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パンデミックH1N1インフルエンザ(ブタインフルエンザ)

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

医学的にレビューされた 2020年 7月
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パンデミックH1N1(pH1N1)インフルエンザは、一般的には(正確性を欠いた言葉ですが)ブタインフルエンザと呼ばれており、比較的新しい株のA型インフルエンザウイルスによって引き起こされる、インフルエンザ感染症です。

2009年、新しい株(新型)のインフルエンザウイルスが世界的に広く流行したことを受けて、パンデミック(世界的大流行)が起きたと判断されました。この株は、ブタ、トリ、ヒトのインフルエンザウイルスに由来する遺伝子を併せもつH1N1インフルエンザウイルス(インフルエンザの型と株 インフルエンザの型と株 インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる肺と気道の ウイルス感染症です。感染すると、発熱、鼻水、のどの痛み、せき、頭痛、筋肉痛、全身のだるさ(けん怠感)が生じます。 ウイルスは、感染者のせきやくしゃみで飛散した飛沫を吸い込んだり、感染者の鼻の分泌物に直接触れたりすることで感染します。 まず悪寒が生じ、続いて発熱、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、せき、鼻水、全身のけん怠感が生じます。... さらに読む を参照)でした。ブタから直接感染が起きたわけではありませんでしたが、最初に発表された報告がブタのウイルスの成分に注目したものであったために、一般には「ブタインフルエンザ」と呼ばれるようになりました。このインフルエンザウイルス感染症は、通常のインフルエンザと同じように、感染した人からほかの人へと広がりました(ヒト-ヒト感染)。

通常のインフルエンザとは異なり、pH1N1インフルエンザは、高齢者よりも、若者や中年の成人に発生する可能性が高く、死亡につながる可能性も高い感染症です。これは、pH1N1株が最近のインフルエンザの株とは非常に異なっていたためです。

ブタは特定の株のインフルエンザウイルスに感染する可能性があり、正確にはそれらのウイルスが「ブタインフルエンザ」と呼ばれるものです。ブタインフルエンザウイルス株の大半は、人間に感染するものとわずかに異なります。これらの株が人にうつることはごくまれであり、うつった場合でも、人から人へと感染が広がることはめったにありません。しかし、ブタインフルエンザウイルスの変異株の1つであるH3N2vは、これまでに米国のいくつかの州で小児と成人に感染しています。 感染者は、健康そうに見えたものの実際には感染していた家畜のブタと接触したことがあり、その多くは品評会での接触でした。また少数ですが、このウイルスが人から人に感染した可能性がある事例も報告されています。

症状

H1N1インフルエンザの症状は一般的には通常のインフルエンザに似ています。発熱、せき、のどの痛み、全身の痛み、頭痛、悪寒、鼻水、疲労感などが生じます。吐き気、嘔吐、下痢もよくみられます。

ほとんどの場合、ウイルス感染後1~4日で症状が現れ、その後長くて1週間、症状が続きます。症状が現れる前日から消えるまでの8日間ほどは、患者から他の人に病気がうつる可能性があります。

症状は通常は軽度ですが、重症化して 肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む 肺炎の概要 呼吸不全 呼吸不全 呼吸不全は、血液中の酸素レベルが危険なほど低くなったり、血液中の二酸化炭素濃度が危険なほど高くなる病気です。 呼吸不全の原因としては、気道をふさぐ病気、肺組織を損傷する病気、呼吸を制御する筋肉を衰えさせる病気、呼吸を促す仕組みが抑制される病気などがあります。 激しい息切れ、皮膚の青みがかった変色、錯乱または眠気などの症状がみられることがあ... さらに読む が生じることもあります。感染により、心臓や肺の病気や 糖尿病 糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に産生しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む などの慢性疾患が悪化したり、妊娠中であれば 流産 流産 流産とは、妊娠20週までに人為的でない原因によって胎児が失われることです。 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。 医師は子宮頸部を診察し、通常は超音波検査も行います。... さらに読む 早産 早産児 早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児です。生まれた時期により、早産児の臓器は発達が不十分であるため、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、および高血圧などがある場合に、早産児を出産するリスクが高くなります。 多くの臓器の発達が不十分であるため、早産児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が... さらに読む などの合併症が起きたりすることがあります。

診断

  • 鼻またはのどから採取したサンプルの検査

症状が軽度または典型的な場合、特にpH1N1インフルエンザの流行時であれば、一般に検査は不要です。pH1N1インフルエンザの診断は通常、症状と身体診察の結果に基づいて下されます。

医師は鼻と口の中から分泌物のサンプルを採取して検査にかけることがあります。この検査によりH1N1インフルエンザ感染症を確定できます。

予防

インフルエンザに似た症状がある人は、自宅を出ないようにして、くしゃみやせきが出るときはティッシュで口と鼻を覆い、頻繁に手を洗い、アルコール系の手指消毒剤を使用するべきです。

治療

  • 安静と十分な水分補給

  • 症状の緩和

  • ときに抗ウイルス薬

激しい嘔吐、息切れ、胸部や腹部の痛み、突然のめまいや錯乱が生じた場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

小児では、唇や皮膚が青ざめている場合、水分が十分にとれていない場合、呼吸が速かったり困難な場合、異常な眠気やむずかり(抱かれるのをいやがることも含む)がある場合、発疹を伴う発熱がある場合は、直ちに受診する必要があります。

重度の合併症を起こすリスクが高い人(5歳未満の小児など)や妊婦に症状がみられる場合は、軽度であっても医師に連絡すべきです。

また、誰であれ、インフルエンザに似た症状が消えてから発熱やひどいせきが出た場合は、医師の診察が必要です。

pH1N1インフルエンザの治療は、症状の緩和に重点を置いたものです。例えば、アセトアミノフェンにより発熱や痛みを和らげることができます。十分な安静と水分補給が役立ちます。

合併症のリスクがある場合や、症状が重い場合は、 抗ウイルス薬 抗ウイルス薬 ウイルスは核酸( DNAかRNAのどちらか一方)で構成されており、タンパク質の膜で覆われています。ウイルスが増殖するには生きている細胞が必要です。ウイルス感染症は、無症状(明らかな症状はない)から重度の病態にいたるまで、幅広い症状を引き起こします。 ウイルス感染症は、ウイルスを飲み込んだり、吸い込んだり、虫に刺されたり、性的接触を通じて感... さらに読む のオセルタミビル、ザナミビルまたはバロキサビルを使用することがあります。これらの薬は、症状が現れてから48時間以内に投与を始めるのが最も効果的です。米国では、pH1N1インフルエンザにかかった人の大半が、このような薬を服用することなく完全に回復しています。

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