ポリオワクチンは、非常に感染力が強く、脊髄と脳を侵すウイルス感染症である ポリオ ポリオ ポリオとは、非常に感染性が強く、死に至ることのある エンテロウイルス感染症で、神経を侵して永久的な筋力低下や麻痺などの症状が生じます。 ポリオはウイルスが原因で生じる病気で、通常は汚染された食べものや水を飲食したり、汚染されたものを触った後にその手で口に触れたりすることで感染します。 多くの人は感染しても症状がなく、症状が出てもほとんどは軽症です。 症状としては、発熱、頭痛、項部硬直や背中の硬直、深部の筋肉痛などがあり、ときに筋力低下と... さらに読む を予防するものです。ポリオにかかると永続的な筋力低下、麻痺が生じ、ときには死に至ります。
2種類の製剤があります:
死んだウイルスを含有し、筋肉内または皮下に注射するもの
生きた弱毒化ウイルスを含有し、経口で服用するもの
生ウイルスワクチンの接種を受けた人のうち、約240万人に1人の割合でそのウイルスがポリオを引き起こす株に変容する可能性があるため、米国では使用できなくなっています。
ポリオワクチンは、ジフテリア・破傷風・百日ぜき混合ワクチンなど、他のワクチンと併用される場合があり、ときにB型肝炎ワクチンやインフルエンザ菌 Haemophilus influenzaeワクチンとも併用されます。
詳細については、CDCによるポリオワクチン説明書(Polio vaccine information statement)を参照してください。
(予防接種の概要 予防接種の概要 予防接種(ワクチン接種)を行うことで、特定の細菌やウイルスが原因で起こる病気に対する体の抵抗力を高めることができます。免疫(特定の細菌やウイルスによって引き起こされる病気から自らを守る体に備わった能力)は、細菌やウイルスにさらされることで自然に生じる場合と、予防接種を受けることで人為的に得られる場合があります。ある病気に対して免疫ができる... さらに読む も参照のこと。)
接種
小児定期接種 小児期の予防接種スケジュール 米国では、ほとんどの医師は米国疾病予防管理センター(CDC—乳児・小児用スケジュール[schedule for infants and children]および年長児・青年用スケジュール[schedule for older children and adolescents]を参照)が推奨している予防接種スケジュールに基づいて予防接種を行っており、このスケジュールは病院の新生児室で行われる... さらに読む の一環として、米国では生後2カ月、4カ月、6~18カ月、4~6歳の4回に分けてポリオワクチンの接種が行われます。
現在、米国でポリオは非常にまれな病気であるため、ワクチン接種を受けていない18歳以上の人は、ポリオウイルスにさらされる可能性が高い場合(例えば、ポリオの流行地域に旅行する人[CDC: Travelers' Healthを参照]や、ポリオウイルスが含まれうる物質を扱う研究室職員、ポリオの疑いがある患者を治療する人など)を除いて、このワクチンの接種を受けることはありません。
対象者が一時的に病気にかかっている場合、ワクチンの接種はその病気が治まるまで待つのが通常です(CDC:これらのワクチンを接種すべきでない人[CDC: Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。
副反応
抗菌薬の、ストレプトマイシン、フラジオマイシン、ポリミキシンBに対するアレルギーがある人は、ポリオワクチンにアレルギー反応を示す場合があります。ワクチンにこれらの抗菌薬が少量含まれていることがあるためです。
さらなる情報
役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention (CDC)):ポリオワクチン説明書(Information statement about polio vaccine)
CDC: 旅行者の健康:旅行者の健康に関する注意事項や旅行先に応じた接種すべきワクチンに関する情報(Travelers’ Health: Information about travel health notices and about what vaccines to get depending on destination)
CDC:ポリオワクチンを接種すべきでない人に関する情報(Information about people who should NOT get vaccinated with polio vaccine)