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輸血の注意点と副作用

執筆者:

Ravindra Sarode

, MD, The University of Texas Southwestern Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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概要

輸血に際しては、副作用を最小限に抑えるため、いくつかの予防措置が行われます。(輸血の概要 輸血の概要 輸血とは、血液や血液成分を健康な供血者(ドナー)から病気の受血者(レシピエント)に移すことです。 米国では毎年約2500万件の輸血が行われています。輸血を行うことで、血液が酸素を運ぶ能力を高め、体内の血液量を回復させるとともに、血液凝固の障害を正常にします。典型的な輸血の受血者は以下のような人達です。... さらに読む 輸血の概要 も参照のこと。)輸血を開始する前、通常は数時間前に(または数日前のこともあります)、患者と受血者の血液(血漿や血小板ではありません)の交差適合試験を行います。

血液バッグのラベルを二重にチェックし、間違いなくその患者用に用意されたものであることを確認した後、血液1単位当たり1~4時間程度かけてゆっくりと輸血します。ほとんどの副作用は最初の15分間に起こるため、その間は特に注意します。その後は定期的に受血者の様子を観察し、副作用があれば直ちに輸血を中止します。

ほとんどの輸血が安全に問題なく行われます。しかしそれでも、ときには軽度の副作用がみられることがあり、まれに重度の副作用やさらに致死的な副作用が発生することもあります。

最も一般的で、輸血の1~2%でみられる副作用には、以下のものがあります。

  • 発熱

  • アレルギー反応

最も重篤な副作用には、以下のものがあります。

  • 体液過剰

  • 肺損傷

  • 供血者と受血者の血液型不適合による赤血球破壊

まれな反応としては以下のものがあります。

発熱

輸血された白血球に対する反応、または輸血された白血球が放出する化学物質(サイトカイン)に対する反応によって発熱が起こることがあります。このため、米国のほとんどの病院では輸血用の血液が採取された後にその血液から白血球を除去しています。

通常は、発熱を緩和するアセトアミノフェンの投与が唯一必要な治療です。発熱があり、再度の輸血が必要な場合は、次の輸血前にアセトアミノフェンが投与されることがあります。

アレルギー反応

アレルギー反応の症状としては、かゆみ かゆみ かゆみは非常に不快になることがあります。かゆみは、皮膚科の受診理由として最も一般的なものの1つです。 かゆみがあると、人はかきたくなります。かくことで一時的にかゆみは治まりますが、皮膚が傷つくことがあり、ときには、さらなるかゆみが起こったり(かゆみとかくの悪循環)、感染(二次感染と呼ばれます)が起こったりすることもあります。やがて、その部... さらに読む 、広範囲の発疹、腫れ、めまい、頭痛などがあります。頻度は少ないものの、呼吸困難、喘鳴 呼気性喘鳴(wheezing) 呼気性喘鳴は、気道が部分的に閉塞しているときに息をすると聞こえる、笛のような高い音です。(乳幼児の呼気性喘鳴も参照のこと。) 呼気性喘鳴(wheezing、以降単に「喘鳴」といいます)は、気道内部のどこかが狭くなっているまたは部分的に閉塞しているために生じます。喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、一部の重度のアレルギー反応などにより、気道が広範囲にわたって狭くなっていることもあれば、腫瘍または気道に詰まった異物などにより、気道の一部のみ... さらに読む (ぜんめい)、気道閉塞などの症状が生じることもあります。まれに、重度のアレルギー反応から低血圧 低血圧 低血圧とは、めまいや失神などの症状が出現するほど、血圧が低下した状態のことです。血圧が極度に低下すると、臓器に損傷が起きる可能性があり、そのような病態をショックと呼んでいます。 体内の血圧を維持する仕組みは、様々な薬や病気によって影響を受けます。 血圧が下がりすぎた場合、脳の機能不全や失神を起こすことがあります。... さらに読む ショック ショック ショックとは、臓器への酸素の供給量が低下し、生命を脅かす状態で、臓器不全やときには死亡につながります。通常、血圧は低下しています。 (低血圧も参照のこと。) ショックの原因には血液量の減少、心臓のポンプ機能の障害、血管の過度の拡張などがあります。 血液量の減少または心臓のポンプ機能の障害によってショックが起きると、脱力感、眠気、錯乱が生じ、皮膚が冷たく湿っぽくなり、皮膚の色が青白くなります。... さらに読む を起こすこともあります。

アレルギー反応がみられた場合は、輸血を中止して、抗ヒスタミン薬を投与します。さらに重篤なアレルギー反応の場合は、ヒドロコルチゾンにより治療します。治療にアドレナリンを用いることさえあります。

以前に輸血でアレルギー反応を起こしたことがある人でも、血液を処理することで輸血が可能です。供血された血液に対して重度のアレルギー反応をたびたび起こす人には、洗浄した赤血球を輸血しなければならない場合があります。赤血球を洗浄することで、アレルギー反応を引き起こすおそれがある成分を供血された血液から取り除きます。供血された血液は保存される前に白血球 白血球 血液には、以下のような様々な成分が含まれています。 赤血球 血小板 血漿(けっしょう) 白血球 さらに読む 白血球 血小板 血小板 血液には、以下のような様々な成分が含まれています。 赤血球 血小板 血漿(けっしょう) 白血球 さらに読む 血小板 がフィルターにより除去されるため(白血球除去と呼ばれる処理)、アレルギー反応は現在は比較的まれです。

体液過剰

輸血の受血者は、体が容易に処理できる量より多い水分が体内に入る可能性があります。体液が過剰になると、全身がむくんだり、呼吸困難を起こしたりすることがあります。心疾患がある場合は体液過剰により問題が生じやすいため、輸血を通常よりもゆっくりと行い、注意深くモニタリングします。体液過剰の治療には、利尿薬が投与されます。

肺損傷

非常にまれなその他の副作用として、輸血関連急性肺障害(TRALI)があり、供血者の血漿中に含まれる抗体によって引き起こされます。この副作用は、重篤な呼吸困難を引き起こすことがあります。この合併症は、輸血関連死亡の最も一般的な原因です。5,000人に1人から10,000人に1人の頻度で発生しますが、多くの場合が軽度であるため、診断に至らないこともあります。軽度から中等度の肺損傷では、ほとんどの場合、呼吸を補助するために、回復するまで酸素補給やその他の治療を行います。男性から供血された血漿を用いると、この副作用のリスクが低下します。

赤血球の破壊

血液型検査と交差適合試験を注意深く実施していても、供血者と受血者の間の微妙な血液の違い(また、極めてまれに人為的ミス)によって適合しない可能性が残っています。もし不適合であった場合は、輸血後に輸血した赤血球が短時間で破壊されてしまいます(溶血反応)。

通常、この反応は、輸血中や輸血直後に全身の不快感や違和感として現れます。呼吸困難、胸部圧迫感、紅潮、背中の強い痛みが起こる場合もあります。ときには、皮膚が冷たく湿っぽくなり、血圧が低下する 低血圧 低血圧とは、めまいや失神などの症状が出現するほど、血圧が低下した状態のことです。血圧が極度に低下すると、臓器に損傷が起きる可能性があり、そのような病態をショックと呼んでいます。 体内の血圧を維持する仕組みは、様々な薬や病気によって影響を受けます。 血圧が下がりすぎた場合、脳の機能不全や失神を起こすことがあります。... さらに読む ことがあります(ショック)。この場合、非常にまれですが、死に至る可能性もあります。

溶血反応が疑われる場合、医師は直ちに輸血を中止します。呼吸や血圧を補助する処置が行われます。赤血球が破壊されていることを確認するため、血液検査や尿検査が行われます。

ときには、溶血反応が遅れて現れ、輸血から1カ月以内に発生することがあります。通常、このような副作用は軽度であるため、輸血を必要とする疾患からの回復をモニタリングするために血液検査を行ったときに、やっと気づかれることがあります。こうした副作用は、供血された血液の中に、通常は検査されないまれな血液型の抗原があるために起こります。

移植片対宿主病

移植片対宿主病(GVHD)は輸血によるまれな合併症で、薬や病気により免疫機能が低下している人に発生する例がほとんどです。この疾患では、供血された白血球(移植片)が受血者(宿主)の組織を攻撃します。症状には、発熱、発疹、低血圧 低血圧 低血圧とは、めまいや失神などの症状が出現するほど、血圧が低下した状態のことです。血圧が極度に低下すると、臓器に損傷が起きる可能性があり、そのような病態をショックと呼んでいます。 体内の血圧を維持する仕組みは、様々な薬や病気によって影響を受けます。 血圧が下がりすぎた場合、脳の機能不全や失神を起こすことがあります。... さらに読む 、血球の減少、組織の破壊、ショック ショック ショックとは、臓器への酸素の供給量が低下し、生命を脅かす状態で、臓器不全やときには死亡につながります。通常、血圧は低下しています。 (低血圧も参照のこと。) ショックの原因には血液量の減少、心臓のポンプ機能の障害、血管の過度の拡張などがあります。 血液量の減少または心臓のポンプ機能の障害によってショックが起きると、脱力感、眠気、錯乱が生じ、皮膚が冷たく湿っぽくなり、皮膚の色が青白くなります。... さらに読む などがあります。これらの副作用により死に至ることもあります。しかし移植片宿主病は、免疫能が低下した人に輸血を行う場合には、放射線を照射した赤血球や血小板を輸血することで、なくすことができます。

感染症

血液製剤の注意深い検査や保管にもかかわらず、輸血で感染性微生物が伝搬することがあります。血液の検査と供血者を注意深く評価することで、感染性微生物の伝搬を低く抑えています。しかし、感染が非常に初期の供血者や、検査法がない新しい微生物に感染した供血者では、血液中の微生物が検査で検出されないこともあります。

大量輸血の合併症

血液凝固障害は、輸血された血液に凝固を助ける物質(凝固因子や血小板)が十分に含まれていないために発生します。そのため、大量輸血が必要になる可能性が高いと医師が考えた場合は、新鮮凍結血漿も投与されます。新鮮凍結血漿には凝固因子が含まれています。ときには、血小板輸血が行われることもあります。

大量輸血によって、低カルシウム血症 低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低いこと) 低カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に低い状態をいいます。 カルシウム濃度の低下は、副甲状腺の問題や、食事、腎疾患、特定の薬剤などが原因で発生します。 低カルシウム血症が進行すると、強い痛みを伴う筋肉のけいれんがよくみられ、そのほかに錯乱、抑うつ、忘れっぽくなる、唇や指や足のチクチク感、筋肉のこわばりと疼きなどの症状が現れることもあります。 通常は一般的な血液検査で発見されます。... さらに読む (血液中のカルシウム濃度が低くなる)や低カリウム血症 低カリウム血症(血液中のカリウム濃度が低いこと) 低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が非常に低い状態をいいます。 カリウム濃度の低下には多くの原因がありますが、通常は嘔吐、下痢、副腎の病気、利尿薬の使用が原因で起こります。 カリウム濃度が低下すると、筋力低下、筋肉のけいれんやひきつり、さらには麻痺が生じるほか、不整脈を起こすことがあります。 診断は、カリウム濃度を測定する血液検査に基づいて下されます。 通常は、カリウムを豊富に含む食べものを食べるか、カリウムのサプリメントを飲むだ... さらに読む (血液中のカリウム濃度が低くなる)が起こることがあります。カルシウム濃度が非常に低い場合、筋肉のけいれん(テタニー)や不整脈などの症状が生じる場合があります。カリウム濃度が非常に低い場合、筋力低下や不整脈が起こることがあります。

血液は冷蔵で保存されるため、多くの単位の輸血を行うと、体温が低下する可能性があります。大量輸血による体温の低下を防ぐため、血液が輸血用のチューブを通るときに血液を徐々に温める特殊な機器が使用されます。

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