる場合は通常、複数の薬を投与します。
(寄生虫感染症の概要も参照のこと。)
バベシア Babesiaは赤血球の中にすみつく原虫で、最終的にその赤血球を破壊します。バベシア症はライム病と同じ種類のシカダニ(マダニ科)によって感染します。これらのマダニは、バベシア症を引き起こす原虫や、ライム病の原因菌またはアナプラズマ症の原因菌に感染している可能性があります。
バベシア症は、動物では一般的ですが、人間に発生することは比較的まれです。米国では、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州、ニューヨーク州(ロングアイランド東部とシェルターアイランドを含みます)、ニュージャージー州の、沖合いの島や沿岸部でネズミバベシアの感染がみられます。さらにウィスコンシン州とミネソタ州でも発生しています。ミズーリ州、ワシントン州、カリフォルニア州と世界の他の地域では、バベシア属 Babesiaの他の原虫が人間に感染しています。
症状
一部の人、特に40歳未満の健康な人では、目立った症状が現れない場合もあります。
バベシア症の症状は通常、マダニに刺されてから約1~2週間後に始まります。発熱、頭痛、筋肉と関節の痛み、疲労感がみられる場合もあります。皮膚と白眼の部分が黄色くなることがあります(黄疸[おうだん])。赤血球が破壊され、貧血が起こることがあります。肝臓や脾臓が腫大することもあります。
重症化と死亡のリスクが最も高いのは、脾臓を摘出している人や免疫機能を低下させる薬を使用している人、または免疫機能が低下する病気(特にエイズ)を患っている人です。このような人では、バベシア症の症状がマラリアの症状(高熱、貧血、暗色尿、黄疸、腎不全など)に似ていることがあります。
診断
医師は、典型的な症状と溶血性貧血があり、この感染症の流行地域に住んでいるか、そこに旅行したことのある人でバベシア症を疑います。患者がマダニに刺されたことを覚えていない場合も多くあります。
バベシア症の診断を下すには、通常は顕微鏡で血液サンプルを調べ、その中にバベシア属 Babesia原虫がいるかどうかを確認します。この原虫を特定するため、血液サンプルを調べ、その中にバベシア属 Babesia原虫の遺伝物質(DNA)またはバベシア属 Babesia原虫に対する抗体がないか確認することがあります。(抗体とは、寄生虫のような特定の異物による攻撃から体を守るために免疫系が作り出すタンパクです。)