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高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が高いこと)

執筆者:

James L. Lewis III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に高い状態をいいます。

  • カルシウム濃度の上昇は、副甲状腺の問題や、食事、がん、骨に影響を及ぼす病気が原因で発生します。

  • 最初に消化管の不調、のどの渇き、多尿がみられ、重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることがあります。発見と治療が遅れると、生命を脅かすことがあります。

  • 高カルシウム血症は通常、定期的な血液検査で発見されます。

  • 水分をたくさん摂取するだけで治療としては十分なこともありますが、必要であればカルシウムの排泄を促す利尿薬や骨からのカルシウム放出を遅らせる薬が使用されます。

カルシウムは体内に存在する電解質 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びるミネラル ミネラルの概要 体の細胞が正常に機能するには、ミネラルが必要です。体は、以下のものを比較的大量に必要とします。 カルシウム 塩化物 マグネシウム リン さらに読む です(しかし体内のほとんどのカルシウムは電荷を帯びていません)。体内では、血液中のカルシウム 体内でのカルシウムの役割の概要 カルシウムは体内に存在する電解質の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びるミネラルですが、体内のほとんどのカルシウムは電荷を帯びていません。(電解質の概要も参照のこと。) 体のカルシウムの99%は骨に蓄えられていますが、細胞(特に筋肉細胞)や血液中にもあります。カルシウムは以下の働きや過程に不可欠です。 骨と歯の形成 筋収縮 多くの酵素が正常に機能すること さらに読む の量が厳密に制御されています。

原因

高カルシウム血症の原因には以下のものがあります。

肉芽腫性疾患、薬、内分泌疾患やその他の一部の疾患によっても高カルシウム血症が引き起こされることがあります。

知っていますか?

  • 体を動かさないと、骨が弱くなり血液中にカルシウムが放出されるため、血液中のカルシウム濃度が高くなります。

副甲状腺機能亢進症

副甲状腺(上皮小体)が放出する副甲状腺ホルモンは、消化管からのカルシウム吸収を高め、腎臓からのカルシウム排泄量を減らし、骨に蓄えられているカルシウムの放出を促します。

副甲状腺ホルモンは腎臓に働きかけリンを排出させますが、一方で骨にも働きかけて血液中にリンを放出させます。この2つの作用のバランスにより、リン濃度が正常に保たれたり低下したりします。

副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎる状態をいいます。副甲状腺機能亢進症になると、血液中のカルシウム濃度が高くなり、リンの濃度は正常または低くなります。

原発性副甲状腺機能亢進症

原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される異常な状態です。原発性副甲状腺機能亢進症の患者の約90%は、副甲状腺の1つに発生した良性腫瘍(腺腫)が原因です。残りの10%では、副甲状腺が単に腫大することにより、ホルモンが過剰に産生されます。まれに、副甲状腺がんが副甲状腺機能亢進症の原因になる場合があります。

原発性副甲状腺機能亢進症は男性より女性に多くみられます。高齢者や、頸部に放射線療法を受けた人にも多く発生する傾向があります。ときに、まれな遺伝性疾患である多発性内分泌腫瘍症候群 多発性内分泌腫瘍症 さらに読む の一環としてこの病気が発生することがあります。

通常、原発性副甲状腺機能亢進症は、1つ以上の副甲状腺を外科的に切除することによって治療します。手術の目標は、ホルモンを過剰放出している副甲状腺組織をすべて取り除くことです。手術の成功率はほぼ90%です。

家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症

家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症症候群は、血液中のカルシウムの量が副甲状腺によって少なく認識され、それに対する反応として、多すぎる量の副甲状腺ホルモンが誤って分泌される遺伝性の病気です。副甲状腺の手術はこの病気では有用ではなく、他の治療も通常は必要とされません。

二次性副甲状腺機能亢進症

続発性副甲状腺機能亢進症は、慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD) 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、感覚の消失、錯乱、呼吸困難、皮膚の黄褐色への変色などがあります。 診断は、血液検査と尿の検査の結果により下されます。 さらに読む ビタミンD欠乏症 ビタミンD欠乏症 ビタミンDのうち、次の2種類が栄養として重要です。 ビタミンD2(エルゴカルシフェロール):この型は植物や酵母が作る前駆体から合成されます。高用量のサプリメントに通常使われる型でもあります。 ビタミンD3(コレカルシフェロール):この型はビタミンDの最も活性の高い型です。皮膚が直射日光にさらされたときに、皮膚内でつくられます。摂取源となる食品で最も一般的なのは、栄養強化食品(主にシリアルや乳製品)です。ビタミンDは、魚の肝油、脂の多い魚... さらに読む などで血液中のカルシウム濃度が大幅に低下し、それに対する反応として副甲状腺ホルモンが過剰放出される病態です。

治療法は原因によって異なります。

三次性副甲状腺機能亢進症

三次性副甲状腺機能亢進症では、血液中のカルシウムの量にかかわらず、副甲状腺ホルモンが過剰放出されます。三次性副甲状腺機能亢進症は通常、二次性副甲状腺機能亢進症に長く罹患している人に発生します。

治療法は原因によって異なります。

症状

高カルシウム血症は、症状がみられないこともよくあります。高カルシウム血症の初期症状としては、一般に便秘、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振などがあります。尿の量が極端に多くなることもあり、脱水と激しいのどの渇きが生じます。

極めて重度の高カルシウム血症は、しばしば錯乱、情動障害、せん妄、幻覚、昏睡を伴う脳の機能障害を引き起こします。筋力が低下し、不整脈から死に至ることもあります。

長期間の、または重度の高カルシウム血症では、カルシウムを含む腎結石がよくみられます。あまり多くはないものの、腎不全が生じることもありますが、普通は治療すれば治ります。しかし、腎臓にカルシウムが多く蓄積している場合、すでに起きた損傷は回復しません。

診断

  • 血液中のカルシウム濃度の測定

高カルシウム血症は通常、一般的な血液検査で見つかります。

いったん高カルシウム血症がみつかると、原因を確定するためにさらなう検査を行う必要があります。さらなる血液検査と尿検査が行われる可能性があります。胸部X線検査も必要になることがあります。

治療

  • カルシウムの排泄量を増やすための輸液および薬の投与

重度の高カルシウム血症でなければ、原因を取り除くだけで十分です。軽度の高カルシウム血症の人や高カルシウム血症が起こりうる病態がある人は、腎機能が正常であれば、水分を十分とるよう指導されます。水分は腎臓を刺激しカルシウムを排出させるだけでなく、脱水の予防にも役立ちます。

医師は、リンを含むサプリメントの摂取を勧めることがありますが、これはサプリメントがカルシウムの吸収を阻害するためです。

カルシウムの値が非常に高い、または脳機能障害の症状や筋力低下がある場合には、腎機能が正常である場合に限り、水分と利尿薬を静脈内投与します。透析 透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(急性腎障害または急性腎不全と呼ばれます)、老廃物をろ過す... さらに読む 透析 は非常に効果的で、安全かつ信頼できる治療ですが、他の方法では治療できない重度の高カルシウム血症の人のみに用いられます。

そのほかにビスホスホネート、カルシトニン、コルチコステロイド、まれにプリカマイシン(plicamycin)といった薬剤が高カルシウム血症の治療に使用されることがあります。こうした薬剤には、主に骨からのカルシウムの放出を遅くする作用があります。

がんが原因の高カルシウム血症は、特に治療が困難です。ときにデノスマブという薬が有用です。がんをコントロールできないと、最善の治療を行っても高カルシウム血症が再発します。

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