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クッシング症候群

(Cushing症候群)

執筆者:

Ashley B. Grossman

, MD, University of Oxford; Fellow, Green-Templeton College

最終査読/改訂年月 2017年 4月
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クッシング症候群は、コルチコステロイドが過剰な状態で、通常は副腎のホルモン分泌過剰によるものです。

  • 通常、クッシング症候群の原因は、副腎でのコルチコステロイドの過剰産生を引き起こす下垂体や副腎の腫瘍です。

  • クッシング症候群はまた、その他の部位(肺など)に腫瘍がある場合や、他の病気の治療のためにコルチコステロイドの投与を受けている人に起こることもあります。

  • クッシング症候群の人は、体幹の周りに過剰な脂肪がつき、顔が丸く膨らみ皮膚が薄くなります。

  • 医師は コルチゾールの濃度を測定することで、クッシング症候群を検出します。

  • 腫瘍の除去には、しばしば手術や放射線療法が必要になります。

副腎の概要も参照のこと。)

副腎でコルチコステロイドがつくられすぎるのは、副腎に問題があるか、あるいは下垂体からの刺激が過剰であることが原因です。下垂体に腫瘍などの異常があると、副腎の副腎皮質ホルモンの分泌を調節する 副腎皮質刺激ホルモンというホルモンが下垂体から大量に分泌されるようになります(この病気はクッシング病として知られています)。下垂体外の腫瘍でも、小細胞肺がんや、肺またはその他の部位のカルチノイド腫瘍などは、同様に 副腎皮質刺激ホルモンを分泌することがあります(この状態を異所性 ACTH症候群といいます)。

良性腫瘍(腺腫)が副腎内に発生すると、これもコルチコステロイドがつくられすぎる原因になります。副腎腺腫は非常によくみられ、70歳までに約10%の人で発生します。しかしホルモンを過剰に分泌するのは、そのうちのごく少数です。副腎の悪性腫瘍は非常にまれです。

クッシング症候群は、病状が重いために大量のコルチコステロイドを服用しなければならない人にも起こります。大量の服用が必要な人は、ホルモンがつくられすぎる場合と同じ症状になります。この症状は、喘息(ぜんそく)のためにコルチコステロイドを吸入した場合や、皮膚に局所的に使用したときにも起こることがあります。

クッシング病

クッシング病とは、通常下垂体腫瘍が原因の副腎の過剰刺激によって引き起こされるクッシング症候群を意味します。この病気は、下垂体が副腎を過剰に刺激するために副腎の活動が過剰な状態であることによるもので、副腎の障害によるものではありません。クッシング病の症状は、クッシング症候群の症状と似ています。クッシング病は、血液検査、またはときに尿および唾液の検査も行うことによって診断されます。クッシング症候群は、手術または放射線療法により下垂体腫瘍を切除することにより治療します。下垂体腫瘍の切除がうまくいかない場合、副腎を手術で切除することもあります。

症状

コルチコステロイドは体脂肪の量と分布を変えてしまいます。体幹の周りに過剰な脂肪がつき、特に背中の上部に目立ちます(野牛肩[buffalo hump]と呼ばれることもあります)。クッシング症候群の人は丸く膨らんだ顔になります(満月様顔ぼう)。腕と脚は太った体幹に比べてほっそりしています。筋肉は衰えて力が弱くなります。皮膚は薄くなり、あざができやすく、打撲傷や切り傷は治りにくくなります。腹部や胸部には引き伸ばしたような紫の筋(皮膚線条)が現れることがあります。クッシング症候群の人は、疲れやすくなります。

コルチコステロイドの高値が長期間続くと、血圧が高くなり、骨は弱くなり(骨粗しょう症)、感染症に対する抵抗力が弱くなります。腎結石と糖尿病が発生するリスクが増大し、また、うつ病や幻覚などの精神障害が起こることがあります。女性は月経周期が不規則になります。クッシング症候群の小児は成長が遅く、身長は低いままです。一部の人では副腎でアンドロゲン( テストステロンとその類似物質)も大量につくられるため、女性は顔の毛や体毛が濃くなり、頭髪は薄くなります。

