(甲状腺の概要 甲状腺の概要 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む も参照のこと。)
無痛性リンパ球性甲状腺炎は、女性、特に出産後3~4カ月後に発生することが多く、甲状腺は圧痛を伴わずに腫大します。この病気はその後の妊娠のたびに再発します。
数週間から数カ月間のうちに、甲状腺の活動が過剰になり(甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む )、それに続いて甲状腺の活動が不十分になり(甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの産生が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 甲状腺は、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホル... さらに読む
)、最終的に甲状腺機能が正常に回復します。
症状
無痛性リンパ球性甲状腺炎は、出産後3~4カ月経ってから始まります。まず、甲状腺が大きくなり、痛みも圧痛もない、甲状腺機能が亢進した段階から始まります。その後、甲状腺機能低下症を発症し、通常は自然に回復します。この第2段階では、 甲状腺機能低下症の症状 症状 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの産生が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 甲状腺は、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホル... さらに読む として、疲労、体重増加、便秘、皮膚や髪の乾燥、耐寒性の低下などがみられることがあります。
知っていますか?
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診断
甲状腺機能検査
無痛性リンパ球性甲状腺炎の診断は、症状、診察と 甲状腺機能検査 甲状腺機能検査 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む の結果に基づいて下されます。まれに、診断を確定するために甲状腺の生検を行うこともあります。
妊娠後に無痛性リンパ球性甲状腺炎を発症した場合、医師は通常、次回以降の妊娠時にもこの病気の検査を行います。
治療
甲状腺機能亢進症に対し、ベータ遮断薬
甲状腺機能低下症に対し、甲状腺ホルモン補充
甲状腺機能亢進症の治療には2~3週間かかり、アテノロールなどのベータ遮断薬が必要です。ベータ遮断薬は、甲状腺機能亢進症の症状の多くを抑制するのに役立ちます。例えば、この種の薬は心拍を遅くし、ふるえを少なくして不安を抑えます。
甲状腺機能が低下している間は甲状腺ホルモンの服用が必要ですが、通常こうした期間は12カ月以上継続しません。しかし、無痛性リンパ球性甲状腺炎の人の約10%では甲状腺機能低下症が永続し、甲状腺ホルモンの服用が生涯必要になります。