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甲状腺がん

執筆者:

Jerome M. Hershman

, MD, MS, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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概要

甲状腺がんの原因は不明ですが、甲状腺は放射線に対する感受性が非常に高く、これによって悪性の変化が起こっている可能性があります。甲状腺がんは頭部、頸部、胸部に放射線療法を受けた人で多くみられ、なかでも小児期に良性の(がんではない)病気に対して放射線療法を受けた人で最もよくみられます(現在では良性の病気に対する放射線療法は行われていません)。

甲状腺結節

がんは甲状腺全体を腫大させるというよりも、むしろ甲状腺内に小さなこぶ(結節)を形成します。しかし、甲状腺結節の多くはがん(悪性)ではありません。結節が以下の条件に該当する場合は、がんである可能性が高くなります。

  • 液体で満たされている状態(嚢胞性[のうほうせい])ではなく内部も細胞で詰まっている

  • 甲状腺ホルモンを分泌していない

  • 触ると硬い

  • 成長が速い

  • 男性にみられる

頸部にできる痛みのないこぶは、甲状腺がんの最初の徴候であるのが通常です。がんが大きくなると、首の近くにある組織を圧迫し、声がれ、せき、呼吸困難を引き起こすことがあります。

甲状腺に結節が発見されると数種類の検査が行われます。最初に行われる検査は一般に甲状腺機能検査 甲状腺機能検査 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む で、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモンのT4(サイロキシン、別名テトラヨードサイロニン)とT3トリヨードサイロニン)の量が測定されます。ときに、甲状腺に対する抗体の有無を検出する検査が行われます。

血液検査で甲状腺の活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む 甲状腺機能亢進症 )が明らかになった場合は、甲状腺の画像検査 甲状腺の画像検査 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む を行い、結節から甲状腺ホルモンが分泌されているかどうかを調べます。ホルモンをつくっている結節(「ホット」結節)は、ほとんどの場合、がんではありません。検査によって甲状腺機能亢進症や橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は、甲状腺に慢性的な自己免疫性の炎症が生じる病気です。 橋本甲状腺炎は、体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。 ほとんどの人が最終的に甲状腺機能低下症になります。 甲状腺機能低下症では通常、疲労を感じ、寒さに耐えられなくなります。 さらに読む であることが示されない場合、または結節が「ホット」ではない場合、穿刺生検が行われます。

穿刺生検では、細い針を刺して採取した結節のサンプルを顕微鏡で調べます。この方法はあまり痛みがなく、診察室で行われます。場合により、局所麻酔を使用し、超音波の画像で位置を確認しながら針を挿入します。

超音波検査は、結節の大きさ、内部が細胞で詰まっているのか液体で満たされているのか、別の結節があるかを調べるために行われます。

甲状腺がんの種類

甲状腺がんには一般に以下の4種類があります。

  • 乳頭(にゅうとう)がん

  • 濾胞(ろほう)がん

  • 髄様(ずいよう)がん

  • 未分化がん

乳頭がん

乳頭がんは最も多く、全甲状腺がんの80~90%を占めます。女性の乳頭がんは男性の約3倍多くみられます。乳頭がんは30~60歳に最も多くみられますが、高齢者では急速に増殖し広がります。乳児期や小児期に良性の病気などに対して頸部の放射線療法を受けた人、成人して別のがんのために頸部に放射線療法を受けた人は、乳頭がんの発生リスクが高くなります。

乳頭がんは甲状腺内で増殖しますが、ときには近くのリンパ節に広がります(転移)。治療しなければ、乳頭がんはさらに遠くに転移します。

乳頭がんはほとんどが治ります。結節が約1~1.5センチメートルより小さければ、直近の甲状腺組織を含めて切除します(葉切除術と峡部切除術)。ただし、この大きさでも甲状腺をすべて取り除く方法(甲状腺摘出術)を勧める専門医は多くいます。大きな結節(特に約4センチメートルを超える結節)の場合、通常は甲状腺の大部分あるいは全部が除去されます。残りの甲状腺組織やがんを破壊するために放射性ヨードが投与されます。また残りの甲状腺組織の増殖を抑えるために、大量の甲状腺ホルモンが投与されます。

濾胞がん

濾胞がんは甲状腺がん全体の約10%を占め、高齢者に多くみられます。濾胞がんも男性より女性に多く発生します。

濾胞がんは乳頭がんより侵襲的(悪性度が高い)で、がん細胞が血流に乗って全身の各所に広がる(転移する)傾向があります。

濾胞がんの治療は外科的に甲状腺を可能な限り除去し、転移があればそれも含めて残存する甲状腺組織を放射性ヨードで破壊します。濾胞がんは治りますが、乳頭がんよりも治癒率は低くなります。

髄様がん

甲状腺がんの約4%が髄様がんで、甲状腺に発生しますが、甲状腺ホルモンを分泌する細胞とは異なる種類の細胞から発生します。このがんの起源はC細胞と呼ばれ、甲状腺のいたるところに分布し、血液中のカルシウムの量を調節するカルシトニンというホルモンを分泌します。甲状腺髄様がんはカルシトニンを過剰に産生します。さらに他のホルモンも分泌するため、特殊な症状を引き起こします。

治療では、甲状腺を外科的に除去します。リンパ節への転移の有無を判断するために、追加手術が必要なこともあります。このタイプのがんに放射性ヨードは有用ではありません。甲状腺髄様がんが多発性内分泌腫瘍症によるものである場合、3分の2以上が治ります。

未分化がん

未分化がんは甲状腺がん全体の約2%を占め、高齢の女性に多くみられます。このがんは非常に増殖が速く、首に痛みを伴う大きなこぶができます。また、全身に転移する傾向があります。

未分化がんの人の約80%は、治療しても1年以内に死亡します。しかし、手術の前後に化学療法と放射線療法を行うことで治る人もいます。このタイプのがんに放射性ヨードは有用ではありません。

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