内分泌腺 内分泌腺 内分泌系は、ホルモンをつくって分泌することにより体の様々な機能の調節や制御を行う腺や器官の集まりです。ホルモンとは、体の他の部分の働きに影響を与える化学物質のことです。ホルモンはメッセンジャーとして働き、体のそれぞれの部位の活動を制御し、協調させます。 内分泌腺は、血流中にホルモンを直接放出します。... さらに読む とは、1種類または数種類のホルモンを分泌する器官です。内分泌腺の機能不全の実際の原因は、体の免疫防御系が誤って自身の細胞を攻撃する 自己免疫反応 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がし... さらに読む に関係しているようです。これに遺伝的要因や環境要因(ウイルス感染や食事に関する要因など)が関与している可能性があります。多腺性機能不全症候群は以下の3つのタイプに分けられます。
1型:このタイプは小児に発生し、副甲状腺と 副腎 アジソン病 アジソン病は副腎機能の低下によって、副腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 アジソン病の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。... さらに読む
の機能が低下する場合があります。慢性の真菌感染症(慢性皮膚粘膜カンジダ症 慢性皮膚粘膜カンジダ症 慢性皮膚粘膜カンジダ症は遺伝性の免疫不全疾患で、T細胞(Tリンパ球)の機能不全によって、カンジダ菌 Candida(真菌)による感染が持続したり、感染を繰り返したりします。 慢性皮膚粘膜カンジダ症によって、口、頭皮、皮膚、爪の真菌感染症が頻繁に起きたり慢性化したりします。... さらに読む
と呼ばれる)にもかかりやすくなります。特に5歳未満の小児では、真菌感染症が最初の徴候になる場合があります。 甲状腺疾患 甲状腺の概要 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む 、 糖尿病 1型糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に産生しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む 、自己免疫性肝炎や栄養素の吸収に問題(吸収不良 吸収不良の概要 吸収不良症候群とは、食べたものに含まれる栄養素が様々な理由により小腸で適切に吸収されない状態のことをいいます。 ある種の病気、感染症、手術でも吸収不良が起こることがあります。 吸収不良によって、下痢、体重減少、極度の悪臭がする大量の便がみられます。 診断は、典型的な症状と、便検査の結果、ときに小腸粘膜の生検結果に基づいて下されます。... さらに読む )を引き起こす特定の消化器系の病気などその他の自己免疫疾患がみられることもあります。
2型(シュミット症候群とも呼ばれる):このタイプは成人(特に女性)に発生し、副腎と甲状腺の機能が低下しますが、甲状腺の機能は亢進することもあります。2型の多腺性機能不全症候群では、 糖尿病 糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に産生しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む を発症することもあります。
3型:このタイプは2型と非常によく似ていますが、副腎の働きは正常です。
多腺性機能不全症候群の症状は、異常のある内分泌器官によって異なります。複数のホルモンの欠乏が常に同時に現れるとは限らず、数年の間が空くこともあります。また、特定の順序で欠乏するわけでもなく、すべての人に各タイプに関連する欠乏がすべてみられるというわけではありません。
症状
多腺性機能不全症候群の症状は、異常のある内分泌器官によって異なります。
副腎の機能低下 アジソン病 アジソン病は副腎機能の低下によって、副腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 アジソン病の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。... さらに読む
:筋力低下、食欲不振、嘔吐、皮膚の黒ずみ。重症例では低血圧、死亡(治療しない場合)
複数のホルモンの欠乏が常に同時に現れるとは限らず、数年の間が空くこともあります。
診断
ホルモンを測定する血液検査
医師はその特有の症状から、多腺性機能不全症候群を疑います。採血してホルモンの欠乏を検出することで、診断が確定されます。異常のある内分泌腺に対する自己免疫反応を調べるために、特定の抗体を測定することもあります。
他の内分泌器官では長年にわたって機能異常がみられないことがあるため、ホルモン欠乏がみられる人では、新たなホルモン欠乏をできるだけ早く特定できるように、通常は定期的に血液検査を行います。
これらの症候群はしばしば遺伝するため、患者の血縁者に対して遺伝子検査が行われることもあります。
治療
ホルモン補充療法
治療は欠乏しているホルモンの補充です。複数のホルモンの欠乏症の治療は、1種類のホルモンの欠乏症の治療よりも複雑な場合があります。真菌感染症にかかりやすい人では、抗真菌薬による長期の治療が必要になる場合があります。