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血液製剤

執筆者:

Ravindra Sarode

, MD, The University of Texas Southwestern Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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概要
本ページのリソース

血液には、以下のような様々な成分が含まれています。

血漿には抗体(免疫グロブリン)と凝固因子が含まれています。すべての種類の血液製剤が供血1回分の血液から製造されるわけではありません。例えば、免疫グロブリンと凝固因子は、多くの献血者の血液をプールした血漿からつくられることがあります。白血球と血小板はアフェレーシスにより得られます( 血小板献血 血小板献血 以下のような、特別な供血方法がいくつかあります。 (輸血の概要も参照のこと。) 血小板献血では、全血ではなく血小板だけを採取します。供血者から採取した血液を機器で成分毎に分け、血小板だけを選別して、残りの成分は供血者に戻します。血液の大部分が体内に戻るため、全血の場合と比べて、1回に8~10倍の血小板を安全に採取できます。3日毎に1回(ただし、供血は1年に24回まで)と、より頻繁に血小板を採取できます。全血の場合は採血にかかる時間は10... さらに読む )。状況によっては、赤血球、血小板、血漿、クリオプレシピテート クリオプレシピテート(クリオ製剤) 血液には、以下のような様々な成分が含まれています。 赤血球 血小板 血漿(けっしょう) 白血球 さらに読む クリオプレシピテート(クリオ製剤) を単独で輸血することもあります。成分を選んで輸血することによって、その病気に合った治療ができ、副作用のリスクが低下します。また、1単位の血液に含まれる異なる成分を複数の人の治療に効率的に使用できます。

血液浄化による病気の管理

アフェレーシスという方法では、血液をいったん体から取り出して、血液の液体成分や含まれる物質、血球、血小板などを選択的に取り出したり、量を減らしたりした上で、再び体内に戻します。

この方法は、幹細胞採取、顆粒球採取、血小板採血のように、供血者の血液から特定の血球や血小板だけを採取するために行うこともあります。

また、重篤な病気があり、他の治療法で効果がみられなかった場合に、血液から有害な物質を除去したり、過剰な血球や血小板を取り出したりして、血液をきれいにするために行うこともあります。血液浄化で効果を得るためには、有害物質や血球の産生速度を上回るスピードで除去する必要があります。

血液浄化で最も一般的に行われているのは、血漿交換と血球除去の2つです。

血漿交換では、患者の血液を体外に取り出してから、血漿を血球と血小板から分離します。取り出した血漿は廃棄して、血球と血小板を、アルブミンなどの血漿に置き替わる液体成分とともに再び体内に戻します。血漿交換は、多発性硬化症 多発性硬化症(MS) 多発性硬化症では、脳、視神経、脊髄の髄鞘(ずいしょう)(ほとんどの神経線維を覆っている組織)とその下の神経線維が、まだら状に損傷または破壊されます。 原因は解明されていませんが、免疫系が自分の体の組織を攻撃する現象(自己免疫反応)が関与していると考えられています。 多発性硬化症の患者のほとんどは、健康状態が比較的良好な期間と症状が悪化する期間を交互に繰り返しますが、時間の経過とともに、多発性硬化症は徐々に悪化していきます。... さらに読む 重症筋無力症 重症筋無力症 重症筋無力症は、神経と筋肉の間の信号伝達が妨げられる自己免疫疾患で、筋力低下の発作を引き起こします。 重症筋無力症は、免疫系の機能不全により起こります。 通常、まぶたの下垂と複視が起こり、運動後は筋肉の著しい疲労と筋力低下が起こります。 診断を確定するためには、アイスパックや安静によってまぶたの下垂が軽減するかをみる検査、筋電図検査、血液検査が役立ちます。 筋力を速やかに改善できる薬や、病気の進行を遅らせる薬があります。 さらに読む ギラン-バレー症候群 ギラン-バレー症候群(GBS) ギラン-バレー症候群は、筋力低下を引き起こす多発神経障害の一種で、筋力低下は通常は数日から数週間かけて悪化し、その後ゆっくりと自然に回復します。治療を行えば、もっと早く回復します。 ギラン-バレー症候群は、自己免疫反応によって引き起こされると考えられています。 通常、筋力低下は両脚で最初に起こり、それから体の上の方に広がります。 筋電図検査と神経伝導検査が診断の確定に役立ちます。... さらに読む (筋力が低下する神経疾患)、グッドパスチャー症候群 グッドパスチャー症候群 グッドパスチャー症候群は、まれな自己免疫疾患であり、肺の中での出血と進行性の腎不全が起こります。 一般に、息切れや喀血がみられます。 診断を下すには、血液や尿の検査と胸部X線検査が必要です。 コルチコステロイド、シクロホスファミド(化学療法の薬剤)、血漿交換などを用いて、肺や腎臓の永続的な損傷を防ぐようにします。 免疫系の重要な機能に、感染に対する防御があります。免疫系は、感染から体を守るために、微生物を自己に対する異物と認識し、その微... さらに読む (肺の出血と腎不全を伴う自己免疫疾患)、クリオグロブリン血症 クリオグロブリン血症 血液中の異常なタンパク質や正常でも異常な量のタンパク質を生じる疾患では、血管がもろくなることがあります。このようにもろくなった血管が破れると、皮膚に赤色もしくは紫色の染みやあざ(紫斑)ができます。紫斑を引き起こす可能性のある疾患には以下のものがあります。 アミロイドーシス クリオグロブリン血症 高ガンマグロブリン血症性紫斑病 過粘稠度(かねんちゅうど)症候群 さらに読む クリオグロブリン血症 (異常な抗体が形成される病気)、血栓性血小板減少性紫斑病 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は、全身に小さな血栓ができて、脳、心臓、腎臓などの重要臓器への血液の流れを妨げる重度で重篤な病気です。 症状は血栓ができた場所に関係します。 診断は症状と血液検査に基づいて行います。 血栓性血小板減少性紫斑病の治療は、血漿交換とコルチコステロイドの投与によって行います。 溶血性尿毒症症候群の治療では、重要な身体機能の補助と場合により血液透析を行うことがあり、少数ですがエクリ... さらに読む (まれな凝固障害)などの治療に使用されます。

血球除去では、血球のうち過剰になったものが取り除かれます。血球除去は、赤血球増多症(赤血球が多すぎる状態)、ある種の白血病(白血球が異常に増えるがんの一種)、血小板血症(血小板が多すぎる状態)の治療に使用できます。

アフェレーシスでは、血液を取り出すときと体内に戻すときに、血管と組織の間で大量の液体が移動することから、すでに病気になっている人では合併症を引き起こす危険があるため、必要なときしか行えません。病気によっては、アフェレーシスが病勢のコントロールに有用となる可能性がありますが、一般にその病気を治癒させるものではありません。ただし、血栓性血小板減少性紫斑病では、アフェレーシスにより回復する可能性があります。

赤血球

濃厚赤血球は、輸血で最もよく使用される血液成分であり、これを用いて血液が酸素を運搬する能力を回復できます。濃厚赤血球の輸血は、出血している場合や重度の貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数やヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)の量が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少したり、赤血球中のヘモグロビンの量が少なくなったりすると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分... さらに読む がある場合に行われます。赤血球は、血液の液体成分(血漿)やその他の細胞成分から分離されこの段階で容積が少なくなるように赤血球の濃度が高められるため、「濃厚」という用語が用いられます。

ときには、血漿に対して重度の反応を示す人に輸血できるよう、赤血球が特別に処理(洗浄)されることもあります。洗浄赤血球では、血漿、ほとんどの白血球、血小板がほぼすべて除去されます。特殊なフイルターを定型的に使用して白血球を除去することで、発熱、悪寒、サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス感染症はよくみられるヘルペスウイルス感染症で、症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多様です。 このウイルスは、体の分泌物と接触(性的接触とそれ以外の接触の両方)することで感染します。 ほとんどの人では何の症状もみられませんが、気分が悪くなって熱が出る場合もあり、免疫機能が低下している人が感染すると、失明などの重篤な症... さらに読む 、ヒト白血球抗原(HLA)に対する抗体産生など、多くの副作用が低減されます。HLAという抗原は、細胞の表面に存在するマーカーで、個々の生命体に固有のものであるため、自己を異物と区別することができます。

赤血球は冷蔵で42日間保存できます。特殊な事情がある場合(例えば、まれな型の血液を保存するためなど)は、最大10年間まで赤血球を冷凍保存することができます。

血小板

過去には、有益となるのに十分な血小板を1人に提供するのに数名の供血者が必要でした。現在のアフェレーシスでは、他の血液成分と血小板を良好に分離する採取技術により、1人の供血者で1人の受血者に十分な血小板が提供できるようになっています。

血漿

血漿は血液の液体成分で、血液凝固因子など、様々なタンパク質を含んでいます。血液凝固因子は、正常であれば血小板と協働して血液が固まるのを助けます。凝固因子がないと、傷の出血が止まりません。血漿は、新鮮な血液から分離された直後に、通常は凍結されます(新鮮凍結血漿)。採取から24時間以内に凍結した血漿は、1年間保存できます。血漿の輸血は出血性疾患を対象として、欠けている凝固因子が不明な場合や、特定の凝固因子が入手できないときに行われます。また、肝不全や重度の感染症などの病気で凝固因子が不足して出血を起こしている場合にも使用されます。

知っていますか?

