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自然免疫

執筆者:

Peter J. Delves

, PhD, University College London, London, UK

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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自然免疫は生まれつき備わっているためこう呼ばれており、異物との遭遇による学習は必要ありません。そのため、外来異物に対してすぐに反応できます。しかし先天性免疫は、どんな外来異物に対してもほぼ同じ方法で対応します。外来異物上にある限られた種類の識別物質(抗原)だけを認識します。しかし、これらの抗原は他の多くの異物にも存在します。自然免疫では、獲得免疫と異なり、過去の異物への対処は記憶されず、特定の外来抗原を思い出すことがないことから、将来の感染に対する持続的な防御は備わっていません。(免疫系の概要も参照のこと。)

自然免疫には以下の白血球が関与しています。

  • 単球(マクロファージに分化)

  • 好中球

  • 好酸球

  • 好塩基球

  • ナチュラルキラー細胞

これらはそれぞれ違う機能をもっています。

そのほかに自然免疫には、以下のものが関与します。

  • 肥満細胞

  • 補体系

  • サイトカイン

単球とマクロファージ

マクロファージは、白血球の一種である単球から生じます。単球が血流から組織に移動してからマクロファージになります。

単球は感染が起こると、組織に入ります。そこで約8時間かけて、単球は巨大化して内部に顆粒をつくり、マクロファージになります。顆粒には酵素やその他の物質が詰まっていて、これらが細菌や外来細胞を殺し、消化するのを助けます。マクロファージは組織内にとどまり、細菌、外来細胞、損傷した細胞、死んだ細胞などを捕食します。(このように細胞が微生物や様々な細胞や細胞片などを捕食するプロセスを食作用と呼び、このような細胞を食細胞と呼びます。)

マクロファージは他の白血球を感染部位に引きつける物質を分泌します。また、T細胞による異物の認識も助けることから、獲得免疫にも関与します。

好中球

好中球は血液中で最もよくみられる白血球の1つで、感染に対して最初に防御を行う免疫細胞の1つです。好中球は食細胞であり、細菌や様々な外来細胞を捕食します。好中球は、これらの細胞を殺したり消化したりするのを助ける酵素を放出する顆粒を内包しています。

好中球は血流を介して体内を循環していますが、特別な信号を受けると血流を離れ組織に入り込みます。これらの信号は細菌そのものから、あるいは補体タンパク、損傷を受けた組織などから発信されますが、そのすべてが好中球を問題部位に引き寄せる物質をつくります。(このように物質を用いて特定の部位に細胞を引き寄せるプロセスは走化性と呼ばれます。)

好中球はまた、周囲の組織中に線維をつくる物質を放出します。こういった線維は細菌を捕らえ、細菌が体内に広がるのを防ぐとともに、破壊されやすくします。

好酸球

好酸球も細菌を捕食しますが、取り込むには大きすぎる外来細胞も標的とします。好酸球が外来細胞を見つけると、細胞内の顆粒から酵素や毒性のある物質が放出されます。放出された物質は標的の細胞膜に穴を開けます。

好酸球は血流を介して体内を循環していますが、細菌への活性は好中球やマクロファージほど高くありません。その主な役割の1つは寄生虫に取りついて動けなくし、殺傷を助けることにあります。

好酸球はがん細胞の破壊を助けることがあります。また、炎症やアレルギー反応に関わる物質をつくります。アレルギーがある人、寄生虫感染症の人、喘息の人はそうでない人に比べ、血中の好酸球が多いことがよくあります。

好塩基球

好塩基球は外来細胞を取り込みません。好塩基球は、アレルギー反応に関わる物質であるヒスタミンを含む顆粒をもっています。好塩基球はアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす抗原)に遭遇すると、ヒスタミンを放出します。ヒスタミンは、損傷した組織への血流量を増やし、腫れや炎症を引き起こします。

また、好塩基球は好中球と好酸球を問題部位に引き寄せる物質をつくります。

ナチュラルキラー細胞

ナチュラルキラー細胞は、形成された瞬間から外敵を殺す能力を備えているため、「生まれつきの殺し屋」という意味でナチュラルキラー細胞と呼ばれています。ナチュラルキラー細胞は、感染した細胞やがん細胞を認識して付着することで、酵素などの物質を放出してこれらの細胞の外側の膜を破壊します。ナチュラルキラー細胞はウイルス感染への最初の防御として重要です。

また、ナチュラルキラー細胞はT細胞、B細胞、マクロファージなどの働きの一部を制御するサイトカインをつくります。

肥満細胞

肥満細胞は組織内に存在しています。肥満細胞の機能は血液内の好塩基球に似ています。アレルゲンに遭遇すると、炎症反応やアレルギー反応に関与するヒスタミンなどの物質を放出します。

補体系

補体系は、連鎖反応をする30以上のタンパク質で構成されており、1つのタンパク質が別のタンパク質を活性化し、そのタンパク質が別のタンパク質を活性化するという連鎖によって、体を感染から守ります。この一連の作用は、補体カスケードと呼ばれます。

補体タンパクは以下のように、自然免疫および獲得免疫において多くの役割を担っています。

  • 細菌を直接殺傷します。

  • 細菌に付着して好中球やマクロファージが細菌の存在を認識、捕食しやすくすることで、細菌の殺傷を助けます。

  • マクロファージや好中球を問題のある部位に引き寄せます。

  • ウイルスを無害化します。

  • 免疫細胞が過去に侵入した特定の異物を思い出すのを助けます。

  • 抗体の産生を促進します。

  • 抗体の効果を高めます。

  • 死んだ細胞や免疫複合体(抗体が抗原と結合したもの)を体から除去するのを助けます。

サイトカイン

サイトカインは免疫系の情報伝達物質です。体内で抗原が見つかると、免疫系を構成する白血球や特定の細胞がサイトカインをつくります。

サイトカインには多くの種類があり、それぞれ免疫系の様々な働きに影響を及ぼします。

  • あるサイトカインは免疫系の活性化を促します。例えばサイトカインにより特定の白血球が刺激されると、白血球の殺傷力が高まったり、より活発に他の白血球を問題部位に引き寄せるようになります。

  • また、活性を抑えて免疫反応を終結させるサイトカインもあります。

  • サイトカインのうちインターフェロンと呼ばれるものは、ウイルスの増殖(複製)を抑えます。

サイトカインは獲得免疫にも関与します。

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