診断

  • 尿、唾液、または血液中の コルチゾール値を測定する

  • ときに他の血液検査、画像検査

クッシング症候群が疑われる場合は、主な副腎皮質ホルモンである コルチゾールが測定されます。正常ならば、1日のうちで コルチゾールの値は午前中に高く、その後低下します。クッシング症候群の場合、 コルチゾールは1日中高い値を示します。 コルチゾール値は、尿、唾液、血液の検査で調べられることがあります。

コルチゾール値が高ければ、医師は デキサメタゾン抑制試験を勧めます。 デキサメタゾンは下垂体を抑制して副腎の コルチゾールの分泌を抑えます。クッシング症候群の原因が下垂体による過剰な刺激ならば、 コルチゾール値はクッシング症候群でない人と同レベルにはならないものの、ある程度は下がります。クッシング症候群の原因がほかにある場合、 コルチゾール値は高いままです。 副腎皮質刺激ホルモンの値が高ければ、副腎が過剰に刺激されていることを意味します。

正確な原因を確定するために、下垂体や副腎のCT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査、肺の胸部X線検査やCT検査などが行われます。しかしこれらの検査でも腫瘍を発見できないことがあります。

副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌が原因とみられる場合は、下垂体がホルモンの発生源であるかどうかを調べるために、下垂体から出ている静脈から血液を採取します。

治療

  • タンパク質、カリウムを多く含む食事

  • コルチゾール値を下げるか、あるいはコルチゾールの効果を阻害する薬剤

  • 手術または放射線療法

治療法は原因が副腎、下垂体、あるいはそれ以外のどこにあるかによって決まります。

クッシング症候群の治療の第1段階は、タンパク質およびカリウムを多く含む食事療法に従うことによって全身状態を維持することです。場合によっては、カリウムまたは血糖(糖)値を下げる薬が必要になります。

下垂体腫瘍の切除や破壊には手術や放射線療法が必要です。

副腎の腫瘍(通常は腺腫)は手術で切除されます。これらの治療法で効果がない場合や腫瘍が存在しない場合は、両方の副腎を摘出しなければなりません。副腎を両方もしくは部分的に切除した人は、一生コルチコステロイドを服用する必要があります。

下垂体や副腎以外の腫瘍が過剰なホルモンを分泌している場合は、外科的に切除されます。

手術などの決定的な治療を待つ間、 コルチゾール値を下げるメチラポンやケトコナゾールなどの薬が投与されます。 コルチゾールの作用を阻害するミフェプリストンを使用することもあります。持続性または再発性の軽い症例では、パシレオチドという薬が有益な可能性がありますが、これにより糖尿病が引き起こされたり悪化することがあります。場合によってはカベルゴリンが有用なこともあります。パシレオチドとカベルゴリンを投与することにより、副腎から コルチゾールの分泌を促す 副腎皮質刺激ホルモンの機能が低下します。

ネルソン症候群とは

クッシング病の治療のために副腎を両方とも摘出した人は、ネルソン症候群を発症することがあります。

この病気では、クッシング病の原因となった下垂体腫瘍が増殖を続け、大量の 副腎皮質刺激ホルモンが産生され、皮膚の色が濃くなります。下垂体腫瘍が大きくなると、脳の隣接する部分を圧迫し、頭痛と視野欠損を起こします。

下垂体の放射線療法によってこの圧迫を予防できる場合があるとする専門家もいます。必要であれば、ネルソン症候群は下垂体への放射線療法か外科的切除で治療できます。

コルチコステロイドが副腎に与える影響

プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドを大量に使用している人は、副腎機能が抑制されることがあります。これは大量のコルチコステロイドが、正常ならば副腎機能を刺激する視床下部と下垂体のホルモン分泌を妨げるためです。

この状態でコルチコステロイドの服用を突然中止すると、副腎の機能を急速には回復できないため、一時的に副腎機能不全(アジソン病に似た状態)になります。ストレスを受けても、体は必要なコルチコステロイドを追加でつくるように刺激することができません。

そのため、コルチコステロイドを2~3週間以上使用している場合は、突然投与を中止してはいけません。その代わり、数週からときには数カ月かけて、徐々に量を減らしていきます。

コルチコステロイドを使用していても、病気や、過度のストレスを受けた場合は、用量を増やす必要があります。コルチコステロイドを減量または中止している数週間のうちに、病気や過度のストレスに見舞われた場合は、使用を再開する必要があります。

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