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好中球減少症

(無顆粒球症、顆粒球減少症)

執筆者:

Mary Territo

, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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好中球減少症とは、血液中の好中球(白血球の一種)の数が異常に少なくなった状態をいいます。

  • 好中球減少症が重度であれば、生命を脅かす感染症のリスクが著しく高まります。

  • がんに対する化学療法や放射線療法の副作用として好中球減少症がしばしばみられます。

  • 感染が頻発したり、まれな感染が起きたりすると、好中球減少症が疑われます。

  • 血液サンプルを採取して、好中球減少症の診断を下しますが、原因が明らかでない場合は、骨髄サンプルが必要になることもあります。

  • 治療法は好中球減少症の原因や重症度によって異なりますが、好中球の産生を刺激する薬が使用されることがあります。

  • 好中球減少症で発熱などの感染の徴候が認められる場合は、抗菌薬が投与されます。

好中球は白血球の一種で、急性細菌感染症や特定の真菌感染症に対して体を守るという大きな役割を果たしています。一般に、好中球は、血液中にある全白血球の約45~75%を占めています。好中球による重要な防御がなくなると、感染症に対する制御がきかなくなり、感染症で死亡するリスクが高まります。

好中球減少症は、感染が治まった場合や原因となった曝露がなくなった場合には、すぐに回復することがあります。

慢性の好中球減少症では数カ月から数年にわたり持続することがあります。

好中球減少症の重症度

血液1マイクロリットル当たりの好中球数の下限は通常約1500個です。好中球数がこの値を下回ると、感染のリスクが高くなります。好中球減少症の重症度は以下のように分類されます。

  • 軽度(1000~1500)

  • 中等度(500~1000)

  • 重度(500未満)

好中球数が1マイクロリットル当たり500個未満(重度の好中球減少症)になると、感染のリスクが大幅に上昇します。普段なら有害な作用なく口の中や腸内で共存している細菌により感染症が起こることがあります。

原因

好中球減少症には多くの原因がありますが、主に以下の2種類に分類されます。

  • 好中球が骨髄でつくられる速度より、血液中で消費されたり破壊される速度の方が速い場合

  • 骨髄でつくられる好中球が減少する場合

好中球の急速な消費や破壊

様々な病気によって、好中球が消費されたり破壊されたりします。このような病気には、特定の細菌感染、一部のアレルギー疾患、いくつかの薬物療法(甲状腺機能亢進症で使用される薬など)があります。自己免疫疾患は、好中球を破壊する抗体がつくられて好中球減少症になることがあります。脾腫になると、腫大した脾臓が好中球を取り込んで破壊するため、好中球の数が減少する可能性があります。

好中球の産生の低下

がん、インフルエンザなどのウイルス感染症、結核などの細菌感染症、骨髄線維症、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症によって、骨髄でつくられる好中球の数が減少することがあります。放射線療法が骨髄に及んだ場合も、好中球減少症になることがあります。

特定の毒性物質(ベンゼンや殺虫剤)と同様に、フェニトインやサルファ剤、がん治療(化学療法)に用いられる多くの薬も、好中球をつくる骨髄の能力を妨げることがあります。

再生不良性貧血(骨髄がすべての血球をつくらなくなる病気)と呼ばれる病気によっても、骨髄でつくられる好中球の数が影響を受けます。

ある種のまれな遺伝性疾患でも、好中球数が減少します。周期性好中球減少症では、好中球数が数週間にわたって定期的に増えたり減ったりします。慢性良性好中球減少症では、好中球数が少ないが感染はまれであり、これはおそらく感染に反応して十分な量の好中球が産生されるためです。重症先天性好中球減少症は、好中球が成熟するのを妨げる疾患群であり、乳児期から重篤な感染症を発症します。

症状

好中球減少症は、以下のように発生することがあります。

  • 突然に(特定の感染や曝露に応答して数時間ないし数日で)

  • 徐々に

好中球減少症自体に特有の症状はないため、多くは感染症にかかったときに発見されます。熱が出て、口や肛門の周りに痛みを伴うびらん(潰瘍)が発生することがあります。細菌性肺炎など重度の感染症を起こすこともあります。

慢性の好中球減少症では、好中球の数が極端に少なくなければ、現れる症状が多くない可能性があります。

薬による好中球減少症では、発熱、発疹、リンパ節の腫れがみられます。

周期性好中球減少症では、白血球数の経時的な減少と増加に伴って、症状が現れたり消失したりを繰り返します。

知っていますか?

  • 好中球減少症自体に特有の症状はないため、感染が頻発したり、まれな感染が起きるまで、病気に気づかないことがよくあります。

診断

  • 血算

  • 骨髄検査

感染が頻発したり、まれな感染が起きたりした場合や好中球減少症を引き起こすことが知られている薬を服用している場合は、血液検査(血算)を実施して診断を下します。好中球の数が少なければ、好中球減少症が疑われます。

化学療法や放射線療法を受けている人でみられるのと同じように、多くの場合、好中球減少症が起こることは予測されており、その原因も明らかです。原因が不明の場合は調べる必要があります。さらに、原因が判明しているかどうかにかかわらず、通常は好中球減少症の原因になっている可能性のある潜在性の感染についても調べます。

原因の特定

医師は、使用している薬や有害物質への曝露について尋ね、好中球減少症の原因になっている可能性のある感染などの病気について調べます。しばしば針を用いて骨髄サンプルが採取されます。骨髄の組織を顕微鏡で観察し、組織像や好中球幹細胞(前駆細胞)の数、好中球の成熟や増殖が正常かどうかを調べます。幹細胞の数が減少していないか、正常に成熟しているかどうかを判定することで、原因が好中球産生の欠陥にあるのか、あるいは血液中に寿命を過ぎた好中球や破壊された好中球の数が多すぎるのかを判定できます。白血病などのがんや、結核などの感染症といった別の病気が骨髄に影響を与えていないかどうかが骨髄検査で分かることもあります。

感染の評価

好中球減少症では、感染症の典型的な症状と診察所見がすべて認められるわけではないため、医師は症状について詳細に尋ね、全身をくまなく診察します。懸念される異常があれば検査が行われ、例えば、腹部に不快感があれば、腹部のCT(コンピュータ断層撮影)検査が実施されます。

具体的な異常がなくても、一般に尿検査、尿培養検査、血液培養検査、胸部X線検査が行われます。医師は、培養検査を行う場合、検査する物質(この場合は尿や血液)のサンプルを採取して、検査室に送って、存在する可能性のある細菌などの微生物を増殖させる培養検査を行います。

治療

  • 抗菌薬

  • 好中球の産生を刺激する薬

最も重要なことは、明らかになった感染をすべて治療することです。重度の好中球減少症では、感染が急速に重篤な状態になったり死に至ったりする可能性があります。具体的な感染症の診断ができなくとも、好中球減少症で発熱がみられる場合は、感染とみなします。このような場合は、原因菌としてよくみられる微生物に対して有効な抗菌薬が投与されます。

好中球減少症自体の治療は、その原因と重症度によって異なります。可能であれば好中球減少症の原因と考えられる薬の使用は中止し、疑わしい毒性物質があれば曝露を避けます。

治療をしなくても、骨髄自体の働きが回復することもあります。インフルエンザなどのウイルス感染に伴う好中球減少症は一時的なものであり、感染症が治ると回復します。軽度の好中球減少症は一般に症状がなく、治療の必要はありません。

重度の好中球減少症の場合は、感染を起こすと、侵入した微生物を防ぐことができないため、短時間で死亡することがあります。このような人が感染症にかかった場合は入院して、感染の原因や正確な部位が分かっていなくても、直ちに強い抗菌薬を投与するのが普通です。好中球減少症で発熱があれば、通常は感染を意味するため、直ちに治療を開始する必要があります。

ときには、骨髄での白血球の産生を促進するコロニー刺激因子と呼ばれる増殖因子が有効な場合があり、注射で(皮下または静脈内に)投与されます。

好中球減少症の原因が自己免疫疾患であれば、コルチコステロイドが有用です。再生不良性貧血などの病気がある場合は、抗胸腺細胞グロブリンや、免疫系の活動を抑える他の治療薬を静脈内に投与することがあります。

他の病気(結核、白血病、その他のがんなど)で好中球減少症が発生した場合は、原因になっている病気を治療することで回復する可能性があります。骨髄(または幹細胞)移植は、好中球減少症自体の治療には使用されませんが、再生不良性貧血や白血病など、好中球減少症の深刻な原因になる特定の病気を治療するために推奨されることがあります。

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