(移植の概要 移植の概要 移植とは、生きて機能している細胞、組織、臓器を体から摘出して、同じ人間の別の部分、または別の人間の体に移し替えることをいいます。 最もよく行われている移植は 輸血です。毎年、何百万人もが治療として輸血を受けます。しかし、一般には移植というと臓器(実質臓器移植)や組織の移植を指します。... さらに読む も参照のこと。)
膵臓 膵臓 膵臓(すいぞう)は以下の2種類の腺組織を含む臓器です。 膵腺房(すいせんぼう) ランゲルハンス島 ( 消化器系の概要も参照のこと。) 膵腺房では消化酵素がつくられます。ランゲルハンス島ではホルモンがつくられます。膵臓は消化酵素を十二指腸へ、ホルモンを血液中へ分泌します。 さらに読む の膵島細胞は、血糖値を調節する役割を担うホルモンであるインスリンを分泌します。膵島移植は、糖尿病患者の膵臓がインスリンを十分に産生できなくなった場合に選択肢となります。
膵島移植は 膵臓移植 膵臓移植 膵臓移植とは、死亡した直後の人から健康な膵臓を切除するか、またはまれですが生きている人から膵臓の一部を摘出し、膵臓から十分なインスリンがつくられなくなった重度の糖尿病の人に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 膵臓移植を実施するのは、糖尿病患者の膵臓がインスリンを十分に産生できなくなった場合です。糖尿病で膵臓移植を受けた場合、80%を超える患者は後に血糖値が正常になり、インスリンの必要がなくなります。しかしその恩恵の代わり... さらに読む より単純かつ安全で、膵島移植を受けた患者の約75%は移植から1年後にインスリンを使う必要がなくなり、長年にわたって必要ないこともあります。しかし膵島移植の長期的な効果については、まだはっきり分かっていません。
方法
死亡したドナーの膵臓から膵島細胞を取り出して、レシピエントの肝臓につながる静脈に注入することで移植します。すると移植された膵島細胞は肝臓の中の細い血管にとどまり、そこで機能してインスリンを生産します。2~3回、静脈に注入することもありますが、そのためには死亡したドナー2~3人からの膵島細胞が必要になります。拒絶反応のリスクを低下させるために、コルチコステロイドなど免疫系を抑制する薬(免疫抑制薬 免疫系の抑制 移植とは、生きて機能している細胞、組織、臓器を体から摘出して、同じ人間の別の部分、または別の人間の体に移し替えることをいいます。 最もよく行われている移植は 輸血です。毎年、何百万人もが治療として輸血を受けます。しかし、一般には移植というと臓器(実質臓器移植)や組織の移植を指します。... さらに読む )が必要になります。
慢性膵炎 慢性膵炎 慢性膵炎は長期間続く膵臓の炎症で、膵臓の構造と機能に回復不能な悪化が生じます。 飲酒と喫煙が慢性膵炎の2大原因です。 腹痛は持続する場合もあれば、現れたり消えたりする場合もあります。 診断は症状、急性膵炎の再発歴と飲酒歴、ならびに画像検査と膵機能検査の結果に基づいて下されます。 治療としては、禁酒と禁煙、食習慣の変更、膵酵素サプリメントの服用、痛みを緩和する対策を行います。 さらに読む などの病気のために膵臓を摘出しなければならない患者もいます。そのような患者では、それまで糖尿病ではなかったとしても、その後糖尿病を発症します。これを防ぐために、摘出した患者の膵臓から膵島細胞を集めることができる場合があります。この膵島細胞を、膵臓を失った患者の体に戻します(自家移植)。細胞は患者本人のものなので、免疫抑制薬は不要です。
合併症
たとえ組織型の適合性が高くても、拒絶反応を予防する対策をとっておかなければ、輸血とは異なり、通常移植された臓器や組織に対する拒絶反応が起こります。拒絶反応は、レシピエントの免疫系が移植臓器を異物として認識し、攻撃するために生じます。軽い拒絶反応で容易にコントロールできる場合もあれば、重度の反応で移植臓器の破壊に至る場合もあります。
拒絶反応が現れる可能性があります。膵臓の酵素から作られる消化酵素のほか、血糖値と血液中のヘモグロビンA1Cというタンパク質の値を測定すること(糖尿病 糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に生産しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 糖尿病は神経の損傷をもたらし、触覚の問題を引き起こします。... さらに読む を調べる場合と同じ)によって拒絶反応を検出します。
移植によってその他の合併症が生じます。具体的には、血液を肝臓へ運ぶ静脈(門脈)の出血や血栓などがあります。