血液凝固障害は、血栓の形成を制御する身体機能の障害です。これらの機能障害は、以下を引き起こす可能性があります。
血液の凝固が過剰な場合は、血栓(血栓症)が発生する
異常な出血とは、あざや出血が起こりやすい状態を意味します(あざと出血 あざと出血 けがをしたときのあざや出血は正常です( 血栓についても参照)。しかし、あざや出血を起こしやすくなる病気があります。ときには、あきらかな原因やけががないのに出血することもあります。体のほぼあらゆる部分で自然に出血することがありますが、鼻や口、消化管に最も多くみられます。 血友病では、関節内や筋肉内でしばしば出血がみられます。ほとんどの場合、... さらに読む および 血栓について 血栓について 止血とは、傷ついた血管からの出血を止めようとする体の働きです。止血の過程では、血液の凝固が起こります。 凝固の働きが弱すぎると、軽いけがでも、大量の出血が起きるようになります。 凝固の働きが強すぎると、出血が起きていない血管がふさがれてしまうことがあります。 そのため、人の体には、血液の凝固を抑制し、必要なくなった血のかたまりを溶かすため... さらに読む も参照)。異常な出血の原因には以下のものがあります。
血液凝固障害は、血液の凝固を助け、出血を止めるために必要なタンパク質を十分に作ることができない場合に生じます。このようなタンパク質は凝固因子と呼ばれています。凝固因子はすべて肝臓でつくられます。肝臓はいくつかの凝固因子をつくるためにビタミンKを必要とします。
ときに、血液凝固の異常により血栓のリスクが高まることがあります(凝固亢進状態 凝固亢進状態 凝固亢進状態(血栓形成傾向とも呼ばれます)とは、血液が固まりやすくなったり過度に凝固したりする病態です。 遺伝性疾患や後天性疾患によって、血液凝固が促進されることがあります。 血のかたまりができると脚や腕が腫れてきます。 凝固を調節している血液中のタンパク質が測定されます。 抗凝固薬が必要になる人もいます。 さらに読む または血栓形成傾向)。
血液凝固障害には以下のものがあります。
遺伝性のもの
ほかの病気によるもの
最も一般的な遺伝性の血液凝固障害は、以下のものです。
他の病気の結果として発生する血液凝固障害の主な原因は以下の通りです。
重度の肝疾患(肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、 飲酒によらない脂肪肝です。... さらに読む
、 肝炎 肝炎の概要 肝炎は肝臓の炎症です。 ( 急性ウイルス性肝炎の概要と 慢性肝炎の概要も参照のこと。) 肝炎は世界中でみられる病気です。 肝炎には以下の種類があります。 急性(経過が短い) さらに読む 、 急性肝不全 肝不全 肝不全は、肝機能が大幅に低下した状態です。 肝不全は、肝臓に損傷が起きる病気や物質により引き起こされます。 ほとんどの患者は 黄疸(皮膚と眼が黄色くなる)になり、疲れて脱力を覚え、食欲を失います。 他の症状には、腹部への体液の貯留( 腹水)や、皮下出血や出血が起きやすい傾向などがあります。... さらに読む 、急性 妊娠性脂肪肝 妊娠中の脂肪肝 肝疾患の中には、妊娠中だけに生じるものがあります。あるいは、 胆石、 肝硬変、 肝炎などのように妊娠前から存在するか、偶然妊娠中に起こるものもあります。 妊娠中のホルモンの変化により、肝臓や胆嚢に問題が起こることがあります。こうした問題には軽微で一過性の症状しか生じないものもあります。... さらに読む など)
血液凝固の検査
出血を止める身体の機能に影響を及ぼす一般的な検査指標の1つが 血小板 血小板 血液の主な成分 血漿(けっしょう) 赤血球 白血球 血小板 さらに読む の数です。頻度は低いものの、血小板の機能を検査で調べる場合もあります。また他の検査で、正常な血液凝固に必要な様々なタンパク質(凝固因子)の協調的な機能全般を調べることができます。これらの検査で最もよく行われるのは、プロトロンビン時間(PT)と部分トロンボプラスチン時間(PTT)の検査です。個々の凝固因子の血中濃度を測定することもあります。