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ロッキー山紅斑熱(RMSF)

(紅斑熱、ダニ熱、ダニチフス)

執筆者:

William A. Petri, Jr

, MD, PhD, University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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本ページのリソース

ロッキー山紅斑熱は死に至ることのあるリケッチア感染症の一種で、イヌダニや森林ダニが媒介します。感染すると、発疹や頭痛、高熱が生じます。

  • 感染したマダニに咬まれることで感染します。

  • 重度の頭痛、悪寒、極度の疲労感、筋肉痛が起こり、通常はその数日後に発疹がみられます。

  • 最も効果的な予防法は、マダニに咬まれないようにすることです。

  • マダニに咬まれて、典型的な症状がみられた場合には、即座に抗菌薬が投与されます。

ロッキー山紅斑熱(RMSF)は、ロッキー山紅斑熱リケッチア Rickettsia rickettsiiという細菌によって引き起こされます。リケッチアは他の生物の細胞内でのみ生存できる細菌です。

ロッキー山紅斑熱は、おそらく米国で最もよくみられるリケッチア感染症です。ロッキー山脈で最初に発見された病気ですが、アメリカ大陸のほとんどの場所で発生します。米国では南東部と中南部(ノースカロライナ州、オクラホマ州、アーカンソー州、テネシー州、ミズーリ州)で最も多く発生しています。また中南米でもみられます。

ロッキー山紅斑熱は主に、マダニの成虫の活動期で人間がダニの生息地域に多く入る時期でもある3月から9月にかけて発生します。南部の州では、1年を通して発生します。この感染症は、マダニの多い場所で長い時間を過ごす人や15歳未満の小児により多くみられます。

マダニは感染した哺乳類(多くはげっ歯類)の血を吸ってリケッチアに感染します。感染した雌のマダニはリケッチアを子に感染させます。森林ダニやイヌダニに咬まれることで感染が人間に広がります。リケッチア感染症は、人から人に直接伝染することはないと考えられています。

リケッチアは血管の内皮細胞の中に住みつき、増殖します。皮膚の内部、皮膚の下、脳、肺、心臓、腎臓、肝臓、脾臓の血管によく感染します。細い血管が感染すると、血栓(血液のかたまり)によって詰まることがあります。感染症が重症化すると、体の各部に血栓ができ、それにより播種性血管内凝固症候群が生じることがあります。

知っていますか?

  • 症状が出た人の約4分の3では、ダニに咬まれたとの認識があります。

症状

ロッキー山紅斑熱の典型的な症状は、重度の頭痛、悪寒、極度の疲労、筋肉痛などです。マダニに咬まれてから3~12日後に症状が突然現れます。症状が出るのが早いほど、感染症は重くなります。数日以内に高熱が出て、重症の場合は2~3週間続きます。空せきが続けて出ることもあります。吐き気や嘔吐もよくみられます。

熱が出てから1~6日目に手首、手のひら、足首、足の裏、前腕に発疹が現れ、首、顔、わきの下、殿部、体幹に急速に広がります。発疹は初めのうちは平らでピンク色ですが、やがて色が濃くなり、少し隆起してきます。かゆみはありません。例えば入浴などで、体が温まると発疹が目立ちます。その約4日後に、皮膚内の出血によって小さな紫色の部分が現れ(点状出血)、重症の場合は、皮膚の各部が壊死して黒くなり、壊疽を起こしていることが分かります。

ロッキー山紅斑熱の患者の約10%には発疹がみられません。

ロッキー山紅斑熱が進行すると、ほかにも以下のような症状が現れます。

  • 脳内血管が侵されている場合は、落ち着きのなさ、不眠、せん妄、ときに昏睡

  • 腹痛

  • 気道の炎症、肺炎

  • 心臓の障害

  • 貧血

  • 重度の低血圧と死亡(まれ、感染症が重度の場合に起こる)

診断

  • 医師による評価

  • 発疹の生検と検査

  • 血液検査

医師は、患者が以下の両者に当てはまる場合、ロッキー山紅斑熱を疑います。

  • 西半球の森林地域やその近隣地区に住んでいる

  • 発疹の有無や、マダニに咬まれたかどうかに関係なく、春、夏、秋に発熱や頭痛、筋肉痛がみられる

およそ70%の患者は、マダニに咬まれたことを覚えています。

ロッキー山紅斑熱の診断の確定には、通常、検査が必要です。しかし、利用できる検査では細菌をすぐに検出できない場合や、処理に時間がかかる場合があります。そのため、医師はロッキー山紅斑熱を疑ったら、通常は検査結果が出る前に治療を開始します。

