Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

読み込んでいます

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)

執筆者:

David J. Kuter

, MD, DPhil, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 5月
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
本ページのリソース

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は、全身に小さな血栓ができて、脳、心臓、腎臓などの重要臓器への血液の流れを妨げる重度で重篤な病気です。

  • 症状は血栓ができた場所に関係します。

  • 診断は症状と血液検査に基づいて行います。

  • 血栓性血小板減少性紫斑病の治療は、血漿交換とコルチコステロイドの投与によって行います。

  • 溶血性尿毒症症候群の治療では、重要な身体機能の補助と場合により血液透析を行うことがあり、少数ですがエクリズマブという薬が有益になる場合もあります。

血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群はまれで、多くの小さな血のかたまり(血栓)が突然全身にできる病気に関係しています。これらの血栓は、全身の毛細血管を詰まらせますが、特に脳、心臓、腎臓の血管を詰まらせます。血管が詰まると組織が損傷を受けるとともに、赤血球が分裂を起こし、部分的に詰まった血管を通り抜けます。血栓の形成は、異常に大量の血小板が消費されることも意味するため、血液中の血小板数が急激に減少することになります。

血小板は、骨髄で作られて血液中を循環している細胞で、血液凝固を助けます。血小板が過度に少なくなった状態を血小板減少症といいます。

血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群の主な違いは以下の点です。

  • 血栓性血小板減少性紫斑病が成人に多く、腎不全(急性腎障害)を起こす頻度が低いこと

  • 溶血性尿毒症症候群が小児に多く、典型的に腎不全を引き起こすこと

知っていますか?

  • これらの病気の名前は複雑に感じられますが、医学用語を理解すると納得できます。

    血栓性血小板減少性紫斑病で、血栓性の意味は、血栓ができること、血小板減少性の意味は、血小板数が低下すること、そして紫斑病の意味は、皮膚に紫色の斑点やあざがみられることです。

    溶血性尿毒症症候群で、溶血性の意味は、赤血球が分解されること、尿毒症の意味は、腎障害によって老廃物(尿素)が残り、血液中に蓄積されることです。

血栓性血小板減少性紫斑病の原因は、多くの場合不明ですが、一部では特定の薬(キニーネ、シクロスポリン、マイトマイシンCなど)を服用した後、特定の腸管感染症の後、妊娠中、またはまれに遺伝性疾患としても現れます。たいていの場合、身体の免疫系が酵素(ADAMTS13)を破壊する抗体を生産する自己免疫疾患が血栓性血小板減少性紫斑病です。この酵素が欠乏すると、血小板が血管内で不適切に凝集し始めて、血液中の血小板の数(血小板数)が減少するとともに、血栓ができた臓器(脳や腎臓など)が損傷を受ける可能性があります。

溶血性尿毒症症候群は、大腸菌 Escherichia coli O157:H7などの毒素生産性細菌に汚染された食物を摂取したことに起因する腸管感染症の後に通常みられます。

症状

血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群では、症状が突然現れます。

血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群の症状は、その他のほとんどの血小板減少症とかなり異なります。

血栓性血小板減少性紫斑病では、(血小板を使い果たして)形成された小さな血栓が様々な症状や合併症を引き起こし、その中には生命を脅かすものもあります。脳内の血栓による症状には、頭痛、錯乱、けいれん、昏睡(こんすい)などがあります。脳内の血栓による症状は、出現と消失を繰り返すことがあり、程度も様々です。その他の場所の血栓では、不整脈、血尿、腹痛などがみられます。

溶血性尿毒症症候群の小児では、通常最初に嘔吐や下痢がみられます。下痢に血が混じることがよくあります。溶血性尿毒症症候群による合併症の主な症状は、腎臓に形成された血栓に関係があり、通常は重度で、多くの場合透析を必要とする腎不全に進行する損傷を引き起こします。溶血性尿毒症症候群で、脳の症状はほとんどみられません。

診断

  • 血液検査

他の病気がある場合、特定の薬を服用している場合、または妊娠している場合に、血小板の数が少ないことが確認されたときに、血栓性血小板減少性紫斑病または溶血性尿毒症症候群が疑われます。

血栓性血小板減少性紫斑病や溶血性尿毒症症候群の診断に特化した血液検査はありませんが、症状と併せて診断に役立つ血液検査がいくつか行われます。これらの血液検査には、多くの場合、赤血球が破壊されていることを証明する検査、腎臓がどの程度機能しているか調べる検査と、ときにADAMTS13酵素に対する抗体の有無を調べる検査(血栓性血小板減少性紫斑病の場合)が含まれます。

治療

  • 血栓性血小板減少性紫斑病では、コルチコステロイドと血漿交換、ときにリツキシマブを使用

  • 溶血性尿毒症症候群では、腎臓透析と場合によりエクリズマブ

血栓性血小板減少性紫斑病では、コルチコステロイドと血漿交換(プラズマフェレーシスと併せて血漿輸血)による治療が行われます。プラズマフェレーシスでは、採取した血液を機械に入れ、血液細胞を血液の液体成分(血漿)から分離します。病気の原因になっている抗体が含まれる血漿は除去して廃棄し、血液の細胞を体内に戻します。リツキシマブは、免疫系を抑制する薬で、コルチコステロイドとプラズマフェレーシスによる治療後に血栓性血小板減少性紫斑病が再発した場合に用いられることがあります。

溶血性尿毒症症候群では、小児の約半数が一時的に腎臓透析を必要とします。ほとんどの場合、腎臓の機能が回復しますが、一部の小児では腎臓障害が恒久的になります。血漿交換は有用ではありません。エクリズマブは、免疫系の一部である補体を抑制する薬です。腎損傷の発生率を低下させ、一部の患者では、腎機能を速やかに回復させます。

ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP