(コレステロールと脂質の病気の概要 コレステロールと脂質の病気の概要 血液中にみられる重要な脂肪(脂質)には以下のものがあります。 コレステロール 中性脂肪(トリグリセリド) コレステロールは、細胞膜や脳と神経の細胞に必須の成分であるほか、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収を助ける胆汁にも不可欠な物質です。体はコレステロールを使って、エストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどの様々なホルモンやビタミンDをつくり... さらに読む も参照のこと。)
HDLコレステロール(善玉コレステロール)が高値であると、心臓発作や脳卒中のリスクが低下する可能性があります。ただし、HDLコレステロール値は一部の遺伝性疾患で上昇する可能性があります。このような疾患では、HDL値が高値であっても心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。 病院では心電図検査と血液中の物質を測定する検査により、急性冠症候群かどうかを診断します。... さらに読む や脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む の予防にはつながらない可能性があります。この理由としては、その疾患によって脂質の値に他の変化が引き起こされたり、体が食べものを消化する過程で別の異常が生じたりする可能性があるからです。
HDLの高値には以下のパターンがあります。
原発性:遺伝子変異によるもの
続発性:他の病気によるもの
HDL高値の原発性の原因には以下のものがあります。
結果的にHDLの過剰産生またはHDL除去の減少につながる遺伝子変異
HDLコレステロール高値の続発性の原因には以下のものがあります。
慢性アルコール中毒(肝硬変を伴わない)
薬剤(例、コルチコステロイド、インスリン、フェニトイン)
HDLコレステロール高値は、血液中の脂質の値を測定する血液検査を行うことで診断が下されます。脂質低下薬を服用していない人にHDL高値が認められた場合は、高値の原因が調べられます。
HDLが非常に高値となる病気があれば、それを治療します。
コレステリルエステル転送タンパク(CETP)欠損症
コレステリルエステル転送タンパク(CETP)欠損症は、CETP遺伝子の変異によって引き起こされるまれな常染色体劣性遺伝疾患です。CETPはHDLから他のリポタンパクへのコレステロールの転送を助ける役目を担っているため、CETPが欠乏すると、低比重リポタンパク(LDL)コレステロールの値に影響が生じるほか、血液からHDLコレステロールを除去するスピードが遅くなります。この病気では症状はみられませんが、血液中のHDLコレステロール値が高値となります。治療は必要ありません。
家族性高アルファリポタンパク血症
家族性高アルファリポタンパク血症は様々な遺伝子変異によって引き起こされる常染色体優性遺伝疾患です。一般にこの疾患は、通常の血液検査でHDLコレステロール高値がみつかったときに、偶然に診断されます。症状はみられません。治療の必要はありません。