Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

honeypot link

血液疾患に対する臨床検査

執筆者:

David J. Kuter

, MD, DPhil, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2017年 7月
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
本ページのリソース

医師は、症状と身体診察 血液の病気に関する病歴聴取と身体診察 医師は最初に病歴を聴取します(症状や職業上またはその他の曝露状況、家族の情報について尋ねます)。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察の所見は、どの臨床検査が必要かを医師が判断するのに役立ちます。 医師は、出現しうる多種多様な症状に基づいて血液疾患を疑います。さらに、病歴に特定の要因があれば、血液疾患のリスクがあることが分かります。いくつかの例を以下に示します。 家族の1人が血液疾患... さらに読む の結果に基づいて血液疾患の診断に役立つ検査を選択します。症状が認められず、別の理由で臨床検査を実施した際に、血液疾患が発見されることがあります。例えば、定期的な健診の一部として実施した血算により貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数やヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)の量が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少したり、赤血球中のヘモグロビンの量が少なくなったりすると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分... さらに読む が明らかになることがあります。血液疾患が疑われる場合は、具体的な診断を行うために、血算やその他の検査を行う必要があります。

採血方法

血液は注射器で静脈から採取しますが、ときには、指先に小さな針を刺して採取することもあります。

どの静脈から採血するかは医療機関の担当者が決定しますが、通常は肘の内側にある1本の静脈が使用されます。上腕に駆血帯を取り付けると、その下の静脈が血液で満たされるため、静脈が簡単に分かるようになったり、触れることができるようになります。

血液を採取する静脈周辺の皮膚を完全に消毒してから、静脈に針を刺します。通常は針を刺すときにチクッとした痛みを感じますが、あとは痛くありません。

血液は針を通って採血管に入ります。十分な血液が採取できたら駆血帯を外し、次に静脈から針を抜き、そして穿刺部位からの出血を防ぐために穿刺部位を圧迫します。

ほんのわずかな血液しか必要ない場合、通常は指(乳児ではかかと)の採血部分を消毒し、針で皮膚を刺します。

血算

最も多く行われる血液検査は、血算(CBC)です。血算では、血液中のすべての血球成分(赤血球、白血球、血小板)を調べます。自動計数装置では、ごく少量の血液を用いて1分足らずでこの検査が行われます。場合によっては、血算を補完するために、顕微鏡で血球を調べることもあります。

血算で調べる赤血球パラメータは以下の通りです。

  • 赤血球の数(赤血球数、RBC)

  • 血液中の赤血球が占める割合(ヘマトクリット、Hct)

  • 血液中のヘモグロビン(赤血球中の酸素を運ぶタンパク質)の量(ヘモグロビン、Hb)

  • 赤血球の大きさの平均値(平均赤血球容積、MCV)

  • 赤血球の大きさのばらつき(赤血球分布幅、RDW)

  • 個々の赤血球に含まれるヘモグロビンの量(平均赤血球ヘモグロビン量、MCH)

  • 個々の赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度(平均赤血球ヘモグロビン濃度、MCHC)

これらのパラメータに異常があると、臨床検査担当者は赤血球に異常があることが分かります(次に顕微鏡で検査して、さらに詳しく調べることがあります)。

異常な赤血球には、断片化したもの、涙のような形、三日月形(鎌状)など、様々な形があります。赤血球の形や大きさを知ることは、貧血の原因を特定するのに役立ちます。例えば、鎌状赤血球症 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症は、鎌状(三日月形)の赤血球と、異常な赤血球の過剰破壊による慢性貧血を特徴とする、遺伝性のヘモグロビン(酸素を運搬する赤血球内のタンパク)の遺伝子異常です。 必ず貧血がみられ、ときとして黄疸がみられます。 貧血、発熱、息切れなどが悪化し、長管骨、腹部、胸部などに痛みを伴うと、鎌状赤血球症の疼痛発作(症状が急速に悪化する危険な状態)が疑われます。 電気泳動法と呼ばれる特別な血液検査を使用して、鎌状赤血球症かどうかを判定すること... さらに読む 鎌状赤血球症 では赤血球が鎌状(三日月形)になっているという特徴があり、ヘモグロビンの量が不十分で赤血球が小さい場合は鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血は、赤血球の産生に必要な鉄の貯蔵量の不足や欠乏によって起こります。 過剰な出血が最も一般的な原因です。 脱力感や息切れを覚えたり、顔が青白くなったりします。 血液検査で鉄分の量が測定できます。 鉄分の量を回復させるために、鉄剤が用いられます。 さらに読む が、赤血球が大きく卵形をしている場合はビタミンB12または葉酸の欠乏による貧血 葉酸はビタミンB群の1つです。ビタミンB12とともに、葉酸は正常な赤血球の形成と細胞の遺伝物質であるDNA(デオキシリボ核酸)の合成に必要不可欠な物質です。葉酸は胎児の神経系の正常な発達にも必要です。 生の緑色の葉野菜、アスパラガス、ブロッコリー、果物(特にかんきつ類)、レバーなどの内臓肉、乾燥酵母、栄養強化したパンやパスタおよびシリアルなどには、葉酸が豊富に含まれています。長時間の加熱調理によって、食品中の葉酸の50~95%が破壊され... さらに読む が疑われます。