診断を確定するには、通常、発疹から採取(生検)したサンプルを蛍光抗体法で検査します。蛍光抗体法では、細菌が作り出す異物(抗原)を蛍光染料で標識し、異物の検出と特定を容易にします。

血液検査を行って、原因となる細菌に対する抗体を検出することもあります。しかし、そのような検査では、症状が現れてから7~10日ほど経過するまで、抗体を検出することができません。この時期より前に行われた抗体検査は陰性になることがあります。そのため、医師は通常、抗体の値の上昇を確認するために、数週間空けて2回検査を行います。そのため、この検査は患者の発症直後に感染症を診断する役には立ちませんが、後に診断を確定する助けになります。

予防

ロッキー山紅斑熱に対するワクチンはないため、マダニに刺されないこと、刺されたら付着しているマダニをすぐに除去することが最善の予防法です。以下の対策が役に立ちます。

  • ズボンのすそを靴や靴下の中に入れ、ペルメトリン含有の殺虫剤を衣服にふりかけておくと、マダニが皮膚につくのを抑えることができます。

  • DEET(ジエチルトルアミド)などのダニに対する防虫剤を皮膚に使うこともあります。そのような防虫剤は効果的ですが、年少の小児では、まれにけいれん発作などの毒性反応が起こります。

  • 感染が起こるには平均24時間にわたってマダニが体に付着している必要がありますので、体にマダニが付着していないか頻繁に調べることが予防に役立ちます。

  • 付着したマダニは注意深く毛抜きで取り除きます。できるだけ皮膚の近くで、マダニの頭部を摘みます。除去する際に血液を吸ったマダニがつぶれるとリケッチアに感染する場合があるため、マダニを取り除くときは十分に気をつける必要があります。

マダニに咬まれないための予防法

次のような予防法で、マダニを皮膚に触れさせないようにします。

  • 道の上を歩く

  • ズボンのすそを長靴や靴下に入れる

  • 長袖の服を着る

  • ジエチルトルアミド(DEET)を含む防虫剤を皮膚につけておく

DEETは、毒性反応が報告されているため、非常に年少の小児に使用する場合は注意が必要です。ペルメトリンを衣服にかけておくと、効果的にマダニを死滅させることができます。マダニに媒介される感染症の流行地域では、体にマダニがついていないか頻繁にチェックする必要があり、特に毛深い部位や小児の体は入念に調べます。

血を吸って膨らんだマダニは、指でつぶしてしまうとマダニがもっている病気に感染する可能性があるため、つぶさないように慎重に取り除く必要があります。マダニの体の部分を強く挟んだりつぶしたりしてはいけません。小さなピンセットでマダニの頭部をつまみ、少しずつ引き抜きます。マダニが付着していた部位はアルコールでふいてください。ワセリンや火のついたマッチなどの刺激物は効果的ではないため、マダニの除去には使わないようにします。

すべてのマダニを除去できる実用的な方法はありません。しかし、マダニの多い場所ではマダニを運ぶ動物が住みにくい環境にすることで、マダニの数を減らせることがあります。例えば、薪の山や落ち葉、枯れ枝を取り除き、家の周り(特に遊び場)の背の高い草や藪を刈ることで、ネズミが住みにくい環境を作るとよいでしょう。ネズミはそのような場所に隠れたり、巣を作ったりすることがあるためです。

治療

  • 抗菌薬

臨床検査の結果が出ていなくても、症状と、感染したマダニに接触した可能性があることから、ロッキー山紅斑熱が疑われる場合は、即座に抗菌薬が処方されます。抗菌薬による早期の治療によって、死亡する確率を20%から5%程度にまで引き下げることができます。

治療では通常、ドキシサイクリンを使用します。感染症が軽症であれば経口で、重症であれば静脈内に投与します。抗菌薬の投与は、患者の状態が改善し、24~48時間にわたって発熱がみられなくなるまで続けます。ただし、最短でも7日間は使用する必要があります。

一方、マダニに刺されただけで症状が出ない場合は、一般的に抗菌薬は使用しません。その代わり医師は、症状が出たらすぐに受診するよう指導します。

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