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急性リンパ性白血病(ALL)

( 急性リンパ芽球性白血病)

執筆者:

Ashkan Emadi

, MD, PhD, University of Maryland;


Jennie York Law

, MD, University of Maryland

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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急性リンパ性白血病は、本来ならリンパ球になる細胞ががん化して、短期間のうちに骨髄内の正常細胞と入れ替わる、生命を脅かす病気です。

  • 正常な血球が極端に少なくなるため、発熱、脱力感、蒼白などの症状が現れる場合があります。

  • 通常は、血液検査と骨髄検査が行われます。

  • 化学療法が行われ、しばしば効果が得られます。

急性リンパ性白血病(ALL)はあらゆる年齢層にみられますが、小児が最も多く、15歳未満の小児ではすべての白血病の75%を占めています。2~5歳の幼児に最も多くみられます。成人では、45歳以上になるとやや多くなります。

急性リンパ性白血病では、非常に未熟な白血球が骨髄に蓄積し、正常な血球になる細胞を破壊して入れ替わります。白血病細胞は血流に乗って肝臓、脾臓、リンパ節、脳、精巣などに運ばれ、そこで成長と増殖を続けることがあります。しかし、急性リンパ性白血病細胞は体内のあらゆる部分に蓄積します。また、脳と脊髄を覆っている組織に広がることがあり(白血病性髄膜炎)、貧血や肝不全、腎不全を起こしたり、その他の臓器に損傷を与えたりします。

症状

急性リンパ性白血病の初期症状は、骨髄が正常な血球を十分に生産できないことが原因で生じます。

  • 発熱や大量発汗がみられると、感染が疑われます。正常な白血球があまりにも少なくなると、感染のリスクが高くなります。

  • 赤血球があまりに少なくなると、脱力感、疲労感、蒼白(皮膚や粘膜が血色を失った状態)が現れ、貧血になります。呼吸が困難になったり、心拍数が速くなったり、胸に痛みが出たりする場合もあります。

  • 血小板が極端に少なくなるため、あざや出血が生じやすくなり、ときには鼻血や歯ぐきからの出血がみられます。脳や腹部の中で出血が起きることもあります。

その他の臓器に白血病細胞が侵入すると、別の症状が生じます。

  • 白血病細胞が脳で増殖すると、頭痛、嘔吐、視力障害、脳卒中、平衡障害、聴力障害、顔の筋肉の異常がみられることがあります。

  • 白血病細胞が骨髄で増殖すると、骨痛や関節痛を生じることがあります。

  • 白血病細胞によって肝臓や脾臓が腫れて大きくなると、腹部膨満感や腹痛が生じることがあります。

知っていますか?

  • 小児の急性リンパ性白血病では約80%が治癒します。

診断

  • 血液検査

  • 骨髄検査

まず、血算などの血液検査で、急性リンパ性白血病かどうかが分かります。白血球の総数は、減少している場合もあれば、正常または増加している場合もありますが、赤血球数と血小板数はほぼ必ず減少します。さらに、血液中に極めて未熟な白血球(芽球)がみられます。

ほとんどの場合、骨髄検査を行って、急性リンパ性白血病の診断を確定し、ほかの白血病との鑑別を行います。芽球を検査して染色体異常を調べますが、これは白血病の正確な種類を特定し、治療に使用する薬剤を選択するのに有用です。

電解質異常など他の異常を検出するために、血液検査と尿検査を行います。

画像検査も必要になる場合があります。脳に白血病細胞が伸展していることを示す症状があれば、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査を行います。胸部のCT検査を実施して、肺の周囲に白血病細胞がないか調べることもあります。内臓が腫大している場合は、腹部のCT検査、MRI検査、超音波検査が行われます。化学療法は心臓に影響を及ぼすことがあるため、化学療法を開始する前に心エコー検査(心臓の超音波検査)を行うことがあります。

予後(経過の見通し)

現在のような治療ができるようになる前は、ほとんどの患者が診断から数カ月以内に死亡していました。現在では、小児の80%、成人の30~40%近くが治ります。ほとんどの場合、1回目の化学療法で病気を抑えることができます(完全寛解)。3~9歳の小児の予後が最も良好です。乳児と高齢者の経過が最も不良です。診断時の白血球数、白血病が脳に広がっているかどうか、そして白血病細胞にみられる染色体異常も、経過に影響を与えます。

治療

次の治療を行います。

  • 化学療法

  • その他の薬物療法(免疫療法や分子標的療法など)

  • まれに造血幹細胞移植または放射線療法

化学療法は非常に効果的で、以下の段階に分けて行われます。

  • 寛解導入期

  • 脳の治療

  • 地固め期および強化期

  • 維持期

寛解導入化学療法が治療の最初の段階です。寛解導入化学療法の目的は、白血病細胞を破壊して骨髄中で再び正常な細胞が成長できるようにし、寛解へと導くことです。骨髄が回復する速さにもよりますが、数日から数週間の入院が必要になる場合があります。

様々な薬剤の組合せがあり、そのうちの1つを使用して、数日から数週間にわたって繰り返し薬剤を投与します。具体的な薬剤の組合せ(併用)は、診断検査の結果により決定されます。併用療法の1つに、プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン](コルチコステロイドの1つ)を経口で投与し、アントラサイクリン系薬剤(通常はダウノルビシン)とアスパラギナーゼ、ときにシクロホスファミドとともに、ビンクリスチン(化学療法薬の1つ)を週単位で静脈内投与するというものがあります。一部のALL患者では、免疫療法(患者自身の免疫系を利用してがん細胞を死滅させる治療法)や分子標的療法(がん細胞に固有の生物学的な仕組みを攻撃する薬)などの新しい薬剤が使用できます。

脳の治療は、通常は寛解導入期に開始し、治療の全期間を通じて継続することもあります。急性リンパ性白血病は脳に広がる可能性が高いため、脳に広がった白血病細胞を治療したり、白血病細胞が脳に広がらないように予防したりすることに重点がおかれます。脳と脊髄を覆う組織(髄膜)の中に白血病細胞がある場合の治療では、通常メトトレキサート、シタラビン、コルチコステロイドのいずれか、あるいはその組合せを脳脊髄液(髄液)の中に直接注入するか、これらの薬剤を大量に静脈から投与(静脈内投与)することもあります。この化学療法とともに、脳への放射線療法を行うこともあります。

地固め期と強化期では、引き続き骨髄の病変を治療します。別の化学療法薬、または寛解導入療法で用いたものと同じ薬剤を、数週間にわたって数回投与します。白血病細胞に特定の染色体変異がみられるために再発のリスクが高い人に対しては、多くの場合、寛解が得られれば造血幹細胞移植を行うことが推奨されます。

この後さらに、薬剤の種類や用量を減らした維持化学療法を通常2~3年続けます。

高齢の急性リンパ性白血病患者は、若い患者に用いられる強力な投薬計画に耐えられない可能性があります。その場合、寛解導入のためのより穏やかな投薬計画のみ(その後の地固め、強化、寛解維持を伴わない)を採用することが選択肢になります。ときに一部の高齢患者では、免疫療法や穏やかな造血幹細胞移植が選択肢になることもあります。

上記の治療期間のすべてにおいて、貧血の治療と出血の予防のために赤血球輸血や血小板輸血が必要になることがあり、感染症の治療のために抗微生物薬が必要になることがあります。尿酸など、白血病細胞が破壊されたときに放出される有害な物質を除去するため、輸液の点滴とアロプリノールかラスブリカーゼのいずれかによる薬物療法も行われます。

再発

血液、骨髄、脳、精巣などに白血病細胞が再び現れることがあります(再発)。早期に骨髄に現れた場合は特に深刻です。化学療法を再開すると、多くの場合は効果が得られますが、この病気は再発する傾向が強く、乳児や成人では再発が特に多くみられます。白血病細胞が脳に現れた場合は、週に1~2回、髄液に化学療法薬を注入します。白血病細胞が精巣に現れた場合は、化学療法とともに精巣への放射線療法を行います。

再発した人に対しては、最も治癒が期待できる方法として、化学療法薬の大量投与とともに同種造血幹細胞移植(「同種」とは、ほかの人からの幹細胞であるという意味です)が行われています。しかし、組織型が適合した(ヒト白血球抗原[HLA]が一致した)人から幹細胞が得られる場合にしか、移植することができません。幹細胞のドナー(提供者)は兄弟姉妹の場合が普通ですが、HLAが適合する他者から提供を受ける場合もあり、ときには、HLAの一部が適合しない家族や他人から提供を受けたり、へその緒に含まれる臍帯血(さいたいけつ)幹細胞を使用したりすることもあります。造血幹細胞移植は65歳以上の人にはほとんど行われません。高齢者では成功率が低く、副作用で死に至るリスクも高くなるからです。

モノクローナル抗体(白血病細胞に特異的に結合して、破壊の目印になるタンパク質)を用いた新しい治療法も、一部の再発した急性リンパ性白血病の治療で利用されています。再発した急性リンパ性白血病の一部で使用できるさらに新しい治療法として、キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)と呼ばれるものがあります。この治療法では、白血病患者から採取したリンパ球の一種(Tリンパ球、T細胞とも呼ばれます)を改変して、新たなT細胞が白血病細胞を認識して攻撃するようにする治療もあります。

再発後は、造血幹細胞移植を受けることができない人に対してさらに治療を加えても、耐えられなかったり、効果がなかったりすることも多く、かえって病気が悪化したように感じることもよくあります。それでも、寛解が得られる可能性はあります。治療による効果が得られない場合は、終末期のケアを考える必要があります。

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