血算で調べる白血球パラメータは以下の通りです。

  • 白血球の総数

  • 様々な種類の白血球の割合と数

白血球 白血球 血液の主な成分 血漿(けっしょう) 赤血球 白血球 血小板 さらに読む 白血球 は、免疫系 免疫系の概要 人間の体には、異物や危険な侵入物から体を守るために、免疫系が備わっています。侵入物には以下のものがあります。 微生物(細菌、ウイルス、真菌など) 寄生虫(蠕[ぜん]虫など) がん細胞 移植された臓器や組織 さらに読む の主要な成分です。通常、5種類の白血球(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)があり、免疫系が反応するストレスや疾患に応じて、異なる種類の白血球が動員されます。各種の白血球の数(白血球分画)を計数することで、白血球総数における変化で考えられる原因が示唆されます。例えば、悪寒の症状がみられ、好中球の増加による白血球数の増加が認められる場合は、医師はウイルス感染よりも細菌性の肺炎を疑う可能性が高くなります。好中球は、体内に侵入した細菌を排除するために動員されることが多いためです。

血小板の数も、血算の一部として測定されます。血小板の数は、血液が血栓を形成する能力を示す重要な測定値です(血栓の形成は止血に関する身体の保護機構です)。血小板が少なすぎると、血液凝固が損なわれることがあります。血小板数が多いと(血小板増多症 原発性血小板血症 血小板血症とは、血小板が過剰に作られ、血液の凝固や出血にかかわる異常が生じる病気です。 手や足に灼熱感や発赤、チクチクした痛みを感じたり、指先が冷たく感じたりすることがあります。 通常は、血液検査で診断が得られますが、骨髄生検が必要になることもあります。 症状を抑え、血小板の生産量を減らす治療が行われます。 (骨髄増殖性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む )、心臓や脳の毛細血管で過剰な血液凝固が起こりやすくなります。しかし、一部の疾患では、血小板の数が多いことにより、逆に大量出血を起こすこともあります。

icon

網状赤血球数

網状赤血球数は、新しくつくられた(未熟な)赤血球(網状赤血球)が血液の規定容積に含まれる数です。正常な場合、網状赤血球数は総赤血球数の約0.5~2.5%です。貧血などで多くの赤血球が必要になると、骨髄ではそれに応じて網状赤血球が多くつくられるようになるのが普通です。そのため、網状赤血球数は、骨髄が新しい赤血球をつくる能力を示す指標となります。

特殊な血球検査

血液中の1種類以上の細胞に何らかの異常があると医師が判断した場合は、さらに多くの検査を行って、それを詳しく調べます。各種の白血球が占める割合を調べたり、細胞表面上の特定のマーカーを検出して、これらの細胞のサブタイプを判定したりすることができます。感染に抵抗する白血球の能力を測定する検査や血小板の機能と凝固能力を評価する検査のほかに、赤血球の内容物を測定して貧血の原因または赤血球が十分に機能しない原因を調べる検査なども利用できます。これらの検査のほとんどが血液サンプルを用いて行われますが、骨髄 骨髄検査 場合によっては、血球が異常となった原因や、特定の種類の血球が少なすぎたり、多すぎたりする原因を特定するために、骨髄サンプルを調べなければならないことがあります。骨髄サンプルを採取するには、次の2つの方法を用いることができます。 骨髄穿刺(こつずいせんし):骨髄に針を刺して骨髄液と細胞を吸引することによって、骨髄液と細胞を採取する方法 骨髄コア生検:円筒状の器具(径の太い針に似ています)を用いて骨髄の一部を壊さずに採取する方法... さらに読む から採取したサンプルが必要になる検査もあります。

凝固検査

出血を止める能力を測定する方法の1つが血小板数のカウントです。血小板の機能が正常かどうかの検査が必要になる場合もあります。その他に、正常な血液凝固に必要な様々なタンパク質(凝固因子)について、全体的な機能を調べることができます。これらの検査で最もよく行われるのは、プロトロンビン時間(PT)と部分トロンボプラスチン時間(PTT)の検査です。個々の凝固因子の血中濃度を測定することもあります。

タンパク質などの物質の測定

血漿(血液の液体部分)には多くのタンパク質が含まれています。尿にもごくわずかですがタンパク質が含まれています。医師は、これらのタンパク質を測定して、その量や構造が異常かどうかを調べることもあります。例えば、多発性骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は形質細胞のがんで、異常な形質細胞が骨髄や、ときには他の部位で、制御を失った状態で増殖する病気です。 骨の痛みや骨折が発生することが多く、腎臓障害、免疫機能の低下(易感染状態)、筋力低下、錯乱などがみられることもあります。 血液検査や尿検査で各種の抗体の量を測定することで診断が下され、骨髄生検によって確認されます。 多くの場合、治療には従来の化学療法薬、コルチコステロイドと、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ、カルフィルゾミ... さらに読む 多発性骨髄腫 では、形質細胞と呼ばれる特定の白血球ががん化して、血液や尿中で測定できる異常な抗体(免疫グロブリン)のタンパク質(ベンス・ジョーンズタンパクなど)が産生されます。

エリスロポエチンは、腎臓でつくられるタンパク質で、骨髄を刺激して赤血球の産生を促す働きがあります。このタンパク質の量は、血液で測定できます。また、鉄分の量や健全な赤血球の産生に必要な特定のビタミン(例えば、B12や葉酸など)の量も測定することができます。

血液型検査

血液型は赤血球表面にある特定のタンパク質によって決まり、少量の血液を採取して、特定の抗体に対する反応を調べることで判定できます。血液型検査では、血漿と赤血球の両方を調べる必要があります。輸血をする際には、事前に必ず血液型検査 血液型検査 輸血とは、血液や血液成分を健康な供血者(ドナー)から病気の受血者(レシピエント)に移すことです。 米国では毎年約2500万件の輸血が行われています。輸血を行うことで、血液が酸素を運ぶ能力を高め、体内の血液量を回復させるとともに、血液凝固の障害を正常にします。典型的な輸血の受血者は以下のような人達です。... さらに読む 血液型検査 が必要です。

プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP