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貧血の概要

執筆者:

Evan M. Braunstein

, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine

医学的にレビューされた 2020年 9月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

貧血とは、赤血球の数が少ない状態をいいます。

赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少すると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分に供給されないと、貧血の症状が現れます。

原因

貧血の原因は数多くありますが、貧血が生じる仕組みを大きく分けると、ほとんどの場合次の3種類に分類されます。

過剰出血による貧血

大量の出血によって貧血が起きることがあります。出血は、けがや手術の際などに、突然発生することがあります。しかし多くの場合、出血は徐々に繰り返し発生し(慢性出血)、その典型的な原因は消化器や尿路の異常や 重い月経 異常子宮出血(AUB) 異常子宮出血は腟からの出血で、回数が多いか、不規則に起こるか、正常な月経より長く続くか、量が多い出血をいいます。最もよくみられる種類の異常出血は、ホルモンによる月経のコントロールが変化することによって起こります。この種類の異常子宮出血は、排卵障害による異常子宮出血(AUB-O)と呼ばれます。... さらに読む 異常子宮出血(AUB) です。慢性的な出血があると体内の鉄分が減少し、貧血がさらに悪化します。

赤血球の産生不足による貧血

体が十分な量の赤血球をつくれないことも、貧血の原因になります(血球の形成 血球の形成 赤血球、ほとんどの 白血球、 血小板は、骨髄という骨の中にある脂肪に富んだ軟らかい組織でつくられます。白血球のうち、T細胞とB細胞( リンパ球)の2つは、リンパ節や脾臓(ひぞう)でもつくられることがあり、T細胞の一部は胸腺内でつくられて、そこで成熟することもあります。( 血液の概要も参照のこと。)... さらに読む も参照)。赤血球の産生には多くの栄養素が必要です。最も重要な栄養素は、鉄、ビタミンB12、葉酸の3つですが、銅もごく微量ながら必要なほかに、適切なホルモンバランスも必要で、特にエリスロポエチン(赤血球の産生を刺激するホルモン)が重要です。これらの栄養素やホルモンがないと、赤血球の産生速度や産生量が低下したり、赤血球が変形して酸素を十分に運べなくなったりします。

赤血球の過剰な破壊による貧血

赤血球が破壊されすぎた場合も、貧血になることがあります。通常、赤血球の寿命は約120日間です。この通常の寿命に近いものや寿命を過ぎた赤血球は、骨髄、脾臓、肝臓にある貪食細胞に取り込まれて破壊されます。寿命に達していない赤血球が破壊(溶血)されると、それを補おうとして骨髄は新しい赤血球の産生を速めます。赤血球の産生を上回るペースで破壊が進むと、溶血性貧血が起こります。溶血性貧血は、過剰な出血や赤血球産生低下による貧血に比べると、比較的まれな貧血です。溶血性貧血は、赤血球自体の異常から生じることもありますが、より多いのは赤血球を破壊する別の疾患に起因するものです。

症状

貧血の重症度や進行の速さによって、症状は様々です。貧血が軽く、特に進行が遅い場合は、症状がまったく現れないこともあります。また、運動している間だけ症状がみられることもあります。貧血が重い場合は、安静にしていても症状が現れることがあります。血管の破裂による出血などで貧血が急に進んだ場合は、貧血の程度が軽度であれ重度であれ、症状が強く現れます。

軽い貧血では、疲労感や脱力感を覚えたり、顔色が青白くなったりします。貧血が重くなると、気が遠くなる、めまい、のどの渇き、発汗、脈が弱く速くなる、呼吸が速くなるなどの症状が加わります。重度の貧血で、特に脚の血行が悪くなっている場合や、肺や心臓に特定の病気がある場合は、運動中に痛みを伴った筋けいれんが下腿に発生したり、息切れや胸痛などの症状が現れたりすることがあります。

一部の症状からは、貧血の原因の手がかりも得られることがあります。例えば、黒いタール状の便、血尿や血便、または喀血(せきとともに血が出る)がみられる場合、出血が貧血の原因であることが疑われます。濃い色の尿または黄疸(皮膚や白眼が黄色がかった色になる)がみられる場合、赤血球の破壊が貧血の原因になっている可能性が疑われます。手や足の灼熱感やチクチク感があれば、 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症は、サプリメントを摂取しない完全な菜食主義者に発生したり、吸収障害の結果として発生することがあります。 貧血が起こり、蒼白、筋力低下、疲労が生じ、重度の場合には息切れやめまいも起こります。 重度のビタミンB12欠乏症によって神経の損傷が起きることがあり、手足のチクチク感や感覚消失、筋力低下、反射消失、歩行困難、錯乱、認... さらに読む の可能性が疑われます。

高齢者の貧血

がん(骨髄異形成 骨髄異形成症候群(MDS) 異常な造血細胞が骨髄に発生する白血病関連の疾患群を、骨髄異形成症候群と呼びます。まず、これらの異常な細胞は正常な血球の生産を妨げます。その後、これらの細胞はがん化して、白血病の一形態に変化します( 白血病の概要も参照)。 症状は、異常がみられる細胞の種類により異なりますが、疲労感、脱力感、蒼白、発熱、感染、出血、あざがみられることがありま... さらに読む 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は形質細胞のがんで、異常な形質細胞が骨髄や、ときには他の部位で、制御を失った状態で増殖する病気です。 骨の痛みや骨折が発生することが多く、腎臓障害、免疫機能の低下(易感染状態)、筋力低下、錯乱などがみられることもあります。 血液検査や尿検査で各種の抗体の量を測定することで診断が下され、骨髄生検によって確認されます。... さらに読む 多発性骨髄腫 といった血液のがんを含む)など、貧血の原因となる病気の多くは、高齢になるほど多くみられる傾向があります。そのため、貧血は高齢になるほど多く発生します。 慢性疾患に伴う貧血 慢性疾患に伴う貧血 慢性疾患に伴う貧血では、慢性疾患によって生じた炎症のために、赤血球の産生速度が低下し、ときに赤血球の寿命が短くなることがあります。 ( 貧血の概要も参照のこと。) 慢性疾患とは、3カ月以上持続する疾患のことを指します。世界的にみて、慢性疾患に伴う貧血は2番目によくみられる種類の貧血です。... さらに読む 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血は、赤血球の産生に必要な鉄の貯蔵量の不足や欠乏によって起こります。 過剰な出血が最も一般的な原因です。 脱力感や息切れを覚えたり、顔が青白くなったりします。 血液検査で鉄分の量が測定できます。 鉄分の量を回復させるために、鉄剤が用いられます。 さらに読む (異常出血を原因とします)は、高齢者における貧血の最も一般的な原因です。貧血は、加齢に伴う正常な変化ではなく、貧血が見つかった場合は必ず原因を探すべきです。

どの年齢でも、貧血の症状は基本的に同じです。また、貧血が軽くても、高齢の人は混乱を示したり、気落ちしたり、動揺したり、無気力になったりする傾向が若い人に比べて高いようです。さらに、体のバランスが不安定になり、歩行が困難になる場合もあります。このような問題によって、自立して生活していく力が衰えるおそれがあります。しかし、貧血が軽い高齢者の中にはまったく症状が現れない人もおり、特に、貧血が徐々に進行する場合(これは実際よくあります)に多くみられます。

高齢者では、ビタミンB12欠乏症による貧血が認知症と間違えられることがありますが、これは、この種の貧血が精神機能に影響を与えることがあるからです。

貧血によって、高齢者の余命が短くなる場合もあります。そのため、貧血の原因を特定して、それを解消することが特に重要です。

診断

  • 血液検査

症状を自覚する前に、一般的な血液検査で貧血が見つかることもあります。

採取した血液のヘモグロビン値が低いか、ヘマトクリット値(全血液量に占める赤血球の割合)が低ければ、貧血と診断されます。ほかにも、血液サンプルの顕微鏡による検査や、実施頻度は少ないものの、骨髄から採取したサンプルの検査など、貧血原因の特定に役立つ検査があります。

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