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幹細胞移植

執筆者:

Martin Hertl

, MD, PhD, Rush University Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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本ページのリソース

幹細胞は未分化の細胞で、分裂しながら、より分化した他の細胞に変わっていきます。幹細胞は以下のものから採取することができます。

  • 生まれてすぐの新生児の臍帯血(母親が提供)

  • 骨髄(骨髄移植)

  • 血液

手技による体への負担が少なく、正常な血球数への回復が早いため、骨髄よりも血液からの採取が好まれます。通常、臍帯血からの幹細胞は小児のみに使用されます。これは、臍帯血には成人に使用できるほど十分な量の幹細胞が含まれていないためです。

幹細胞とは

幹細胞は未分化の細胞で、血液、神経、筋肉、心臓、分泌腺、皮膚など、体内の200種類もの細胞に変化する能力をもっています。

なかには、体内のあらゆる細胞になる能力をもつ幹細胞もあります。また、すでに分化が一部進んでいる幹細胞もあり、こういった細胞には、例えば神経細胞にだけなれる幹細胞があります。

幹細胞は、特定の細胞への分化を開始するまでは単純に分裂し、幹細胞として増殖します。分裂が進むにつれ、分化が始まって一定の特性をもつようになり、他の細胞に分化する能力を失って一種類の細胞にしかなれなくなります。

研究者らが期待しているのは、幹細胞をパーキンソン病、糖尿病、脊髄損傷などの疾患により損傷または破壊された細胞や組織を修復したり、置き換えたりするのに利用できるのではないかということです。特定の遺伝子を誘導することで幹細胞を分化させ、置き換えが必要な細胞をつくることができる可能性があります。

これまでの研究では、幹細胞を以下のものから得ることに成功しています。

  • 胎児

  • へその緒の血液(臍帯[さいたい]血)

  • 小児または成人の骨髄

  • 人工多能性幹細胞(成人から採取した、幹細胞のような働きをするように変化することができる特定の細胞)

胚:体外受精の際には、まず男性の精子と女性の卵子(卵細胞)数個を一緒に培養皿に入れます。精子が卵子(卵細胞)に受精すると卵細胞は分裂して胚を形成します。これらの胚のうち一番元気なものをいくつか子宮に入れます。残りの胚は廃棄することもあれば、凍結保存しておいて必要になった場合に後で利用することもありますが、

この使わなかった胚から幹細胞を取り出すことができます。これにより使われなかった胚は完全な人間になるという本来の能力を失うことになるため、胚からの幹細胞の使用には賛否が分かれています。しかし、研究者らはこれらの幹細胞が、様々な細胞に分化し、移植した後も生き続ける可能性が最も高いと考えています。

胎児:発生して8週間以降の胚は胎児と呼ばれます。流産や中絶により死亡した胎児から幹細胞を採取することができます。

臍帯:出産後に、臍帯や胎盤の血液から幹細胞を採取することができます。これらの幹細胞は血液細胞にしかなれず、移植に使われるようになってからまだ数年しか経っていません。

小児と成人:小児と成人の骨髄と血液にも幹細胞が含まれています。これらの幹細胞は血液細胞にしかなれませんが、移植には最も多く用いられています。

人工多能性幹細胞:科学者らが開発中の方法で、他の細胞(血球または皮膚細胞など)が幹細胞として機能できるようにします(誘導)。誘導する細胞は成人から採取されます。細胞を誘導する方法の1つに、リプログラミングと呼ばれるプロセスがあり、遺伝子に影響を及ぼす物質を細胞に注入します。

幹細胞を人工的に作り出し、それを利用することは、まだ実験段階と考えられています。

幹細胞移植は白血病、ある種のリンパ腫(ホジキンリンパ腫など)、再生不良性貧血、サラセミア、鎌状赤血球貧血などの血液疾患、そして先天性の代謝疾患や免疫不全疾患(慢性肉芽腫性疾患など)の治療の一環として行われます。

乳がんなどの特定のがんに対して高用量化学療法や放射線療法を受けた患者で、幹細胞移植が行われることもあります。これらの治療により、幹細胞を産生する骨髄が破壊されてしまいます。ときに、乳がんや神経芽腫(神経組織に発生する一般的な小児がん)のような臓器がんの治療に幹細胞移植が使用できます。医師らは幹細胞移植を用いて多発性硬化症など一部の自己免疫疾患の治療する方法の研究を行っています。

リンパ腫患者の約30~40%および白血病患者の20~50%では、幹細胞移植後にがんが認められなくなります。幹細胞移植により、多発性骨髄腫患者の生存期間が延長します。乳がんに対する効果はそれほど高くありません。

方法

移植する幹細胞には以下の種類があります。

  • 患者自身の細胞(自家移植)

  • ドナーから提供を受けた細胞(同種移植)

がん患者が自身の幹細胞を使う場合、化学療法や放射線療法が幹細胞に損傷を与える可能性があるため、その前に幹細胞を採取します。そして治療が終わってから、保存しておいた幹細胞を体内に注入して戻します。

血液からの採取

成人の幹細胞は、外来で血液中から採取することができます。幹細胞が骨髄から血流中へ移行しやすくなる薬剤(コロニー刺激因子)をドナーに投与してから、腕にカテーテルを入れて血液を採取し、幹細胞を抽出する装置の中を循環させて幹細胞だけを集め、残りの血液は反対側の腕に入れたカテーテルからドナーの体に戻します。通常、十分な量の幹細胞を得るために、数日間かけて2~4時間の処置を約6回受ける必要があります。幹細胞は使うときまで凍結保存が可能です。

骨髄からの採取

骨髄移植の場合、ドナーに全身麻酔か局所麻酔をかけ、寛骨(骨盤の骨)から注射器で骨髄を採取します。骨髄採取にはおよそ1時間かかります。

レシピエントへの移植

幹細胞の移植の際はレシピエントの静脈内に1~2時間かけて注入します。注入された幹細胞はレシピエントの骨の中に移動し、そこで増殖して血液細胞をつくります。

幹細胞移植の後

移植後は合併症を予防するための薬剤を投与します(以下を参照)。

幹細胞移植のレシピエントは通常、1~2カ月入院し、

退院後にフォローアップのために定期的に来院するスケジュールを立てます。ほとんどの場合、回復するのに1年以上かかります。

合併症

感染症

幹細胞移植は、レシピエントの白血球がすでに化学療法や放射線療法で破壊されたり減少したりしているため、リスクを伴います。そのため、移植された幹細胞が感染を防ぐのに十分な白血球を産生できるようになるまでの2~3週間は、極めて感染症のリスクが高い状態が続きます。

移植幹細胞が白血球をつくり始めるまでレシピエントを隔離状態にすることで、感染症のリスクを減らすことができます。この期間に病室に入る人は全員がマスクとガウンを身に着け、徹底的に手を洗います。

レシピエントには以下のものが投与されます。

  • 血球の産生を刺激するコロニー刺激因子(感染防御に役立つ白血球など)

  • 感染リスクの低減に役立つ抗菌薬

移植片対宿主病

そのため、骨髄が別の人から提供されたものであれば、レシピエントには、移植片対宿主病や拒絶反応を予防するために免疫抑制薬が投与されます。

元の病気の再発

元の病気が再発するかどうかは、以下の要素に左右されます。

  • 元の病気が何だったか

  • 元の病気の重症度

  • どの種類の移植が行われたか

元の病気が再発する割合は以下の通りです。

  • 本人の幹細胞が移植された人では40~75%

  • 別の人から採取した幹細胞が移植された人では10~40%

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