  • 輸血の際に血液成分の種類を指定できるため、病気を治すために必要な成分だけを投与できます。

クリオプレシピテート(クリオ製剤)

新鮮凍結血漿を解凍すると、液体の血漿の底に一部の凝固因子(主にフィブリノーゲン、第VIII因子、第XIII因子、フォン・ヴィルブランド因子)が個体のかたまりを形成します。このように形成されるかたまりを「プレシピテート」といいます。「クリオ」は冷たいという意味で、したがってクリオプレシピテートという名前がついています。クリオプレシピテートは、重要な凝固因子であるフィブリノーゲンがあまりにも少ないために重度の出血がみられる場合(例えば、播種性[はしゅせい]血管内凝固症候群 播種性血管内凝固症候群(DIC) 播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群は、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気です。血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こします。 感染や手術など、考えられる原因はいくつかあります。 必要以上の血液凝固は過度の出血を引き起こします。 血液中の凝固因子の量を測定します。 原因になっている病気を治療します。 さらに読む 常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が、通常は妊娠20週以降に剥がれてしまうことです。 性器出血や激しい腹痛が起こり、ショック状態を起こすことがあります。 胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえあります。 医師は症状に基づいて常位胎盤早期剥離を診断し、ときに超音波検査を行って診断を確定します。 活動を制限するだけでよい場合もありますが、出血が続く場合や胎児が危険な状態である場合... さらに読む の場合)に、最も多く投与されます。

個々の凝固因子は、プールされた血漿から純化したり、遺伝子組換え技術を用いて製造したりすることもできます。濃縮された個々の凝固因子は血友病 血友病 血友病は、第VIII因子と第IX因子という2つの血液凝固因子のうち、いずれかが欠乏しているために起こる遺伝性の出血性疾患です。 異なった遺伝子異常がいくつかあると、この病気を発症することがあります。 不意に出血したり、わずかな傷で出血したりする可能性があります。 診断には血液検査が必要です。 輸血を行って、欠けている凝固因子を補充します。 さらに読む フォン・ヴィルブランド病 フォン・ヴィルブランド病 フォン・ヴィルブランド病では、血小板の機能に影響を与えるフォン・ヴィルブランド因子という血中タンパク質が遺伝的に不足していたり、異常になっていたりします。 (血小板の病気の概要と血小板減少症の概要も参照のこと。) フォン・ヴィルブランド因子は、血漿、血小板、血管の壁にあります。血小板は、骨髄で作られて血液中を循環している細胞で、血液凝固を助けます。フォン・ヴィルブランド因子が欠如していたり、不足していたりすると、血小板が血管の壁の損傷箇... さらに読む などの遺伝性出血性疾患がある人に投与したり、血液凝固を阻害する薬(ワルファリンなどの抗凝固薬)の作用を取り消すために投与することができます。

抗体

抗体(免疫グロブリン)は身体防御の役割がある血液成分で、感染症にさらされている人や抗体価が低い人に対して、一時的に免疫力を高めるために投与されることがあります。抗体は、複数の供血者からの成分献血で得られた血漿から採取します。

抗体が利用できる感染症には、水痘(水ぼうそう)、肝炎、狂犬病、破傷風などがあります。

白血球

白血球数が著しく減少している人や白血球の働きが異常な人では、生命を脅かす感染症を治すために、白血球が輸血されます。しかし、優れた抗菌薬が開発され、自身の白血球をより多く産生するよう刺激するサイトカイン増殖因子が使用されるようになったため、その必要性が大きく減少したことから、白血球輸血はまれにしか行われません。白血球はアフェレーシスにより採取し( 血小板献血 血小板献血 以下のような、特別な供血方法がいくつかあります。 (輸血の概要も参照のこと。) 血小板献血では、全血ではなく血小板だけを採取します。供血者から採取した血液を機器で成分毎に分け、血小板だけを選別して、残りの成分は供血者に戻します。血液の大部分が体内に戻るため、全血の場合と比べて、1回に8~10倍の血小板を安全に採取できます。3日毎に1回(ただし、供血は1年に24回まで)と、より頻繁に血小板を採取できます。全血の場合は採血にかかる時間は10... さらに読む )、24時間保存できます。

代用血液

組織に酸素を運び分配するために、特定の化学物質または特殊処理を施したヘモグロビン(赤血球が酸素を運ぶために利用するタンパク質)溶液を用いた代用血液を作り出す試みが行われています。これらの溶液は室温で(多くの場合数年間で、血液バンクで保存できる血液よりもはるかに長く)保存でき、受血者の血液型検査や交差適合試験の必要がありません。このような特徴から、事故現場や戦場へ輸送する血液として関心がもたれています。しかし、これまでに開発された代用血液で生命が救われた例はないことが研究により示されています。その他に可能性のある代用血液について、さらに研究が行われています。

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