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褐色細胞腫

執筆者:

Ashley B. Grossman

, MD, University of Oxford; Fellow, Green-Templeton College

最終査読/改訂年月 2017年 4月
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概要

褐色細胞腫は副腎のクロム親和性細胞に由来する腫瘍で、高血圧やその他の症状を引き起こす強力なホルモンのカテコールアミンが過剰につくられる病気です。

  • 高血圧が最も重大な症状ですが、激しい動悸、大量発汗、立ちくらみ、速い呼吸、重度の頭痛や、そのほかにも多くの症状がみられることがあります。

  • 医師はカテコールアミンまたは体がカテコールアミンを分解するときにつくられる産物の血中濃度を測定するとともに、画像検査を行って腫瘍を探します。

  • 通常、最良の治療法は褐色細胞腫の摘出です。

ほとんどの褐色細胞腫は副腎内で増殖しますが、約10%は副腎外のクロム親和性細胞で増殖します。副腎内で増殖する褐色細胞腫で悪性のものは10%未満ですが、副腎外の褐色細胞腫では悪性の頻度がより高くなります。褐色細胞腫は男女とも、いずれの年代でも起こりますが、20~40歳に多くみられます。

褐色細胞腫は多発性内分泌腫瘍症 多発性内分泌腫瘍症 多発性内分泌腫瘍症はまれな遺伝性の病気で、いくつかの内分泌腺で良性(がんではない)腫瘍または悪性腫瘍(がん)が発生したり、腫瘍はできないものの腺が過剰に肥大したりします。 多発性内分泌腫瘍症は、遺伝子変異により発生するため、家族内で遺伝する傾向がみられます。 症状は多様で、影響を受けた内分泌腺によって異なります。... さらに読む 多発性内分泌腫瘍症 と呼ばれるまれな遺伝性の病気の人に発生することがあります。この病気では甲状腺、副甲状腺、副腎に腫瘍ができやすくなります。さらに褐色細胞腫はフォンヒッペル・リンダウ病 フォン・ヒッペル-リンドウ病(VHL) フォン・ヒッペル-リンドウ病は、いくつかの臓器に良性・悪性の腫瘍が発生する、まれな遺伝性の病気です。 頭痛、視覚障害、高血圧などが生じることがあり、めまいや脱力感を覚えることもあります。 医師は家族歴と身体診察の結果からこの病気を疑い、画像検査やその他の検査を行って、腫瘍やその他の異常がないか確認します。 腫瘍は手術で切除したり、放射線で治療したり、レーザーや凍結療法で破壊したりします。... さらに読む 神経線維腫症 神経線維腫症 神経線維腫症は一群の遺伝性疾患の総称で、皮膚の下などの体の部分に、軟らかく肥厚した神経組織(神経線維腫)が増殖し、しばしばコーヒーミルク色の平らな斑点(カフェオレ斑)が皮膚にできます。 皮膚の下にできる腫瘍とカフェオレ斑に加え、骨の異常、協調運動障害、脱力、感覚異常、聴覚障害、視覚障害がみられることもあります。... さらに読む 神経線維腫症 (フォン・レックリングハウゼン病)などのいくつかの遺伝性疾患の人にも起こります。褐色細胞腫に罹患している人の半数近くが、このような遺伝性あるいは家族性疾患を患っている可能性があります。

症状

褐色細胞腫は非常に小さいことがあります。しかし、小さな褐色細胞腫であっても効力の強いカテコールアミンを大量につくります。カテコールアミンはアドレナリン(エピネフリン)、ノルアドレナリンドパミンなどのホルモンで、血圧をかなり上げ、心拍数を増加させる傾向があり、生命を脅かす症状を引き起こす可能性があります。

  • 動悸

  • 大量発汗

  • 立ちくらみ

  • 呼吸数の増加

  • 冷たく湿っぽい皮膚

  • 重度の頭痛

  • 胸や胃の痛み

  • 吐き気と嘔吐

  • 視覚障害

  • 指のチクチク感

  • 便秘

  • 奇妙な強迫感

この病気の半数の人は症状が出たり消えたりしますが、腫瘍の圧迫、マッサージ、薬(特に麻酔薬とベータ遮断薬)、心理的トラウマが引き金になったり、まれなケースでは排尿によっても起こることがあります。しかし多くの人は、これらの症状を内分泌の病気としてではなく、不安の現れとして受け取ります。

診断

  • 血液と尿の検査

  • CTまたはMRI検査

この病気の人の半数では持続性の高血圧以外の症状がないため、医師は褐色細胞腫を疑わないことがあります。しかし、若年者で高血圧がある場合、症状が出たり消えたりする場合、あるいはほかに褐色細胞腫の症状が付随している場合は特定の検査が行われます。例えば、血液または尿のサンプルを採取して、特定のカテコールアミンや、カテコールアミンが分解されてつくられる物質の値を測定します。高血圧や他の症状があれば、原因が褐色細胞腫と分かる前にベータ遮断薬が処方されることがありますが、この薬は褐色細胞腫の人の高血圧を悪化させます。意図とは逆の反応が現れることによって、褐色細胞腫の診断が確かになる場合がしばしばあります。

カテコールアミンの値が高い場合は、褐色細胞腫の位置を調べるのにCT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査が有用です。褐色細胞腫に蓄積されやすい放射性化学物質を注射する検査も有用な場合があります。画像検査でこの放射性化学物質が蓄積されている部位が分かります。

遺伝子検査が行われることもあり、特に遺伝性疾患が疑われる場合によく実施されます。

治療

  • 手術による腫瘍の切除

  • 血圧をコントロールする薬

通常、最良の治療法は褐色細胞腫の摘出です。しかし、薬でカテコールアミンの分泌が制御できるようになるまで、手術はしばしば延期されます。カテコールアミンが高値のままでは手術中に危険な事態を招くおそれがあるからです。一般に、ホルモンの作用を止めるためにフェノキシベンザミン(phenoxybenzamine)や同様の薬が投与されます。このステップが完了すると、ベータ遮断薬を安全に使用して症状を制御できるようになります。

褐色細胞腫が悪性ですでに広がっている場合、化学療法により腫瘍が治癒することはまれです。テモゾロミドやスニチニブなどの新しい化学療法薬は、腫瘍の増殖を遅くするのに有用とみられています。メタヨードベンジルグアニジン(metaiodobenzylguanidine:MIBG)として知られる放射性同位元素で腫瘍組織を標的とする治療も、高い効果を発揮します。腫瘍が過剰分泌するカテコールアミンの危険な影響のほとんどは、フェノキシベンザミン(phenoxybenzamine)、あるいはその類似薬とベータ遮断薬の投与を続けることで阻止できます。

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